魔法先生ネギま~とある妹の転生物語~   作:竜華零

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第1話「麻帆良」

 

Side アリア

 

 

・・・シンシア姉様、ネカネ姉様、アーニャさん、故郷のみなさん、事件です。

なんとネギ兄様とはぐれてしまいました。

 

 

「・・・などと言っている場合では、ありませんね」

 

 

あれからそれなりの時間をかけて、私たち兄妹は日本の麻帆良学園にやってきました。

ところが、私が迎えの方を目で探している間に、隣にいたはずの兄様が忽然と姿を消したのです。

土地勘のない妹をおいてけぼりとは、なかなかどうして兄様もやってくれるではありませんか。

 

 

「・・・ここに来るまでに、会話もありませんでしたし・・・」

 

 

飛行機や電車の中でも、いくら話を振ってもろくな返事をしてくれませんでしたからね。

少しばかり回想してみますと・・・。

 

 

 

~飛行機の中~

 

「兄様、日本とはどんな場所なのでしょうね」

「そうだね」

「なんでも緑茶という、おいしいお茶があるのだとか、これは楽しみですね」

「そうだね」

「・・・いくら仕切りがあるとはいえ、こんな場所で堂々と魔法書読まないでください兄様・・・」

「そうだね」

「・・・・・・良い天気ですね」

「そうだね(パラパラと魔法書を読みながら)」

「・・・・・・・・・・・・はぁ(倦怠期の夫婦ってこんなのなんでしょうか)」

 

 

 

~電車の中~

 

「こ、これが日本の満員電車・・・!(10年ぶりに体験する感触です・・・!)」

「そ、そうだね・・・!」

「この期に及んでその一言で済まそうとする兄様は正直すごいです・・・!」

「そ、そ・・・そう、だね・・・」

「意識を保ってください兄様! もうすぐ駅ですから!」

「そ・・・・・・・・・」

「兄様~~!」

 

 

 

回想終わりです。

 

・・・今思うと電車の中は比較的親近感を持って接することができたような気がします。

それも放置というこの仕打ちで失われましたが。

さて、どうしましょうか。

兄様・・・面倒事に巻き込まれている可能性が大いに高いですね。

 

 

ウェールズでも人付き合いが少ない割に面倒事は良く持ってきていましたからね。

私もよく巻き込まれたものです。

あれが主人公体質というものなのでしょうか。

ふぅ、と溜息一つ。

さて、魔力の波長でも探査して兄様を探しますか、それとも・・・。

 

 

 

「なぁんですってこのガキぃ―――っ!?」

 

 

 

・・・涙声で叫ぶ女性の声が、耳に入りました。

どうやら、予想通りに巻き込まれたようです。

探す手間が省けたと喜ぶべきか、正直微妙です。

 

 

「取り消しなさいよおぉぉぉっ!」

「あう~~~~~っ」

 

 

声を頼りに来てみれば我が不肖の兄様が、ツインテールの女性に頭を鷲掴みにされていました。

・・・コレに声をかけるのは、少々勇気がいりますね。

そこで、少し離れたところにいる黒髪の女性に声をかけることにします。

 

 

「・・・あの、これはいったい・・・?」

「ん? あの子が明日菜・・・あ、あのツインテールの娘な? 明日菜に失恋の相が出とるって言うたんよ」

「それは・・・兄様が大変失礼いたしました」

 

 

まぁ、予想の範囲内と言うべきか。

本来ならば多少の感動を覚えるところですが、後回しです。

 

 

兄様の発言は人として、また同じ女性として、看過できる問題ではありません。

よもや兄様の固有スキル『AKY《あえて・空気・読まない》』が初対面の相手にも有効とは思いませんでしたよ。

 

 

「兄妹なん?」

「ええ、まぁ・・・」

 

 

正直認めたくないところですが。

まぁそれはいいとしても、どう収拾をつけましょうか。

と、私が考え込んでいますと。

 

 

 

「ネギくーん! アリアちゃーん!」

 

 

 

出ました! この私を唯一「ちゃん」付けで呼ぶお方!

眼鏡にお髭がとってもダンディな、高畑・T・タカミチさん。

 

 

「た、高畑先生!?」

「タカミチ!」

 

 

明日菜さんの手から逃れた兄様が、パタパタとタカミチさんに駆け寄っていきます。

・・・なんというか、親鳥を見つけた雛のようですね。

ある意味では間違っていない表現ではないかと思います。

まぁ、今はこっちが先でしょう。

 

 

「・・・・・・先ほどは兄様がご迷惑をおかけしたようで、申し訳ありませんでした」

「え? あ、い、さっきのガキの、妹さん?」

「はい。同じ女性として、謝罪させていただきます」

 

 

そう言って、深々と頭を下げます。

まぁ、私は肉体年齢10歳なので説得力皆無かもしれませんが。

すると、明日菜さんは慌てたような声音で。

 

 

「べ、別にあんたが頭下げなくてもいいわよ! 悪いのはあっちのガキなんだし」

「・・・ですが、兄様が失礼を働いたようですので・・・」

「ああもう、頭上げていいから! まったく、妹さんにこんなことさせるなんてなんてガキよ・・・」

 

 

・・・どうやら兄様の株をさらに下げてしまったようです。

まぁ、いいですかね。

私の株は上がったような気がしないでもありませんし。

 

 

「それよりも! あんたたち高畑先生と知り合いなの?」

「ええ、父のご友人ということで、兄様は特にお世話になっていましたから・・・。あ、申し遅れました、私、アリア・スプリングフィールドと申します。あっちは兄のネギ。お見知りおきください」

「あ、私は神楽坂明日菜。で、こっちが・・・」

「近衛木乃香やえ、よろしくな~」

「神楽坂さんに、近衛さんですね。覚えました」

「木乃香でええよ~」

「アタシも明日菜でいいわよ、というか、なんで子供がここにいるのよ?」

 

 

自己紹介を終えて、質問に答えようとした時、タカミチさんとネギ兄様がこちらにやってきました。

・・・どうでもいいですが、兄様。タカミチさんの後ろに隠れないでください。

なんだかとても情けないです。

 

 

「た、高畑先生!!」

 

 

そして、とっても笑顔な明日菜さん。

その様子に木乃香さんの方を見ると、小さく頷かれました。

なるほど。

 

 

「久しぶりだね、アリアちゃん。明日菜君も木乃香君もおはよう」

「はい、おはようございます!」

「おはようや~」

 

 

・・・「ちゃん」付けはやめていただけませんかね・・・。

この人昔から私のこと子供扱いなんですよ、仕方ないですけど。

そんなことを思いながら、タカミチさんに軽く一礼します。

 

 

「お久しぶりです、タカミチさん」

「とりあえず、学園長室まで案内するけど、大丈夫かな、疲れてないかい?」

「ええ、大丈夫です」

「明日菜君と木乃香君も一緒に来てもらえるかな?」

「はい! 高畑先生!」

「わかったえ」

 

 

 

途中兄様がくしゃみをして明日菜さんの服を弾き飛ばそうと画策したようですが、そこは私、魔眼所持者ですから。

『殲滅眼(イーノ・ドゥーエ)』で暴発した魔力を吸収して防がせてもらいました。

タカミチさんを含めるみなさんにバレていないかドキドキものでしたが、大丈夫なようですね。

生粋の魔法使いがこの場にいなくて助かりました。

 

 

 

 

こうして、私と兄様の麻帆良での生活が始まりました。

いよいよ本格的に原作に介入ですね。楽しみです。

 

 

しかし最初からこれはなかなか疲れますね、明日菜さんの服を弾き飛ばさなかっただけ、マシなのでしょうが。

前途は多難ですが、見ていてください、シンシア姉様。

 

 

アリアは、やってみせます。

 

 




原作キャラクターの表現が難しいと感じる今日この頃です。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。

まだまだ手探り状態の部分が多いですが、なんとか頑張りたいと考えています。

最初はとにかくゆっくりとしたペースで話を進めていこうと考えています。
次は学園長先生が出てきます。

どう演出するか、悩ましいところですがよろしくお願いします。

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