魔法先生ネギま~とある妹の転生物語~   作:竜華零

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メルディアナ魔法学校の設定の中に、オリジナル要素があります。
また、オリジナルキャラクターが多数出ます。
それらの要素がNGな人は、ご注意ください。



魔法学校編「聖なる夜に」

メルディアナ魔法学校。

イギリス・ウェールズに居を構える、旧世界でも名門の魔法学校。

毎年、優秀な卒業生を排出する魔法学校として有名。

 

 

生徒はイギリスを始めとした欧州地域出身者が多く、実家から通う通学生と寮で生活する寄宿生がいる。

カリキュラムは七年制で、魔法理論や基礎魔法の習得をその学習目的としている。

 

 

時は、2001年12月末。

アリア・スプリングフィールド、最終学年(七年生・数えで八歳)時の物語である―――。

 

 

魔法学校編「聖なる夜に」

 

 

Side アリア

 

「スタン爺様のお髭は、いつ見ても立派ですねー・・・」

 

 

などと、かなりどうでも良いことを呟きながら、スタン爺様の石像を綺麗な布で磨きます。

所々、脆い部分があるので、力加減が難しいのですよ。

 

 

「そっち終わった~?」

「もう少しです。スタン爺様のお髭を磨いたら・・・」

「・・・なんでそこだけ重点的に!?」

 

 

バケツを抱えてやって来たのは、幼なじみのアーニャさん。

メルディアナのローブ姿は、もうすっかり見慣れた物です。

 

 

私とアーニャさんは、祖父・・・このメルディアナ魔法学校の校長の許可を頂いた上で、たまにここに来て石像を綺麗にしています。

・・・石にされた、村の人達を。

 

 

「ほーら! もう行くわよ!」

「ああ、待ってくださいアーニャさん。まだ枝毛が」

「石になってんのに枝毛なんかないわよ! だいたいせっかくのクリスマスなのに、こんな辛気臭い所にいてどーすんのよ!」

「クリスマスだから綺麗にしようって言ったの、アーニャさんじゃないですかー・・・」

 

 

200人以上もいるので、かなり時間がかかりましたが。

そのままズルズルと引きずられながら、地上への階段を上がって行きます。

・・・あ、リアルに痛い。普通に歩きましょう。

 

 

「うっさいわね! 黙ってついてきなさいよ!」

「り、理不尽です・・・! 私は断固として抗議しますよ!」

「ふん!(あんたが辛気臭い顔してんのが悪いのよ、まったく・・・)」

「・・・何か言いました?」

「な、何も言うわけ無いでしょ!? バカ!」

「ばっ・・・?」

 

 

この年頃の女の子の扱いは、同性であっても難しいですね・・・。

でも、本当に何なんでしょう?

 

 

 

 

 

Side ネカネ

 

今年も、クリスマスがやってきた。

ほとんどの子供は、親元に戻っているのだけど・・・寄宿舎に残る子もいる。

私の弟妹達(正確には違うけど)も、そんな生徒の一人。

 

 

だからこそ、私が楽しいクリスマスをやってあげなくちゃね♪

ネギやアーニャ、それにアリアへのクリスマスプレゼントも用意したし(私用とサンタ用の二つ)、後は寄宿生が参加する夕食パーティーにつれて行きましょう・・・。

 

 

「・・・あら?」

 

 

考え事をしながら廊下を歩いていると、前の方から、もの凄い勢いで走ってくる赤毛の男の子がいた。

あれはたしか・・・アリアのお友達の子ね。何度か会ったことがあるわ。

いくら休暇でも、廊下は走ってはいけない。危ないもの。

注意しなくちゃ。

 

 

「ロバート君、廊下を走っ―――」

「すみませんネカネさんっ! じゃあ競歩で行きますんで!」

「―――ちゃダメでしょって、そういうことじゃ、ないんだけど・・・」

 

 

赤毛の男の子、ロバート君は、競歩で廊下を進み、角を曲がって見えなくなった。

・・・スピード、変わらなかったわね。

相変わらず、元気な子ねぇ。

 

 

「ネギにも、あれくらい元気なお友達がいるといいんだけど」

 

 

ネギはお勉強はするんだけど、アリアと違ってお友達と遊ばないから、心配だわ・・・。

・・・逆に、アリアの周りにいるお友達は、個性的な子が多くて心配なんだけど。

 

 

 

 

 

Side ロバート

 

一大事だぜ・・・!

どれくらい一大事かと言うと、ネカネさんの言うことを無視して走っちゃうくらい一大事だぜ・・・!

 

 

ここまでの一大事は、俺のこれまでの10年弱の人生で、加えて言うのなら5年弱の兄人生で初めてかもしれねぇぜ。

妹発案、「仲の悪い兄妹を仲良くしようぜ」作戦!

兄貴としては、全力でそのお願いを叶えなくっちゃなぁ!

 

 

「ドロシーの野郎はつかまんねーしよ・・・!」

 

 

ドロシーってのは、俺の妹と同学年の女だ。ちなみに2年生、数えで5歳だ。

俺の妹と同学年のくせして、俺のダチ(ちなみに女だ)に惚れてる変態野郎だ。

まったく、変態の感性ってのは理解出来ねーぜ・・・。

 

 

・・・妹に惚れねーってのは、目が腐ってんじゃねーのか!?

惚れたら殺すがな!

妹は俺のよ・・・っとぉ!

 

 

「見つけた! 助けてくれアリ「『アーニャ・フレイム・ナックル』ううぅぅっ!!」ぐぅおおああぁ!?」

 

 

心の友、アリアを発見したので声をかけようとした瞬間、炎を纏った一撃が俺の顔面にヒットした。

そのまま無様に転がる俺。かなりカッコ悪いぜ。

くっそ・・・やめてくれよ、アーニャ!

 

 

妹が見てねー所では、俺はすごくカッコ悪いんだぞ!?

 

 

 

 

 

Side アリア

 

・・・いきなりロバートが来たと思ったら、アーニャさんが殴り飛ばしました。

相も変わらず、激しい人達ですね。

 

 

「てんめぇ・・・何度言ったらわかんだこの爆裂娘! 喧嘩売ってくんなら妹の前にしろってよ!」

「うっさいわね! あんたがバカみたいなこと言いながら来るのが悪いんでしょ!?」

「何ぃっ!? まさか俺のモノローグ、ダダ漏れだったか!?」

 

 

かなりダダ漏れでしたねぇ。

むしろ、周囲に聞かせているのかと思いましたよ。

 

 

「・・・それで? 今度はどんな面倒事を持って来たんですか、ロバート?」

「面倒事限定かよ!?」

「当たり前でしょ! あんたこれまでのこと、思い出してみなさいよ!」

「・・・・・・とにかく大変なんだよ!」

 

 

考えることを途中で放棄したのか、ロバートはアーニャさんから目を逸らし(「無視すんじゃないわよ!」)、私の方を見ました。

その目は真剣そのもので、おふざけなど欠片もありません。

ただ・・・。

 

 

「頼むアリア! 俺に力を貸してくれ!」

「・・・理由によります」

「どうして目を合わせてくれないんだアリア!? 俺は・・・真剣なんだ!?」

「いえ、その・・・顔が近いのと、テンションについていけないと言うか・・・」

「あ、アリアから離れなさいよこのバカート!」

 

 

バカート、バカロバートの略です。

こういうのも、愛称に入るのでしょうか・・・。

 

 

ロバートとアーニャさんに揉みくちゃにされながら。

私は、ああ、今年のクリスマスも静かに過ごせないのですね・・・などと、考えていました。

その時。

 

 

「お姉さまを困らせてはいけません・・・!」

 

 

ロバートの上に、女の子が「落ちて」きました。

ロバートは「ぷげらっ!?」とかなんとか言いながら、押し潰されてしまいました。

彼の上に落ちてきたのは、背中に翼・・・ではなく、子竜をしがみ付かせた5歳くらいの女の子。

名前を、ドロシー。ドロシー・ボロダフキン。

 

 

「ご、ごぶさたしております、お姉さま・・・!」

 

 

両足でしっかりとロバートさんを踏みしめながら、ドロシーは私を見上げてきます。

左右に二つに括られた茶色の髪。そして同じ色の大きな瞳が、私を見つめています。

私はニコリと微笑むと、ドロシーの頭を撫でてあげます。

 

 

「はぅ・・・」

 

 

すると、ドロシーは顔を真っ赤にして俯いてしまいました。

最初の頃は、怒らせてしまったのかとオロオロしていた物ですが、今ではそれが嫌悪の表現ではないとわかっています。

それに、小さな女の子が照れている姿を見ると、なんというか・・・。

おまけに、彼女のパートナーでもある子竜のルーブルが、ドロシーの頭を撫でる私の手に小さな頭を擦りつけてきます。

 

 

「・・・和みます」

「ち、ちょっと、私にもやらせなさいよ!」

「ダメです。これはお姉さま特権です・・・!」

 

 

正直、なぜお姉さまと慕われるのかはわかりませんが、この特権のためなら多少の事はオーケーです。

アーニャさんと言えど、こればかりは譲れません。

と・・・その時、ドロシーだけでなく、実はアーニャさんにも踏まれていたロバートが、全身に魔力を込めて跳ね起きてきました。

 

 

「俺を敵にするには・・・てめぇらはまだ、未熟ぅ!」

 

 

意味のわからないことを言わないでくださいロバート。

空中に投げだされたドロシーは、一瞬驚きましたが、子竜のルーブルが育ち切っていない翼を必死に広げて、ドロシーをゆっくりと着地させました。

 

 

「・・・お見事」

 

 

私がそう言うと、ルーブルは誇らしげに「クルックー☆」と鳴きました。

 

 

 

 

 

Side アーニャ

 

「貴女達! 何を騒いでいるのですか!」

「げげっ、その声は、シオン!」

 

 

バカートの声に振り向いてみたら、そこには見飽きた顔があった。

腰まで伸びた黒髪に、黒い瞳、そして黒縁の眼鏡。

頭の上からつま先まで、「校則通り」のその女は、シオン。

シオン・フォルリ。

 

 

私達七年生のプリフェクト!

プリフェクトって言うのは、学校監督生のことよ。

細かいことを言うと長くなるけど、上級生の中でも校長に選ばれたお手本みたいな生徒。

生徒に対して軽い罰を与えたりとかもできるから・・・私なんて、何回トイレ掃除させられたか!

 

 

・・・まぁ、私以上にバカートが罰則と減点を受けてるけどね。

 

 

「なんだてめぇ! 俺はまだ、なんも問題起こしてねぇぞ!」

「まだって言うところが、なんとも言えませんね・・・」

「お、お姉さまは悪くないんですー・・・!(クルックー!)」

 

 

私だけじゃなく、皆も口々に言う。

でもドロシー、あんたさらりと私とバカートを見殺しにしたわね。

言葉はわからないけど、ルーブルも同じことを言ってる気がする。

 

 

「・・・ミスター・キルマノック」

「な、なんだよ」

 

 

バカートが、シオンの言葉にたじろいだ。身に覚えがありそうね・・・。

ちなみに、キルマノックって言うのは、バカートのファミリーネームよ。

 

 

「まだ、冬期の提出課題が出ていないわ。このままでは、また留年よ」

「ウソ!? あんたまだ提出してなかったわけ!?」

「バッ・・・ちげーよ! 俺には俺の考えがあんだよ!」

「あら、そうなの?」

「お、おうよ!」

 

 

シオンの冷静な質問に、バカートは自信満々に答える。

・・・あれは、なんにも考えてないわね。

実際、バカートは私達と同学年だけど、二回目の七年生。本当ならもう卒業してる。

 

 

「・・・まさか、とは思いますが」

 

 

静かに、アリアが言った。

 

 

「ロバート、貴方・・・留年を重ねて妹と一緒に卒業しようとかバカなこと、考えてませんよね?」

 

 

全員が、息を飲んだ。

そして、バカートを見る。すると・・・。

 

 

目を、逸らされた。

 

 

「あ、あんた・・・」

「ロバート、貴方・・・本当にバカですね」

「バカです・・・(クルックー・・・)」

「う、うぅるせぇ! お前だって、二番目の監督生のくせに!」

 

 

二番目の監督生。

それは、シオンのあだ名みたいな物ね。

まぁ、悪い方の、だけど・・・。

 

 

ズドンッ!

 

 

・・・いきなり、バカートが床にめり込んだ。

その背後には、黒い手袋を嵌めたアリア。

え、何、殴り潰したの・・・?

 

 

 

 

 

Side アリア

 

「・・・まったく、言葉が過ぎますよロバート」

 

 

黒の革手袋、『ヴォイドスナップ』をしまいながら、そんなことを言います。

ロバートは悪い方ではないのですが、時として暴走してしまうことがあります。

 

 

・・・二番目の監督生と言うのは、シオンさんを揶揄する言葉です。

プリフェクトは本来、成績トップの生徒がなるのが慣例。

私達の学年のトップは、ネギ兄様です。

しかし校長が選んだのは、トップのネギ兄様ではなく、2位のシオンさん。

それを揶揄する心無い人間が広めた言葉です。

 

 

「私の友人が、申し訳ありませんでした。シオンさん」

「いいえ、私の方も、クリスマスに野暮なことを言ったわ」

 

 

表情を変えることなく、指で眼鏡を押し上げるシオンさん。

子供とは思えない冷静さですね。案外、お祖父様が彼女を選んだのはこういう所を見抜いて、なのかもしれませんね。

 

 

「それに・・・二番目、という件については、個人的に反論があるのよ」

「はぁ・・・」

「・・・三番目だもの、私は」

 

 

そのまま、私をじっ・・・と見つめてくるシオンさん。

なんとも言えない緊張感が、場を包み込みます。

・・・え、これ私のせいですか。身に覚えがないのですけど。

 

 

「し、シオン・・・」

 

 

ロバートが、めり込んだまま手をシオンの方に伸ばして・・・。

 

 

「・・・わ、悪、かった・・・ばたり」

 

 

なぜか口で倒れる音を言いましたよ、この人。

ただ、それを見ていたシオンさんは、ふっと表情を緩めました。

場の空気も、弛緩します。

 

 

「・・・まったく」

「アリア?」

 

 

私は左手でドロシーの右手を引き(「はぅ・・・」)、右手でロバートの襟を掴んで引きずっていきます。

 

 

「それで? ロバートは私をどこへ連れて行きたかったんですか?」

「み、ミッチェルの所に・・・」

「ミッチェルですか・・・今頃は、部屋にこもって編み物の時間ですかね」

 

 

ミッチェルは、私やアーニャさんよりもひとつ学年が下の子です。

ただ、私は二年飛び級しているので、立場的には微妙なんですよね・・・。

 

 

「ミス・スプリングフィールド、夕食会は6時からよ! 遅れないように!」

「わかりました。ではその時に」

「・・・あ、ちょっと、待ちなさいよーっ!」

 

 

アーニャさんも連れて、さぁ行きましょうか。

もう一人の友人の所へ。

 

 

 

 

 

Side ネカネ

 

「ネギー、いるー?」

 

 

クリスマスの図書館は、人もいなくて閑散としている。

その奥の席に、いつもネギはいるんだけど・・・。

 

 

あ、いたわ。

長テーブルの一角に、もの凄い数の本を積んで、まるで壁みたいにしてる。

・・・実際、壁にしているのかもしれないけれど。

 

 

入学してから今まで、ネギはずっと同じ場所で、同じように勉強している。

勉強するのは良いのだけど、たまには遊んだりもしてほしい・・・。

アリアやアーニャが誘っても、返事もしないこともあるって聞くし・・・。

 

 

「・・・ネギ?」

 

 

せめて、クリスマスくらいはと思って、夕食会にネギを誘いに・・・あら?

 

 

「・・・あらあら」

 

 

ネギの他に、小さなお客様がそこにいた。

 

 

 

 

 

Side ドロシー

 

「ミッチェル! 頼む、お前だけが頼りなんだ!」

 

 

ロバート先輩が、ミッチェル先輩の部屋の扉をドンドンと叩いています。

ミッチェル先輩は、中から何かぼそぼそと答えているみたい・・・。

 

 

「・・・ああ!? 聞こえねーぞミッチェル! 男なら腹から声出して喋れ!」

 

 

扉に耳を押しつけながら、ロバート先輩が受け答えをしています。

でも、扉が開く気配はありません。

 

 

「・・・出てこないわねぇ、ミッチェル」

「まぁ、繊細な方ですから。ロバートのやり方では半永久的に出てこないのではないですか」

「・・・い、いいん、ですか・・・?」

 

 

アーニャ先輩とお姉さまの会話に、そう尋ねてみる。

お姉さまは優しく微笑みながら、私の頭を撫でてくれました。

はぅ・・・。

 

 

「大丈夫ですよ。究極的には、ミッチェルがロバートに友情を感じているかどうかですから」

「それって、結構絶望的よね」

 

 

アリアお姉さまは、私の憧れの人。

なんでもできるけど、それを周囲には見せない。

親しい人には見せるけど・・・そうでない人には、自分の才能を示そうとしない。

 

 

だから七年生の中でも、成績は真ん中くらい。

でも魔法薬とか、そういう分野ではトップだってことを、私やアーニャ先輩達は知ってる。

私の、魔獣のお医者さんになりたいって夢も、笑わずに聞いてくれた。

 

 

故郷の皆は、魔力量も小さくて、貧乏な私の家じゃ無理だって笑ったけど・・・。

パパとママが必死にお金を集めて、私をメルディアナに通わせてくれた。

それでも魔力量が少ない私は、ここでも笑いものだった。

先生からも、魔法使いとしての才能は無いって言われちゃったし・・・。

 

 

そんな時お姉さまは、私の手を取って言ってくれた。

 

 

『気にすることはありません。ああいう連中は、誰かを苛めたりバカにしたりしないと生きていけないのです。私達がその苛められる役になってあげることで、彼らは生きていけるのです・・・ほら、なんだか自分がとっても優しい人間なんだなぁって思えてきませんか?』

 

 

・・・素敵なお姉さま。

メルディアナの森の中で怪我をして動けなくなっていたルーブルを助けてくれて、私と一緒にいられるよう許可を取ってくれたのもお姉さま。

 

 

だから私は、お姉さまの側にいるのです。

 

 

「ミッチェル! お前・・・親友だろ!? 出て来てくれよ!」

「出てこないわねぇ。バカートに友情とか感じてないんじゃない?」

「バッ・・・お前、んなわけねーだろ!?」

「はいはい、そこをどきなさいロバート。・・・ミッチェル? すみませんけど出てきていただけませんか?」

「(ガチャリ)・・・なに?」

「アリアが呼ぶと、いつも一発で出てくるわよねー・・・って、バカート?」

「・・・」

 

 

私達と一緒にいても、時々寂しそうな顔をするお姉さまの側に。

いつか、お姉さまがその寂しさから、解き放たれるように。

幼い私では、きっと無理だから・・・。

 

 

 

 

 

Side ドネット

 

「もう良いわよシオン。後は私がやっておくわ」

「しかし・・・」

 

 

紫のドレスに着替えたシオンは、気遣わしげに周囲を見回す。

出席者は、寄宿生の生徒全員で14名。

でも、まだ数名来ていない・・・アリアのグループね。

 

 

あの子達はいつも一緒にいるから、来るとしたら同時ね。

アリアがいて時間に遅れるとは思わないから・・・もうすぐ来るわ。

今の時間は、6時5分前。

 

 

「良いわ。もうすぐ来るわよ。貴女は中の子達をお願い」

「・・・わかりました」

 

 

今まで受付を手伝ってくれていたシオンが、こちらを何度も見ながら中に入って行く。

ふふ・・・良い子ね、あの子も。

 

 

今夜はクリスマス。

様々な事情で親元に帰れない子供達に、せめてもの楽しみをと、毎年学園長が夕食パーティーを開く。

もちろん、それぞれにプレゼントを用意してあるわ。

皆、良い子だから・・・楽しいクリスマスを過ごしてほしい。

 

 

特に、アリアは・・・あの賢く、聡く、そしてある意味で兄以上に危うい所のあるアリアは、つい気にしてしまう。

大人のように振る舞ったかと思えば、子供以上の頑固さや怯えを見せることもある、あの子は・・・。

 

 

「だぁーっ! くっそ、やっぱ遅くなったじゃねーか!」

「あんたのせいでしょ!? なんだってギリギリまで着替えで粘ってたのよ!?」

「け、けんかはダメです・・・(クルックー!)」

「・・・あ、アリアさん、綺麗です・・・」

「ありがとうミッチェル。貴方も素敵ですよ」

 

 

ああ、来たわね。

やっぱり、一緒に来た。

あのグループの中にいる時のアリアは、年相応のように見えて、少し安心する。

 

 

白のタキシードに着替えたロバート・キルマノック。

紅のドレスに身を包んだアンナ・ユーリエウナ・ココロウァ。

黒のドレスを着こみ、背中に子竜をしがみ付かせたドロシー・ボロダフキン。

黒のスーツのミッチェル・アルトゥーナ。

そして、フリルのたくさん付いた白のドレスのアリア。

 

 

随分、賑やかね。

私は笑いを堪えるように口元に手をやりながら、アリア達に声をかけた。

 

 

「貴方達! 早く中に入りなさい!」

 

 

 

 

 

Side アリア

 

ドネットさんの所で受付を済ませ、中へ。

夕食会の会場は、いつもの大食堂をクリスマス仕様にしただけでした。

そうは言っても、かなりの広さがありますし、中央には大きなクリスマスツリー。

空中には魔法で浮いた蝋燭。壁にも、擬似的な星空を映し出す魔法がかけられています。

 

 

「・・・まぁ、それでも毎年同じような装飾なので、いい加減飽きますけどね」

「わ、私は・・・二回目なので・・・」

 

 

手を繋いだままのドロシーは、可愛らしくそんなことを言いました。

妹がいたら、こんな感じなのでしょうか。

 

 

周囲を見れば・・・一角に、シオンさんの姿がありました。

目礼すると、返してくれました。

そのまま、シオンさんも友人との会話に戻ります。

 

 

反対方向に目を転じて見れば、何人かの女性が集まって、こちらを見ていました。

何かを話しているようですが・・・見た感じ、あまり良い内容ではないようですね。

まぁ、放っておくに限ります。

 

 

「あ、アリアさん・・・」

 

 

金髪を短く刈り込んだ男性が、少し顔を赤くしながら、私に飲み物が入ったグラスを渡してくれました。

それも、先ほどの女性達の視界から私を遮るような位置取りで。

 

 

「ありがとう、ミッチェル。気を遣わなくても良いのに・・・」

「ぼ、僕が好きでやってることですから・・・」

 

 

彼の名前は、ミッチェル・アルトゥーナ。

年齢に似合わない大きな身体をしているのですが、人見知りという性格から、あまり表に出てきません。

どうしてか私が声をかけた時だけ、出て来てくれるんですよね。

・・・なんででしょう?

 

 

その時、ざわっ・・・と、場がざわつきました。

入口の方に、その視線が集まっているようですね。

はて・・・と、振り向いてみれば。

 

 

「・・・ネギ兄様」

 

 

そこには正装に身を包んだネギ兄様が、ネカネ姉様と・・・もう一人、ドロシーと同じ年頃の女の子に手を引かれていました。

驚いた。来ないかと思いました。

朝にアーニャさんと誘いに行った時は、返事がなかったのですが・・・。

 

 

「お兄ちゃん!」

「ヘレン!」

 

 

赤に近い茶色の髪をしたその女の子は、トテトテと兄・・・ロバートの所へ駆け寄って行きました。

ロバートはそれはそれはだらしない表情で、妹、ヘレンさんを抱き締めました。

そのまま、抱っこに移行。いつ見ても、兄妹にしても行き過ぎているような・・・。

 

 

「ネギ! 何よ、来たの!?」

「あ、アーニャ」

「うふふ・・・あの小さなお客様が、ネギを引っ張ってきたのよ」

「ヘレンさんが・・・」

 

 

ネカネ姉様が言うには、ヘレンさんがずっとネギ兄様の側について、ここに来るように言い続けていたそうです。

どうして、そんなことを・・・?

 

 

「お兄ちゃんに、あの人を連れて来てってお願いされたの」

「ろ、ロバートさんが、そんなことをするなんて・・・珍しいね」

「何を言ってるんだミッチェル・・・俺は、ただ友人のために何かしたかっただけさ」

 

 

ロバートのキャラが違います。

妹の前に出ると、なぜかいきなりキャラが変わるんですよね。

なんというか、そうでない時の彼を知っている身としては・・・気持ち悪いです。

 

 

「・・・ロバート先輩は、いつもヘレンちゃんの前では良いお兄さんでいたいみたいで・・・」

「ええ、ドロシー。でも、なんだか納得がいかないのです・・・」

 

 

普段はあんなのなのに・・・。

ヘレンさんを連れたロバートが、私を見ました。

 

 

「ほら、アリア・・・たまにはお兄さんと一緒に過ごすと良い」

「・・・ごめんなさいロバート。そのキャラ、なんとかしてください・・・」

「うん? 何を言っているんだアリア。俺はいつもこんな感じだろ?」

「お兄ちゃんはいつも、ヘレンに優しいよ?」

 

 

・・・く。やはり卒業までにヘレンさんにロバートの真の姿を見せなくては。

それはそれとして、ネギ兄様と一緒に過ごす、というのは悪くありません。

あの村の事件以来、図書館以外で活動している兄様を見たことがなかったので。

 

 

「・・・というか、私とネギ兄様を一緒に過ごさせるために、さっきから私を?」

「ああ、迷惑をかけてすまなかった。だが、せっかくのクリスマス・・・兄妹で仲良く過ごせないなんて、不幸以外の何物でもない」

「・・・ありがとうございます」

 

 

キャラと発言はともかく、好意は受け取っておきましょう。

去年までは、兄様はこういう集まりに参加しませんでしたから。

 

 

 

 

 

Side ネギ

 

ネカネお姉ちゃんに連れられて来たけど・・・。

なんだか、食堂がいつもと違った。

 

 

どうしてか、皆集まってるみたいだし・・・。

アーニャに、他にも。

何の集まりなんだろう? 礼拝は終わったよね?

 

 

早く戻って、勉強しないと。

立派な魔法使いになるために。

お父さんみたいに、なるために。

 

 

それ以外のことに、時間は使えないよ。

もうすぐ卒業だし、いよいよ本格的な魔法使いの修行が始まるんだし。

 

 

アーニャとかは、いつも何人かの人に囲まれて、何かしてるみたいだけど・・・。

そんなことして、何か意味があるのかな?

たまに誘われるけど、あんまり興味ないし・・・。

 

 

ふと、前を見ると、白い髪の子が・・・。

僕の妹が、僕の前にいた。

 

 

 

 

 

Side アリア

 

「・・・ネギ兄様」

 

 

ネカネ姉様やアーニャさん達が見守る中、私はネギ兄様に歩み寄ります。

ネギ兄様は動くことなく、私を見ています。

まぁ、ここ数年、まともに話したこともありませんし・・・。

 

 

「・・・ネギ兄様、よければ―――」

 

 

差し出した手。

ネギ兄様はそれを見て、歩き出して・・・。

 

 

「―――私達と一緒、に・・・」

 

 

そのまま、私の横をすり抜けて行きました。

あ・・・。

 

 

「え・・・ネギ!」

「ちょっ、ちょっと待ちなさいよ! ネギ!!」

 

 

ネカネ姉様とアーニャさんの声。

振り向いてみれば、ネギ兄様は何事もなかったかのように歩き去る所で。

 

 

「・・・ちょっと待てよ。お前」

 

 

ネギの肩に手を置き、その歩みを止める者がいました。

ミッチェル。

全身から怒気を滲ませて、彼は。

めったに長文を話さない彼が。

 

 

「無視は・・・ダメだろ。家族に無視されるのがどれだけ怖いことか、わかってるのか?」

「・・・誰ですか?」

「・・・っ!」

 

 

実の所、ミッチェルと兄様は面識があります。

授業で何度か・・・言葉も交わしたこともある。

それに対して、「誰ですか」と言うのは・・・。

 

 

「ネギ! あんたねぇ――」

「あ、アーニャ。ご飯ってどこで食べれるの?」

「いい加減に・・・って、は?」

「早く食べて・・・図書館に戻りたいんだ。アーニャが来なくなってから、書庫にも入りにくいし・・・」

「はぁ!?」

 

 

以前、禁呪書庫に入る手引きをしていたアーニャさん。

ただ、それを知った私がお願いして、行かせないようにしていたのですが・・・。

こ、こんな公衆の面前でそんなこと。

 

 

「あ、あの・・・!」

 

 

次に声を上げたのは、ドロシーでした。

ルーブルが彼女の背中から、兄様を威嚇するように声を立てています。

 

 

「ど、どうしてそんなに、勉強するんですか? 成績だって一番なのに・・・」

「・・・それ以外に、何かすることがあるの?」

 

 

本当に不思議そうに、ネギ兄様が言いました。

ああ・・・結局は、兄様にとってここは、そう言う所なのですね。

魔法使いの勉強をするだけの所で・・・それ以上でもそれ以下でもないのですね。

それ以外の全ては、いらないと言うのですね。

 

 

あの日から、変わることなく。

 

 

唖然とするミッチェルの手を払いのけて、ネギ兄様は食事の乗ったテーブルに向いました。

クリスマスのお祝いに来たのではなく、本当に、ただ食事に来ただけ。

 

 

「待てよ・・・」

 

 

声を上げたのは。

 

 

「待てよ、てめぇ!」

 

 

ロバートでした。

怒りに満ちた顔でネギ兄様を追いかけ、拳を・・・。

いけない!

 

 

「ロバート!」

 

 

後ろから抱き締めるように、ロバートを止めます。

魔法具『速(スピード)』で一瞬だけ加速し、追いつきました。

 

 

「がっ・・・離せアリア! あのガキが殴れねェ!!」

「殴らなくて良いんですよ!」

「いいや殴る! ぜってぇに殴る! 死んでも殴るぞ俺は!!」

「いいんですってば・・・!」

 

 

壁際にいる先生達が、こちらの騒ぎに気付きました。

不味いです。これ以上の減点はロバートにとって致命的っ・・・!

さっきシオンさんが具体的な減点措置をとらなかったのが、無駄になります。

 

 

それに気付いたのか、慌てて、アーニャさんとミッチェルもロバートを止めてくれます。

ネカネ姉様が、先生達の方へ行って、止めてくれるようです。

 

 

「あいつ今・・・どうでも良いって言ったんだぞ! 妹と飯食うぐらいのことが、なんでできねぇ!!」

「貴女が妹を愛しているのはわかってますからっ・・・!」

「そういうことじゃねぇんだ! いいか、兄貴ってのはなぁ、妹が誇れる兄貴でなきゃいけねぇんだ!! 妹の見本であろうとしなきゃいけねぇんだよ!! そのためには・・・単位だっていらねぇんだ!!」

 

 

ロバートは、一度留年しています。

理由は、卒業試験に行かなかったから。

なぜ行かなかったのか、いえ、行けなかったのか・・・。

 

 

妹のヘレンさんが、40度の熱を出して倒れたから。

だから、側を離れることができなかった。

泣きながら私に頼みこんできたあの光景を、私は今でも覚えています。

バカだと笑うのはとても簡単。だけど。

 

 

「前々からあいつは気に入らなかったんだ! 魔法が使えりゃなんでも良いみたいな顔しやがってよ! もっと・・・もっと、大事にしなきゃいけないもんが、あるはずだろ!?」

「ロバート!」

「あのガキ、あのガキはなぁ・・・!」

「ロバート、お願い・・・!」

 

 

ぎゅう、と力を込めて、ロバートを抱きしめます。

お願い、ロバート。

私は貴方とも一緒に、卒業したいんです。

 

 

「お願いだから・・・やめてください」

「けどよ・・・!」

「お願い」

「・・・っ」

 

 

次第に、ロバートの身体から力が抜けて行きました。

一方でネギ兄様は、そのまま食事を始めてしまったようです。

何人かの生徒に囲まれているようですが、碌な返事をしていません。

最も・・・周囲の人間も、まともな返事を必要としているわけではないでしょうが。

 

 

「・・・離せよ」

 

 

ぽつり、としたその呟きに、ロバートから離れます。

彼は、ゆっくりと乱れた着衣を整えると、こちらを振り向いて。

ニカッ、と笑い。

 

 

「飯にしようぜ!」

 

 

そう言って、不安そうな顔をしていたヘレンさんを再び抱っこしました。

・・・だから、それはやめましょうよ。

 

 

「よーし、ヘレン。なにが食べたい?」

「ケーキ」

「よーしよし。んなら俺があらゆるケーキを持ってきてやるからな!」

 

 

そのまま、ケーキが置かれたテーブルの方へ。

切り替え早いなぁ・・・。

 

 

「アリア・・・」

「アリア、さん・・・」

 

 

アーニャさん達が、心配そうに声をかけてくれます。

むむむ、これはいけませんね。クリスマスなのに。

私は、そんなアーニャさん達に。

 

 

「お腹が空きましたね・・・ご飯にしましょうか」

 

 

そう言って、微笑みました。

 

 

「メリークリスマス、ですよ」

 

 

 

 

 

Side ヘレン

 

「めりーくりすます!」

 

 

ヘレンがそう言うと、皆笑顔になってくれます。

美味しいご飯を食べさせてくれます。

 

 

「めりーくりすます!」

 

 

だから、ヘレンは「めりーくりすます」を言い続けます。

怖い顔をしてたお兄ちゃんも、笑ってくれました。

悲しい顔をしてたアリアお姉ちゃんも、笑ってくれました。

アーニャお姉ちゃんも、ミッチェルお兄ちゃんも、ドロシーちゃんも、ルーブルちゃんも。

 

 

皆、笑顔になってくれます。

だから、ヘレンは言い続けます

 

 

「めりーくりすます!」

 

 

いつか、皆が笑顔になれるように。

ヘレンは、魔法は下手だし、子供っぽいって男の子に苛められるダメな子だけど・・・。

でも、言い続けます。

 

 

「めりーくりすます!」

 

 

いつか、皆が一緒にケーキを食べられるように。

めりーくりすます!

 

 

 

 

 

Side メルディアナ校長

 

校長と言う職務は、激しく、そして重い。

内部の問題に頭を抱えることもあれば、外部の圧力に晒される事もある。

個人で背負うには、あまりにも厳しい職業じゃ。

 

 

クリスマスを祝う時間もないほどにな。

寄宿生たちは、夕食会を楽しんでくれたじゃろうか。

ドネットからの報告が楽しみじゃ。

 

 

しかし、そんなわしでも、校長としてではなく、一人の祖父として行動する時がある。

それは・・・。

 

 

「完璧じゃな・・・」

 

 

姿見に映る自分に酔いしれながら、わしは荷物の白い袋を担いだ。

そのまま、寄宿舎にまで転移する。

ふふ・・・この学校内で転移権限を持つのは、わしを除けばほんの数人。

結界も、わしに対してだけは効果が無い。

 

 

「ふふふ・・・待っておれよ、可愛い孫娘達・・・!」

 

 

毎年のこの瞬間のために、長生きしていると言っても過言ではないからの。

特に、今年は最終学年じゃから、残り少ない貴重な・・・。

 

 

「何者だ!」

 

 

むぅ、見つかったか!

 

 

「・・・校長?」

「なんじゃ・・・ドネットか」

 

 

見回りの最中じゃったのじゃろう。

ドネットはわしのことを上から下まで見つめた後、溜息をつきおった。

む、なんじゃその態度は。

 

 

「校長・・・今年もですか」

「うむ、祖父として当然の事じゃ」

 

 

わしの今の格好を説明すると・・・。

端的に言えば、クリスマスにプレゼントを配り歩く北欧のお爺さんじゃ。

毎年毎年、孫娘達の枕もとにプレゼントを置くのを生き甲斐にしておる。

孫のおらんドネットには、わからんじゃろうがの。

 

 

「・・・就寝時間なんで、気を付けてくださいね」

「任せておけ。見つかるわけにはいかんからな」

「意味が違う気が・・・・・・あ、ならコレをアリアの枕もとに」

「なんじゃ、お主もか・・・」

「校長ほどじゃありませんよ・・・」

 

 

形から入るタイプなのじゃよ、わしは。

まぁ、ドネットの分も置いておくとするか、プレゼントの量が多ければアリアも喜ぶじゃろう。

さて、今度こそ・・・。

 

 

・・・む、他に誰か・・・。

 

 

「うふふ、ネギの所には置いてきたし、後はアリアとアーニャの枕もとにプレゼントを置けば、お姉ちゃんの役目は今年も完了ね♪」

 

 

・・・どうやら、アリアの枕もとには3つのプレゼントを置く必要があるようじゃな。

 




アリア:
前々からお話してみたかった、魔法学校の話です。
この頃はまだ未熟で・・・お恥ずかしいです。
ネギ先生のことも、まだ兄様と呼んでいましたね。
そしてある意味で、一番すれ違っていた時代かもしれません・・・。


アリア:
さて、次話は・・・。
少し本編を動かしてみましょうか。
学園祭編の、最初の最初を。
ここから、また多くのキャラクターが動き出します。
一番動くのは・・・生徒でしょうか。
助けになりたい生徒が、何人かいますので・・・。
では、またお会いしましょう。

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