魔法先生ネギま~とある妹の転生物語~   作:竜華零

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ドぎついアンチ色が出るお話です。
苦手な方は、繰り返しになりますが注意してください。
不快感・嫌悪感を感じてしまう場合があります。
それをご了承頂いた上で、どうぞ。


第50話「破局」

Side 茶々丸

 

時刻は夕方6時。

私はマスターの命令に従い、そして何よりも私自身の意思に基づいて、アリア先生を見守っております。

待ち合わせ場所は、世界樹広場。相手はネギ先生。

 

 

油断はできません。

今は魔法具『無気力な幻灯機』によって強力な認識阻害を行い、ステルス状態に入っていますが・・・。

 

 

その時、一匹の黒猫が足下に擦り寄ってきました。

たまに餌をあげている猫の一匹です。

 

 

『さよって言うお姉さんから伝言だよ。不思議なお姉さん』

 

 

その猫が、言葉を話しました。

とはいえ、猫が人間の言葉を話しているわけではありません。私がこの子の言葉を理解できるのです。

この猫は、ただの猫です。

 

 

『私のアーティファクトで確認した所、部外者はいません・・・だって』

「わかりました。ありがとう」

 

 

さよさんからの伝言を伝えてくれた猫にお礼を言うと、その猫はどこかへと走り去って行きました。

今、私は『ひそひその苺』という食べ物を食している状態です。

この苺は、食べると動物や植物と会話することが出来るようになります。効果は二時間。

 

 

・・・どうやら、さよさんの張った人払いの結界は上手く機能しているようですね。

あとは、待ち合わせ場所にネギ先生が来るのを待つのみ。

 

 

従者の方々を連れてくるかどうかの判断がつかないのが、懸念事項です。

ネギ先生の呪縛が解けている以上、無条件に来ないと決めつけることはできません。

無論、魔法先生の介入なども警戒する必要がありますが・・・。

 

 

「・・・来ました」

 

 

魔法発動体の杖を持ったネギ先生が、姿を現しました。

真剣な表情で、アリア先生の待つ広場へ。

 

 

 

 

 

Side さよ

 

「私のアーティファクトで確認した所、部外者の姿はありません」

『そうですか、それは重畳』

 

 

仮契約カードを通じた念話で、アリア先生にアーティファクトで確認したことを伝える。

今の所、周囲20m圏内には、私達しかいません。

 

 

『では、さよさん達はそのまま待機しておいてください。合図があり次第、個々の判断で行動を』

「わかりました」

 

 

念話を打ち切り、周囲の確認をする。

うん。結界は正常。

ネギ先生が到着次第、アリア先生が内側に自分でもう一枚結界を張るらしいから、これで普通の人は入ってこれないはず。

 

 

今、私は世界樹広場を見下ろせる場所にいる。

世界樹の枝の上だ。

木のぼりは得意じゃないから、『羽衣』でゆっくりと上がって来た。

もちろん、誰にも見つからないように。

 

 

上る前に、猫さんに茶々丸さんへの伝言を頼んだんだけど、届いたかな?

猫さんが戻ってこない内に、『ひそひその苺』の効果が切れちゃって・・・。

 

 

「・・・あ、来た。ネギ先生」

 

 

アーティファクトにネギ先生が表示されました。

他には、誰もいないみたい。

誰も連れてこなかったのか、来れなかったのか・・・。

 

 

そこはちょっと、判断がつかない。

まぁ、それはいいんだけど・・・。

 

 

「なんで、杖を・・・?」

 

 

眼下のネギ先生は、魔法発動体で、良く持ち歩いている杖を持っています。

アリア先生がネギ先生に声をかけようとした、その瞬間。

 

 

「『魔法の射手(サギタ・マギカ)連弾(セリエス)光の九矢(ルーキス)』!」

 

 

ネギ先生が、いきなり魔法でアリア先生を攻撃しました!

ちょっ・・・えええええええええええっ!?

 

 

何を考えているんですか、あの人!?

 

 

 

 

 

Side ネギ

 

「ネギせ」

「『魔法の射手(サギタ・マギカ)連弾(セリエス)光の九矢(ルーキス)』!」

 

 

到着していきなり、僕はアリアに魔法の矢を撃った。

正直、少しやりすぎかなと思ったけど、でも、確かめるにはこれしかないと思った。

もし、本当にアリアが魔法を使えるのなら・・・。

 

 

放たれた魔法の矢は、まっすぐにアリアへと向かって行った。

それほど魔力は込めてないけど、当たれば痛い。

 

 

アリアは、少し驚いた顔でそれを見て・・・。

すぐに、つまらなそうな顔になって、軽く左手を振った。

次の瞬間、「当たる!」って思った魔法の矢は、アリアに当たる直前に消えてしまった。

 

 

「・・・『全てを喰らい』」

「え・・・」

 

 

何? どうして魔法が消えたの? これがアリアの魔法?

そう言えば、前にもどこかで同じような光景があったような・・・。

 

 

「・・・『そして放つ』」

 

 

瞬間、凄い勢いでアリアが駆け出して―――気がついた時には、僕の背後に。

え。

 

 

「魔法具、『(パワー)』」

「カ・・・『戦いの歌(カントゥス・ベラークス)』!」

 

 

とっさにアルさん・・・マスターに教わった白兵戦用の魔力供給魔法を使って、アリアの攻撃を受け止める。

ゴッ・・・と、十字にクロスした両腕の中心に、アリアの右拳。

重い。防御の上からでも、骨が軋んだ。

吹き飛ばされて、ざざっ・・・と、地面を滑る。

 

 

「ま・・・待って、アリア!」

 

 

そのまま、僕の方に追撃に来ようとしたアリアは、僕の言葉に一瞬だけ止まってくれた。

前にも見た黒い本を取り出して、僕を睨んでる。

 

 

「た、戦いに来たわけじゃないんだ!」

「・・・はぁ?」

 

 

アリアが、不快そうに顔を歪めた。

でも、僕はアリアが魔法を使えるのかを確かめたかっただけで、戦いたかったわけじゃ・・・。

 

 

 

 

 

Side アリア

 

驚天動地とは、このことですか。

いきなり攻撃魔法を撃ってきておいて、「戦いに来たわけじゃない」? 「話し合おう?」?

何の冗談ですか、それは。

 

 

「その、アリアは・・・魔法を使えるの? あの魔法具は、アリアが作ったって、本当なの?」

「答える必要がありません」

 

 

カカッ・・・と、片足を踏み鳴らし、結界を張ります。

『千の魔法』№73、『封絶』。

周囲の時間軸からこの空間を断絶させ、私が認めた者以外の出入りと行動を禁止します。

 

 

結界が張られたことを感じたのか、ネギ先生がキョロキョロと周囲を見回します。

 

 

「・・・アリアは、精霊の助けを借りないで、どうして魔法が使えるの? ううん、そもそも、アリアの周りに精霊がいないのは、どうして・・・」

「人を実験動物みたいに見ないでください。不愉快です」

「そ、そんなつもりじゃ・・・」

「見ていたでしょう? ジロジロと・・・私個人ではなく、私の力についてまず興味を向けたではないですか」

 

 

私の周囲に魔法を司る精霊がいないのは、『殲滅眼(イーノ・ドゥーエ)』のせいです。

ですが、それを貴方に教えてあげる必要はない。ネギ先生。

 

 

「ネギ先生こそ、なぜ別荘での誓いを破って私に接触しているのですか?」

「それはだって・・・気になって」

「気になる?」

「アリアは、魔法が使えなったのに、どうして急に使えるようになったのかとか・・・あの魔法具は、どうやって作っているの、とか・・・」

 

 

私が魔法を使えるのが、そんなに不快ですか。

それに、魔法具については・・・魔法学校時代から、気付こうと思えば気付けたはずなのですが。

私に、人並の興味を向けていれば。

 

 

「まぁ、貴方の意思には興味がありません。誰に枷を外してもらったんですか?」

「え・・・」

「貴方にかけられた呪いは、ネギ先生。貴方程度の力でどうこうできるような物ではありません。いったい、誰が貴方の枷を外したのです?」

「えっと・・・内緒にしてほしいって、言われてて・・・」

 

 

ふむ、内緒ですか。

もしかしたら、喋れなくする呪いをかけられている可能性もありますが・・・。

私にかかれば、関係ありません。

貴方の脳髄を弄って、直接情報を引き出せば良いのですから。

 

 

「それで、アリア。どうして魔法を」

「教える義理はありません。そもそも、何の見返りもなく、どうして私の情報を教えなくてはならないのですか」

 

 

聞けば答えてくれる。

誰も彼もが、貴方にそうしてくれるわけではないのです。

 

 

「貴方には何も話すことがありません。話す気もありません」

「ど、どうして」

「理由を教える気もありません・・・と、言ったら、どうしますか?」

「え・・・」

「話し合いの通じない相手が目の前にいます。でも、どうしても聞きたいことがある場合、どうしますか?」

「・・・それでも、頑張って聞く」

「なるほど。どう頑張るのかはわかりませんが・・・」

 

 

ちなみに、私ならこうしますよ。

懐から、『闘(ファイト)』ともう一枚、ニューカード『気(オーラ)』を取り出します。

魔力と気、2つの戦闘技能を可能とするこの2枚。

組み合わせることによって、高等技能「咸卦法」の使用を可能とします。

専門の修行が必要な技法ですが、『複写眼(アルファ・スティグマ)』で制御できる私には、難しいことではありません。

 

 

ぐぁっ・・・と、合一された気と魔力が、周囲に発散されます。

反射的に、ネギ先生も杖をこちらに向けてきました。

 

 

「ああ、こうしましょうか。この場で私を倒すことができれば、なんでも教えてあげますよ」

「え・・・」

「その代わり、私が勝ったら・・・」

 

 

一呼吸おいて、告げます。

 

 

「教師を辞めてください」

 

 

この学校、いえ3-Aから排除します。

それくらいしないと、他の生徒を守れないでしょうし、何より。

 

 

エヴァさんに限らず、私も貴方に会いたくない。

公私、問わず。

 

 

「そ、そんなの・・・無理だよ! だって修行が!」

「あら、自信がないんですか? 大丈夫、兄より優れた妹など存在しないと、どこかの誰かが言い残しています」

「自信とか、そんな問題じゃ」

「大丈夫ですよ。魔法具がなければ何もできない私ですから・・・・・・まぁ、現在進行形で使っていますが」

 

 

それに・・・と、言葉を続けます。

それに、どうせ・・・。

 

 

「修行と言っても・・・すでに破綻しているような物ではありませんか。ネギ先生は自らそれを放棄しているんですから」

「そ、そんなことはないよ! 僕は一生懸命に修行してる!」

「魔法使いの修行と、卒業課題の修行は同一の物ではありません。混同しないでください」

 

 

きぃんっ・・・と、『複写眼(アルファ・スティグマ)』でネギ先生の身体強化魔法『戦いの歌(カントゥス・ベラークス)』の構成を視ます。

非常に綺麗な魔法構成です。

師が良いのかネギ先生の才能か・・・どちらにせよ、完璧な魔力供給。

 

 

「その魔法を会得するのに何日練習しました? 三日ですか、一週間ですか? なるほど、結構なことです。努力家ですね、一生懸命でしたね。さて、翻って、その間どれだけの教師の仕事をこなしたと言うのですか?」

「それは」

「貴方に課せられた修行は、[麻帆良で教師をすること]です。魔法使いとしての修行はそれとは別・・・少なくとも、教師の仕事以上に優先して良い物ではありません」

「僕だって、ちゃんと」

「ちゃんと? ちゃんと、何だって言うのですか? 何をしたと言うのですか? 上から仕事を回してもらえない貴方が」

 

 

最近は、ネギ先生の机の上に積まれる仕事も減っています。

でも、それはネギ先生の書類処理の速度が上がったわけではありません。

単に、「使えない」と判断されただけです。

 

 

「貴方はすでに、教師として失格です。ネギ先生」

「そ、そんなこと・・・アリアに言われる筋合い無いじゃないか」

「・・・・・・ああ、そうですか」

 

 

それならもう、私から貴方に言えることは、何も無いです。

どうせ、届かないのですから。

 

 

「ならどうします? 尻尾を巻いて逃げますか? そして優しくしてくれる従者の方に慰められて、泣いて縋りついて生きれば良い」

 

 

そのまま、自分の殻に閉じこもっていれば良い。

私は、先に進む。

 

 

「・・・僕が勝てば、全部教えてくれるんだね?」

 

 

私の言葉にムッとしたのか、少し怒ったような表情でネギ先生が言いました。

 

 

「ええ、全部。何もかも、隅から隅まで教えてあげますよ。私のことを」

「わかった」

 

 

わかった。

ネギ先生は、そう言いました。わかった、と。

それだけ聞ければ、後はどうでも良い。

 

 

こちらに杖を向けてくるネギ先生に対し、私も悠然と構えます。

右手の指に、『黒叡の指輪』を発現。

 

 

「『闇よ・・・」

「ラス・テル・マ・スキル・・・」

 

 

ほぼ同時に、魔力を発します。

そして・・・同時に、動く!

 

 

「・・・有れ』!」

「マギステル!」

 

 

 

 

 

Side 明日菜

 

「・・・そこ、どいて欲しいだけど」

「ん~・・・」

 

 

超さんは、可愛らしく首を傾げた後、ニッコリと笑いながら。

 

 

「まだ、だめネ♪」

 

 

・・・って、言った。

私は今、3-Aの教室で超さんと一緒にいる。

というより、超さんに閉じ込められてる。

 

 

別に縛られたりとかはしていないんだけど・・・ドアに鍵をかけられて、超さんと2人きり。

まさか、力尽くで蹴破るわけにはいかないし、超さんのおかげでネギが元気になったみたいだし。

 

 

「あんた・・・どういうつもり? ネギのことを助けたり・・・」

「ネギ坊主は、私にとっても特別な人だからネ」

 

 

相変わらずの笑顔で、超さんは言う。

特別・・・特別って、どういうこと?

 

 

「なら、どうして邪魔するのよ! 私はネギの所に行かなきゃいけないのよ!」

 

 

ネギが一人でアリア先生に会いに行くって言った時、私は「またか」って思った。

またあの子、自分一人で解決しようとして! って。

あいつ一人でアリア先生に会ったって、どうにもなんないじゃない。

なのに・・・。

 

 

「また、置いて行かれてしまったネ。明日菜サン」

「う・・・うるさいわね! だったら邪魔しないでよ!」

「ん~・・・でも、明日菜サンが行っても、何もできないと思うヨ」

 

 

そ、そんなコトないわよ!

私だって、あいつのために何かできることが・・・。

 

 

「無いネ」

 

 

妙にはっきりと、超さんが言った。

 

 

「今のうちに警告しておくヨ、明日菜サン」

「け、警告?」

「ネギ坊主には、深入りしない方が良いネ。適度な所で距離を置くことをお勧めするヨ」

「・・・意味、わかんないわよ」

 

 

超さんの言うことは、正直わからなかった。

でもね、超さん。これだけは言える。

ここであいつを見捨てたら、私はきっと後悔する。

 

 

「それ以上の後悔をすることになっても・・・カ?」

「ちょ、さっきから・・・心でも読んでんの?」

「それは秘密ネ。それに明日菜サン、わかっているのかネ? あの坊主について行くことの意味が・・・」

「意味とか・・・そういうんじゃ、ないのよ」

「情でも移ったカ? その程度で・・・」

「情とか、そういうのでもないの!」

 

 

アリア先生にも、似たようなことを言われたこともあった気がするけど。

私は、今、この瞬間の気持ちで行動したいのよ!

そうでないと、私が、私でなくなる気がする。

 

 

「・・・私が私で、ネ」

「だから、心を読むのをやめなさいよ!」

「そうは言っても、読心のスキルは基本ヨ? ニュアンスしかわからないけどネ」

 

 

なはは、と笑う超さん。

そのまま、何かを考える仕草をして・・・次いで、頭を左右に振った。

まるで、何かを諦めたみたいな感じだった。

 

 

「そうカ・・・なら、行って良いネ♪」

「へ?」

 

 

超さんがヒラヒラと手を振ると、カチリ、と教室の扉が開く音がした。

行って良いって・・・え?

 

 

「行かないのカ?」

「い、行くわよ! 決まってんでしょ!?」

 

 

超さんも気になるけど・・・今は、ネギの所に!

私はそのまま、教室を飛び出した。

 

 

超さんは、最後まで笑顔だった。

 

 

 

 

 

Side 聡美

 

神楽坂さんが出て行った後、光学迷彩を切って、教室へ入る。

 

 

「良かったんですか、行かせて」

「構わないネ。経過時間からして、ちょうど良い時間になるはずヨ」

 

 

そう言いながら、超さんは笑った。

でもその顔は、どこか悲しそうだった。

 

 

「それよりハカセ、計画の進捗具合はどうネ」

「全て順調です。学園祭当日には、万全の状態になるかと」

「そうカ・・・」

 

 

そのまま、何かを考え込み始めた。

その顔は、一緒に研究をしている時にも、何度か見たことがある。

 

 

頭の中で、何かの計画を考えている顔。

一人っきりで、何かを考えている顔。

超さんが何を考えているのかは、わからない。

私程度の力では、超さんの負担を減らしてあげることもできない・・・。

 

 

その時、教室の窓から、神楽坂さんが走り去る姿が見えた。

 

 

「・・・救いようの無い、お姫様だヨ」

 

 

ポツリ、と漏らされた超さんの言葉は、聞こえなかったことにした。

 

 

 

 

 

Side ネギ

 

「ぐぷ・・・っ」

 

 

喉から、今まで聞いたことも無い音が聞こえた。

何かが、せり上が・・・。

 

 

「がは・・・っ!?」

 

 

ゴポッ、ビチャァッ!

両手を地面に付いた体勢のまま、固まった。

目の前に、これまでに見たこともないような量の、赤い液体を見たから・・・。

 

 

「・・・そろそろ、限界だと思いますけどね」

 

 

顔を上げれば、そこには傷一つ付いていない、アリアが立っていた。

傷一つ、無い。

 

 

「内臓を傷つけたと思いますので、本格的な治療をすぐに受けないと、取り返しのつかないことになりますよ?」

 

 

静かに、そう言う。その両目が、赤く輝いていた。

ぐ・・・八極拳・金剛八式!

 

 

軋む身体を無理やり動かして、古老師に習った型を使う。

手加減しようとか、そんなことは考えなかった。

そんな余裕は・・・無い!

 

 

「『翻身伏虎』!」

 

 

上段から、手刀を落とす!

アリアはそれを軽く見た後、左手でそれを軽く受け流した。

よし、ここから連携を―――。

 

 

ドシャァッ!

 

 

・・・え?

気がついたら、また地面に叩き付けられていた。

まただ。気付かない内に僕の技が外されて、しかもアリアの攻撃は終わってる。

 

 

「魔法具『時(タイム)』から・・・『闘(ファイト)』の武技、『猛虎硬爬山』」

 

 

やっぱり、体術ではかなわない。

でも、魔法は、どうしてか魔法がアリアには通じない。

アリアに当たる直前に、いつもかき消えてしまう。

 

 

魔法の射手(サギタ・マギカ)』も、拳に乗せても、矢として撃っても、意味が無かった。

最初にアリアが使ってた影の犬は、矢を数本撃てば消せたけど・・・。

 

 

「・・・『千の魔法』№28、『崩』」

 

 

その時、アリアの左手から小さな炎の弾が撃ち出された。

それも、一発じゃない・・・何十発も!

 

 

「くっ・・・くぅあああああああぁっ!!」

 

 

『戦いの歌』も、少し前に切れてしまった。

後はもう、がむしゃらに魔力を込めて耐えるしかできなかった。

 

 

「・・・『千の魔法』№69、『バイキルト』」

 

 

炎の弾丸が消えた直後には、アリアは僕の背後にいた。

だからどうして、アリアはいつも僕に気付かれずに、死角に・・・!?

 

 

ぐんっ・・・と、アリアの身体を覆っている力が、増えた。

単純に見て、倍になったと言って良いと思う。

僕にも、あれほどの力は出せない。

そしてアリアは、それを左手に集中させると、一気に。

 

 

「・・・『北斗剛掌波』」

 

 

僕の腰に、押し付けた。

た、耐圧・・・!

 

 

「遅い」

 

 

ポツリ、とアリアが呟いた瞬間、渦みたいな魔力と気の奔流に、僕の身体は、回転しながら吹き飛んだ。

 

 

 

 

 

Side アリア

 

流石は世紀末覇者の得意技。

一撃でネギ先生をゴミ屑のように吹き飛ばしました。

『気(オーラ)』の加護もあり、技の威力が段違いに上がっています。

 

 

十数メートルほど吹き飛ばされたネギ先生は、悶絶しながら、血を吐き続けています。

・・・殴った時の感触からすると、かなりヤバい一撃だったと思います。

それでも杖を手放さなかったのは、褒めてあげても良いですけど。

 

 

「・・・そろそろ、本気で治療を受けた方が良いと思いますけどね」

 

 

倒れたネギ先生にゆっくりと近付きながら、そんなことを呟きます。

意地を張って命を落としても、つまらないと思いますけど。

 

 

「さて、私の勝ちということで、良いですよね?」

 

 

もしそうなら、いろいろとお聞きしなければいけないのですけど。

 

 

「ぐ、げふっ・・・ま、まだ・・・かっ」

 

 

ネギ先生は、苦痛に顔を歪めながらも、片手を伸ばし・・・。

私の右足を、掴みました。

・・・誰の。

 

 

「誰の許可を得て、私の足に触っているのですか?」

 

 

掴まれていない方の足を上げて、頭を踏みつけます。

何度も。

何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。

 

 

10度目かそこらで、ようやく離してくれました。

よろしい。物分かりの良い子は、嫌いではありませんよ?

 

 

ネギ先生は、醜く腫れあがった顔で、私のことを見上げています。

なんとも反抗的で・・・同時に、理解できない物を見るかのような、怯えを含んだ目。

そう言う目は、正直、見飽きましたよ。

 

 

「いい加減、私も飽きてきましたし・・・家族をこれ以上、待たせるわけにもいきませんので」

 

 

もう、この人を殴り続けて30分近くになりますか?

茶々丸さんやさよさんが、待ちくたびれていることでしょう。

あまり時間をかけると、エヴァさんの機嫌も悪くなるでしょう。

 

 

ごきんっ・・・と、右手を鳴らして、ネギ先生の頭に手を伸ばします。

喋らなくても良いです。直接脳に聞きますか・・・。

 

 

「・・・か、ぞく?」

 

 

不意に、ネギ先生がかすれた声で呟きました。

あら、まだ喋れたんですか、鬱陶しい。

 

 

「ええ・・・私の家族です。時に厳しく、時に優しく。私を支え、時として導いてくれる人達です。まぁ、これからの貴方には関係の無い話で・・・」

「え、エヴァンジェリンさん達の・・・こと?」

「まぁ。肯定しておきましょうか。さてネギ先生、いえ、もう先生では無くなるのでしたね・・・」

「・・・・・・悪い」

 

 

は?

 

 

「・・・きもち、わるい・・・よ。それ」

 

 

口から血を流しながら、ネギ先生は呟きました。

気持ち悪い?

 

 

「血も繋がってるわけじゃない・・・知り合ったばかりの、そんな人達が、家族? 気持ち悪いこと、言わないでよ・・・アリア」

「は・・・?」

「頭、おかしいんじゃないの? はっきり言って・・・歪んでるよ」

 

 

歪んでる?

私が?

 

 

「父さんを探そうともしないで・・・家族なんていらない、みたいなこと言っといて・・・それで、赤の他人を捕まえて、家族。笑っちゃうよ・・・あはは・・・って、ぐふっ、げほっ」

 

 

咳き込むネギ先生。でも、そんなことはどうでも良い。

今。

今、こいつは、何と言った?

 

 

「そんな、家族・・・いくら必死に家族だって、言ったって・・・ごふっ」

 

 

今、こいつは何と言った?

 

 

「げほっ・・・そんなの、ただ、気持ち悪いだけじゃないか」

 

 

ニセモノだよ、と、ネギ先生が続けた、瞬間。

私の中から、全ての感情が消えた。

 

 

 

 

 

Side エヴァンジェリン

 

「・・・遅いですね、アリア先生達」

「そうだな・・・」

 

 

7時前に、刹那がそんなことを言った。

確かに、少し遅い。ぼーやごときにアリアがそこまで時間をかけるとも思えんし・・・。

 

 

木乃香とバカ鬼は、千草達を連れて、先に別荘に入っている。

今頃は、あの陰陽師に会っている頃だろう。

先日、千草達にも別荘の使用許可を与えた。

その際には、月詠と刹那が化学反応を起こして面白かったな・・・。

 

 

千草は術師としては半端な腕前だが、きちんと対価を払うからな。

さて、次は何をさせるか・・・って、今はそれは考えなくて良い。

 

 

アリアだ、アリア・・・っと。

 

 

『マスター!』

「うぉっ・・・コラ、茶々丸。いきなり念話を繋げるな、驚くだろうが」

『申し訳ありません! ですが・・・』

 

 

うん・・・?

茶々丸にしては珍しく、慌てているようだな。何かあったか・・・?

 

 

『アリア先生を止めてください!』

「・・・・・・要領を得ていないぞ」

『アリア先生が・・・!』

 

 

アリアが、いったい、どうしたと言うんだ?

茶々丸は、何をそんなに慌てて・・・。

 

 

「・・・なんだと?」

 

 

 

 

 

Side アリア

 

ネギ先生の身体を放り投げ、睨み据える。

 

 

「投影開始(トレース・オン)」

 

 

紅のブレスレット『剣を使いし紅き弓兵』に、『殲滅眼(イーノ・ドゥーエ)』を併用した魔力充填を行使。

召喚する刀剣は、『千刀・鍛』・・・一斉射出。

千刀流・我流奥義・・・。

 

 

「『千刀乱舞』」

 

 

千本の刀が、同時にネギ先生を切り刻みます。

ネギ先生は、魔力で最低限防御しているようですが、全身に裂傷が走ります。

 

 

ぽたっ・・・と、私の頬に降りかかってきたのは、彼の血。

軽く舌で舐めとれば、私の魔眼がそこから魔力を取り込みます。

同時に、千刀を全て破棄、使用されていた魔力を私に戻す効果を使用。

 

 

「『千の魔法』№15、『氷窟蔦(ヴァン・レイル)』」

 

 

地面に叩きつけられる直前、地面から伸びた氷の蔦が、ネギ先生を絡め取ります。

冷気に当てられたその身体が、ピキピキと音を立てて、少しずつ凍りついて行きます。

魔法具『跳(ジャンプ)』、彼の目前に飛び、左手で頭を掴みます。

 

 

「『千の魔法』№64、『夢魔』」

「う・・・ああああああああアアァああああああうぅあああああああああああ!!??」

 

 

『夢魔』の効果で、ネギ先生に「6年前のあの日」を繰り返し見せました。

それも、彼ご自慢のお父様が「助けに来なかったIfの夢」を。

何度も何度も・・・村が焼かれ、身体が石になって砕けていく夢を、見せ続けます。

 

 

意識が落ちる直前、全ての魔法を解いて―――ネギ先生の身体を、地面に向けて投げつけます。

『力(パワー)』と『バイキルト』が併用されているその一撃は、容易くネギ先生の身体を地面にめり込ませました。

まだ、まだですよ。まだこんな物で終わらせるつもりはありません・・・。

 

 

「・・・・・・が悪い」

 

 

怨嗟のように、嬲り続けているネギ先生に、言います。

 

 

「何が悪い・・・!」

 

 

血の繋がりがなければ、家族にはなれないのですか!?

その人の下に生まれたら、一生それに縛られなくてはならないのですか!?

 

 

血の繋がりの無い者を、家族と呼んで何が悪い。

いったい、何が悪い!

何もしてくれない、見てもくれない血の繋がった家族よりも、よっぽど良いでしょう!?

 

 

「望んで何が悪い!」

 

 

親を、指導者を、友を、支え合う者を。

庇護する者を、自分を頼り、信じてくれる人を。

望んで何が悪い!

 

 

「欲して何が悪い!」

 

 

私は、独りきりだ。独りきりだった!

誰も私の苦しみを理解してはくれない。

私の悲しみを聞いてもくれない。見てさえくれない。

そんな世界から逃げて・・・受け入れてくれる人を欲して、何が悪い!

そのために尽くして、何が悪い!

 

 

「願い求めて、何が悪い!!」

 

 

答えなさい、ネギ・スプリングフィールド!

村の人達、そして貴方の従者、生徒!

それらを省みることもしない、救おうともしない、そんな貴方が!

自分のことしか関心のないお前が!

 

 

いったい、何の権利があって、私を評した!

 

 

「答えろおおおおおぉぉぉっ!!!」

 

 

 

 

 

Side さよ

 

「アリア先生っ! アリア先生っ!」

 

 

カードを通じた念話を試みても、通じない。

通じてはいるんだろうけど、止まってくれません。

結界の中に入ろうにも、あんな状況の中に飛び込めない。

 

 

それほどに、アリア先生は「キレて」いました。

ここまで怒ったアリア先生は、初めて見ます。

ネギ先生が、何か言ったみたいだけど・・・何を言ったら、ああなるの?

 

 

今この瞬間にも、アリア先生は多数の魔法具と『千の魔法』を併用した空間戦闘をやめません。

あれが・・・いつか言っていた、アリア先生の本来の戦闘スタイル・・・。

 

 

全方位からの魔法具による攻撃と、『千の魔法』による多重攻撃。

それに、魔眼の力を組み合わせて相手の攻撃手段を封じた上での、超近接攻撃。

遠距離でも近距離でも、アリア先生に触れることすらできない。

相手はただ、蹂躙され、殺戮されていくだけ・・・。

 

 

ネギ先生は、魔力運用でかろうじて防御しているけど、それももう保たない。

というより、命が保たない。

このままだと・・・。

 

 

「あれは・・・」

 

 

ネギ先生を空中に再び蹴り上げたアリア先生が、す・・・っと、ネギ先生を指さしました。

次の瞬間、七色の宝石を一つずつ嵌め込まれた白い石板みたいな物が、アリア先生の周りに出現した。

その七枚の石板が、まるで羽のようにアリア先生の背中に集った。

そこから、強大な魔力が集中していく。

 

 

あれは、『アイン・ソフ・オウル』!

あんなの撃ったら・・・!

 

 

「アリア先せ」

 

 

アリア先生は、撃った。

 

 

 

 

 

Side ネギ

 

意識が、今にも途切れそうだった。

というか、途切れないのが不思議なくらいだった。

瞬間的に途切れても、痛みで覚醒する。

 

 

「『全てを貫く、私の光』」

 

 

真下から、アリアがあり得ない密度の魔力で、砲撃してきた。

真っ白なその光が、僕を包み込んで・・・。

 

 

「『風楯(デフレクシオ)』・・・!」

 

 

物理防御、魔法障壁・・・杖を前に掲げて、残りの魔力の全てを込めて防御した。

アリアの撃った砲撃は狙いが外れていたのか、直撃は避けれたけど・・・全ての防御が、打ち砕かれた。

かろうじて、防ぎ。

 

 

「防がせてあげたんですよ」

 

 

砲撃の直後、アリアが黄昏色の剣を振り上げて、目の前にいた。

その刀身からは、激しい黒炎が。

 

 

「『千の魔法』№60、『奈落の(インケンディウム)業火(ゲヘナエ)』。繋いで・・・是、『地獄の焔姫』」

 

 

 

深紅に輝く、アリアの両眼。

その視線からは、ビリビリとした、何かを感じる。

これは、これはきっと・・・。

 

 

殺気だ。

アリアは、僕を・・・殺すつもりで戦ってる!

思わず杖を、父さんに貰った杖を、前面に掲げる。

でも、魔力が足りない!

防げな。

 

 

ギッ・・・イイイィィィンッッ!!!!

 

 

アリアの剣と、僕の杖が、正面からぶつかった。

それは、一瞬だけ拮抗して――――――。

 

 

バキッ・・・ィッ!

 

 

嫌な音を立てて、僕の、父さんの杖が。

あ・・・。

 

 

「あ、あああああああああああああああああああああああああっ!!??」

「うるさい」

 

 

僕の杖を半ばから折った勢いのまま、アリアの剣が。

僕の左肩に、突き立てられて、僕が地面に。

 

 

「ネギ――――――――――――っ!!」

「・・・アリアっ!」

 

 

聞き覚えのある、二つの声を耳にしながら。

僕の意識は、消えた。

 

 

 

 

 

Side エヴァンジェリン

 

「・・・落ち着け、バカ者」

「あ、う・・・エヴァ、さん?」

 

 

けしかけておいて、「落ち着け」と言うのもおかしいが・・・。

 

 

アリアとぼーやが地面に降り立った瞬間、アリアを止めに入った。

さよや茶々丸はこの空間には入れないが、マスター権限を持つ私だけは、影を使った転移でアリアの側まで行くことができた。

時間軸が異なるこの空間に入るには、かなり苦労したが。

 

 

というより、無理矢理道をこじ開けた、と言った方が正しいだろうか。

とにかく、炎熱系の魔法を付与されたアリアの『“姫”レプリカ』を、最大出力の『断罪の剣』・・・それも、魔法具『魔血玉(デモンズ・ブラッド)』で魔力容量を底上げした上で、受け止めた。

 

 

真祖の吸血鬼である私が、魔力を底上げしなければ受け止められない程の一撃。

この威力、確実にぼーやの息の根を止めに来ていたな。

別に殺したら殺したで良いが・・・。

 

 

「ネギっ、ネギぃ!」

 

 

どういうわけか、神楽坂明日菜がこの空間内に入れている。

魔法無効化能力か? それにしては、汎用性が高過ぎるような気もするが・・・。

 

 

ばきんっ・・・と、音を立てて、アリアの作った空間が壊れた。

見れば、アリアの右眼が輝きを失っている。自分で解いたか・・・。

 

 

「アリ・・・」

「どういうつもりよ!?」

 

 

アリアに声をかけようとした所で、神楽坂明日菜がキャンキャンと・・・鬱陶しい。

私はこれから、アリアのケアをしてやらねばならんと言うのに・・・もちろん、叱りもするが。

 

 

「どうしてこんな・・・こんな、ネギが死にそうになってんのよ!?」

「真剣勝負の結果だろ・・・いちいち喚くな、バカレッド」

「な、何が真剣勝負よ!? アリア先生には傷一つ無いじゃない! それに、ここまでするくぁっ!?」

「少し黙れ・・・私も、状況の確認に追われているんだ」

 

 

人形遣いのスキルに用いる糸で、神楽坂明日菜の首を絞めあげる。

正直、邪魔だ。

それに、どうも学園の魔法使いに勘付かれたのか、いくつか反応がこちらに近付いて来ている・・・。

 

 

「それに運が良かったじゃないか、神楽坂明日菜。そのぼーやと一緒に来ていたら、同じような目にあっていたかもしれないぞ?」

 

 

そう言ってやると、神楽坂明日菜は私を睨んできた。

涙すら浮かべて睨んだ所で、現実は動かんぞ。無慈悲なまでにな。

その現実の一端が、今のぼーやの姿だ。

 

 

ぼーやを見れば、無残な物だった。

ぱっと見ただけでも、全身の至る所に骨折、裂傷などがある。

何よりも、最後の攻撃で左肩が深く斬られている。あれは骨まで達しているだろうな。

余剰分の炎で、神経が焼き切れているかもしれん・・・というより、あと少し止めるのが遅ければ、心臓か、そうでなくとも重要な血管が損傷していたかもしれんな。

随分と血を流したのか、顔色も悪い、というより、危険な色だ。

 

 

何よりも・・・と、ぼーやが未だに握り締めている杖を見る。

ナギにもらったとか言う、ぼーやにとっては、まさに命よりも大事な杖だ。

それが今や、真っ二つに砕けてしまっている。

何よりも、ぼーやには堪えただろう。

 

 

「随分と、痛めつけたようだな。アリア」

「あ・・・」

 

 

そんな顔で見るな。別に、怒っているわけじゃない。

やらせたのは、私だからな。

第一、魔法使い同士の勝負の結果、大怪我をしたからと言って、責める方がおかしい。

それより・・・。

 

 

「・・・すっきりしたか?」

 

 

そこだけが、気にかかるな。

こいつは、溜め込むタイプだからな・・・。

 

 

「まだ殴り足りないなら、殴ってもいいぞ?」

「んぐっ・・・んん――――っ!」

 

 

息を詰まらせながら、神楽坂明日菜が何かを訴えていた。

首を絞めてもうるさいとなると、もうどうすれば良いんだ?

 

 

 

 

 

Side アリア

 

すっきりしたか? と、エヴァさんに問われて。

正直、まだモヤモヤした物は残っていますけど・・・。

 

 

でも、どこか、「ああ・・・」という気持ちには、なっていました。

ああ、私は、こうしたかったのか・・・と。

言葉でも無く、ただ、ぶつけたい物があったんだな、と。

そう、思いました。

 

 

「くむっ・・・」

 

 

その時、どしゃり、と、明日菜さんが倒れ伏しました。

どうやら、エヴァさんが彼女の意識を刈り取ったようでした。

 

 

「それで・・・ぼーやに手を貸したのは、誰だったんだ?」

「あ・・・すみません。これから調べます」

 

 

ごきん、と、右手を鳴らします。

脳髄から、直接情報を引き出します。

それと・・・『ケットシーの瞳』から、『忘却の書(ビブロス・テイス・レーテ)』を取り出します。

ネギ先生の頭に、右手を置きます。

 

 

・・・ごめんなさい、シンシア姉様。

アリアは今日、家族・・・家族「だった」人を、切り捨てます。

さようなら、ネギ先生・・・いえ、ネギ。

 

 

明日から貴方は、赤の他人だ。

 

 

「・・・発動」

 

 

忘却の書(ビブロス・テイス・レーテ)』を、発動しました。

 




アリア:
アリアです。
なんだか、途中の記憶が無いです。
気がついたら、ネギが死にかけていました。
そして、彼の記憶を・・・。

今回使用した魔法具は、以下の通りです。

無気力な幻灯機:こんな小説作ってごめんなさい様の提供。元ネタは「ネウロ」。
剣を使いし紅き弓兵:景鷹様から提供、元ネタは「Fate」。
アイン・ソフ・オウル:Flugel様より。元ネタは「ナイトウィザード」。
千刀・鍛:元ネタは「刀語」。イスレ様の提供です。
ひそひその苺:アプロディーテ様提供。
魔血玉:水色様・司書様より提供。元ネタ「スレイヤーズ」。
気:ギャラリー様より提供。
ありがとうございます。

使用した「千の魔法」。
氷窟蔦:伸様より提供。「スレイヤーズ」より。
崩:司書様、グラムサイト2様から提供。「烈火の炎」より。
夢魔:司書様より。元ネタは「暁の天使たち」です。
バイキルト:元ネタは「ドラクエ」。提供者は司書様です。
封絶:元ネタは「灼眼のシャナ」、ゾハル様より提供。
ありがとうございます。

なお、作中登場の「猛虎硬爬山」の元ネタは「Fate Extra」。
ギャラリー様の提供です。
ありがとうございます。


アリア:
次話では我が3-Aの出し物も、決まると良いのですが。
・・・今気付いたのですが、ネギ先生が先生をやめたら、「魔法先生ネギま」のタイトル、変わるんじゃないでしょうか?
では、またお会いしましょう。

皆様、良いお年を。

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