魔法先生ネギま~とある妹の転生物語~   作:竜華零

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第55話「麻帆良祭一日目・事情」

Side 千雨

 

私は何より、平穏無事な生活を望んでいる。

それはもう、常識的に、かつ平和的に生きていくことを望んでいるわけだ。

非常識なんて、もっての他。

 

 

だからこそ、常識の無いクラスの連中とも距離を取ってたわけだし・・・。

まぁ、たまに愚痴ったりしたし、趣味が高じてネット界の女王になってしまったりしたが。

それにしたって、一般人の領域を飛び越えたことは一度だって無いと断言できる!

 

 

『まいますた~』

 

 

自慢じゃねぇが、PCの扱いには自信がある。

私のPC、MacG4(OS9.2)は特に自慢だ。

だが、バグやらウイルスが入り込む可能性は、ゼロじゃない。

・・・そうか、これはバグか!

 

 

『まいますた~』

「うるせぇぞ、このバグが!」

『ひっど~い。バグなんかじゃないです!』

「じゃあ・・・いやいや落ち着け、バグと会話してどうする・・・」

 

 

そう、落ち着け私。私は冷静な女、ビークールだ・・・。

落ち着いて考えれば、こんなことはあり得ないと気付くはずだ。

こんな・・・。

 

 

『まいますた~?』

 

 

緑色の髪をツインテールにした女の子のCGグラフィックなんて、入れた覚えがねぇ。

そもそも、今私が見てるのは、私のHPだ。

そこにイメージキャラを配置した覚えもねぇし・・・。

じゃあ、なんだ?

 

 

「なんだ、こりゃ・・・」

『お答えしますっ、まいますたー!』

 

 

画面の中の女が、びしっ、と敬礼した瞬間、画面が切り替わった。

黒い画面の中に、8本のスポットライト。

その一つ一つに、さっきの女を含めた8人のキャラクター。

 

 

『我々は、創造主「Aria」によって作られし、歌って踊れる人造電子精霊衆「チーム・ぼかろ」!』

 

 

かっつん、きゃるんっ♪

と、ポーズをとって。

 

 

『ミクです☆』『『リン&レン』』『ルカよ』『ゆきっ』『ミキ』『いろは』『リリィ!』

 

 

と、自己紹介してきやがった。

 

 

『創造主のPCが破損し、避難した際に巡り会った運命のまいますたー! それが!』

 

 

じゃ・じゃん☆

ぱぱっ、と、私のPCの隠しフォルダの中身・・・ぶっちゃけ、私のコスプレ写真が流れる。

 

 

『貴女ですっ、まいますたー! さぁ、何なりとご命「ぶちんっ」

 

 

電源を切った。

すると当然、画面はブラックアウトして・・・画像も音も聞こえなくなった。

少し待っても、復活の気配はねぇ。

 

 

今、私が座ってる場所からは、出ようかどうしようか、迷っているコスプレイベントの会場が見える。

あるが・・・。

どう考えても、出てる場合じゃねぇよな・・・。

 

 

このバグ、なんとかしねぇと。

私の精神安定のために。

くっそ・・・創造主だか「Aria」だか知らねーが、見つけたらタダじゃおかねぇ・・・。

 

 

 

 

 

Side 夕映

 

「ちょ、ネギ! 本当にこの大会に出るの!?」

「はい! 父さんが優勝した大会ですから!」

 

 

明日菜さんの言葉に、ネギ先生が笑顔で答えています。

私は、のどかと共に、2人の後ろについて歩いているのですが。

 

 

「な、なんだか、凄そうな人達が一杯いるね、ゆえ」

「そうですね・・・」

 

 

少し見ただけでも、人間離れした巨体の男の人とか、女の人みたいな顔をした金髪の男性とか、どこの格闘ゲームのキャラですかと問いたくなるような方とか・・・。

・・・麻帆良の縮図みたいな状況ですね。

 

 

「でも、どうして明日菜さんも格闘大会に?」

「あ、明日菜さんは賞金が欲しいらしいです、せんせー・・・」

「なんてったって、一千万ですぜ兄貴!」

「へー、そうなんですか?」

「うっさいわね、私にも色々あんのよ! 生活とか・・・」

 

 

明日菜さんは、新聞配達のバイト等で学費を稼いでいるとか。

偉いと思うです。私は、そういうことを心配したことが無いですから・・・。

 

 

はぁ・・・賑やかに話しているネギ先生達を見ながら、密やかに溜息を吐きます。

超さんからは、この大会の後は、好きにするようにと言われているです。

次に事を起こすのは、3日目の午後・・・。

 

 

「それじゃ、僕と明日菜さんはエントリーしてきますね」

「また後でね、本屋ちゃん、夕映ちゃん」

「あ、はい~」

「わかったです」

 

 

ネギ先生と明日菜さんは、大会の受付へ。

自然、私とのどかが残りました。

 

 

「・・・のどか、ネギ先生とのデートはどうでしたか?」

「でっ・・・!」

 

 

なんとなく話題に困ったので、午後のデートについて聞いてみたです。

午後は、私は哲学研の勉強会に出ていたので、いなかったです。

明日菜さんも美術部で・・・ネギ先生とのどかは、一緒に過ごしたはずです。

 

 

「えっと・・・たくさんお話して、まきちゃんの新体操とか、見に行ったよ」

「そうですか・・・」

 

 

その後、ネギ先生が戻るまで、のどかの話を聞いて過ごすことにしたです。

・・・世界樹の呪いで先生がキス魔になる件は、正直どうかと思ったですが。

のどかが、楽しく過ごせたのなら・・・。

 

 

私は、それで良いです。

 

 

 

 

 

Side 小太郎

 

「おお・・・賞金に釣られて、強そうなんが集まってきとるな!」

「そうどすかぁ? 筋張ってて斬りがいの無さそうな方ばっかですけど・・・」

「月詠のねーちゃん、これ元々斬れへん大会やで?」

「死にます」

「なんでや!?」

 

 

月詠のねーちゃんと待ち合わせして、予選会に来た。

なんや、ゴツそーな兄ちゃん達がゾロゾロおる。

くぅ・・・燃えてきたでぇ!

 

 

「木刀はええらしいで?」

「うち、木刀でも普通に斬れてまうんやけど・・・」

「いや、あかんて。人斬りなんかしたら、千草ねーちゃんに怒られてまう」

 

 

なんでかわからんけど、千草ねーちゃんには怒られたぁないんや。

月詠のねーちゃんも、なんやかんやで千草ねーちゃんの言うことは聞くしな。

 

 

「あー、小太郎君、みっけ!」

「うぉあ!? 夏美ねーちゃん!」

 

 

月詠のねーちゃんと話しとったら、夏美ねーちゃんが出てきた。

来てくれたんはええけど、今日はただの予選やで?

 

 

「ど、どうしてここに? 本選は明日やて、言うたやん」

「あー、せっかく応援に来たのに。部の準備も抜けてきて・・・って?」

「お初に、神め・・・・・・やなくて、月詠ですー」

「あ、どうも、初めまして・・・?」

 

 

夏美ねーちゃんと、月詠のねーちゃんが、なんやわからんけど見つめ合うた。

と思ったら、夏美ねーちゃんが急に俺の方を向いた。

笑顔で。

な、なんやね・・・?

 

 

「・・・お友達?」

「いや、月詠のねーちゃんは、友達と言うか・・・」

「ねーちゃん・・・お姉さん?」

「いや、それも違くて・・・」

 

 

・・・な、なんやこれ。

え、俺・・・追い詰められとる?

殴られもしとらんのに?

いや、そもそも、なんで夏美ねーちゃんに追い詰められなあかんのや、俺。

 

 

「じゃ、何?」

「何と、聞かれても・・・な、何て言ったらええんやろか」

 

 

月詠ねーちゃんが、俺にとって何かって言われても。

・・・何やろ?

 

 

なんでかずっと笑顔な夏美ねーちゃんの言葉を考えとったら、月詠のねーちゃんが袖を引っ張ってきた。

な、なんやね、月詠のねーちゃんまで。

月詠のねーちゃんは、夏美ねーちゃんを指差すと。

 

 

「恋人さんどすか?」

「ぴ・・・っ////」

「ち、ちゃうちゃうちゃう! なんでそないなるんや!?」

「そ、そうだよ! 小太郎君まだ子供だし!?」

「はぁ!? 俺はガキと違うわっ!」

「子供じゃんっ! 小太郎君何歳よ?」

「ああ? あ~・・・じ、10歳、かな」

「子供じゃん!」

「お二人さん、仲ええどすなぁ~♪」

 

 

その後、会場が開くまで夏美ねーちゃんと俺が子供かどうか、言い合った。

・・・なんでか、月詠のねーちゃんは一人、ニコニコしとったけど。

 

 

 

 

 

Side 超

 

恨まれても構わない。

憎まれても構わない。

だけど、退くことだけはできない。

だけど、止まることだけはできない。

 

 

誰にどう思われようと構わない。

己と、己の大切な誰かの幸福のために、悪を行うこと。

それだけが、私が師姉から学んだ、たった一つの真実だからネ。

 

 

「・・・ネギ坊主達は、来たかネ」

「はい、龍宮さんも会場に入りました」

「そうカ・・・」

 

 

複数の格闘大会を買収して、20年ぶりにこの武道会を復活させた。

正直、クルト・ゲーデル元老院議員を含め、要人達が集まっている状況での開催は難しかったがネ。

だが・・・まだ、この麻帆良の警備権限は魔法先生達にあるネ。

なら、いくらでも情報統制は可能ヨ。

問題は・・・。

 

 

「・・・ハカセ、茶々丸の情報プロテクトは?」

「完璧です」

「そうカ、すまないナ・・・」

 

 

いえ、と微笑んでくれるハカセに、私も笑みを返す。

我ながら、力の無い笑みだったと思うネ。

ハカセにとって、娘にも等しい茶々丸に情報制限を与えるのは、苦しい選択だったろうニ・・・。

だがこれで、茶々丸からアリア先生達に私の情報が漏れることは無いネ。

 

 

漏れたとしても、それは偽物。

アリア先生の魔眼も、今は私に届かない。

 

 

ネギ坊主には、父親。

アリア先生には、シンシア。

2人にとって、これ以上のキーワードは無いはずネ。

 

 

・・・囲碁と言うゲームがある。

白と黒の石で陣地取りをするゲームなのだガ、良い手もあれば悪い手もある。

その意味で、私が2人に打ち込んだ手は、明らかに・・・。

 

 

「超りん! 時間だよ!」

「・・・わかったネ」

 

 

廊下から顔を覗かせた朝倉に、そう返すネ。

朝倉は、私が起こす事件の顛末と情報を与える条件で、味方に引き入れたネ。

人格面はともかく、生徒へ情報を広げる面で、彼女の力は有益ヨ。

ネットだけでは、足りないからネ。

 

 

さて・・・。

会場に出て、私は仮面を被るネ。

不敵で、自信に満ちた、笑顔と言う名の仮面を。

 

 

「良く来たネ諸君! 私がこの大会の主催者・・・」

 

 

会場にいる面々に、いや世界に向けて、私は名乗りを上げる。

 

 

「超鈴音ネ!」

 

 

 

 

 

Side 真名

 

武道会の予選は、20人一組のバトルロワイヤル形式。

まぁ、つまりは最後まで立っていた人間が本戦に進めると言うわけだ。

 

 

私は古と同じグループ。

正直、古が全員倒していってくれるから、楽で良い。

こんな所で500円玉を浪費するのも気が引けるしな。

・・・もっとも、必要経費は全て超持ちなので、私の懐は痛くも何とも無いわけだが。

 

 

『おおっと、強い! 中武研部長、古菲選手! 貧相な身体にゴリラ並のパゥワァ!』

「・・・朝倉、後で酷いアルよ」

「はは・・・口調が本気だな古」

 

 

まぁ、別に朝倉の顔面がヘコもうがどうしようが、私は困らないからな。

そうこう言っているうちに、古が剣道部の部長とやらを沈めていた。

木刀を持っていたし、多少は気も使えるようだったが・・・古の敵では無いな。

 

 

「ふ・・・狙い撃つまでも無い」

「そう言う台詞は、自分で倒してから言うべきだと思うアル」

 

 

まぁ、そう言うな。

あらかた片付いたようだし、これは本当に立っているだけで良いな。

 

 

「・・・・・・ふぅ」

 

 

・・・珍しいな、古が溜息など。

この程度で疲れたわけでもあるまいし・・・悩みでもあるのか?

それはそれで、珍しいが。

 

 

「・・・真名」

「なんだ、古」

「心とは、何アルかね・・・」

 

 

・・・これはまた、哲学的なことを聞いてきたな。

古の質問としては、本当に珍しい部類の話だ。

 

 

「真名は、何かをする時に考え込んだり、迷ったりとかは、しないアルか・・・?」

「もちろん、するさ」

 

 

かちり・・・手が自然に、胸元のペンダントに触れる。

 

 

「怖いと、思ったことは?」

「あるよ。戦場で状況が把握できない時、これはどんな戦士にとっても恐怖だ。本当の危機とは敵と遭遇することではなく、恐怖に囚われた状況こそが最大の危機・・・心も、同じことだ」

 

 

一人になる時。一人にされた時。

あの人は今も私の側にいると、言い聞かせている時間。

 

 

「・・・そういう時、真名はどうするアルか?」

「理解できないものに遭遇しても、それをそのまま受け入れることにしている。焦らずに観察して・・・自分のポジションを確保する」

 

 

まぁ、お前の参考にはならないだろうがな。

古、お前の悩みはお前だけの物で・・・結局の所、私には何もしてやれない。

ちなみに、怖くはないが嫌いなのは、敵以上に味方に損害を出す味方だ。あと浪費家。

 

 

すると、古は私を見つめてきた。

 

 

「・・・なんだ」

「真名は、優しいアルな」

「バカなことを言っていないで、さっさと残りを片付けて来い」

「・・・人使いが荒いアルねぇ」

 

 

当然。

私は、使える物は何でも使う女だからな。

 

 

 

 

 

Side 小太郎

 

『な、なんだぁ!? 麻帆中さんぽ部、長瀬選手が・・・ぶ、分身したぁ――――っ!?』

「そうはっきり分身と言われると、困るのでござるが」

『こ、これが、ほんわかのんびり、さんぽ部のラストアークなのか――――っ!?』

「まったくもって、関係無いでござるな」

 

 

分身したその女・・・楓ねーちゃんは、次々と他の相手を倒していきよった。

前に、一緒に戦った時も思ったけど・・・俺より分身の密度が濃い。

なんでこんな使い手が、普通に中学生やっとるんや!?

 

 

正直、正面からやって勝てるか微妙やけど・・・。

 

 

「小太郎くーんっ!」

 

 

夏美ねーちゃんの手前、逃げ回って勝ち残る手は取れん!

というか、最初から逃げる気は、無い!

 

 

「ま、負けへんで!」

 

 

五つ身分身!

 

 

「おお♡ やるでござるな小太郎殿」

「ど、どうや!?」

「ならば拙者は、12人♡」

「なんやて!?」

 

 

ぐうぅ・・・7人が限界やぁ!

いや、死ぬ気で頑張れば、あと一人分ぐらいっ・・・!

 

 

『いや、試合しろよあんたら!』

「やかましぃわ!]

 

 

他の連中は雑魚ばっかやから、どうでもええわ!

 

 

 

 

 

Side 月詠

 

つまりまへんわぁ。

小太郎はんが出ろって言うから出てみた物の、斬れへんのやったら戦う意味も無いしなぁ。

 

 

「げ、あ、あんた・・・!」

「はぁ・・・」

 

 

そもそも、なんですの?

なんでうちが人斬り我慢する必要があるんや?

千草はんも、普段はあんまり面白いことしてくれまへんし。

 

 

・・・いっそのこと。

 

 

「な、なんでよりにもよってあんたがここに!?」

「あぁ・・・」

 

 

いっそのこと、誰か斬ってまおかなぁ。

正直、いつまでも我慢できる自信、ありまへんし。

たまにこの町に来る侵入者とやらも、なるべく斬るなて言われてるし・・・。

 

 

それに、誰か斬ってしまえば。

 

 

「ちょ、無視すんじゃないわよ!」

 

 

誰か斬ってしまえば・・・皆が、うちを殺しにきてくれるやろか。

アリアはんや・・・この町の人達。関西からも来てくれはるかもしれませんなぁ。

ああ、ええかもしれまへん。

 

 

そうや、斬ってまえば、悩まんでもええんや。

この苛々する気持ちからも、おさらばできるやろ。

ああ・・・。

 

 

ああ、あかん。

お腹が減って、死にそうや・・・。

 

 

「あん、た・・・?」

「・・・・・・きりたいなぁ」

 

 

斬りたい斬りたい斬りたい斬りたい斬りたい斬りたい斬りたい。

キリタイキリタイキリタイキリタイキリタイキリタイキリタイ。

 

 

誰かうちに、斬られてくれへん、かな?

 

 

「・・・っ」

「・・・・・・あは」

 

 

斬ってしまえば、皆がうちを殺しに来てくれる。

それを殺せば、また来てくれはる。

アリアはん、センパイ、皆、皆、皆・・・。

 

 

千草はん、小太郎はんも・・・。

・・・・・・?

 

 

・・・なんや? 今・・・。

 

 

『C組、勝ち残り選手決定! 天崎月詠選手、神楽坂明日菜選手!』

「おろ?」

 

 

気が付いてみれば、うち以外の選手は全員、気絶しとりました。

残念ながら、誰も死んどるわけやないどす。

手刀で首打っただけどすからな。

 

 

「あー、終わりどすかぁ・・・そらそら」

 

 

・・・うん?

なんや、一人残っとりますやんか、すごい強いんどすなぁ。

 

 

「お疲れ様どしたぁ、えーと・・・カグラザカはん?」

「・・・・・・!」

 

 

・・・そないに、身構えんでもええやんか。

うち、別にあんさん斬りたいとは思ってませんもん。

 

 

 

 

 

Side エヴァンジェリン

 

ええい、鬱陶しい。

目の前でドタバタと暴れ、そして倒れて行く雑魚共を苛々と見ながら、そう思う。

 

 

「おいタカミチ、とっとと終わらせないか」

「・・・いや、エヴァも手伝ってくれよ」

「知らん。たまには働け」

 

 

私の横に立って、居合拳を放つタカミチ。

この男、超の偵察とか言う理由でここに参加しているわけだが。

私にしてみれば、今の段階で偵察をして何か意味があるのかと言いたい。

 

 

そして、もう一つ。

 

 

「元老院、クルト・ゲーデルがアリアに興味を持っているだと・・・?」

「ネギ君にも、だと思うけど・・・」

「ぼーやはどうでも良い」

 

 

誰にも聞こえない程の小声で、私達は言葉を交わす。

本来なら、タカミチと言葉を交わすのも控えたい所だが・・・。

 

 

元老院か。

この時期に突然来訪するからには、何かあるとは思っていたが。

狙いは、そうか、アリアか・・・。

 

 

「・・・しかし、なぜそれを私に教える?」

「エヴァなら、アリアちゃんを守ってくれるだろう?」

「守る?・・・は、温いことを言う。だがアリアは、私のモノだ。誰にも渡すつもりはない」

 

 

まだ、教えていないことも色々とある。

アレは、磨けばまだまだ光る・・・目下の所、故郷の村人の石化解除に熱を上げているようだが。

独り立ちさせるには、100年は早い。

 

 

超にシンシアの名前を出されてからも、いつも通りに振る舞ってはいたが、あの娘のことだ。

私に何も言わず、また一人で何かを決めていないとも限らん。

まったく、あいつは私の従者である自覚はあるのか?

 

 

超を直接問い詰めようにも、超は私からは逃げ回ってばかりだ。

この私からだぞ?

ああ、苛々して仕方が無い。

帰ったら今日は、茶々丸のネジを巻いてやって、チャチャゼロのナイフを磨いてやって、スクナに新しい肥料をやって、さよの髪を梳いてやって、それからアリアの明日の衣装を選ぶ他あるまい。

 

 

「・・・タカミチ! 終わらせろ!」

「はいはい・・・」

 

 

そして、待っていろよ、超鈴音・・・。

私をコケにしただけでなく、私のモノに手を出したこと、必ず後悔させてやるからな・・・。

私に優勝のトロフィー(かは知らんが)を渡した瞬間、首が飛んでも私を責めるなよ。

 

 

 

 

 

Side ネギ

 

「八極拳・八大招式『絶招通天炮』!!」

「かっ・・・!」

 

 

豪徳寺とか言う、気を使う格闘家の人に拳を叩きこんで、吹き飛ばした。

いくら気が使えても、意識して使えないんじゃ、この程度。

マスターの『戦いの歌(カントゥス・ベラークス)』の方が、全然強い!

 

 

『き、決まったぁ―――――っ! 噂の子供先生、本選出場決定――――っ!』

 

 

朝倉さんの声。

なんだか久しぶりに声を聞いた気がするけど、超さんの仲間になってるとは思わなかった。

 

 

「・・・マスター! どうでした!?」

「ええ、見事でしたよ、ネギ君」

 

 

僕と同じグループだったクウネルさん・・・マスターは、いつものように僕の頭を撫でてくれた。

へへ・・・見事だって。

超さんの指輪やカシオペアを使うまでも無かったし、僕も、前より強くなってるのかも・・・。

 

 

このグループからは、僕とマスターが本選に行く。

 

 

「ふふ・・・思っていたよりも上達していますね、ネギ君」

「そ、そうですか?」

「そうですね。本選で私と当たるまで負けなかったら・・・ご褒美をあげましょう」

「本とっ・・・って、最初に当たったらどうするんですか、マスター」

 

 

はっはっはっ・・・と、笑ってごまかしたマスターは、僕から視線を外して・・・。

主催者席にいる、超さんを見て、目を細めた。

・・・?

 

 

「マスター?」

「・・・いえいえ、なんでもありませんよ。ほら、ネギ君はお嬢さん達の所に行ってあげなさい」

「あ、はい・・・」

 

 

マスターに言われて、観客の人達がいる場所に向かう。

そっちには、のどかさん達が、僕の応援に来てくれていた。

 

 

・・・どうしたんだろ、マスター。

なんだか、怖い顔をしているけど・・・。

 

 

 

 

 

Side スクナ

 

スクナは、力比べが好きだぞ。

強い力を持った相手と戦うのも、大好きだぞ。

1600年前は、それでうっかり封印された。

 

 

「速さが足りない、ぞ!」

「がぺぽっ!?」

 

 

ヤマシタとか言う人間のお腹に、すれ違いざまに左の拳を入れた。

他の人間よりも、少しだけ固かった。

でも同じだ、たぶん朝まで痛いぞ。

 

 

「・・・痛そうですね」

「スクナは強いか、恩人?」

「ええ・・・とても」

 

 

少し離れた所で、恩人が笑ってる。

いつも通りだ。

いつもと同じ笑顔で、恩人はそこにいる。

 

 

「烈空掌!」

「おお?」

『な、なんだぁ!? 中村選手が掌から、何かを飛ばしたぁ!?』

「遠当て、と言う物ですね」

「おお・・・人間にしてはやるな、あいつ」

 

 

力は、作物に似てる。

種をまいて、水をやり、肥料に気を配り、天候を知り、芽吹いた芽を大切に育んで行く。

風雨に晒され、虫と戦い、太陽に挑む。

時に腐り、蝕まれ、踏まれて折れる。

そしてそれらを乗り越えて初めて・・・作物は、収穫できるようになる。

 

 

力も、同じだ。

だからスクナは、力比べを好む。

相手の育てた力と言う名の作物を、見てみたいからだ。

 

 

まぁ、この身体になってから、4分の1くらいしか力出せないけどな。

 

 

「山ちゃんの仇! 烈空双しょ・・・う?」

「・・・おお?」

 

 

いきなり、倒れたぞ。

なんだ?

 

 

『こ、これは・・・中村選手、寝ています!』

 

 

本当だぞ。寝てる。

 

 

『こ、これはしょぼい終わり方です! しかしこの瞬間、A組の本選行き選手が決定―――っ!』

「しょぼいとは失礼な・・・」

「今の、恩人か?」

「ええ、まぁ・・・魔法具『眠(スリープ)』。眠れぬ夜に、この一枚」

 

 

しゃきんっ、と、カードを見せてくれる恩人。

・・・最初からそれやれば、スクナが戦う必要無かったような気がするぞ。

楽しかったから、良いけどな。

 

 

「・・・さて、早く戻って、晩御飯にしましょうか」

「お、おぅ・・・」

 

 

いつものように笑って、恩人が歩き出した。

その背中は、いつも小さいけど・・・今日のは、なんだかいつもより小さい気がする。

 

 

・・・恩人は、凄い人間だぞ。

難しいことはわからないけど、凄くて、そして良い奴だ。

スクナも、助けてもらった。

助けてと叫んだ時、助けてくれたぞ。

暗い、昏い世界から引き揚げられた時の気持ちを、スクナは永遠に忘れない。

 

 

「・・・スクナさん?」

 

 

でもスクナは、恩人に助けてと言われたことがないぞ。

恩人はいつも、ただ笑ってスクナを見てる。

1600年前の人間と違って、スクナに何かを頼むこともしない。

 

 

お返しが、したいんだぞ。

 

 

「恩人」

 

 

立ち止まって、スクナを不思議そうな顔で見てた恩人の手を、しゃがんで握る。

今の身体だと、こうしないと届かないぞ。

恩人は、やっぱり、不思議そうな顔をしてるぞ。

スクナは、恩人の目を見て、言う。

 

 

「恩人、スクナは、頼りないか?」

 

 

 

 

 

Side アリア

 

「スクナさん?」

 

 

自分達の予選会を終えて、帰ろうかと思った所、なぜかスクナさんが動きません。

私をじっと見つめて、ただ立っています。

・・・?

お腹、すきましたか?

 

 

それにしても、スクナさんが戦い好きとは、知りませんでしたよ。

まぁ、何重にもカモフラージュしてありますから、正体がバレたりとかはしないでしょうし・・・。

すでに知っている人から、漏れる可能性はありますが。

畑仕事だけに興味があるのかと、思っていました。

畑でどったんばったんしているのは知っていましたけどね。

 

 

「恩人」

 

 

と、スクナさんが私の手を掴んできましたよ?

15歳バージョンのその姿でそれをやると、結構問題ですよ?

 

 

「恩人、スクナは、頼りないか?」

「・・・は?」

「スクナは、恩人を助けたいぞ」

 

 

・・・なんですか、藪から棒に。

 

 

「上手く言えないけど、スクナは恩人が」

「・・・私が?」

「スクナは、アリアが好きだぞ」

「・・・・・・え、と」

 

 

・・・え。

それは、また。なんと言うか。

と、突然言われても困ると言うか・・・。

 

 

・・・あ。

こ、ここ、世界樹の範囲・・・?

わ、わわわ、こ、困ります困りま・・・!

 

 

「・・・それに、吸血鬼もさーちゃんも茶々もゼロも恩人のこと好きだぞ!」

「・・・・・・・・・は?」

「えーと、セツナもコノカも恩人のこと好きだと思うぞ! 西洋人形は良くわからないがたぶん好きだと思っているはずだぞ!」

「・・・・・・へー」

 

 

・・・なんですか、そのベタな展開。

急激に、力が抜けましたよ。

世界樹が反応しなかったのは、恋愛感情ゼロだったからですね。

欠片も、これっぽっちも。もう、告白の要素がゼロ。

けれど・・・。

 

 

「・・・ありがとう、スクナさん」

「おぅ」

「ただ・・・そう言う発言は、控えた方が良いですね」

「うん、そうだねー」

 

 

スクナさんの背後には、とても素敵な笑顔を浮かべているさよさんがいました。

・・・今の動き、私の眼でも追えなかったのですが。

観客席からここまで、どうやって・・・?

 

 

「すーちゃん、私とちょっと向こうへ行こうかー」

「な、なんださーちゃん、スクナはまだ恩人に話が」

「うふふ、これ以上どんな話があるのかなー・・・かな?」

「お、おおお、お~・・・い、痛いぞ、さーちゃん」

 

 

耳を引っ張られながら退場と言う、これまたベタなことをしながら、さよさんとスクナさんが物陰に移動して行きました。

・・・まぁ、せめてその純粋な好意だけは、受け取っておきましょうか。

 

 

「・・・おい、アリア」

「お疲れ様です。アリア先生」

「ホボナニモシテナカッタケドナ」

 

 

エヴァさん、茶々丸さん、チャチャゼロさんが、こちらへとやってきました。

というか、酷いですねチャチャゼロさん。

 

 

「あー・・・その、なんだ」

 

 

珍しいことに、エヴァさんが何か言いにくそうにしています。

はて、何かありましたか・・・まさか?

 

 

「よもや、私の秘蔵の苺ゼリーに手を付けたわけでは」

「違うわっ! まったく・・・シリアスを壊すのは血筋なのか?」

「威厳の問題かと思われます」

「巻くぞ、ボケロボ」

 

 

相も変わらず、見ていて飽きの来ない人達ですね。

まぁ、いつまでも見ていたい気もしますが。

 

 

「それで・・・何か?」

「いや、何かって、お前な・・・」

「マスターは、アリア先生のことが心配で心配でいれもらっれもいられはふらっれひらおふぁ」

 

 

なお、途中で茶々丸さんのほっぺがエヴァさんによって芸術的に伸ばされたために、何を言っているのかわかるようなわからないような状態になっています。

 

 

・・・心配、私が。

私が、心配。

・・・考えるまでも無く、超さん・・・と言うか

 

 

シンシア姉様の件、ですね。

だから私に気を遣って、言いにくそうにしていたわけですか。

・・・なるほど。

 

 

「・・・ふふ」

 

 

 

 

 

Side 茶々丸

 

「大丈夫ですよ、私」

 

 

シンシア様のことは、アリア先生にとって非常にデリケートな問題です。

しかしアリア先生は、かすかに微笑みながら、大丈夫だと言いました。

 

 

「・・・いえ、やっぱり少し、大丈夫ではないかもですね」

「・・・アリア先生」

「でも、私は別に、シンシア姉様の死について何かを知りたいと思っては、いません」

「・・・いや、待てアリア。そんなわけないだろ。無理は・・・」

「本当のことです」

 

 

そ・・・と、アリア先生が取り出したのは、マスターとの仮契約カード。

とても大切そうに、両手で包み込むようにして、持ちます。

 

 

「今の私は、エヴァさんの従者で、家族。それが第一です」

「む・・・」

「第二に、私は先生です。超さんと言う生徒の願いを入れて、この大会に参加しています・・・ほら、なんだか良くわかりませんが、160人も参加していたようですし」

「アルイミ、スゲージシンダナ」

 

 

まぁ、観客席の一部は、熱狂的にアリア先生を応援していたようですが。

無論私も、優雅にスクナさんに全てを任せて佇むアリア先生のお姿を十二分に。

 

 

「それに、シンシア姉様と過ごした時間はそれほど長くはありませんでしたが・・・姉様と交わした言葉の中に、死の真相を探れだとか、仇を討てだとか、そう言うことはありませんでした」

「・・・ふん?」

「家族と友人を大切に・・・そして、私自身が幸せに。そんな言葉を遺してくれた姉様ならば、私に復讐や仇討ちを望むとは思えません・・・・・・もちろん、私個人の意思は、異にする所大ですが」

「・・・・・・ふ、ん?」

 

 

穏やかに語るアリア先生に、マスターは難しい表情を浮かべています。

何を考えているのかは、私にはわかりかねますが。

 

 

「それに・・・」

 

 

ニコリ、と快活に笑って、アリア先生は言いました。

 

 

「別に、超さんの言いなりになって教えてもらう必要はありません。超さんが、喋りますから許してください、と言いたくなるような状況に持っていけば良いのでしょう?」

「は・・・なんだ、結局聞き出すのではないか」

「ええ、それにシンシア姉様のことを知っているとなると、私のことも良く知っているのでしょう・・・なら、いずれにせよ放置はできませんし」

 

 

ごきり、と右手を鳴らして、アリア先生は、先ほどまで超がいた場所を見つめました。

どうやら、またどこかに姿を隠したようですね。

 

 

「何より・・・<闇の福音>の持ち物としては、持ち主の許可なく私に触れた輩に、報いを与えなければならない、でしょう?」

「・・・当然だ。お前は私のモノだからな、アリア」

 

 

そう言って笑い、腰に両手を当てて胸を張るマスターに、アリア先生は。

アリア先生は、胸に手を当てて目を閉じると。

 

 

「・・・イエス・マイロード」

 

 

くすり、と、悪戯っぽく微笑むアリア先生 (カシャッ)。

 

 

「それに・・・」

 

 

先ほどさよさんとスクナさんが姿を消した物陰を見ながら、アリア先生は、さらに続けて。

 

 

「私は、エヴァさん達のことが、大好きですから」

 

 

少し恥ずかしそうに頬を染めるアリア先生に、マスターは顔を赤くしてそっぽを向き、姉さんは「テレルゼ」と笑いました。

そして私は・・・。

 

 

・・・光栄の極み。

 

 

 

 

 

Side クルト

 

「・・・以上が、本日の調査報告です」

「そうですか・・・」

 

 

なるほどなるほど・・・。

私は今、麻帆良側からあてがわれた部屋で、部下の報告を受けています。

部下と言っても、護衛に連れてきた重装歩兵では無く、密偵の方ですが。

 

 

・・・ふん、この武道会と言う催し物。

なんとも、匂いますねぇ。

特に、明日の本選とやらに参加するこの面々・・・。

 

 

「・・・麻帆良側に知らせますか?」

「ふん?・・・キミは面白いことを言いますね。知らせてどうするんです」

「は・・・?」

 

 

知らせた所で、麻帆良が処理するなり警戒するなりするだけ。

それでは、こちらに何の旨みも無い。

それよりもむしろ・・・。

 

 

「・・・報告はわかりました。下がりなさい」

「はっ・・・」

「・・・ああ、そうそう」

 

 

重要なことを忘れる所でした。

忙しいと、忘れっぽくなっていけませんねぇ。

 

 

「重装歩兵の中の2人から定期連絡がありませんでした。入れ替わりの可能性があります。調べて・・・消しなさい」

「はっ・・・」

 

 

私はこの麻帆良に連れてきた127名の部下から、それぞれ定期連絡を受けています。

特殊な方法(機密事項ですよ)で行うので、入れ替わりがあればすぐにわかります。

・・・うん? 部下の数が合わない?

さて、何のことやら・・・。

 

 

「・・・顔を見るのは、初めてですね」

 

 

一人になった室内で、部下の報告書に目を通す。

部下の報告書類の中には、ネギ・スプリングフィールドとアリア・スプリングフィールド、そしてその関係者に関する写真付きの報告書があります。

中でも興味を引くのは、やはりナギとアリカ様の・・・この2人の子供には、大変な価値が・・・。

 

 

・・・アリカ様。

 

 

「・・・アリア・スプリングフィールド・・・」

 

 

髪の色と、片方の瞳の色が違いますが・・・面影がありますね。

似ている・・・。

それに、麻帆良に来てからのこの経歴。関西からのリーク情報も含めて考えると・・・。

 

 

「・・・どんな方なのでしょうねぇ」

 

 

お会いしてみたい物です。

そのためには、舞台を整えなければなりませんね。

演出、という物は、実はあまり得意では無いのですが。

子供とは言え、淑女(レディ)に会おうと言うのですから、それくらいの労力は必要でしょう。

 

 

年甲斐も無く、頑張ってみましょうか。

 

 

 

 

 

Side アーニャ

 

「ふ、ふふふ・・・」

 

 

龍宮神社とか言う、やけに大きな神社に来た時、そこにはもう、誰もいなかった。

まぁ、それは仕方が無いわ。誰もいない時間を選んだんだもの。

・・・どうでも良いけど、お寺と神社って何が違うのかしら?

 

 

「・・・やぁっと、見つけたわ。2人とも・・・」

「ごめんなさい、アーニャさん。世界樹の魔力がこんなに探査に影響が出るとは・・・」

「仕方ないわよ。これだけの規模の魔力溜まり、そうそうあるもんじゃないわ」

 

 

私は、探査とかそう言う魔法は苦手だから、いつもエミリーがオコジョ魔法でやってくれてる。

本当なら、私ができなきゃいけないんだから、エミリーが謝ることなんてないわ!

むしろ、半日近く魔法を使ってくれてたんだから、私が感謝しなくちゃ。

 

 

「まほら武道会・・・ねぇ。また意味のわからないことしてるのねー」

「このトーナメント表によると、ネギさんもアリアさんもいますね」

「明日の8時には、2人ともここにいるってわけね」

 

 

神社の掲示板に張られてるトーナメント表。

ほとんどが知らない名前だけど、ネギとアリアを含めて、いくつか知ってる名前も。

・・・エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルって、どっかで聞いたことあるような?

というか、タカミチさんも出てるじゃないのよ。

 

 

良い大人が、何をやってんのかしらね。

これだから、男の人ってわかんないわ。筆頭、ネギ。

 

 

「・・・まぁ、確実に2人がいる場所と時間を知れただけでも、良しとしますか」

「そうですね・・・正直、私も限界ですし」

「ごめんね、エミリー。いつも・・・」

「良いんです。私が好きでやってることですから」

 

 

んー♪

肩に乗ってるエミリーと、ほっぺを擦り合わせる。

あったかくて気持ち良い。

 

 

・・・じゃ!

 

 

「ドネットさんの所に戻るわよ。それで、今日の報告!」

「なんて報告しますか?」

「そうねー、とりあえずこの町が異常だって伝えたいわね」

 

 

だってここ、魔法バラすために存在してるんじゃないかってぐらい、意味わかんないもの。

強制認識の結界の使用方法についても、本国の法律に違反するんじゃないかしら?

いくら世界樹が大事だからって・・・。

 

 

「アリアさん達に会ったら、どうするんです?」

「エミリーこそ、お兄さんに会ったらどうするのよ」

「決まってます。捕まえて司法機関に突き出します」

「んー、私は、そうねぇ・・・」

 

 

とりあえず・・・。

 

 

「アリアは抱き潰して、ネギは殴り潰す、かな」

「どっちにしろ、潰すんですね・・・」

 

 

たぶん、それくらいしても罰は当たらないと思うのよね。

きっとあの2人、麻帆良でもそれぞれ無茶やってるだろうし。

 

 

案外、頑固な所とか勝手な所とか、似てるしね。

周りに心配かけてばっかりな所とか。

 

 

本人達は、絶対に認めないだろうけどね。

 





アリア:
アリアです。今回は予選会でした。
本当なら、参加せずとも良いというか、むしろ阻止しても良かったのですが・・・。
リスクと費用対効果を考慮した結果、参加することにしました。
・・・というか、あんまり仕事していない気がするというか、仕事が回ってこないのはなぜなのでしょう。誰かが私への仕事を止めているのか・・・。
ある意味、超さん以上の謎です。う~む・・・?


なお、作中内で出てきた歌って踊れる電子精霊衆は、伸様のご提供。
いつか詳しいスペックなどが明らかになるかと思いますが、一言で言うなら・・・すごいですよ?


さらに、次回以降の本選のトーナメント組み合わせは以下の通りです。

<一回戦組み合わせ>
①高音・D・グッドマン VS 田中
②タカミチ・T・高畑 VS ネギ・スプリングフィールド
③神楽坂明日菜 VS 天崎月詠
④エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル VS 相坂宿儺(スクナ)
⑤佐倉愛衣 VS 天崎小太郎
⑥クウネル・サンダース VS 大豪院ポチ
⑦アリア・スプリングフィールド VS 長瀬楓
⑧龍宮真名 VS 古菲

・・・まぁ、一部を除けば、私の記憶とそう違いは無い・・・ような?
その一部が、すごいことになりそうですけど。
なお、便宜上月詠さんと小太郎さんは「天崎姓」で登録してあります。
加えてスクナさんは「両面」で登録できないので、本人に選ばせた所、「相坂姓」を選択しました。意味深ですね。
けして、予選の後OHANASIされて登録変更したわけではありません。ええ。


アリア:
では、次回は本選開始の鐘が鳴り響きます。
もちろん、武道会以外の外部のイベントもドンドン起きます。
というか、次回あたり再会の予感?

それでは、これから3-Aの打ち上げがありますので・・・。
では、またお会いしましょう。

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