天を照らす銀河   作:浮雲のソル

10 / 78
第10話 裁かれぬ悪

カプワ・トリムの宿で話を聞くことになったリョウ達。宿の一室にはフレンとユーリが助けた少年、そしてラゴウの姿があった。

 

 

『おまえ…』

 

 

「おや、どこかでお会いしましたかね?」

 

 

「船のことで、都合のいい記憶喪失か?」

 

 

初対面を偽るラゴウにユーリが問うが、ラゴウは

 

 

「はて?記憶喪失も何もあなたと会うのはこれが初めてですよ?」

 

 

とぼけるラゴウにカロルが

 

 

「何、言ってんだよ!」

 

 

「執政官、あなたの罪は明白です。彼らがその一部始終を見ているのですから」

 

 

「何度も申し上げた通り、名前を騙った何者かが私を陥れようとしたのですよ」

 

 

フレンの追及にもひるまずにとぼけるラゴウ。

 

 

「ウソ言うな!魔物のエサにされた人たちを、あたしはこの目で見たのよ!」

 

 

〖魔物のエサにされた人…どういうことだ?〗

 

 

リタの言葉に疑問を抱くリョウ。それでもラゴウは

 

 

「さあ、フレン殿、貴公はこのならず者と評議会の私とどちらを信じるのです?」

 

 

「……」

 

 

フレンはうつむき何も言わない。

 

 

「決まりましたな。では失礼しますよ」

 

 

ラゴウは部屋から出ていく。

 

 

「なんなのよ、あいつは!」

 

 

『ちょっと落ち着けリタ、いったい俺のいない間になにがあったんだ?』

 

 

リタによるとラゴウ邸でリョウと別れた後、地下では大量の魔物が飼われており、エサにされた人の骨が無残にも転がっていたという。ポリーという少年もそこにいたのである。

 

 

『そんなことが…なんて野郎だ…』

 

 

「…で、リョウ、あんたはいったいあのおっさんとなにしてたのよ?」

 

 

『なんか探し物しているのをただ見てただけなんだ。何を探してるのかは教えてくれなかったけど』

 

 

「はあ?なにそれ…まあいいわ…んで、こいつは何者?」

 

 

リタはユーリが助けた少年に指をさす。

 

 

フレンによると、少年は次期皇帝候補のヨーデル殿下であり。先代皇帝の甥御にあたるという。なぜラゴウに捕まっていたのかは言えないようである。そのことでユーリとフレンは口論になりユーリは部屋を出て行った。

 

 

『おい、ユーリ!』

 

 

リョウもユーリを追って部屋を出た。

 

 

宿屋の外に出るとリョウはユーリを見つけた。ユーリは黙って考え込んでいた。

 

 

『おーい。ユーリ』

 

 

「ん?ああ、リョウか…わるいなみっともねえとこ見せて」

 

 

『ユーリの気持ちもわかるさ…でも、これが現実なんだな…』

 

 

「ああ、なにも変わっちゃいねえんだ…オレも帝国も…」

 

 

『これからどうすんだ?』

 

 

「魔核の手掛かりを探すか」

 

 

『じゃあ、街で聞き込みだな』

 

 

ユーリとリョウは手分けして街で聞き込みを開始した。

 

 

するとリョウは、見たことのあるうさんくさいおっさんを見つけた。

 

 

『あれは…レイヴン?おーい』

 

 

するとうさんくさいおっさんことレイヴンは声に気付いた。

 

 

「ん?おーリョウ君じゃないの、久しぶり」

 

 

『久しぶりーじゃなくて、探し物は見つかったのか?』

 

 

「残念ながらなかったのよね。聖核(アパティア)…」

 

 

『聖核?』

 

 

「あっ」

 

 

うっかり口が滑ったレイヴン。

 

 

(まあいいか隠さなくて)

 

 

「魔核のすごい版らしくてね。あそこにあるって聞いたんだけど違ったみたい」

 

 

『ふーん…あっ!そういえば、なんか俺に聞きたいことがあるんじゃないのか?』

 

 

「あっ!そうそう思い出した。リョウ君って歳いくつ?」

 

 

『18から20ぐらいだと思うんだけど…』

 

 

「思うって…分かんないんの?」

 

 

『俺、記憶喪失なんだ』

 

 

「え!?そうだったのごめんね…」

 

 

『いいっていいって気にすんな。それよりさ「紅の絆傭兵団」ってギルド追ってるんだけど知らないか?』

 

 

「そのギルドかどうかは分かんないけど、物騒なギルドが北西へ移動しているのは見かけたよ」

 

 

『おおっ!ナイス情報ありがとうレイヴン…「あっ!リョウ!」

 

 

遠くからカロルの声が聞こえた。

 

 

「あんの…オヤジ…」

 

 

殺気のこもったリタの声も聞こえた。

 

 

「逃げた方がいいかねえ、リョウ君?」

 

 

『逃げないとたぶん、こんがり肉にされると思うぞ』

 

 

「それは勘弁…じゃあね」

 

 

「待て、こら!」

 

 

逃げるレイヴンをリタは追っていく。するとユーリとカロルとラピードがリョウに近づいてきた。

 

 

「なんで逃がしちゃうんだよ!」

 

 

カロルの問いにリョウは

 

 

『まあ、悪いヤツじゃないって…たぶん』

 

 

「たぶんって…」

 

 

呆れるカロル。するとユーリが

 

 

「なんか情報はあったか?」

 

 

『さっきのおっさんがいうには、物騒なギルドが北西へ行ったらしい』

 

 

「それ信用できるの…?」

 

 

「オレはなにも情報を掴めなかったからな…行ってみるか」

 

 

カロルの心配をよそにそう決めたユーリ。そのあとリタが戻ってきて、エステルが遅れてやってきた。カロルによると北西には地震で滅んだ街があるらしい。リョウ達はその街へ行ってみることになった。

 

 

 

 

 

 

 

あんたも面白い武器使ってるんだな

 

 

も?ってことはおまえ…ナ…と知り合いか?

 

 

ああ、まあな。知り合いなら…の中に何人かいるぜ。あんたの名前は?

 

 

…ミュ…ンだ。

 

 

いい名前だ…俺は…

 

 

 

 

 

 

パチッ

 

 

野宿をしていた男…レイヴンは目を覚ます。

 

 

「夢か…にしても懐かしいねえ…」

 

 

レイヴンはもう一度眠りにつく

 

 

(あいつはもういない……死んだんだ……あれはただの偶然……)

 

 

そう言い聞かせながら深い眠りに落ちた。

 

 

To be continued

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。