カプワ・トリムの宿で話を聞くことになったリョウ達。宿の一室にはフレンとユーリが助けた少年、そしてラゴウの姿があった。
『おまえ…』
「おや、どこかでお会いしましたかね?」
「船のことで、都合のいい記憶喪失か?」
初対面を偽るラゴウにユーリが問うが、ラゴウは
「はて?記憶喪失も何もあなたと会うのはこれが初めてですよ?」
とぼけるラゴウにカロルが
「何、言ってんだよ!」
「執政官、あなたの罪は明白です。彼らがその一部始終を見ているのですから」
「何度も申し上げた通り、名前を騙った何者かが私を陥れようとしたのですよ」
フレンの追及にもひるまずにとぼけるラゴウ。
「ウソ言うな!魔物のエサにされた人たちを、あたしはこの目で見たのよ!」
〖魔物のエサにされた人…どういうことだ?〗
リタの言葉に疑問を抱くリョウ。それでもラゴウは
「さあ、フレン殿、貴公はこのならず者と評議会の私とどちらを信じるのです?」
「……」
フレンはうつむき何も言わない。
「決まりましたな。では失礼しますよ」
ラゴウは部屋から出ていく。
「なんなのよ、あいつは!」
『ちょっと落ち着けリタ、いったい俺のいない間になにがあったんだ?』
リタによるとラゴウ邸でリョウと別れた後、地下では大量の魔物が飼われており、エサにされた人の骨が無残にも転がっていたという。ポリーという少年もそこにいたのである。
『そんなことが…なんて野郎だ…』
「…で、リョウ、あんたはいったいあのおっさんとなにしてたのよ?」
『なんか探し物しているのをただ見てただけなんだ。何を探してるのかは教えてくれなかったけど』
「はあ?なにそれ…まあいいわ…んで、こいつは何者?」
リタはユーリが助けた少年に指をさす。
フレンによると、少年は次期皇帝候補のヨーデル殿下であり。先代皇帝の甥御にあたるという。なぜラゴウに捕まっていたのかは言えないようである。そのことでユーリとフレンは口論になりユーリは部屋を出て行った。
『おい、ユーリ!』
リョウもユーリを追って部屋を出た。
宿屋の外に出るとリョウはユーリを見つけた。ユーリは黙って考え込んでいた。
『おーい。ユーリ』
「ん?ああ、リョウか…わるいなみっともねえとこ見せて」
『ユーリの気持ちもわかるさ…でも、これが現実なんだな…』
「ああ、なにも変わっちゃいねえんだ…オレも帝国も…」
『これからどうすんだ?』
「魔核の手掛かりを探すか」
『じゃあ、街で聞き込みだな』
ユーリとリョウは手分けして街で聞き込みを開始した。
するとリョウは、見たことのあるうさんくさいおっさんを見つけた。
『あれは…レイヴン?おーい』
するとうさんくさいおっさんことレイヴンは声に気付いた。
「ん?おーリョウ君じゃないの、久しぶり」
『久しぶりーじゃなくて、探し物は見つかったのか?』
「残念ながらなかったのよね。聖核(アパティア)…」
『聖核?』
「あっ」
うっかり口が滑ったレイヴン。
(まあいいか隠さなくて)
「魔核のすごい版らしくてね。あそこにあるって聞いたんだけど違ったみたい」
『ふーん…あっ!そういえば、なんか俺に聞きたいことがあるんじゃないのか?』
「あっ!そうそう思い出した。リョウ君って歳いくつ?」
『18から20ぐらいだと思うんだけど…』
「思うって…分かんないんの?」
『俺、記憶喪失なんだ』
「え!?そうだったのごめんね…」
『いいっていいって気にすんな。それよりさ「紅の絆傭兵団」ってギルド追ってるんだけど知らないか?』
「そのギルドかどうかは分かんないけど、物騒なギルドが北西へ移動しているのは見かけたよ」
『おおっ!ナイス情報ありがとうレイヴン…「あっ!リョウ!」
遠くからカロルの声が聞こえた。
「あんの…オヤジ…」
殺気のこもったリタの声も聞こえた。
「逃げた方がいいかねえ、リョウ君?」
『逃げないとたぶん、こんがり肉にされると思うぞ』
「それは勘弁…じゃあね」
「待て、こら!」
逃げるレイヴンをリタは追っていく。するとユーリとカロルとラピードがリョウに近づいてきた。
「なんで逃がしちゃうんだよ!」
カロルの問いにリョウは
『まあ、悪いヤツじゃないって…たぶん』
「たぶんって…」
呆れるカロル。するとユーリが
「なんか情報はあったか?」
『さっきのおっさんがいうには、物騒なギルドが北西へ行ったらしい』
「それ信用できるの…?」
「オレはなにも情報を掴めなかったからな…行ってみるか」
カロルの心配をよそにそう決めたユーリ。そのあとリタが戻ってきて、エステルが遅れてやってきた。カロルによると北西には地震で滅んだ街があるらしい。リョウ達はその街へ行ってみることになった。
あんたも面白い武器使ってるんだな
も?ってことはおまえ…ナ…と知り合いか?
ああ、まあな。知り合いなら…の中に何人かいるぜ。あんたの名前は?
…ミュ…ンだ。
いい名前だ…俺は…
パチッ
野宿をしていた男…レイヴンは目を覚ます。
「夢か…にしても懐かしいねえ…」
レイヴンはもう一度眠りにつく
(あいつはもういない……死んだんだ……あれはただの偶然……)
そう言い聞かせながら深い眠りに落ちた。
To be continued