ダングレストに戻り、リョウ達はギルドユニオン本部へ訪れると、フレンとドンが話をしていた。
「フレンじゃねえか」
「ユーリ…」
「てめぇら、帰ってきたか。すまねぇな、優先して話を聞くって言ったんだが、この騎士団の若えのも急いでるみてぇでな」
「オレらの話はフレンの後でもいいぜ」
「いいのかい?ユーリ」
「ああ」
「では改めてドン、バルボスについてですが…」
「おまえもバルボス絡みなのか?」
「ということは、ユーリも?」
「どうやらバルボスがいろんなところに迷惑かけてるみてぇだな。ギルドとして、けじめはつけにゃあならねえ」
「では……」
「ああ、ここは手を結んで、打倒、紅の絆傭兵団といこうじゃねぇか。ベリウスにも連絡しておけ」
「ドン、こちらにヨーデル殿下より書状を預かって参りました」
フレンはドンに書状を差し出す。
「ほぉ、次期皇帝候補の密書か。レイヴン、読んで聞かせてやれ」
「ドン・ホワイトホースの首を差し出せば、バルボスの件に関しユニオンの責任は不問とす」
「何ですって…!?」
「うわはっはっは!これは笑える話だ。おい、お客人を特別室にご案内しろ!」
「ドン・ホワイトホース、聞いてください!これは何者かの罠です」
フレンはドンの部下達に連れ去られていく。エステルが追いかけようとしたがユーリに止められた。
「帝国との全面戦争だ!総力を挙げて、帝都に攻めのぼる!客人は見せしめに、奴らの目の前で八つ裂きだ!二度となめた口きかせるな!!」
ドンは立ち上がり、部屋を出て行った。
『話どころじゃなくなったな』
「わたし、帝都に戻って、本当のことを確かめます!」
『エステル、もうちょっと様子をみようぜ。早まらない方がいい』
「わ…わかりました」
リョウ達はとりあえず、ユニオン本部を出た。
街を歩いていると、ユーリが突然立ち止り
「あれ…?おかしいな」
『どうした?ユーリ』
「…財布落としたみたいだ」
「こんなときに何やってんの!」
呆れるカロル
「ドンのとこで落としたかな?ちょっと探してくる。そのあたりで待っててくれ」
ユーリはユニオン本部へ戻っていった。
〖ありゃ、フレンを見に行ったな…〗
しばらく待っていると、街にはどんどんギルド員が集まってきている。
「グルルルル…」
突然、ラピードが唸り声を上げる。
『どうした?ラピード…あのギルドは…おい!みんな』
「どうしたのよ?リョウ」
「なにかあったんです?」
「どうしたの?」
『紅の絆傭兵団を見つけた』
「本当に!?バルボスもいた?」
『いや、いなかった…そこでだ、あとをつけようと思う』
「でも、ユーリがまだ…」
『そうか…じゃあ、俺とリタとラピードで追う』
「分かったわ」
「ワンッ」
リョウとリタとラピードは、カロルとエステルと別れ、紅の絆傭兵団のギルド員のあとを追いかけた。そして、ギルド員は見張りのいる酒場に入って行った。
「厳重な警備ね。いかにも怪しい」
『あんなに厳重だと、ここにいますよ~って言ってるもんだな』
しばらく酒場を見張っていると、ユーリ達がやって来た。
「リョウ、リタ…!」
『静かに…声がでかいぞカロル。それにユーリも遅いぞ』
「わりいな、色々あってな……(ユーリが酒場の入口を見て)ありゃ、ちょっと無理矢理押し入るってわけにゃいかなそうだな」
『あの酒場にバルボスがいたとして、少しでも騒ぎをおこしたらすぐ逃げられちまう』
「どうしよっか…」
カロルが考えていると
「いーこと教えてあげよう」
振り返ると、レイヴンがいた。
「おいおい、いいのか、あっち行かなくて」
「よかないけど、青年達が下手打たないように、ちゃんとみとけってドンがさ。ゆっくり酒場にでも行って俺様のお話聞かない?」
「わたし達にそんなゆっくりしている暇は…」
『…ただの酒場じゃないんだろ?レイヴン』
「おお、よくわかってるじゃないリョウ君」
「ど、どういうこと?」
「行ってみるしかねえみたいだな」
「もしなんもなかったら覚悟しときなさい」
「わかってますって。ほらほら、こっちこっち」
レイヴンの案内で、もうひとつの酒場に向かったリョウ達。
「ちょいと通してもらうよ」
リョウ達とレイヴンは、酒場の奥の部屋に入って行く。
「なんだ、ここは」
「ドンが偉い客迎えて、お酒を飲みながら秘密のお話をするところよ」
「ここでおとなしく飲んでろってのか?」
『違うぞユーリ、レイヴンがここに連れてきた理由はこれだろ?』
リョウが近づいた壁には隠し扉があった。
「ほお~。よくわかったわねリョウ君」
『わずかだが、隙間風が吹いてるのが分かったからな。んで、さっきの酒場までの道があるんだろ?』
「そういうこと」
「ちゃちゃっと忍び込んで奴らふん捕まえる。回り道だが、それが確実ってことか。いくぜみんな」
扉の先は地下水道になっており、真っ暗だったがラピードが証明のように光る光照魔導器(ルクスブラスティア)を見つけて辺りを照らしながら地下道を進んで行くと、ユーリが壁面に何かを見つけた。
「ん、なんかここに刻んであるな。…文字か。なんだ?」
「ねえ…これって『ユニオン誓約』じゃない?」
『知ってんのか?カロル』
「ドンがユニオンを結成した時に作られた、ユニオンの標語みたいなもんだよ。でも、なんでこんなところに?」
「ユニオンってのは帝国がこの街を占領した時に抵抗したギルド勢力が元になってんのよ。それまでギルドはバラバラで、問題が生じた時だけ団結してた。でも帝国に占領されて、ようやくそれじゃまずいって悟った訳ね」
「そのギルド勢力を率いたのがドン・ホワイトホースなんだ!?」
「そういうこと」
カロルとレイヴンの話を聞いていたエステルは何かに気づき、壁の下の方を注視する。
「ここ…アイフリードって書いてあります」
「ああ、あの大悪党って噂の海賊王か」
「ドンが言うには一応、盟友だったそうよ。でも、頭の回る食えない人物で、あのドンすら相手すんのに苦労したってさ」
『やっぱすげえじいさんなんだな…ドンって』
「面白いもんがみれたが、今はバルボスだ。そろそろ行こうぜ」
地下道を進んでいくと、酒場らしき場所に出た。
「ここは…」
「バルボスがアジトに使ってる街の東の酒場」
『やっぱりここにバルボスが…?』
「上があるみたいだな…上がってみるか」
リョウ達が二階へ上がるとバルボスとラゴウがいた。
一方、外では騎士とギルドの大軍が、今にも戦いを始めそうな勢いでにらみあっている。
「悪党が揃って特等席を独占か?いいご身分だな」
「その、とっておきの舞台を邪魔するバカはどこのどいつだ?」
バルボスがユーリを見る
「ほう、船で会った小僧どもか」
「この一連の騒動は、あなた方の仕業だったんですね」
「それがどうした。所詮貴様らにワシを捕えることはできまい」
ドォォォォォン
遠くから大砲のような音が聞こえてきた。
「バカどもめ、動いたか!これで邪魔なドンも騎士団もぼろぼろに成り果てるぞ!」
「まさか、ユニオンを壊して、ドンを消すために…!」
「騎士団がぼろぼろになったら、誰が帝国を守るんです?ラゴウ、どうして…あっ」
「なるほど、騎士団の弱体化に乗じて、評議会が帝国を支配するってカラクリね」
「で、紅の絆傭兵団が天を射る矢を抑えてユニオンに君臨する、と」
『騎士団とユニオンの共倒れか…ない知恵出した割にはよくできてるな』
「そして、おまえらの命もここで終わりだ」
「それはどうかな…ったく、遅刻だぜ」
「なにっ!?」
バルボスが外を見ると、ギルドと騎士の間に立ち、書状を掲げているフレンの姿があった。
「ヨーデル殿下の記した書状をここに預かり参上した!帝国に伝えられた書状も逆臣の手によりものである!即刻、軍を退け!」
「ユーリ!あの人、フレンを狙っています!」
バルボスの部下が、ライフルでフレンを狙っている。それを見たカロルは、すかさず金槌を投げつける。
「当たった!」
「ナイスだ、カロル!!」
「ガキども!邪魔はゆるさんぞ!」
バルボスが巨大な銃を取り出す。
『何だ!?あのバカでかい銃は!』
バルボスが巨大な銃で撃とうとした時、突然現れた竜がバルボスを吹き飛ばした。
「なっ…なんだぁっ…!?」
「また出たわね!バカドラ!」
「リタ、間違えるな、敵はあっちだ…!」
「あたしの敵はバカドラよ!」
『今はそれどころじゃねえだろ!』
「ちっ。ワシの邪魔をしたこと、必ず後悔させてやるからな!」
バルボスが機械仕掛けの剣を振りかざすと、竜巻が起こり、バルボスの身体が宙に浮き、どこかへ飛んで行った。
『逃げる気か!』
竜使いもバルボスを追おうとすると、ユーリが
「やつを追うなら一緒に頼む!羽のはえたのがいないんでね」
「あんた、なに言ってんの!こいつは敵よ!」
「オレはなんとしても、やつを捕まえなきゃなんねぇ…頼む!」
竜使いが、ゆっくりユーリのところまで下りてきた。
「助かる!」
「待って!ボク達も…!」
「定員オーバーだ。おまえらは留守番してろ!」
ユーリは竜使いと共にバルボスを追って行った。
「ユーリのバカぁっ!」
『カロル、俺達は俺達のできることをやろう』
「え?」
『まずは…オラァ!』
リョウはさっきカロルが投げた金槌を投げた。すると
ガンッ
「ぐあ!」
どさくさに紛れて逃げようとしたラゴウに直撃した。
『なに逃げようとしてんだラゴウさんよ』
ラゴウは気絶している。
『こいつを騎士団に引き渡して、ユーリを助けにいこうぜ』
To be continued