リョウがリタの元で働くことになって半年が経った。
助手兼護衛として働いているのだが、護衛の仕事はまだしも助手としての仕事は家事や買い出しなどほぼ生活のための仕事である。
今日も食料の買い出しを頼まれてアスピオへ帰ったところである。
『ホイッ通行証』
「通ってよし」
リョウはアスピオの玄関口の騎士に通行証を見せ通してもらう。
『ったく、いちいち通行証見せるの面倒なんだよな』
リョウはそう文句を言いながらリタの小屋を目指す。
『そもそも、家事とか買い出しとか助手のする仕事なのか?まあ、リタのおかげで住む場は困ってないし…』
ブツブツ言ってると、リタの小屋の方からリタと長い黒髪の青年とピンク色の髪をした少女と
鞄を肩に掛けた少年と犬がこっちに向かって歩いてきた。
『あれ?リタ、どっか行くのか?えっと…あんたらは?』
リョウが問うと青年が
「お前こそ誰だよ?モルディオの知り合いか?」
『俺はリョウ・ゲキショウ。リタの護衛兼助手をしている者だ』
「なるほどな…お前が盗んだ可能性もある訳だな…」
『へ?盗む?何のこと?』
「とぼけんな。お前がモルディオと名乗って下町の魔核を盗んだんじゃねぇのか?」
青年はリョウに問い詰める。リョウはすぐに言い返そうとしたが、その前にリタが
「それはないわ。だってそいつ、帝都の行き方しらないわよ。」
『そうだ。帝都なんて行ったこともない』
「そういうことにしとくか」
そういうと青年はアスピオの出口の方へ向かっていった。
「あ、待ってよユーリ」
「ワン」
少年と犬はユーリと呼ばれた青年を追いかける。
『全く…何だよ、感じワリー奴』
「ごめんなさい!ユーリが失礼なことを言って」
今度はユーリと一緒にいた少女が謝ってきた。
『あんたが謝ることじゃねぇよ。それよりリタ、どういうことか説明してくれ』
「しょうがないわね…」
リタの説明によるとユーリの住む帝都の下町の水道魔導器(アクエブラスティア)の魔核が盗まれたらしい。その魔核ドロボウの名前がモルディオだと言う。
『なるほど。俺やリタを疑ってアスピオまで来たわけか』
「そういうこと。だから今からシャイコス遺跡へ行くわけ」
『ああ…盗賊団が現れた遺跡か』
「きっと、そいつらが絡んでいるわ。だから、買ったものを家に置いてきたらシャイコス遺跡へ来るのよ。あたし先に行ってるから」
と言いリタもアスピオの出口へ行った。
「何を買ったんです?」
『食料だよ。人使いが荒いんだから』
「助手の仕事も大変ですね」
『助手の仕事なのかな?これって…』
「申し遅れました。私エステリーゼって言います。エステルって呼んでください」
『じゃあエステルも先に行っててくれ。後で追いつくからさ』
「分かりました」
エステルもアスピオの出口へ行った。
リョウはリタの小屋へ買った物を収めてシャイコス遺跡へ向かった。
シャイコス遺跡
「ここがシャイコス遺跡よ」
「騎士団の方々、いませんね」
エステルが辺りを見回す。
「ワンッ」
「どうした?ラピード?」
ラピードと呼ばれた犬が何かを見つけたようだ。少年がそれを見て。
「これ足跡だよ。まだ新しいね数もたくさんあるよ」
「騎士団か、盗賊団か、その両方かってことだろ」
「きっとフレンの足跡もこの中にあるんでしょうね」
エステルはソワソワしている。リョウは〖フレンって誰?〗と内心思っていた。
「ほら、こっち。早く来て」
リタがユーリ達を誘導するが。
「モルディオさんは暗がりに連れ込んで、俺らを始末する気だな」
「…始末ね。その方があたしの好みだったかも」
「……」
「……」
リタとユーリは無言のままだ。
〖なんだこのピリピリした空気は…〗
「な、仲良くしましょうよ」
エステルが助け船を出した。リョウ達はひととおり遺跡を探索をすることにした。しかし、騎士団も盗賊団もいなかった。
『なあ、リタ』
「何?」
『もしかして、地下ってことは考えられねぇか?』
「まさか、地下の情報が外にもれて…」
「地下?」
「最近、地下の入り口が発見されたのよ。まだ一部の魔導士にしか、知られてないはずなのに」
「それを俺らに教えていいのかよ」
「しょうがないでしょ。身の潔白を証明するためだから」
「身の潔白ねぇ…」
ユーリはまだリタとリョウを疑っているようだ。リタは石像の地面を見つめる。すると、こすれた跡があった。そして少年が石像を動かそうとするが、びくともしない。それに見兼ねたリョウが
『しゃあないな。手伝ってやるよ。えっと…』
「カロル。僕はカロル・カペル」
『カロルか。ほら、もう少しだ』
石像が動き、下から階段が姿を現す。
「はぁはぁ…」
『大丈夫か?カロル?』
「このくらい余裕だよ…はぁはぁ…」
『大丈夫なら、行くとしますか』
リョウ達は階段を降りて行った。その先には遺跡が広がっていた。
「遺跡に入るのはじめてです…」
エステルはキラキラした目で先へ進もうとする。するとリタが
「そこ、足元滑るから気をつけて」
と注意を促す。その様子をユーリが見ている。
「なに見てんのよ」
「モルディオさんは意外とおやさしいなぁと思ってね」
「はあ…やっぱり面倒を引き連れてきた気がする。別にリョウと二人でも問題なかったのよね…」
「リタとリョウは二人でこの遺跡の調査に来るんです?」
「そうよ。」
「罠とか魔物とか危険なんじゃありません?」
「何かを得るためにリスクがあるなんて当たり前じゃない。その結果何かを傷つけてもあたしはそれを受け入れる」
「傷つくのがリタ自身でも?」
「そうよ」
「悩むことはないんです?ためらうとか…」
「何も傷付けずに望みを叶えようなんて悩み心が贅沢だからできるのよ」
「心が贅沢…」
「それに、魔導器はあたしを裏切らないから
…。面倒がなくて楽なの」
そう言ってリタは先へ進んでいった。
「……」
ユーリはリョウを見ていた。
『ん?どうした?』
「いや、お前、信用されてないんだな…って」
『まあ、まだ働いて半年ぐらいしか経ってないからな。これから少しずつでも信頼関係を築いていけばいいさ』
「まだ半年しか働いてないのか?」
『そう。半年前に森で…「リョウ。早く行くわよ。」
少し先からリョウを呼ぶリタの声が聞こえた。
『話してる暇はないみたいだな』
リョウ達は先へ進むことにした。
リタはユーリにソーサラーリングという魔導器を渡し、仕掛けを解いていき、遺跡の最深部に着いた。するとそこには巨大な石像…人型魔導器(ゴーレム)があった。
To be continued
スキット リョウとラピード
リョウ『この犬はたしか…』
ユーリ「ラピードっていうんだ」
ラピード「ワンッ(リョウにすり寄る)」
ユーリ「珍しいな…ラピードが他人に気を許すなんて」
リョウ『へぇ~そうなのか?よしよし(ラピードの頭を撫でる)』
ラピード「クゥ~ン」
ユーリ「気持ち良さそうにしてるな」
エステル「ズルいです…リョウ」
リョウ『なんか、視線を感じるんだけど…』
ユーリ「気にすんな」