天を照らす銀河   作:浮雲のソル

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第35話 ヨームゲン

リョウ『ん……ここは?』

 

 

リョウが目を覚ますと、見たことのない部屋だった。

 

 

リョウ『宿屋かここ?でも俺は砂漠でぶっ倒れて……』

 

 

とりあえずリョウは部屋を出ると、リタとカロルを見つけた。

 

 

リタ「リョウ!」

 

 

カロル「リョウも目が覚めたんだね!」

 

 

リョウ『おう。ここはどこだ?さっきまで砂漠にいたはずなのに……』

 

 

リタ「あたしも分からないわ」

 

 

カロル「とりあえず、ユーリ達を探そうよ」

 

 

3人は宿屋を出る。外にはユーリ、エステル、ジュディス、パティがいた。

 

 

リョウ『みんな!無事だったのか!あれ?レイヴンとラピードは?』

 

 

ジュディス「ここがどこか調べてくれているわ」

 

 

リタ「結界がない。変な街ね……」

 

 

カロル「砂漠の巨山部は無人地帯だって聞いたことがあるんだけどな」

 

 

レイヴンとラピードが戻ってきた。

 

 

リョウ『レイヴン、なにか分かったか?』

 

 

レイヴン「どうやらここがヨームゲンって街らしいぜ」

 

 

ユーリ「ヨームゲンってあの幽霊船の日記にあった街か?」

 

 

エステル「え、ここが?」

 

 

カロル「澄明の刻晶が必要っていう街?」

 

 

リョウ『結界がないからなこの街』

 

 

パティ「だから魔物を退ける方法を探しておったのじゃな」

 

 

レイヴン「でも、あれは千年も前の話でしょ」

 

 

ユーリ「ああ。それに結界なしで暮らしてるなんて妙だ」

 

 

ジュディス「街の人に澄明の刻晶の箱を見せて、話を聞いてみてはどう?」

 

 

エステル「そうですね。フェローについても何か聞けるかも知れません」

 

 

 

 

 

 

 

 

エステルが箱を持って歩いていると、ひとりの女性が

 

 

女性「その箱……」

 

 

エステル「この箱について何かご存じなんですか!?」

 

 

女性「その箱は……ロンチーの持っていた……それをどこで?」

 

 

リョウ『アーセルム号って船なんだが……』

 

 

女性「あなた方、アーセルム号をご存知なんですか!?」

 

 

リョウ『偶然、海で見つけたんだ』

 

 

女性「私の恋人ロンチーに会いませんでしたか?」

 

 

リョウ『俺達が見たのは船の方だけだ』

 

 

女性「そうですか……」

 

 

ジュディス「あなたの名前を聞いていいかしら?」

 

 

女性「私はユイファンといいます」

 

 

エステル「アーセルム号にあった日記あった名前ですね」

 

 

カロル「同じ名前の子孫かな?」

 

 

ユーリ「あんた、澄明の刻晶って知ってるか?」

 

 

ユイファン「結界を作るために必要なものだと賢人(さかびと)様がおっしゃっていました。ま、まさか、その箱の中に?」

 

 

エステル「はい。わたし達届けにきたんです」

 

 

ユイファン「そう、だったんですか」

 

 

ユイファンは小さな鍵を取り出した。

 

 

リタ「その鍵、まさか……」

 

 

ユイファン「箱を貸してもらえますか?」

 

 

ガチャッ

 

 

箱が開き、大きな宝石のようなものが入っていた。

 

 

リョウ『これが澄明の刻晶?』

 

 

リタ「みたいね……」

 

 

パティ「きれいなのじゃ」

 

 

レイヴン「で、賢人様って誰のことよ?」

 

 

ユイファン「賢人様は、砂漠の向こうからいらしたクリティア族の偉いお方です。

結界を作るために澄明の刻晶が必要だって賢人様がおっしゃって。

それを探すためにロンチーは旅に出てもう3年にもなります」

 

 

ユーリ「……3年ね。そりゃ心配するわな」

 

 

リョウ達はひそひそと

 

 

カロル「なんか色々話がおかしくない?」

 

 

エステル「なんだか、話がかみ合ってませんね」

 

 

レイヴン「千年の間違いじゃないん?」

 

 

リョウ『じゃあ、彼女は何歳だ?』

 

 

ジュディス「とりあえずその賢人様に話を聞いた方が早いと思うけれど」

 

 

リョウ『そうだな……賢人様ってのはどこにいるんだ?』

 

 

ユイファン「街の一番奥の家にいます。澄明の刻晶を賢人様のところに持って行っていただげますか?」

 

 

リョウ『分かった』

 

 

 

 

 

 

 

 

賢人の屋敷に入るリョウ達

 

 

リョウ『邪魔するよ』

 

 

声を聞き、振り返る男、それはデュークだった。

 

 

リョウ『あんた……ケーブ・モックにいた……』

 

 

デューク「リョウ……なぜおまえがここに?」

 

 

リョウ『砂漠を越えて来たんだ。んで、これを届けに』

 

 

リョウは澄明の刻晶を渡す。

 

 

デューク「わざわざ、悪いことをした」

 

 

リタ「あんた、結界を作るつまり、結界魔導器を作るって言ってるそうじゃない。賢人気取ってそんな魔核じゃない怪しいものを使って結界魔導器を作るなんて……」

 

 

デューク「魔核ではないが、魔核と同じエアルの塊だ。術式が刻まれてないだけのこと」

 

 

リタ「どういうこと?」

 

 

デューク「一般的には聖核と呼ばれている。澄明の刻晶はそのひとつだ」

 

 

リョウ『聖核ってたしかレイヴンが探してるものじゃなかったっけ?』

 

 

レイヴン「これが聖核か……」

 

 

デューク「それに賢人は私ではない。かの者はもう死んだ」

 

 

リョウ『そうなのか?じゃあ、それ(澄明の刻晶)どうしよう』

 

 

デューク「これは人の世には必要ないものだ」

 

 

デュークは聖核を床に置き、剣を突き立てる。

すると、デュークの周囲から光が放たれ、聖核は消えた。

 

 

レイヴン「あっちゃ~。せっかくの聖核を」

 

 

デューク「聖核は人の世に混乱をもたらす。エアルに還した方がいい」

 

 

リタ「エアルに還す?今の本当にそれだけ?」

 

 

エステル「聖核はこの街を魔物から救うために必要だったんじゃないんです?」

 

 

デューク「この街に、結界も救いも不要だ。ここは悠久の平穏が約束されているのだから」

 

 

エステル「でも、フェローのような魔物も近くにいるんですよ」

 

 

デューク「なぜ、フェローのことを知っている」

 

 

ユーリ「あんたも知ってんのか?」

 

 

エステル「知っていること教えてくれませんか?わたし、フェローに忌まわしき毒だと言われました」

 

 

デューク「なるほど……この世界には始祖の隷長(エンテレケイア)が忌み嫌う力の使い手がいる」

 

 

リョウ『始祖の隷長?』

 

 

デューク「古い一族の名だ。そしてその力の使い手を満月の子という」

 

 

エステル「それが、わたし……?もしかして始祖の隷長っていうのはフェローのことですか?」

 

 

デューク「その通りだ」

 

 

エステル「どうして始祖の隷長は満月の子を嫌うんです?満月の子の力っていったい……」

 

 

デューク「真意は始祖の隷長本人の心のうち。直接聞くしか方法はない」

 

 

エステル「やっぱりフェローに会うしか……」

 

 

デューク「会ったところで、消されるだけ。おろかなことはやめるがいい」

 

 

エステル「でも……!」

 

 

リタ「エステル、もうやめとこう」

 

 

デューク「立ち去れ。もはやここには用はなかろう」

 

 

リョウ『待て!あんたは俺のことを知っているのか?』

 

 

デューク「どういう意味だ?」

 

 

リョウ『ケーブ・モックで会った時、あんたは俺を見て動揺した。俺は記憶喪失だ。だから、俺は自分が何者なのか知りたい!知っていることがあれば教えてくれ!』

 

 

デューク「ひとつだけ教えよう」

 

 

リョウ『なんだ?』

 

 

デューク「リョウ・ゲキショウはもうこの世にはいない」

 

 

リョウ『どういう意味だ?』

 

 

デューク「そのままの意味だ。もう話すことはない」

 

 

デュークは去っていった。

 

 

リタ「ちょっと待ちなさい!」

 

 

リョウ『リタ、もういい。あの様子じゃこれ以上なにも答えないだろうな……』

 

 

カロル「前にイエガーが言ったことと似てるね……」

 

 

レイヴン「10年前に死んだ。もうこの世にはいない……ね」

 

 

ユーリ「とりあえず、屋敷から出ようぜ」

 

 

リョウ達は賢人の屋敷から出た。

 

 

 

 

 

 

カロル「これからどうする?」

 

 

リタ「あたしとリョウはカドスの喉笛のエアルクレーネに行きたいわ」

 

 

レイヴン「俺様はベリウスに手紙渡さないとなぁ」

 

 

ジュディス「みんなでノードポリカに向かうのはどう?ベリウスに会えば、いろいろ分かると思うわ」

 

 

エステル「そうなんです?」

 

 

リョウ『カドスの喉笛を通らないといけないからちょうどいいな』

 

 

ユーリ「じゃあ、決定だな」

 

 

リョウ達はヨームゲンを後にした。

 

 

To be continued

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