ノードポリカ
ノードポリカに着いたリョウ達は宿屋に泊まり、新月の夜がやってきた。
ベリウスに会うべく、ナッツのもとを訪れる。
ユーリ「ベリウスに会いに来た」
ナッツ「あんた達は……ドン・ホワイトホースの使いだったかな」
レイヴン「そゆワケだから通してもらいたいんだけど」
ナッツ「そちらは通ってもよいが……。他のものは控えてもらいたい」
エステル「そんな…」
???「よい。皆通せ」
奥の方から何者かの声が聞こえた。
ナッツ「統領!しかし……」
???「良いというておる」
ナッツ「分かりました。くれぐれも中で見たことは、他言無用で願いたい」
リョウ『分かった。約束する』
ナッツ「この先に我が主ベリウスはいる」
統領の私室に入ると、そこは暗闇だった。
リョウ『真っ暗じゃねえか……どこにいるんだ?』
部屋に炎が灯ると、そこには巨大な狐のような姿が浮かび上がった。
カロル「ま、魔物……!」
ユーリ「ったく、罠とはな」
ジュディス「罠ではないわ。彼女が…」
エステル「ベリウス?」
???「いかにも。わらわがノードポリカの統領、騎士の殿堂を束ねるベリウスじゃ」
エステル「あなたも、人の言葉を話せるのですね」
ベリウス「先刻そなたらは、フェローに会うておろう。なれば、さほど珍しくもあるまいて」
ユーリ「あんた始祖の隷長だな?」
ベリウス「左様じゃ」
レイヴン「…ドンのじいさん、知ってて隠してやがったな」
ベリウス「そなたは?」
レイヴン「ドン・ホワイトホース部下のレイヴン。書状を持って来たぜ。あのじいさんとはどういう関係なのよ?」
ベリウス「人魔戦争の折に、色々と世話になったのじゃ」
リョウ『人魔戦争?』
ベリウス「そなたは知らぬのか?」
リョウ『ああ……』
ベリウス「10年前、人間と始祖の隷長の間で起きた戦いよ」
リョウ『10年前……』
10年前に死んだのですから
イエガーの言葉が頭の中で蘇る。
リョウ〖10年前、俺は人魔戦争に参加していた?でもそれはおかしい。10年前だったら俺はまだ小さいはずだ……〗
ベリウス「いずれにせよ、ドンとはその頃からの付き合い。あれは人間にしておくのは惜しい男よな」
レイヴン「じいさんが人魔戦争とかかわってたなんて話、初めて聞いたぜ」
ベリウス「やつとて話したくないことぐらいあろう。さて、ドンはフェローとの仲立ちをわらわに求めている。
ドンの願いを無碍にはできぬ。一応承知しておこうかの」
レイヴン「ふぃ~。いい人で助かったわ」
ユーリ「ギルドの長をやってんのもいる。始祖の隷長ってのは妙な連中だな」
ベリウス「そなたら人も同じであろう。さて、用向きは書状だけではあるまい。のう。満月の子よ」
リタ「わかるの?エステルが満月の子だって……」
ベリウス「我ら始祖の隷長は満月の子を感じることができるのじゃ」
エステル「満月の子とは、いったい何なのですか?わたし、フェローに忌まわしき毒と言われました。あれはどういう意味なんですか?」
ベリウス「ふむ。それを知ったところでそなたの運命が変わるかわからぬが……」
ジュディス「ベリウス。その事なのだけれど……」
ベリウス「ふむ。何かあるというのか?」
ジュディス「フェローは……」
???「遂に見つけたぞ、始祖の隷長!魔物を率いる悪の根源め!」
突然、扉が開かれ、男ふたりが入ってきた。
カロル「ティソン!首領!」
ティソン「これはカロル君御一行。化け物と仲良くお話しするとは変わった趣味だな」
カロル「な、ナンは……?」
ティソン「気になるか?今頃、闘技場で魔物狩りを指揮している頃だろうよ。
邪魔するやつは人間だって容赦しねえぜ」
クリント「我が刃の錆になれ!化け物!」
クリントはベリウスに斬りかかるが、ベリウスは片手で剣を受け止める。
ベリウス「そなたらはナッツの加勢にいってもらえぬか」
ユーリ「わかった。行くぞ!」
闘技場に入るリョウ達、そこには
ナン「闘技場は現在、魔狩りの剣が制圧した!速やかに退去せよ!」
カロル「ナン!」
ナン「カロル?なんでここに……」
カロル「ギルド同士の抗争はユニオンじゃ厳禁でしょ!」
ナン「何言ってんの!これはユニオンから直々に依頼された仕事なんだから!」
レイヴン「何だと?」
ナンの後ろから、金髪の男が現れる。
レイヴン「おまえ……ハリー!?」
リョウ『誰だ?』
レイヴン「ドンの孫のハリーだ」
リョウ『ドンの孫?』
レイヴン「ちょっと何がどうなっているのよ?」
ハリー「おまえもドンに命令されたろ?聖核を探せって」
レイヴン「ああ、でも聖核とこの騒ぎ、何の関係があるってんだ?」
レイヴンの話をよそに、駆け出していくジュディス
リョウ『ジュディス!どうした!』
エステル「ナッツさん!」
レイヴン「ええい!こっちの話、終わってねえのに……!」
リョウ達はナッツを取り囲む魔狩りの剣の一員を蹴散らす。
エステルはナッツに治癒術をかける。
ナッツ「あんた治癒術師だったんだな。おかげで命拾いしたよ」
パリィィィン
突然ガラスの割れる音がして、ベリウスとクリント、ティソンが落ちてきた。
ナッツ「ベリウス様!」
ベリウス「ナッツ。無事のようだの。まだやるか、人間ども!」
クリント「この…悪の根源め…」
ティソン「この……魔物風情が……」
ティソンはベリウスに襲いかかろうとするが、ジュディスが食い止める。
パティ「ジュディ姐…!」
エステル「すぐに治します!」
エステルはベリウスに治癒術をかけようとする
ベリウス「ならぬ、そなたの力は……」
ジュディス「だめ!」
エステルが治癒術を使うと、ベリウスの全身が光りはじめる。
リョウ『な、なんだ?』
リタ「エステルの術式に反応した?でもこれは……」
ベリウス「ぐぁぁぁぁぁぁ!!」
ジュディス「遅かった……」
エステル「わたしのせい……?」
ベリウスは暴れ狂い、やがてその場で倒れ,青く光り始めた。
ジュディス「こんな結果になるなんて……」
エステル「ごめんなさい……わたし……」
ベリウス「気に……病むでない……。そなたはわらわを救おうとしてくれたのであろう…」
エステル「……でも」
ベリウス「力は己を傲慢にする……だが、そなたは違うようじゃな。
他者を慈しむ優しき心を……大切にするのじゃ……。フェローに会うがよい……己の運命を確かめたいのであれば……」
エステル「フェローに?」
ベリウス「ナッツ、世話になったのう。この者達を恨むでないぞ……」
ナッツ「ベリウス様!!」
ジュディス「ベリウス……さようなら……」
あたりが光に包まれる。ベリウスがいた場所には、光り輝く石があった。
リョウ『これは……聖核……』
ベリウス「わらわの魂、蒼穹の水玉(キュアノシエル)を我が友、ドン・ホワイトホースに」
レイヴン「ハリーが言ってたのはこういうわけか」
クリント「人間……その石を渡せ」
ソディア「そこまでだ!全員、武器を置け!」
闘技場に騎士団が乱入してきた。
リョウ『次から次へと……』
ソディア「闘技場にいる者を、すべて捕らえろ!」
パティ「逃げ道を確保したのじゃ!急ぐのじゃ!」
パティが煙幕を張り。辺りは煙だらけになった。
リョウ『ナイスだパティ!』
リョウ達は闘技場から出ていった。
リョウ達が港から脱出しようと港に向かっていると。フレンが立っていた。
エステル「フレン……」
フレン「エステリーゼ様と、手に入れた石を渡してくれ」
エステル「どうして、聖核のことを……」
ユーリ「騎士団の狙いも、この聖核ってわけか」
カロル「魔狩りの剣も欲しがってた……」
リョウ『聖核は人の世に混乱をもたらす……か』
フレン「渡してくれ」
フレンは剣に手をかける。
リョウ『力ずくかよ……』
ユーリ「任務かなんか知らねえけど、力で全部抑えつけやがって。ラゴウやキュモールにでもなるつもりか!」
フレン「なら、僕も消すか?ラゴウやキュモールのように……」
カロル「え……それって……?」
ユーリ「お前が悪党になるならな」
立ち尽くすフレンの横を抜けて、リョウ達は港に着き、船に乗り込む。
レイヴン「こいつも一緒に乗せてやってくれ」
リョウ『レイヴン!いつのまに……あんたは』
レイヴンがいつの間にか船に乗っており、ハリーも連れていた。
船はノードポリカの港を離れ、高速で進んで行く。
リョウ『いくらなんでも速すぎねえか?』
ドォォォォン
リョウ『な、なんだ?』
爆発音がし、その音の場所へ向かうと、ジュディスが駆動魔導器を破壊していた。
リタ「どうして?」
ジュディス「私の道だから……さようなら」
ユーリ「ジュディ!待て!」
咆哮が聞こえ、ラゴウ邸で見た竜がやって来て、ジュディスは竜に乗ってどこかへと去っていった。
リョウ『ジュディスが竜使いだったのか……』
リタ「なんで、どうしてよ!?」
To be continued