テムザ山に着いたリョウ達
レイヴン「到着~。ここがテムザ山よ」
カロル「これ、人の足跡だよね?ずいぶんたくさんあるな」
エステル「魔狩りの剣でしょうか?」
ユーリ「騎士団かもな」
エステル「え?どうして騎士団が?」
ユーリ「フレンも聖核を探してた。魔狩りの剣が聖核を狙ってここに来てるんなら、騎士団も聖核を狙って来てるかもしれない」
エステル「なぜみんな聖核を手に入れようとするんでしょう?」
ユーリ「ジュディが全部話してくれたら、何かわかるかもしれないな」
カロル「ねえ!ちょっと来てよ!ここ、なんかすごいよ!」
先に行ったカロルに呼ばれた場所まで行くと、巨大なへこみがいくつも見える。
リタ「なによこれ、山が削れてる……」
リョウ達は巨大なへこみのそばに行く。
ユーリ「近くで見ると、よりひどいな」
エステル「何かが爆発したあとみたい……」
カロル「爆発って……こんなことできる魔物なんているの?」
レイヴン「ああ。その魔物なら、とっくに退治されたから」
パティ「退治されたって、どういうことなのじゃ?」
リョウ『ここが人魔戦争の戦場だったからな』
カロル「え!そうなの?」
レイヴン「リョウ君、なんでそのことを?」
リョウ『なんか思い出したんだ……』
レイヴン「ここが戦場だったことは、当事者ぐらいしか知らないはずよ」
リョウ『じゃあレイヴンも?』
その時、空に咆哮が響き渡る。
リタ「あの声……バカドラ!?」
ユーリ「今はとりあえず急ぐぞ!」
山頂に向かう道中ユーリが立ち止まり。
ユーリ「なあ、リョウとレイヴン以外のみんなはここが戦場だったことは知っていたのか?」
カロル「ううん。初めて聞いた」
エステル「初めてです。人魔戦争自体謎に包まれていますから」
パティ「うちもじゃ」
リタ「あたしも」
ユーリ「レイヴンは人魔戦争に参加してたんだろ?ここが戦場だったことを知ってるからな」
レイヴン「まあ、そうなんだけど……」
カロル「じゃあなんでリョウも知ってるの?」
エステル「まさかリョウも人魔戦争に……?」
リョウ『それはないな。だって10年前だぜ、さすがに小さな子供が戦争に参加しないだろ』
リタ「もしかしてここがリョウの故郷?参加はしてなくても巻き込まれたなら」
レイヴン「それもありえんでしょ」
リタ「なんでよ?」
レイヴン「ここに10年前、街はあったけどクリティア族の街だったからね」
リョウ『俺はクリティア族じゃないからな』
リタ「他に思い出したことはないの?」
リョウ『それが……ここが戦場だったこと以外はさっぱりだ』
カロル「イエガーが言ったんだよね?リョウは10年前に死んだって……。10年前はちょうど人魔戦争と重なる時期だよ」
パティ「デュークもリョウはこの世にはいないって言ったのじゃ」
リョウ『俺は人魔戦争で何らかの形で関わって死んだのか?でも俺は生きてる……。う~ん考えれば考える程訳が分からん』
ユーリ「先に進めば何か思い出すんじゃないのか?」
リョウ『そうかもな』
リョウ達はとりあえず先に進むことにした。
山を登っていくと、廃墟が立ち並ぶ場所に着いた。
エステル「ここがクリティア族の街……?」
リョウ『廃墟しかないな』
カロル「ジュディスはここに何しに来たんだろう……?」
ラピード「グルルルル」
ラピードが警戒した場所から、男達が吹き飛ばされてきた。
カロル「魔狩りの剣!」
男達を吹き飛ばしたのはジュディスだった。
リョウ『ジュディス!』
ジュディス「あなた達……」
男A「くそっ!」
男B「ティソンさんとナンに知らせろ!」
ユーリ「うちのモンに手ぇ出すんじゃねぇよ。掟に反しているならケジメはオレらせつける。引っ込んでな!」
男B「我々は奥に行って魔物を狩りたいだけだ」
男A「邪魔をするな!」
リタ「もう、面倒くさいなぁ、ぶっ飛ばしちゃおうか」
パティ「話の邪魔をする奴は永久にそこに倒れておけなのじゃ」
リョウ『失せろ。さもないと……』
男達は黙って去っていった。
ジュディス「追ってきたのね。私を」
ユーリ「ああ。ギルドのケジメをつけるためにな」
カロル「ジュディス。全部話して欲しいんだよ」
ユーリ「事と次第によっちゃ、ジュディでも許すわけにはいかない」
ジュディス「不義には罰を……だったかしらね。そうね。それがいいことなのか正直分からないけど。あなた達はここまで来てしまったのだから。来て」
リョウ達はジュディスについていく
カロル「ユーリ……ジュディスでも許さないって……」
ユーリ「ドンの覚悟見てまだまだ甘かったことを思い知らされた。討たなきゃいけないヤツは討つ。例えそれが仲間でも、始祖の隷長でも、友でも」
カロル「フレンやフェローでもってこと?」
ユーリ「ああ。それが俺の選んだ道だ」
山を登っていくリョウ達
ジュディス「ここが……人魔戦争の戦場だったことはもう知ってる?」
ユーリ「ああ」
ジュディス「人魔戦争……あの戦争の発端はある魔導器だったの」
リョウ『なんだと!』
ジュディス「その魔導器は発掘されたものじゃなく、テムザの街で開発された新しい技術で作られたもの。ヘルメス式魔導器」
リタ「初めて聞いたわ……。それに新しく作られたって……」
リョウ『魔導器を作るなんて……』
ジュディス「ヘルメス式魔導器は、従来のものよりエアルを効率よく活動に変換して、魔導器技術の革命になる……はずだった」
ユーリ「何か問題があったんだな」
ジュディス「ヘルメス式魔導器はエアルを大量に消費するの。消費されたエアルを補うために各地のエアルクレーネは活動を強め、異常にエアルを放出し始めた」
リタ「そんなことが起きたらすべての生物が生きていけなくなるわ!」
レイヴン「ケーブ・モックやカドスの喉笛で見たアレか。そりゃやばいわな」
ジュディス「人よりも先にヘルメス式魔導器の危険性に気付いた始祖の隷長は、ヘルメス式魔導器を破壊し始めた」
リョウ『それが人魔戦争に発展したんだな』
カロル「じゃあ、始祖の隷長は世界のために人と戦ったの!?」
パティ「でも……この話がジュディ姐に何の関係があるのじゃ?」
ジュディス「テムザの街が滅んで、ヘルメス式魔導器の技術は失われたはずだった……」
リョウ『まだ稼働しているんだな?ヘルメス式が』
ジュディス「そう。私の壊した魔導器はすべてヘルメス式よ」
エステル「それじゃあ、ジュディスは始祖の隷長に替わって魔導器を壊して……」
リタ「なら!言えばよかったじゃない!どうして話さなかったのよ!ひとりで世界を救ってるつもり?バカじゃないの!?」
リョウ『リタの言う通りだ。話してくれれば……ん?』
山の奥地が光を放った。
ジュディス「バウル!」
ジュディスが光の方へ行こうとすると、ふたつの影が飛び込んできた。
ナンとティソンだった。
ティソン「どうやら魔物はそこにいるようだな」
ジュディス「行かせないわ」
ナン「人でありながら魔物を守るなんて理解できない!」
リタ「まだ話の途中なのよ!邪魔すんな!」
パティ「まったく、無粋な連中なのじゃ」
レイヴン「アツイのは専門外なんだがなぁ」
リョウ『失せろ。何回も言わせんな』
ジュディス「あなた達……」
ティソン「邪魔だてするのなら……」
ナン「仕方ありませんね」
リョウ『おい、フード野郎』
ティソン「あん?」
リョウ『おまえ弱そうだから、俺ひとりで相手してやるよ』
ティソン「なんだと……?いい度胸じゃねえか!!」
挑発を受けたティソンはリョウに向かって突進して体術を繰り出すが、リョウはすべて避ける。
リョウ『どうした?フード野郎。攻撃ってのは当たらないと意味ないぞ~』
ティソン「なめやがって、ガキが」
ティソンは一旦リョウから距離を取る。
リョウ『そんな距離からどう攻撃するんだ?』
ティソン「ほざいてろ!!」
ティソンが右手を地面に埋める。すると、リョウの足元から蛇状の闘気が出てきてリョウを打ち上げた。
リョウ『しまった……なんてな!』
リョウは空中で回転しながら炎を纏う。
ティソン「野郎、まさか……」
ティソンはその場から離れようとしたが、右手を地面に埋めておりなかなか抜けない
ティソン「クソがっ!」
リョウ『くらいな!火炎流星斬!!』
ティソンに向かって急降下し、大爆発を起こした。
ティソン「ぐああああああ」
ティソンは吹き飛び地面に叩きつけられた。
ナン「師匠!!」
リョウ『命まではとってねえ。だからそいつを連れてとっとと失せろ』
ナン「くっ……」
ナンはティソンを連れて去っていった。
山の奥に入ると、横たわった竜……バウルが光を放っていた。
リョウ『一体何が?』
ジュディス「バウルは成長しようとしているの……始祖の隷長としてね」
カロル「苦しそう……」
パティ「がんばるのじゃぞ」
エステルが駆け寄るが
ジュディス「だめ!」
エステル「治してあげたくても、あなたにとってわたしの力は毒なんですよね……」
ユーリ「傷を癒せるのがエステルの力じゃないぜ」
エステル「え?」
リョウ『ベリウスの言葉、覚えてないのか?』
エステル「慈しむ心……」
ジュディス「バウルにも伝わっているわ。きっと……。あなたの気持ち」
光が強くなり、あたりを包む。光が消えるとそこには巨大な姿に成長したバウルがいた。
レイヴン「おほー」
リョウ『すげえな……』
バウルはエステルの方を見て吠える
ジュディス「言ったでしょう?ちゃんと伝わってるって」
エステル「ふふ」
ジュディス「フェローにも伝わるかもしれない。会う?フェローに」
エステル「会います。それがわたしの旅の目的だから」
リタ「いいの?殺されちゃうかもしれないのよ」
エステル「はい。わたしも覚悟を決めなきゃ……」
レイヴン「そろそろ魔狩りの剣の援軍が来そうよ」
カロル「でも下りる道ひとつしかないよ。鉢合わせちゃう」
リョウ『下が駄目なら上だな』
ジュディス「そうね。とりあえず乗って。フィエルティア号まで飛ぶわ。話の続きはそこで、ね」
リョウ達はバウルに乗り、テムザ山を脱出した。
To be continued