一行はエフミドの丘へ着いた。
「ここがエフミドの丘?」
「そう…だけど…結界がなくなってる」
『こんなとこに結界があったのか?』
「うん、来る時はあったよ。最近設置されたってナンが言ってたし」
「ナンって誰ですか?」
「えっとギ、ギルドの仲間だよ。ちょっと情報集めてくる!」
そう言い、カロルは先へ進んで行った。
「どうしたの?あのガキんちょ」
『さぁ?分かんねぇ』
少し先に進むと、壊れた魔導器が道をふさいでいた。それを見たリタはすぐにその魔導器に走って行った。
『あっ!ちょっと待てって、リタ』
すぐにリョウがリタを追いかける。
「あいつも大変だな…」
「でも、リョウ、楽しそうですよ」
「そうは見えねぇんだが…」
ユーリとエステルが話していると、カロルが帰ってきた。
「ふたりとも聞いて!それが一瞬だったらしいよ!ガツン!ドカン!って」
「何がどうだって?」
詳しく説明すると、竜に乗った者が槍で魔導器を壊したらしい。カロルがそう説明していると、リタとリョウが騒ぎを起こしているのに気付く。
「こんな変な術式の使い方して、魔導器が可哀想でしょ!」
『リタ、とりあえず落ち着けって』
リョウがリタに落ち着くように言うが。リタは聞く耳を持たない。すると、ぞろぞろと騎士がこっちに向かってくる。
『〖こうなったら…〗逃げるぞ!リタ!』
リタの腕をつかみ、ユーリ達の方へ走る。
「ちょっと、放しなさいよ!リョウ!」
『捕まったら、元も子もねぇだろ!』
「ふたりとも、こっちだ。」
ユーリ達と合流し、草むらに逃げ込む。
『あれ?そういえばカロルは?』
リョウはカロルがいないことに気付く。
「カロルなら囮になったぜ」
『そうか…カロル…おまえの死は無駄にしないよ…』
「勝手に殺さないでよ!」
そんなツッコミと共にカロルが草むらから出てきた。
『ははっ冗談冗談』
「バカっぽい…」
リタが呆れていると、入口の方から
「ユーリ・ローウェル!どこに逃げよったあ!」
「エステリーゼ様~!出てきてくださいのであ~る!」
「ユーリ、出てこ~い!」
ハルルで戦った騎士達の声がしてきた。
『有名人だな、ユーリは、というより何者なんだあんたら』
「えと、わたしは…」
「そんな話はあとあと」
なにか事情がありそうなので、リョウはこれ以上聞かないことにした。
『で?これからどこいくんだ?俺達』
「ノール港だ」
「えと、どちらに向かえばいいんでしょうか?」
「方角的には…」
いちおう道らしきものの先を指さすカロル。
「これって獣道よね?進めるの?」
「行けるところまで行くぞ。捕まるのはたくさんだ」
「魔物にも注意が必要ですね。」
そして一行は魔物を倒しながら進んで行った。
『散沙雨!!』
魔物を倒したリョウにユーリが近づいてきた。
「なあ、リョウ?」
『ん?なんだユーリ?』
「おまえって、結構力あるのか?」
『う~ん…まあ、普通かな。なんでそんなこと聞くんだ?』
「おまえの持ってる白い太刀、重そうな割には軽々と使ってんなと思って」
『実際、軽いからなこの太刀。自分の腕だと思うくらいな』
「そんなに軽いのか!?」
『ああ、持ってみるか?』
リョウはユーリに白い太刀を渡す…が
「ちょ、おまっ…これ重っ」
ユーリはあまりの重さに驚き、太刀を地面に降ろす。もう一度、持とうとしたがまったく持ち上がらない。
『…なにやってんだ?ユーリ?』
「おまえ!!無茶苦茶重いじゃねぇか!!おまえ馬鹿力にも程があるぞ!!」
『ユーリが力ないんじゃねぇの?』
リョウは地面に置かれた太刀をヒョイッと持ち上げる。
「ウソだろ!!」
『こんなに軽いのに…情けない…』
「おまえの力がすげぇんだって…」
『だったら、カロルに持たせてみるか?あいつも重い武器使ってるし』
「そうだな…おーいカロルー」
「なに~ユーリ、リョウ?」
カロルがやってきた。
『ちょっとこの太刀持ってみて』
「なにかと思えば、そんなこと?僕はギルドのエースだよ。太刀ぐらい…って重っ!!」
結果はユーリと同じくまったく持ち上げられなかった。
「いったい、どんな素材でできてるんだその太刀?」
『さあ?』
「さあ?って…」
『気付いたら、持ってたからなこの太刀。』
「その太刀のことも覚えてないのか?」
『ああ…まったくな…太刀(こいつ)の名前も分かんねぇんだ。まあ、その内思い出すだろ。さきへ行こうぜ』
「ああ、そうだな」
しばらく進んで行くと、大きな赤い花を見つける。リタが近づいてみるが…
「リタ!触っちゃだめ!ビリバリハの花粉を吸いこむと目眩と激しい脱力感に襲われる、です」
と、エステルが注意する。
「ふーん…」
リタはカロルの背後に回り、花の方にドンッと背中を押す。
「ちょ、なにを…」
「あ、ゴメン!」
〖絶対、わざとだな…〗
「カロル、大丈夫です!?」
ピヨピヨ状態のカロルにエステルは治癒術を使う。その様子を見ていたリタにユーリが
「治癒術に興味あんのか?」
「別に…」
「…だめですね。治癒術では治りません。自然に回復するのを待つしかなさそうです」
しばらくして、カロルが回復し、さらに先へ進む。すると少し開けた場所に出る。
『狭い道通ってきたからやけに広く感じるな』
その時、獣の咆哮が響き渡る。声のする方へ目をやると、巨大な魔物が崖の上からこちらを見下ろしている。
「わあああっ!あ、あれ、ハルルを襲ったガットゥーゾっていう魔物だよ!」
「へぇ、こいつがね。生き残りってわけか」
「ほっといたらまたハルルを荒らしに行くわね。たぶん」
『今は結界があるけど近所にこんなのがいたらな…来るぞ!』
ガットゥーゾは崖から降り、こっちに向かって突進してくるが、誰にも当たらなかった。
『散沙雨!!』
リョウは太刀の連続突きを放つが、ガットゥーゾの爪でガードされてしまう。技の隙を狙ってガットゥーゾが爪で攻撃してきた。リョウは避けることができず、少しくらってしまう。
『ぐっ!』
「リョウ!大丈夫です!?」
『傷は浅いけど、毒くらっちまった』
「今、治します。卑しき病みよ、退け。リカバー」
リョウの毒が消えた。
『ありがとう、エステル』
「ゆらめく焔、猛追!ファイアボール!」
リタのファイアボールがガットゥーゾに当たる。ダメージが大きいようだ。
「もしかして火に弱いのかな?」
「そうかもな…おっと。」
ユーリとカロルとラピードに小型の魔物…ガットゥーゾ・ピコが襲いかかる。
「俺らはこいつの相手か…」
〖火に弱いならあの技を使えば…〗
ガットゥーゾはリョウに向かって突進してくる。リョウは自分の後ろにビリバリハの花があることに気付いた。そして、リョウは高くジャンプすると、ガットゥーゾはビリバリハの花に当たり花粉が拡散し、吸い込んだ。ガットゥーゾはその場から動けなくなった。
『もらったぁぁぁ!火炎裂空!!』
リョウは、炎をまとって急降下し、さらに回転をしながらガットゥーゾを何度も切った。ガットゥーゾは炎に包まれ、そのまま絶命した。
「こっちも、おわったぜ」
「ふう…小さいけど強かったなぁ…」
「ワンッ」
ユーリとカロルとラピードもガットゥーゾ・ピコを倒したようだ。
「すごいですリョウ!ビリバリハの花を利用して倒すなんて!」
『とっさに思いついた割にはうまくいったよ』
「それでも、すごいです。カッコよかったです!」
『よせよ、照れるだろ』
リョウは少し顔を赤くする。
「…」
リョウとエステルのやりとりをリタは不機嫌そうに見ている。
「どうしたの?リタ?」
カロルが尋ねるがリタは「別に…」と答えるだけ。するとユーリが
「ふーん、なるほどねぇ…」
「な、なによ…」
「なんでもねぇよ。さ、行くぞみんな」
さらに獣道を進んで行くと、視界が急に開ける。そこには一面に広がる青い海。
「うわあ…」
「これ…って…」
『きれいだな…』
海に感激する一行。ふと、リョウは2つの不自然な形の石が目にはいる。
〖なんだ?これ?墓…のようなそうじゃないないような…1つはなんか懐かしいような…もう1つは…〗
「おーいリョウ、先に行くぞー」
『分かった。今、行く』
ユーリに呼ばれ、再び獣道へ戻る一行。
一行が海の見える丘から去ったあと、刀を持った黒髪の男が現れる。
「なぜ…奴が生きている?奴は私が…まあいい、奴はあの方にとっては邪魔にしかならない…また斬滅するのみ…」
男はリョウ達を追う。ただならぬ殺気を持ったまま…
To be continued
スキット 違和感
カロル「海、きれいだったね」
エステル「はい!とても!」
リョウ『……』
カロル「リョウ?難しい顔してどうしたの?海、きれいじゃなかった?」
リョウ『いや、そんなことはないぞ。海はきれいだったけど…』
カロル「けど?」
リョウ『いや、なんでもねえ。早く先へ行こうぜ』
カロル「分かった」
リョウ〖あの石…いや…墓なのか?なんか…とても懐かしいような…でもなんでそう思うんだ?〗