ザーフィアス城ホール
リョウ『……』
リョウはひとりホールの天井を見ている。
ユーリ「なにしてんだ?」
リョウ『ん?ユーリか』
ユーリ「エステルのことでリタを手伝わなくていいのか?」
リョウ『ああ。俺には難しいことでね。リタに任せる。それに、久しぶりにエステルに会って話したいこともあるだろうし』
ユーリ「それが本音か?」
リョウ『……正直言うと、ひとりで考え事をしたいからだ』
ユーリ「なんかあったのか?」
リョウ『アレクセイの野郎が言ってたことがどうも引っかかるんだ』
ユーリ「どのことだ?」
リョウ『10年前に俺がアレクセイの計画を知って阻止しようとしたことについてだ。でも何の計画だったのか思い出せないんだ』
ユーリ「エステルを使ってザウデを復活させることじゃねえのか?」
リョウ『いや、それとはまた違う……なにかもっと大切なことのような……』
ユーリ「記憶は戻ってきてるんだろ?」
リョウ『ああ。少しずつだけどな』
ユーリ「ならそのうち思い出すさ。今日はもう休みな」
リョウ『そうするか』
翌日、エステル以外の仲間が市民街の出口に集まった。
ユーリ「みんな集まった……ってエステルがまだだな。リタ、見てないのか?」
リタ「エステルは来ないわ」
リョウ『どういうことだ?』
リタ「あの子、もう戦えないから。今のエステルは術技を使うだけでも生命力を削ることになる。無理したら命が危ないわ」
パティ「そんな……」
ユーリ「……だからこれ以上、一緒に行くのは無理ってことか」
レイヴン「それで当人は納得したのかね?」
「……いいえ」
声がした方を向くとエステルが立っていた。
カロル「エステル!」
リタ「ちょっ、あんた、見送り……よね?」
エステル「ごめんなさい、リタ。やっぱり……連れて行ってください」
リタ「話したでしょ!術技さえ使わなければ、何の問題もなく生きられるのに」
エステル「最初は思いました。これでやっと普通に生きられるんだなって」
リタ「そうよ。エステルはもう十分ひどいめにあってきた。もう休んでも良いのよ」
エステル「ありがとう。でも……みんな命がけで戦おうとしている。世界の命運をかけて……。それを知って私だけ戦わないなんてできない。お願いです、わたしも連れ
て行ってください」
ユーリ「駄目だ……と言いたいとこだが、自分で考えて決めたんだ。オレは反対しないぜ」
ジュディス「そうね。一度言い出したら聞かない子だし」
レイヴン「連れてってやろうや。仲間に置いてけぼりにされるのは、ちっと切ないぜ?」
カロル「うん。エステルがつらくないように、みんなで助け合おうよ」
パティ「一緒にあの大悪人、ぶっ飛ばすのじゃ」
リタ「……ひとつだけ約束して。絶対にひとりで無理しないこと、いい?や、破ったらぜぜ絶交だからね!」
リョウ『俺からも、無理しないでくれよ。リタの悲しむ顔は見たくないからな』
エステル「はい!」
ユーリ「よし!行く……「おーい。待ってくれ」
遠くから声がきこえた。
リョウ『あの姿は……フレン?』
フレン「よかった、間に合った」
リョウ『見送りか?』
フレン「いや、僕も連れていってくれないか?」
ユーリ「おまえ、騎士団はどうすんだ?」
フレン「それが、ヨーデル殿下直々に凛々の明星と力を合わせてアレクセイを止めるように命じられて」
ユーリ「あの殿下がねえ」
フレン「そういう訳だ。よろしく頼むよ、みんな」
突然、帝都にバウルの咆哮が響いた。
リョウ『バウル?もう大丈夫なのか?』
ジュディス「強い子だもの。大丈夫よ」
ユーリ「準備万端だな。行こうぜ、決戦だ!」
To be continued