天を照らす銀河   作:浮雲のソル

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第68話 少女の正体

リョウ『ついに四属性の精霊がそろったな』

 

 

ユーリ「ああ。あとは……」

 

 

エステル「世界中の魔導器の魔核を精霊に転生させる、ですね」

 

 

ジュディス「精霊を生み出すというだけでもテルカ・リュミレースのあり方を変えてしまっている。世界のためとはいえ、ね」

 

 

エステル「確かにわたしたちの判断だけで、世界の人々の生活すら変えてしまうのは問題だと思います」

 

 

カロル「そうかもだね……」

 

 

ユーリ「オレたちがやろうとしていることを理解してもらわなきゃ、やってることはアレクセイと変わらないのかもしれねぇ。けど、理解を求めてる時間もねぇ」

 

 

カロル「でも帝国騎士団やギルドのみんなにちゃんと話しておくことはできるんじゃないかな」

 

 

ジュディス「それで私たちのやり方を否定されてしまったら、私たちはホントに人々に仇なす大悪党よ?」

 

 

ユーリ「オレはこのまま世界が破滅しちまうのは我慢できねぇ。デュークがやろうとしていることで世界が救われても、普通に暮らしてる奴らが消えちまっちゃいみがねぇ。

だからオレは大悪党と言われても魔導器を捨てて星喰みを倒したい。みんな、どうする?降りるなら今だぜ」

 

 

レイヴン「俺様はついてくぜ。なんせ、俺の命は凛々の明星のもんだしな」

 

 

リョウ『俺も最後まで付き合うぜ。星喰みを倒してもディエドを倒せるのは俺だけだからな』

 

 

ジュディス「私も。フェローやベリウスが託してくれた気持ちがあるもの。それに……中途半端は好きじゃないわ」

 

 

リタ「やらないと後悔するってのを知っちゃったし。ここでやめても後悔するし」

 

 

カロル「うん。ボクも後悔したくない」

 

 

エステル「はい。自分で選択したことならどんな結果にもなっても受け入れられる……この旅で学んだことです」

 

 

カロル「それに……世界のみんなもわかってくれる。変わっていく世界を受け入れられないほど弱くないよ!」

 

 

ユーリ「そうだな。明日笑って暮らすためのことだ。そう信じたい」

 

 

ラピード「ワンワン!ワォン!」

 

 

パティ「……」

 

 

リョウ『パティ、どうした?ボーっとして』

 

 

パティ「も、もちろんついていくのじゃ!」

 

 

ユーリ「わかった。みんな、最後まで一緒に行こう」

 

 

カロル「じゃあ準備が全部できたら、ヨーデル殿下やユニオンの人たちに話をしに行こう」

 

 

レイヴン「んで、あと準備しなきゃいけないものってなんなのよ?」

 

 

リタ「あたしとリョウに任せて。ちょっと色々要るからどっか適当な街に寄りたいだけど」

 

 

カロル「じゃ、ノール港はどう?」

 

 

ユーリ「そうしよう」

 

 

パティ「……」

 

 

リョウ『……パティ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

カプワ・ノール

 

 

 

カプワ・ノールに到着したリョウたち。しかし、街は閑散としていて人の姿は見あたらない。

 

 

ユーリ「えらく閑散としているな」

 

 

リョウ『みんな避難したのかもな』

 

 

レイヴン「こんな空の下じゃ逃げ出したくもなるわな」

 

 

リタ「んじゃ、あたしとリョウは買い物してくる」

 

 

ユーリ「せっかくのデートだ。楽しめよ」

 

 

ユーリがからかってきた。

 

 

リタ「なっ!?デートじゃないわよ!//////」

 

 

リョウ『え……デートじゃないのか……』

 

 

少しガッカリするリョウ。

 

 

リタ「デートじゃないこともないけど……と、とりあえず行くわよ!///////」

 

 

ユーリ「オレたちは宿屋で待っておこうぜ」

 

 

 

宿屋

 

 

 

買い物を終えて、大荷物を抱えたリタとリョウが帰ってきた。

 

 

ユーリ「すごい荷物だな。なに買ってきたんだ?」

 

 

リョウ『術式紋章ひと揃えと筐体パーツだな』

 

 

レイヴン「何しようってのよ」

 

 

リタ「精霊の力を収束するための装置を作ってるの。即席の宙の戒典をね」

 

 

カロル「宙の戒典かぁ……デューク、今頃なにしてんだろうね」

 

 

リョウ『さぁな……ヤバいことしなければいいんだけど……』

 

 

パティ「……」

 

 

何か考え事をしているパティ

 

 

ユーリ「パティ、どうした?」

 

 

パティ「……む?なんでもないのじゃ。もううちは寝るのじゃ」

 

 

ユーリ「オレたちも休むか」

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、ひとり宿屋を抜け出す影があった。

 

 

リョウ『パティ?』

 

 

そのことに気づいたリョウは宿屋の外に出る。

するとパティ以外の仲間が集まっていた。

 

 

リョウ『みんなも起きてたのか』

 

 

ユーリ「今からパティの様子を見に行くけど、リョウも行くか?」

 

 

リョウ『ああ』

 

 

 

波止場

 

 

 

波止場にパティがぽつんと立っている。

 

 

パティ「……」

 

 

パティが麗しの星を掲げた。すると巨大な船が現れた。

 

 

リタ「あ、あれって……!」

 

 

ユーリ「行くぞ!」

 

 

パティのもとに駆け寄るリョウたち。

 

 

エステル「パティ、待ってください!」

 

 

パティ「みんな……どうして……」

 

 

レイヴン「それはこっちの台詞よ。一人で何してんのよ」

 

 

パティ「精霊もそろった……この先は命を賭けた大仕事なのじゃ。でも、その大仕事の前に、自分の中の決着をつけようとおもったのじゃ」

 

 

リョウ『アイフリードのことか?』

 

 

パティ「これはうちの問題なのじゃ。誰にも任せられない、うちの……」

 

 

カロル「だからって、一人で行かなくても」

 

 

パティ「……」

 

 

リタ「あれ……アーセルム号、よね……?」

 

 

エステル「どうしてここに……?」

 

 

リョウ『麗しの星でパティが呼び出したのか?』

 

 

ユーリ「麗しの星は、あいつを呼び出す道具だったってことか」

 

 

パティ「こいつの片割れと引き合っておるのじゃ」

 

 

ジュディス「つまり、その片割れがあの船にあるってことね」

 

 

リタ「そ、それはあんたの言う問題ってのと何か関係あんの?」

 

 

パティ「のじゃ」

 

 

ユーリ「じゃ、行こうぜ」

 

 

パティ「え……?」

 

 

ユーリ「行かないのか?」

 

 

パティ「ついてきてくれるのか……?」

 

 

ユーリ「オレたちと一緒にいて、一人で行かせてもらえないのはわかっているだろ?」

 

 

パティ「……ありがとうなのじゃ。だが、最後の決着だけはうちがつけるのじゃ」

 

 

ユーリ「ああ、わかってるさ」

 

 

リョウ『お!あそこにボートがあるぜ、これに乗って行こう』

 

 

 

 

 

 

 

幽霊船 アーセルム号

 

 

 

 

幽霊船に乗り込んだリョウたち。

 

 

カロル「パティはアイフリードが隠した宝物を探してたんだよね。アイフリードに会って記憶を取り戻すために」

 

 

パティ「んじゃ」

 

 

カロル「で、見つけたのがその麗しの星……なんだよね?」

 

 

パティ「そうなんじゃが……ちょっと違うのじゃ。麗しの星はアイフリードが探してたお宝なのじゃ」

 

 

リタ「は?あんたが探してたものとじいさんが探してたものが同じってこと?それでじいさんに会えるの?」

 

 

パティ「麗しの星を使えば会える……それは間違いではないのじゃ」

 

 

突然、どこからか咆哮が聞こえてきた。

 

 

リョウ『な、なんだ?』

 

 

ユーリ「上だ!」

 

 

船長室の上に髑髏の騎士が立っていた。

 

 

リョウ『あの魔物は前に……』

 

 

パティは急に走り出した。

 

 

エステル「パティ!」

 

 

リョウ『俺たちも行こう!』

 

 

甲板に出たリョウたちの前に髑髏の騎士が現れた。

 

 

リタ「で、出たっ……!」

 

 

パティ「サイファー、うちじゃ!わかるか……!」

 

 

カロル「サイファーって……アイフリードじゃなくて?」

 

 

レイヴン「サイファーはそのアイフリードの参謀の名前だわね、確か」

 

 

髑髏の騎士は浮き上がって上空に移動した。

パティは髑髏の騎士を追いかけてマストへ登る。

 

 

パティ「サイファー、長いこと待たせてすまなかった。記憶を失って時間がかかったが、ようやく、辿り着いたのじゃ」

 

 

リョウ『記憶が戻っていたのか……』

 

 

髑髏の騎士「アイフリード……」

 

 

パティ「……!」

 

 

髑髏の騎士の身体から男性の幻が姿を現した。

 

 

サイファー「アイフリード、か……久しいな……」

 

 

カロル「アイフリードって、え?まさか……?」

 

 

パティ「アイフリードは……。うちのことじゃ!」

 

 

リョウ『どういうことだ……?』

 

 

パティ「サイファー、うちが分かるのか!?」

 

 

サイファー「ああ……だが、再び自我を失い、おまえに刃を向ける前にここを去れ」

 

 

パティ「……そういうわけにはいかないのじゃ。うちはおまえを解放しにきたのじゃ。その魔物の姿とブラックホープ号の因縁から」

 

 

サイファー「俺はあの事件で多くの人を手にかけ、罪を犯した……」

 

 

レイヴン「じゃあ、ブラックホープ号事件ってのは……」

 

 

パティは首を横に振る。

 

 

パティ「ああしなければ、彼らは苦しみ続けたのじゃ。今のおまえのように。あの事故で魔物化した人たちをサイファーは救ったのじゃ」

 

 

サイファー「だが、彼らを手に掛けた俺はこんな姿で今ものうのうと生きている……」

 

 

パティ「おまえはうちを助け逃がしてくれた。だから……今度はうちがおまえを助ける番なのじゃ、サイファー」

 

 

サイファー「アイフリード……俺をこの苦しみから解放してくれるというのか」

 

 

パティ「おまえにはずいぶん世話になった。荒くれ者の集まりだった海精の牙(セイレーンのキバ)をよく見守ってくれた。そして……うちをよく支えてくれたのじゃ。でも……ここで……終わりなのじゃ」

 

 

銃をサイファーに向けるパティ。

 

 

パティ「……くっ……」

 

 

リョウ『……パティ』

 

 

パティは悲しげな表情で、銃を撃てないでいる。

 

 

パティ「サイファーだけは……うちが……」

 

 

サイファー「つらい思いをさせて、すまぬな、アイフリード」

 

 

パティ「つらいのはうちだけではない。サイファーはうちよりずっとつらい想いをしてきたのじゃ。うちらは仲間じゃ。だから、うちはおまえのつらさの分を背負うのじゃ。おまえを苦しみから解放するため、おまえを……殺す」

 

 

サイファー「その決意を支えているのはそこにいる者たちか?そうか……記憶もなくし、一人で頼りない想いをしていないか、それだけが気がかりだったが。いい仲間に巡り会えたのだな。アイフリード。受け取れ、これを……」

 

 

パティの前に光り輝く紋章が現れる。

 

 

パティ「これは……マリス・ゲンマ……」

 

 

サイファー「これで、安心して死にゆける。さあ……やれ」

 

 

銃声があたりに響く。

 

 

パティ「バイバイ……」

 

 

 

 

 

海までもどってきたリョウたち。パティは幽霊船を見ながら、涙声で

 

 

パティ「サイファー……」

 

 

リタ「泣きたい時は泣けばいいのよ」

 

 

パティ「つらくても泣かないのじゃ。それがうちのモットーなのじゃ……!」

 

 

リョウ『パティ……』

 

 

パティ「うちは泣かないのじゃ、涙を見せたら、死んでいった大切な仲間に申し訳ないのじゃ。うちは海精の牙の首領、アイフリードなのじゃ。だから……泣かない……。……絶対、泣かない、泣きたく、ない……」

 

 

リタがそっとパティを抱き寄せる。リタの胸の中でパティは泣き崩れた。

 

 

To be continued

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