SAO 〜しかしあいつは男だ〜   作:置物

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サブタイトルは本文からの抜き出しか本文中のキャラの心情で行こうと思います。


episode2 キリト「どうしてアスナが…」

ジリリリと、目覚ましの騒がしい音が俺に朝が到来した事を告げ、俺はそれをベッドから起き上がって止める。

ふぁぁ、と背伸びし、立ち上がって閉まっているカーテンを開け、窓の外を覗くと、そこには迷路のように入り組んだ街、アルゲードが広がっている。

 

 

「良い朝だ…」

 

 

もしかして昨日のことは本当は夢で、キリトはアスナとラブラブで、俺はそれを端から見て「リア充爆発しろ!」とキリトを睨みつける日常が始まるんだって思ったが、窓から見えるアルゲードの街並みは数ヶ月前、俺がキリトと折半して購入した住居の俺の部屋から見た街並みと変わらないため、昨日の事が現実味を増す。

 

 

「い、いや、下に降りたらキリトがいないかもしれないし?も、もしかしたらアスナと別の住居買ってそこで暮らしてるかもしれないし」

 

 

震える声で自分に言い聞かせるように言って、自室から出て階段に向かう廊下の途中、「キリト」と書かれた表札が掛かった扉を見て更に現実味が増した。

頼む、キリトいないでくれ!と願いながらキリトの表札が掛かった扉をノックする。が、返事は返ってこなかった。ノックをすれば数秒で眠た気な顔を覗かせるのだが出てこない。よし!現実味ダウン!と喜んだのも束の間。

 

 

「おはよう、コノハ」

 

 

キリトがエプロン姿で良妻賢母よろしく朝ご飯を机に並べながらにこっと、階段から降りる途中の俺に暖かな笑顔を向けながら朝の挨拶をする。どうやら昨日の事は現実だったみたいだよちくせうと心の中で涙を流しながら平静を装ってキリトにおはようと返す。

 

 

「朝食はトーストとスクランブルエッグとサラダでよかったか?」

「あぁ」

 

 

一辺に二人座れる正方形の机の上には香ばしい匂いのするトーストに形が整ったスクランブルエッグ、瑞々しいサラダとまさしく朝食と言った食事が二人前、テーブルの同じ辺に置かれている。同じ辺に置かれているのはこの住居を買ってからずっとなので今更言うのも昨日の事を意識し過ぎている気がするからもうこのまま気にしない方針で行く事にして席に座る。

他者がこの景色を見ると、新婚夫婦の朝の景色のように見えるだろうが、俺もこいつも男だ。だからアスナ、キリトの死角の窓の外から俺を睨むな。今のお前原作ヒロインとは思えない程怖いぞ。

ん?アスナからアイコンタクトが送られてきた。なになに…

 

 

『中に入れて』

『りょかい』

 

 

俺はコンマ1秒も待たせずOKのアイコンタクトを送り返し、席から立ち上がり玄関に向かう。あんな美人さんから言われたら誰も拒否することなんて出来るわけないだろ?それにアスナは原作ではキリトのヒロインポジだし。少しは応援しないと。け、決してハイライトのない目で言われたからじゃない。ホントダヨ?

 

 

「よ、よぉアスナ」

「偶々、偶然、ここの前通ったから寄っちゃった」

 

 

玄関扉を開けると、いつも通りの血盟騎士団の服装と装備のアスナがキリトとは多少ベクトルが違う可愛らしい笑顔を見せる。が、それは他者が見た場合であって、俺にとってその笑顔は鬼が無理矢理笑っているのと相違ない、掌にじっとりと汗を流すくらいの威圧感を感じた。

ここはアルゲードの中でも結構深い所にあるから偶々や偶然で来れる訳ないんだがと心の中で言いながらあまりの威圧感に耐えきれず「キリトー」と呼ぶと、奥からキリトが「どうしたー?」と出てくる。

 

 

「おはようキリト君」

「お、おはようアスナ」

 

 

キリトが現れたと同時にアスナから威圧感がすっかりなくなるが、アスナの突然の訪問にキリトはたじたじになっていた。流石に昨日振ったばかりの奴に会うのは気まずいようだ。チラチラこっちを見てる。

しかし逆に、アスナはニコニコと満面の笑みを浮かべながらキリトを見つめている。告白したら無理と言われ、理由が男が好きだからという二重苦を喰らいながらまるで昨日の事はなかったかのような振る舞いだ。俺なら三日は確実に引き篭もるぞ。

 

 

「いい匂い…今から朝食?」

「あ、あぁ」

「わたしも同席していいかな?」

「い、いや、食事二人分しか用意してないから…」

「自分の分は自分で持ってきてるよ」

 

 

ほら、とメニューを操作してバスケットを取り出すアスナ。偶々ここに来たんじゃなかったのか?とか言わない。どうして自ら地雷原に進む必要があるだろうか?いやない。

キリトはもう一度こっちを見て助けを求めるがアスナがキリトに見えないように『拒否したら…』とアイコンタクトをしながら腰に備えられた剣の刃をチラつかせてくるから「まぁいいんじゃね?」と言ってダイニングに逃げるようにさっさと戻る。

リビングの俺とキリトの席の位置を見てアスナが一瞬魂が抜けたような顔をしたが、頭を振って正気を取り戻し、俺とは逆のキリトの隣に座り、バスケットの中身を自分の前に並べていく。

流石料理スキル完全習得者の料理と言ったところか。並べられていく料理のどれもが素晴らしい出来で、一目で美味しいだろうと分かる。キリトは自分の料理と見比べて出来の格差にシュンとなっていた。

しかしアスナの事だ、手料理でキリトの心を掴む為にこんな朝から来たのだろう。ならあれらの料理が俺の口に入ることはないなと判断し、「いただきます」と言ってキリトが作った料理に手をつけていく。

アスナから迫るように「あーん」をされて今日三度目の救助要請の目でこちらを見るキリトを無視しながら、どうしてこうなったとトーストに噛り付く。




流れに身を任せてたらアスナが【ストーカー】から【ストーカー(過激派)】に進化した!
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