剣技大会が終わって四日後、血盟騎士団からボス部屋を発見したとクラディールが伝えに来た。この街に来てまだ二週間未満なんだけどなにその速さと言うと、
「ヒースクリフ様の休暇を次のボスフロアクリアまでという事にしたら、アスナ様が単騎で…」
確かまだ75層迷宮区のマッピングって3層しか終わってなかったような…と思ったが口にはしなかった。アスナの鬼行(奇行)はいつものことだ。
クラディールが去った後、俺の所にメッセージが届く。送り主はアスナのようだ。
『そういう訳だから、明日の13:00血盟騎士団本部前の広場に75層攻略メンバーが集まるけど、12:00にキリト君と一緒に団長室に集合してお昼ご飯はこっちで一緒に食べましょう。あ、出来たらキリト君の手作りがいいな』
…あいつこの部屋に盗撮カメラか何か仕込んでね?
「これ俺はどうすればいいんだろ…」
「頑張ったみたいだし作ってやればいいんじゃね?」
「まぁ、別にいいか」
キリトは「お昼ご飯か…」と何を作るか悩みながら台所に入る。
余談だが、なぜアスナのメッセージがキリトではなく俺の所に来たかと言うと、キリトとアスナは大分前にフレンド登録したのだが、その日から毎日10回はメッセージを送られたり、ギルドでダンジョン攻略する時に嘘の集合場所を教えられ、そこでアスナに拘束されてしまいダンジョン攻略に参加出来なかった事などがあり、流石に切れたキリトがアスナとフレンド解除した為だ。
フレンド解除されたその日アスナは発狂して45層のフィールドのモンスターを狩り尽くしたとかなんとかは本当にどうでもいい話だ。
「はぁぁ、2日振りのキリト君の料理美味しかったわ」
「おい待て、2日前ビーフシチューが少し減ってるなぁとは思ったがお前が食ってたのか!?」
「アスナはいつも何処から浸入してるんだ…」
そんな会話をしながらボスフロア攻略集合場所である血盟騎士団本部前の広場に来た。アスナと別れ、キリトと今回はどうするんだろうと話し合ってると「オッス」と気軽な挨拶でアルゴが横にぬっと現れる。
「珍しいな、アルゴも参戦するなんて」
「何があるか分からないって事でオレっちは物資供給係として参加ダ。もしかしたら結晶無効化空間かもしれないから結晶だけじゃなく解毒薬とかポーションも大量に用意したゾ」
「そりゃ心強いな」
「勿論後でいつもの二割増しお代は頂くけどナ」
「そりゃ財布が心許ないな」
「油断してると持ち金なくなるゾ〜」
「やめろ。本当にそうなりかねないわ」
「っと、アーちゃんが喋るようダ」
壇上に立つアスナが「静粛に!」と言うとざわざわしていた広場のプレイヤー達が静まり返る。
「前回は役割分担を細かに決めましたが25層、50層とクォーター・ポイントのボスが他層のボスと比べ強力だった事から75層ボスもまた格段の強さを持ってる事でしょう。なのでまず本隊と調査隊を決め、ボスフロアに調査隊が入り、本隊はボスフロア扉前で待機。調査隊には転移結晶を内部で使ってもらい、転移が出来ても出来なくてもメッセージを送ってもらいます。万が一ボスフロア内が転移結晶の類が使えない場合、3分経ってメッセージが来なかった場合突撃という形になります」
調査隊はどうするのかといった声が上がり、アスナは続きを述べる。
「団長代理であるわたし、副団長補佐であるクラディールが務めますが、最低一グループで行きたいので残り四人はこちらから選出させてもらいます。3分とは言え少人数でボスと直接対決するので拒否してもらっても構いません。キリト、コノハ、クライン、ディアベル。以上の4人に調査隊にお願いしたいのですがよろしいでしょうか?」
名前を呼ばれた俺を含めた四人に周りから視線が向けられる。正直アスナとキリトがいる時点で危険度はそこまでないと思ったから拒否はしない。
残り3人も特に問題ないといった表情で大丈夫と言った。
「それでは調査隊も決まりましたので、今から2時間の準備時間を取ります。結晶以外の回復手段を持っていない方、装備に不安のある方は準備を」
「いや、待ってくれないかアスナ君」
アスナが解散を唱えようとした時、傍に控えていた団長が手を上げる。珍しいな。普段は傍観の団長が意見するなんて。
「もし今回も今までのクォーター・ポイントと同様に強力なボスが現れるなら、例え後陣に本隊がいても一グループだけで挑むのは危険だ。そして今回は3回目のクォーター・ポイント。扉が一度開いたら次開くのが中のプレイヤーが死ぬまでという事も有り得る。それなら情報は無くとも全員でボスに挑んだ方が生存率は高いのではないかね?」
アスナは数秒考えた後、「………そうですね」と小さく溢す。
「先程の四人には申し訳ございませんが調査隊は無しにし、六人一グループを各自で作って2時間後に集合しましょう」
一度プレイヤーが入ったらそのプレイヤーが死ぬまで開かない可能性か…。確かに有りえないこともないな。流石団長、俺達が考えた事ない事を考えている。
「コノハ、一緒に組もう」
「まぁいつも通りだな」
「オレっちも頼むヨ」
「てことは組んであと三人か…」
残りはそこで雑談してるシリカとリズ、今回はギルドメンバーといない様子のクライン誘うか。
2時間後、再び広場に集まった有志達と共に回廊結晶を使ってボスフロア前まで来た。
「これより75層ボスフロア攻略に入ります。再度言いますが、ボスの行動パターンの情報が無い為、血盟騎士団が前衛で攻撃を食い止めます。その間に攻撃パターンをしっかり見て、柔軟に攻撃をしてください」
そう言って全員が武器を装備したのを確認すると、アスナはボスの間へと続く鉄門を押し開く。
「戦闘開始!」
全体に喝を入れるようにアスナが叫び、開き切った扉に走る。俺達も雄叫びをあげアスナに続く。
中はコリニアの闘技場のくらいの広さのドーム状の部屋で、光源はないが部屋全体が絶妙な明るさがあった。
全員が入り終えると扉が勝手に閉ざされ、一番後ろに控えていた団長が念の為に開くか試すがびくともしてない。外には今回の作戦には参加してない血盟騎士団員がいるが少し待っても開かない事から恐らく団長の予想が当たっていたのだろう。次に開くのはボスに勝った時か俺達が全滅した時か…。
視線を団長からずらし、広い空間を見渡すが、何処を見ても肝心のボスが見当たらない。
全員で固まって中央まで来たが何処からもボスは現れない。
「ボスは一体どこに…」
誰かがそう呟いた時、
「上よ!!」
アスナが鋭く叫び、全員が上を見る。
ドームの天頂部、そこにそいつは張り付いていた。
全長は10メートル程。人間の背骨のような体、骨が剥き出しの鋭い脚、凶悪な形をした頭蓋骨、鎌状に尖った巨大な骨の腕…。まるで百足と蟷螂にホラー要素を混ぜたようなモンスターがこちらを覗いていた。
天井に張り付いていたボス、《ザ・スカルリーパー》は呻き声にも似た不気味な鳴き声を発し、脚を全て大きく広げて俺達の真上に落下してきた。
「全員離れて!」
アスナの声に固まっていた全員がその場を離れる。
それは轟音と共に着地、地面が大きく揺れ、俺を含めた多くのプレイヤーが足を取られる。
ボスはギロリと最も近くにいたずんぐりとした装備の男に赤く炎のように揺らめく目で狙いを定めた。
「ひっ…!!」
男はボスの見た目と死ぬかもしれない恐怖からか尻餅をついたままその場から動く事が出来ないでいる。
振り上げられた鎌は男の首を刎ねるように横薙ぎに振られる。
だがその刃は間一髪で団長の盾によって防がれ、男は事なきを得た。
「作戦通りわたしたちが前衛を担当します!無理をせず行動パターンを見極めて地道に横からダメージを与えてください!」
アスナの号令に全員が大声で応答し、75層ボスの攻略が始まった。
※ここからは音声のみでお送りします(決して作者が戦闘描写を書きたくないわけではない…)
「掠っただけでHP6割持っていかれた!アルぅぅぅ!」
「あんた結構余裕あるでしょ」
「こういう奴は腹が弱いと相場では決まっている!」
「おう、ならあの疾走しているボスの懐に飛び込んでこいヨ」
「さーせん」
「ちょ、こっち来んなあぁぁぁぁ!?」
「ランサーが死んだ!!」
「「「この人でなし!!」」」
「……か、勝手に殺すな…」
「そこ!ボスそっちのけでバグ探しするな!」
「ちっ…別にいいだろぉ」
「ふ、副団長がボスの頭の上で無双してる!」
「あははは!これさえ終わればもうあの仕事量ともお別れ!わたしは晴れて自由の身!終わったらすぐキリト君に【自主規制】【自主規制】して【自主規制】【自主規制】の【自主規制】よぉぉお!」
「あ、あれあかんやつや!キリト分が切れてもうたんや!」
「副団長、この所仕事と迷宮区攻略でろくに寝てなかったしな」
「転移!転移!」
「キリト、ここは結晶使えない場所だから諦めろ」
なんやかんや約1時間の死闘(?)の末、最後のHPバーは団長の神聖剣によるカウンターで削り取られ、ボスは断末魔をあげて消滅した。
今回のボスは三回目のクォーター・ポイントとあって強かったがネタに走る輩も出るくらいには余裕を持って倒せた。てかアスナの無双がすごかった。まさか鎌を弾いてボスの真正面から飛び上がり縦回転斬りしながらボスの頭上に上がってスターライト・スプラッシュのコンボでボスをダウンさせるとは思わなかった。細剣って打撃属性あったっけ。
「コノハ、早くこのフロアから出て転移結晶で帰ろう!」
「まぁ落ち着けキリト。今ボス戦が終わったところだぞ。周りを見てみろ」
キリトに周りを見るように促す。
俺とキリトを含めたほぼ全員がHPバーが黄色に染まり、肩で息をしていたり地べたに座って天井を仰いでたりして疲れを見せていた。アスナも無双の対価か連日の疲れか剣を脇に突き刺し仰向けに寝転がっていた。
「アスナも疲れて倒れてるくらい消耗する戦闘だったんだ。もう少し休んでから出ても遅くないだろ」
「アスナが倒れてるからこそ今が逃げるチャンスなんだろ!」
「しっかし、団長やっぱりすげぇよなぁ。HPが半分切りそうだって場面でカウンターを決めるとは。しかも完全パリィでHP減ってないから唯一のHP緑維持。神かよ」
「てことは団長のHP緑伝説はまだ続いてるのか…」
と、そこでキリトは団長を見たまま黙り、目を見開いたかと思うと剣を持ち直して低空ダッシュの構えをし始めた。
キリトの行動に俺が何してるんだと言う直後、キリトは駆け出した。
何を血迷ったのか、キリトは右の剣を光らせ、向かう先、団長目掛けて剣技を放った。
唐突に襲いかかってきたキリトに気付いた団長は驚愕の表情でそれを防ごうと盾を掲げガードするが、キリトの攻撃の方が早く、その剣技は盾の縁を削りながら団長の胸に突き刺さる。
「キリト!おめェなにやっ…て…」
団長の近くにいたクラインがキリトの凶行を咎めようと強く声を発したがその声が段々弱くなっていった。
周りの人間もキリトを問い質そうと声を出していたがクラインと同じような反応をする。
そりゃそうだ。キリトの剣先は団長の胸の僅か手前で止まり、団長の上にはNPCや破壊不可能の建築物などにしか存在するはずのない文字が浮かび上がったのだから。
【Immortal Object】
直訳で不死物質、所謂不死属性。俺達プレイヤーには決して浮かび上がる筈のない文字。それがプレイヤーであるはずの団長の頭の上にその存在を見せつけるようにあった。
「だ、団長…これは一体…」
血盟騎士団の一人が震えた声で問いかける。
しかし団長は質問者に視線を向けず、ただじっと、真鍮色の眼でキリトになぜわかったのかと問いかけるように見つめていた。
「不死属性なんてNPC以外に持つ存在はいない。ただ一つの例外を除いて。不思議に思ってたんだ。あいつは、何処で俺達を監視してこの世界を調整しているのか、って。けど単純な事を忘れてたよ。どんな子供でも知ってる事さ。『他人のやっているRPGを傍から眺める程つまらないことはない』。そうだろ?茅場晶彦」
キリトがそう言うと団長はふぅ、と言って掲げていた盾を地面に着ける。
「そうだ。君の言う通り、私は、君達をこの世界に閉じ込めた茅場晶彦だ。付け加えればこのゲームの最終ボスでもある」
突きつけられた真実は、余りにも衝撃的だった。
次回でSAO編終了かな?
問題はALO編が番外編込みでもSAO編と比べて短くなりそうなのが辛い
本編ではボスとの戦闘シーン飛ばしましたが本当は途中というか最後まで書いていたのですが死者が出たりアスナが初の死者が出て恐怖するみんなに長々と喝を入れるシーンがセリフこれどうなんだとなったり「(ストーカーしてる奴が何を言ってるんだ?)」とシリアスになりきれないシリアスもなんかなぁと思いカット
以下本編で書いたがカットした物
「オレらはどうすんだ班長さんよ?」
「こんな乱戦状態じゃ多分六人で行動するのは難しい。俺、クライン、シリカの三人、キリト、リズ、アルゴの三人で固まって行動しよう」
「てことで班長命令だからその「嘘だろ…」って顔してないで割り切れキリの字」
「キリト、こっち来て」
リズがキリトの手を引っ張り影でなにやら本のようなものを手渡すとキリトが「それじゃあお互いまた生きて合おうぜ」と笑顔になった。
後であの本を焼く事を記憶の片隅ではなくど真ん中に置いてキリト達と別れる。
「団長!」
「あぁ、コノハ君か」
ボスの鎌を一身で受け、アイテム欄を開く余裕がないのかHPが4割と注意域に入る直前まで減っている団長。団長の盾は(月刊アルゴによれば)現段階で最高防御力だが、その団長が防いでも4割削られる威力ってことはまともに喰らったら下手したら一撃死もあり得るな。
団長の後ろに回り、アイテム欄を開いてハイポーションを団長に手渡す。
団長はそれを口に含みHPが徐々に回復するがやはり結晶と比べたら格段に遅い。
「シリカ!団長の回復頼む!クラインは俺と一緒にあの鎌少しの間相手にするぞ!けど絶対に貰うな!一撃死する可能性があるぞ!」
「はい!」
「うへぇ、そりゃ骨が折れそうだぜ」
団長の盾から鎌が離れるタイミングで俺とクラインは団長の背後から飛び出し、団長とシリカは後退する。
団長とシリカがその場から離れ、最も近くにいるのが俺とクラインになった事でボスの鎌が俺達に振り下ろされる。
クラインは左に回避をし、俺はそれを剣で逸らす。が、逸らしが甘かった。肩に鎌が擦り、あっさりとHPが4割持っていかれた。
「えぇぇぇ!?」
「馬鹿おめぇ!?さっき一撃死を危惧した奴が何いつも通りのパリィ&アタックの構えして貰ってるんだよ!?」
左から迫る鎌をしゃがんで避けるクラインから怒声が飛ぶ。
まさかちょっと掠っただけであんな減るとは思わないやん…と愚痴りたい気持ちをハイポーションと一緒に飲み込み、HPが8割まで回復した所でボスがこちらへの攻撃を止め、向きを変えて立ち止まって行動パターンを見ていた他プレイヤーへかなりの速度で走り出す。
「な!?そのままこっちに攻撃してくれてればいい物を!」
「おい!おめぇら早く逃げろ!」
まさか自分達の方へ向かってくるとは思ってなかったのだろう。固まっていた六人パーティの内二人が完全に逃げ遅れて、声をかけてようやく動き出したが時既に遅く、死の鎌が横に振られた。
二人のプレイヤーの背中に鈍く光るそれが通り過ぎ、赤い軌跡が描かれた。
彼らのHPバーはぐんぐん減っていき、注意域では止まることなく、瞬く間に危険域まで減り、そして0に達し、その体を爆散させた。
この時、SAO始まって以来初の死者が出た。
「………っ!!」
正直俺は、いや、俺含めた全プレイヤーは今まで死者が出なかった事からこれからも誰も死ぬ事はなくゲームクリアまで出来ると考えてた。しかし、この瞬間、その考えは過ちだと目の前にいる《ザ・スカルリーパー》によって完全否定されてしまった。
「あぁぁあ!?」
「サム!!タダムネ!!」
「嘘だろ!?い、一撃で!?」
「みんな!落ち着いて!」
今までなかった仲間の死によってプレイヤー達の間で恐怖と動揺が瞬く間に広がっていく。それを止めようとアスナが必死に声を荒げるがボスの移動音でそれは全体には届かない。剣を放り出し逃げ出すプレイヤー、隣にいた仲間を蹴飛ばし身代わりにするプレイヤー、使えない転移結晶で逃げ出そうとするプレイヤーも居たが、それらは須らく一瞬にしてボスに殺された。
「糞ったれ!!なんだこの地獄絵図はよぉ!!」
「冷静になれクライン!!今ここで叫んだってなんの意味もねぇ!!」
「けどよぉコノハ!!」
「彼の言う通りだクライン君」
刀を地面に突き刺し頭を掻き毟るクラインを落ち着けようとしてると団長が眉を寄せた険しい表情でこちらに来た。後ろには顔を青白くさせ、吐きそうなのを我慢するように口元に手を添えたシリカが付いていた。
「私達が為すべき事は嘆く事ではない、如何にこの状況を打破するかだ」
「け、けど団長!一体どうやってあのボスを相手にしろって言うんだよ!?鎌に当たれば即死、しかもかなりの速度で移動してっから下手に攻撃も出来ねぇ!」
「移動するのはバラバラに行動してターゲットを分散させるからだ。全プレイヤーが一箇所に集まれば移動する方向は絞られるだろう。鎌については私と壁役で受け止める」
「でも団長、この混乱はどうやって収めるんですか?あいつの移動音でアスナの声も聞こえ辛いですし、一人一人に連絡していると時間がかかってその間に犠牲者が増えます」
「そこは彼女に任せよう」
「彼女?」
「呼ばれて飛び出てアルゴだヨ」
団長の後ろから現れたのはキリトと同行している筈のアルゴだった。
「アルゴ君、全プレイヤーに私の所に集まるよう伝言して欲しい」
「了解。後でお代頂きますヨ」
「構わない」
「おいアルゴ、キリトとかはどうしたんだ?」
「キー坊ならリズと一緒に混乱してるプレイヤーを助けに回ってるヨ。それじゃ俺っちは行ってくるヨ」
アルゴはそう言って自慢の敏捷で離れたプレイヤー達に伝言を伝えに走った。
数分後、バラバラだったパーティが続々と集まり、最後のパーティがボスの脇から走って
「生存報告!」
クラディールの声に六人パーティがざっと敬礼をし、リーダー格と思われる大剣使いの男が報告をする。
「はっ!私達のパーティは全員生存してます!」
「わかりました。それでは後方にて万全の状態で待機しててください。アスナ様、これで全てのパーティは揃いました」
「ありがとうクラディール。それで、今いるのは何人かしら?」
「37人です」
その報告にアスナは下唇を噛む。
「11人も殺られたのね…」
「アスナ…」
アスナの滅多に見せない弱々しい姿にキリトが心配するような声を出すがアスナは「大丈夫」といって手で制し、一度深呼吸し、攻略時に見せる凜とした姿で後方に控える攻略組に顔を向ける。
「よく聞いてください!今回のボスの攻撃は過去のボスとは違い一撃でも貰えば死に至ります!しかしその鎌を団長とタンクが引き受けてくれます!わたし達は団長達が攻撃を引き受けている間に攻撃しなくてはなりません!仲間が死んだ人はとても怖いと思います。あの歪なモンスターを見て目を逸らしたいと思うかもしれません。自分が死ぬ番かもしれないと思うかもしれません。でも恐れないで!それが更なる死を招くから!目を逸らさないで!目を逸らしたらその間に他の仲間が死ぬから!でも何よりも貴方自身が死なないで!貴方が死ねば他の誰かが死ぬから!この場にいる全員が力を合わせないとこの場で全員が死ぬから!」
その言葉に「そうだ…」「力を合わせて戦わないと!」「一撃も貰わなければいいだけだしな!」と意気消沈していたプレイヤー達が活気付き始める。
全員が武器を掲げ、自身を奮い立たせる雄叫びをあげるのを見て、アスナがボスに剣先を向ける。
「※」
最後の台詞悩んでる所でこれはないなとカット