SAO 〜しかしあいつは男だ〜   作:置物

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お久しぶりです
夏休みって何ですかねな置物です
やっぱり自分には文才というものがないようです…
あと時系列よく考えたらシリカの話の後にリズの話が来ることを忘れてた私はそっとシリカの話を少しいじりました


extra8 鍛冶屋との出会い 中編

「で、金属の事だけど、あのクエストでいいよなコノハ?」

「そうだな。てかそのつもりで来たんだろ?」

「なんのクエスト?」

「55層で検証中のクエストの事だ」

 

 

55層の検証中で金属関係のクエストと言えば、十中八九、西の竜の討伐依頼だろう。

依頼主である長老曰く、西の山に棲む白竜は毎日餌として水晶を齧り、その腹で精製して貴重な金属を溜め込んでいるとか。

明らかにレア金属の入手クエストで、数多くのプレイヤーが白竜の討伐を幾度としたが、誰一人としてその金属を手に入れる事はなかった事から攻略組はそのクエストを放置して次の階層に走り、準攻略組が何かしらの条件があるのではと調査を進めているという話を少し前に来たお客さんから聞いた事がある。

 

 

「金属の手に入る条件が見つかったの?」

「数多くある推測の中に《マスタースミスがいないと駄目》って奴があってな。誰も検証してないようだし俺達が検証しようと思ってな。リズベットはマスタースミスだよな?」

「リズでいいわよ。あたしもあんた達を呼び捨てにするから。そうよ。こう見えても結構腕が立つんだから」

「そりゃ頼もしい限りだ」

「けど、もし一個しか金属が見つからなかったらどうするのよ?」

「あぁ、元々キリトの分しか作るつもりはなかったからその点は大丈夫だ」

「え?コノハも作りに来たんじゃないのか?」

「俺は暫くこいつで頑張れるから問題ねぇよ」

 

 

そう言ってコノハは腰にぶら下げていた直剣を掲げて見せ、すぐに鞘に戻した。

 

 

「で、この後リズはなんか予定あるのか?」

「特にないわね。どうせ今日もお店にお客なんて来ないでしょうし」

「なら今から行きたいんだが大丈夫か?」

「どれくらいかかるかしら?」

「山自体はそこまで大きくないみたいだから、日帰りは出来ると思う」

「ドラゴンを倒す時間も込みで聞いたんだけど…まぁわかったわ。準備して来るからちょっと待ってて」

 

 

メニューを開いてエプロンドレスの上から簡単な防具類を装備し、ポーションと食べ物の補充、愛用のメイスと予備のメイスの確認と、準備が終わったあたしは二人と共に外に出て、入り口にかかった営業中の札を裏返し、主街区の転移門に向かって歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

転移門を使って55層に移動した後、目的の村に向かっているのだが、暫く歩いていると空から静かに雪が降り始め、そういえばこのフロアは氷雪地帯をテーマにしてたっけなぁと思い出し、数分と経たずに周りは色のない世界に変わっていき、雪は風に吹かれて吹雪と化し、体感温度もみるみると下がっていく。ついさっきまで55層の天候の事を忘れていたあたしに防寒具の準備などあるわけもなく。

 

 

「ぶぇっくしょん!!」

 

 

盛大にくしゃみをし、その身を寒さに震わせていた。

 

 

「もしかしてリズ、余分の服持ってきてないのか?」

 

 

隣を歩くキリトが心配そうな顔でそう聞いてくる。

キリトはフードと袖にファーの付いた黒のロングコートを、先頭を歩くコノハはもこもこの耳当てに足元まで覆う黒のローブを身に纏っていてとても暖かそうだ。一瞬剥ぎ取ってやろうかと考えたが頭をブンブン振ってその考えを消す。

 

 

「55層の天候の事忘れてて…」

「困ったな。俺もこれしか防寒具は持ってきてないし…。コノハは何かないか?」

「ねぇな。まさかあんだけ念入りに準備していた奴が防寒具を忘れるなんて誰が思う?」

 

 

どうしたものか…とキリトが自身の額をとんとんと人差し指で叩くと、何かを思いついたのか、「そうすればいいのか」と言って自分が着ていたコートをあたしに渡してきた。

 

 

「え?いいの?」

「俺はコノハの方に入れてもらうよ。コノハー、そっち入れてくれー」

「は?」

「そのローブまだ人が入る余裕あるだろ?ほらほら」

「ちょっ、剥ごうとするな!入れるから待てって!」

 

 

キリトは先頭を歩くコノハのコートに無理やり入れてもらい、それを見て本当に着ていいのかなぁと悩んだけど猛烈な吹雪が体を通り抜け、コートの裏の暖かそうな毛皮の魅力に抗えず、まぁキリトがいいって言うんだからいいのよねとすぐさまコートを着てフードを被った途端にさっきまでの寒さが嘘のように無くなった。

 

 

「見えてきたな」

 

 

それから歩くこと30分ほど、山奥の小さな村に着いたあたし達は目的の長老が住んでいそうな家に突撃、白ひげ豊かなNPCからクエストを受けようと話しかけたのだが、まさかクエストを受ける前に長老の幼少期、青年期、熟年期の苦労話があるとは思わなかった。余りの話の長さに途中でコノハは白目を剥いて気絶し、キリトはそのコノハを倒れないように支えていた。そしてようやく本題である西の龍の話に入り、クエストを受注した時には昼だった外はオレンジに染まり、太陽は遠くの山の陰に隠れようとしていた。

余りの長さにコノハは長老の家から出た直後に雪の上にボサリとうつ伏せに倒れる。

 

 

「なんでフラグ立てるのにこんな時間かかってんだよ…」

「まさかこんなにかかるなんてあたしも思わなかったわ…。どうする?クエストは明日にする?」

「うーん、でもドラゴンは夜行性って言ってたしなぁ。山ってあれだろ?」

 

 

キリトが指差す方向にはそう遠くない所に切り立った峰があった。それなりの高さがあるように見えるがアインクラッドの構造的制約で100メートル以上の高さはないだろうし、余程の事がない限りすぐに山頂に着くだろう。

 

 

「こういうのは早めに終わらせた方がいいと思うんだ」

「それもそうね」

「ほらコノハ、倒れてないで行こうぜ」

「うーい…」

 

 

コノハが立ち上がり体に付いた雪を取り払い、あたし達は改めて山頂に向かって歩き出した。

時間帯もあり、出現するモンスターは活動的だったが、あたし達はそれらを難なく退け、数十分で山頂に辿り着いた。

そこは巨大なクリスタルの柱が辺り一帯にあり、登り始めた月の光が反射して虹色に輝いていてとても幻想的な景色だ。

 

 

「綺麗…」

「感動している所悪いがお目当ての龍が来たみたいだ」

 

 

コノハがそう言うのと同時に遠くから獰猛なドラゴンと思われる声が地鳴りのように山頂に響き渡った。

少し離れた位置にあったクリスタルが甲高い音を立てて砕け、砕けたクリスタルが繋がって大きな塊に変わり、そこから少しずつ形が整っていき、姿が完成したそれは産声を上げた。

その姿はよく知られている龍とは違い、ダイヤのように光を受けて虹色に光る鱗、ルビーのような紅色の輝きを放つ眼、象牙のような艶を持った鉤爪、まるで芸術品のように感じられる白竜だった。

 

 

「リズはそこらのクリスタルの陰で待ってろ」

「どうしてよ?行く前にあたしの強さ確かめたじゃないの」

「あれは自分の身を自分で守れるか確かめただけだ」

「すぐにカタをつけてくるから」

 

 

そう言って二人は自身の武器を手に取りドラゴンに向かって走り出した。

あたしとしては色々他にも言いたい事があったが走り出した二人にぐちぐち言っても仕方ないと判断し二人の背中に「ドラゴンの攻撃パターンは左右の鉤爪と氷ブレス、あと突風攻撃だから!」と言って近くにあった大きめのクリスタルの陰から見守ることにした。

ドラゴンは自分に向かって走る二人に挨拶のように氷のブレスを放つがキリトはその場で剣を風車のように回転させる。剣はやがて薄緑色のエフェクトに包まれ、まるで光の円盾のように見えるそれに、氷のブレスが直撃。冷気の奔流はキリトの剣のシールドから逸れるように分散し、辺りを凍らせていく。コノハ?コノハはキリトの後ろで「ファイト!ファイト!」と言っている。

ブレスが途切れると同時に二人は攻めに転じた。

キリトは回転させていた剣を地面に突き刺し、背後で待機していたコノハの腕を掴み右足を軸にグルングルンと回転、コノハをドラゴン目掛けて放り投げた。勢い良く投げられたコノハはかなりの速度でドラゴンに迫っていき、それを迎撃すべくドラゴンは鉤爪を振り下ろすが、コノハはそれを剣で受け止め、威力の相殺によって出来た一瞬の停滞の間にドラゴンの足からするりと鼠のように登っていき、背中に乗って両翼を攻撃していく。

ドラゴンはコノハを背中から落とそうと体を激しく上下させたり回転させたりするがコノハは落ちることなく攻撃を続け、やがてダメージの蓄積量が限界を超えたのかドラゴンは宙から地面に落ちた。

そこにキリトも突撃、二人の攻撃でドラゴンのHPがはたから見て清々しいほどガンガン減っていった。

ドラゴンのHPが残り2割となり、もうそろそろ終わりかなと柱の陰から出た直後、ドラゴンが最後の悪足搔きの如く空高く舞い上がり、地面に向けて衝撃波を放った。

キリトとコノハは地面に剣を刺して耐えていたが、突然の事に対応出来なかったあたしは突風に煽られ体が吹き飛ばされた。

地面に落ちるタイミングを知る為に視線を自分が飛んで行く先に向けると、そこには直径数十メートルはありそうな大穴が、まるで食事を待っている口のようにぽっかり空いていた。もう夜に差し掛かる時間帯で、穴の中はまるで底がないかのように見える程の暗闇だ。あたしの体はその穴に吸い込まれるように向かっていく。

 

 

「……!」

「…!」

 

 

コノハとキリトが何かを叫んでいるが、頭の中が真っ白なあたしにはそれが道ですれ違う人々の会話ぐらい頭に入らなかった。

体を回転させ空を見る。

あの時なんで柱の陰から出ちゃったかなぁあたしとか、あたしの人生ここで終わっちゃうのかなぁとか、もう少し楽しい人生送りたかったなぁとか、まだ納得いく作品出来てないんだけどとか色々な事が真っ白になった頭に浮かんでくる。

体が穴の中心近くに来て重力の影響で高度が下がっていき、穴の壁面が見え始めた頃から段々死への実感が湧いてきて、涙が出てきた。

死にたくない、またアスナと馬鹿やりたい、もっと絵や小説を書きたい、現実世界に帰りたい。

無意識のうちに視界が涙でぼやけ、小さくなっていく天に手を伸ばした。

 

 

その手を誰かが掴んだ。




リズ編次回で終わります





話の内容は思いつくのに書けない( ゚д゚)
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