少しやつれているキリトと幸せそうはアスナを尻目に、使い終わった食器をキッチンで洗っていると誰かからメッセージが届く。
まぁいつものあの人だろうなとメッセージを流し読み。いつも通りの内容だったからいつも通りの返信をする。恐らく十分以内には着くだろうと思っていると、玄関からノック音がキッチンに届く。案外早かったな。
「すみません、いつもアスナ様が…」
「いやいや、いつものことですし」
玄関を開けると、アスナが所属する血盟騎士団のユニフォームの長髪の男が深々と頭を下げていた。
この男の名前はクラディール。原作ではアスナの護衛で、自分の顔に泥を塗ったキリトを亡き者にするために二人の人間を殺した残虐な奴、なんだが、ここでは超がつく程真面目な人だ。どの位真面目かと言うと、アスナがキリトのストーカーをする為に投げ出す書類仕事の八割を特に文句も言わずに処理している位真面目だ。その真面目さを買われ、団長から直々に副団長補佐の任を言い渡された。
クラディールがここに来た理由、それはクラディールが処理していない残り二割は必ず副団長であるアスナが目を通さなくてはならない物で、副団長補佐であるクラディールはアスナにこれをさせる義務を団長から課せられているからだ。正直に言って、その為に副団長補佐という肩書きを言い渡されたと言っても過言ではないだろう。
「アスナ様!また仕事を投げ出してキリト様の所に来るとは!いつも通り粗方終わらせましたので速やかに本部にお戻りください!十時には五十五層での集団レベリングの作戦の概要を団長を含めた各班の班長と会議、十三時には新規入団者への激励と団の理念の弁論、十五時からは七十四層の迷宮区マッピングの予定があります!」
「い、嫌よ!わたしはまだキリト君とイチャラブしていたいの!それらの件はクラディールに全権委ねるわ!」
おいめちゃくちゃ大事な案件だらけじゃねぇか。あとイチャラブとかもう死語だろ。お前はいつの時代の人間だ。俺としてはキリトとくっついてもらえるなら万々歳だがキリトの様子を見る限り逆作用だから。
キリトは嫌がるアスナを見て一縷の望みを見つけたようだ。
「俺、仕事出来る人ってかっこいいと思うんだ」
「行くわよクラディール。団長に今から向かう旨をメッセージで伝えて」
ボソッと呟くと瞬時に身支度を整え玄関から出て行くアスナ。流石は『閃光』のアスナ、変わり身の速さも閃光の如き速さだ。
クラディールは「ありがとうございますキリト様」とキリトに頭を下げた後、先に出て行ったアスナの後を追いかけ、ダイニングにいつもの静けさが戻る。
「これからどうする?」
朝食と片付けは交代制だから、俺はダイニングを片付けをしながら、リビングのソファでアスナに削られたメンタルポイントの回復をしているキリトに気軽に聞いてみる。
キリトは「ん〜…」と唸り声をあげ、閃いたと言わんばかりの顔で俺に言う。
「デートしようぜ」
「デートの意味を辞書で調べてからほざけ」
キリトの言葉を冷たい目で一刀両断する。
ちなみに俺の脳内辞典では男女、恋人が買い物や散歩をすることを指す。重要なのは異性とするからデートなのであって俺とこいつはどっちも男だから俺の脳内辞典のデートの定義には擦りもしない。
「デートってのは冗談で」
嘘つけ。お前がデートしようぜって言った時の顔
「エリュシデータの耐久度が50%切ったから鍛冶屋に一緒に行こうぜ」
「てことはリズのとこか…行きたくねぇなぁ…」
「リズより腕が良くて気前がいい奴はいないし、人の趣味は人それぞれだろ?」
あぁ認める。腕が良いのは認める。流石は鍛治スキルに関するスキルを全て完全習得した奴だ。気前がいいのも分かる。あれだけの腕なのに料金はそこらの鍛冶屋と同じなのだから。趣味は人それぞれだというのも同意する。が、最後の趣味は他人に迷惑をかけない範囲内での話だ。
腕が良いとか気前がいいとか、それらを台無しに塗り潰す程あいつの趣味趣向は、キリトにとってのアスナの
「俺は行かない。行くんだったらついでに俺の分も頼む」
「リズは本人からしか依頼を受けないし二人組じゃないといけないってのは知ってるだろ?」
「くっ…」
そうだった。しかも出来る限り同性での入店しか認めないというルールもあったな。
くそ、どうしてあんな奴がSAOで一番腕が良い鍛治職人なんだよ!?と嘆いても何も変わらないので頭を抱えてキリトのエリュシデータと俺の精神を天秤にかける。
「わかった…一緒に行く」
「じゃあリズに行くって送るぞ」
天秤は僅かに、本当に僅かにエリュシデータに傾いた。
あぁ、奴が「よっしゃ!S級
一言キャラ設定
クラディール【超真面目】
クラディールさんは真面目ではなく超真面目です。原作のゲスさは皆無です。
次回はリズさん登場!しかし連続でまともなキャラが出るとは限らない(
シリカのキャラも決まったし早く出したい