SAO 〜しかしあいつは男だ〜   作:置物

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大分遅れましたが更新
頭の中の設定を書き出したいが時間と語彙力に苛まれる…


episode6 コノハ「偶にあるよなぁ…」

血盟騎士団本部から出てすぐにある露店に飾られた10万コルの髑髏の描かれた眼帯をシリカがキラキラした目で見ているのを見て衝動買いしないか心配しているとキリトが「なぁ」と話しかけてきた。

 

 

「まだ七十四層の迷宮区マッピング終わってないしさ、久々にクエスト消化しないか?」

「俺はいいけど、目星はついてるのか?」

「まだクリアされてないクエストなんだけど」

 

 

粗方攻略組がクリアしてるのによくクリアしてないクエスト見つけれたな。

 

「それって三人で出来るのか?」

「特に人数制限は無かった筈だからシ…炎獄覇王も来るか聞いてみるか?」

「シリカが聞いてない時は普通にシリカって呼んでもよくね?シリカー」

「ま、待ってください!今わたしは財布と欲望の葛藤中です!正にラグナロクです!」

「何を言いたいか分かるが何言ってるか分からないぞ」

「コノハさん!キリトさん!ちょっとわたし店員さんと交渉してきますので今回はこれで失礼します!」

 

 

そう言ってシリカは新しい品物を並べている店員の下へ足早に向かい、「6万!6万でお願いします!」と頭を下げて値下げ交渉し始めた。

 

 

「二人きりだな」

「ふんっ!」

「腹ぁ!?」

「クリアしたらアイテムは俺が貰うからな」

 

 

女性に言われたい言葉ベスト10の一つを言いやがったキリトにボディブローを放った俺は悪くない筈だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やって来たのは前線から遠い二十二層の北に位置する、見晴らしのいい視界と適度にMobがポップすることからレベリングに丁度良いとアルゴの情報誌に書かれた事がある『ヤルンカ草原』だ。

そこの端にある小さな小屋の前で草刈りをしている白髪の老人にキリトが話しかけに行く。頭の上にクエストマークが浮かんでいる事からあの人が今回キリトがしたいクエストを持っているようだ。俺はキリトの後ろでクエストの内容がどんな物か土いじりをしながら耳を傾ける。

 

 

「すみません」

「……」

 

 

老人は何も喋らなかったがクエストは受けれたようで、パーティを組んでる俺にも「クエスト『沈黙を守る老人』が受注されました」とメッセージが現れる。

立ち上がって詳細を見るが「沈黙を守る老人。しかし彼は何か話したいような表情をしている。どうすれば彼は話してくれるのか…」と攻略についての手掛かりが書かれてなかった。

 

 

「なんだこれ?全く手掛かり書かれてねぇぞ」

「まだここが最前線だった時、誰もクリア出来ずに匙を投げたクエストだよ」

 

 

それを聞いてまじかよと俺は目を丸くする。

二年前、攻略が進まなかった十層の迷宮区ボスを団長が血盟騎士団を設立して撃破、十層をクリアした後、今までソロか二、三人のパーティで迷宮区を挑んでいた多くの攻略組(変態達)が次々とギルドを設立し、水を得た魚のように十層までクリアしていた以上の速さで迷宮区、そしてクエストを攻略していったが、途中でノーヒントクエストが出て挑んだ全員が断念したという噂を思い出した。

 

 

「で、キリト、受けるからには攻略のヒントくらい掴んでるんだろうな?」

「ヒントと言うより心当たりかな。少し前七十層の小さな集落でクエストクリアした時に依頼したNPCから『雄弁草』ってアイテムの名前を聞いたんだ」

「『雄弁草』?聞いたことないな」

「俺も聞いたことがなかったからどんなアイテムかアルゴに聞いたら知らないって言ったよ」

 

 

アルゴも知らない?「何でもは知らないヨ、知ろうと思えば知れるけど」と言う、実はあいつが茅場なんじゃないか?と言われる程各層の詳細が書かれた本を出版する、総資産カンストしてると噂されるあのアルゴですら?

 

 

「それでもしかしたら『雄弁草』は普通じゃ入手出来ない、クエストを受けた時だけ入手する事が出来るアイテムなんじゃないかって思ったんだ。そしたら自然とこのクエストを思い出したんだ」

「沈黙する老人…話したいような顔…雄弁…なるほどなぁ。けどこのクエストを受けた時だけしか入手出来ないならなんでここが最前線の時に誰もクリア出来なかったんだ?」

「この『雄弁草』、入手出来るのが六十層のにある山の頂上だけらしいんだ」

 

 

つまりここが最前線だった時はどう足掻こうがクリア出来る筈がなかったのか。茅場も中々意地の悪い事をしてくれる。しかも六十層で取れる筈なのに情報が更に上の七十層で手に入るとか嫌がらせにも程がある。一体どれだけのプレイヤー達がこの罠に時間を取られたか。

 

 

「それじゃあ案内頼んだゾキー坊」

「アスナもだがなんでこうも当たり前のように背後に突然現れるんだよ」

 

 

俺は背中越しに今まで聞こえなかった声の主を慣れた目で見る。

そこには短めな金褐色の巻き毛、齧歯類を思い起こさせる三本のヒゲのようなフェイスペイント、動きやすい格好をした、SAOプレイヤーであるなら知らない人はいないであろう人物がまるで最初から一緒に居たような振る舞いで立っていた。

 

 

「失礼ナ。オレっちは相当前から同行してたゾ」

「で?いつから同行(ストーカー)してたんだ?」

「今月の『月刊アルゴ』のリズの漫画が楽しみだナ」

「リズの所からかよ!」

 

 

俺がツッコむと多くの二つ名を持つ(くだん)の人物、アルゴはにひひと、悪戯が成功したかのように笑う。

 

 

「まぁ細かい事は気にするナコノノン。彼女出来ないゾ?あぁ、キー坊がいるから関係なかったナ」

「冗談でもそう言うのやめろ!お前が言ったら世間が事実のように認識してしまう!」

「オレっちも何処から目に見えない剣が飛んでくるか分からないからこれ以上言わないヨ。それで、オレっちも同行していいよナ?」

「俺は別にいいけど。アルゴが動くなんて珍しいな」

「オレっちの情報屋としてのプライドを傷付けたクエストだしナ。オレっち直々に行くのが筋って言うか意地だナ。キー坊もいいよナ?」

「え?あぁ…えぇと…」

 

 

何故か言い淀むキリト。

アルゴは顎に手を当て訝し気にキリトを見た後分かったような顔をしてキリトに近付き何かを耳打ちすると、キリトは一転して「全然良いぞ!」と笑顔でサムズアップした。アルゴは何を言ったんだ?

 

 

「キー坊からもOK貰ったし早く行くゾ」

「キリトに何言ったんだ?」

「知りたかったら10兆コルだヨ」

「こいつ教える気微塵もねぇぇ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば、アルゴに聞きたい事があるんだけどさ」

 

 

鉱石や宝石などが取れる採掘ポイントがある山が多い六十層では珍しい採掘ポイントのない、目的の山を登っている最中、先頭のキリトが後ろで俺と歩くアルゴに質問を投げかける。

 

 

「おっとと、何を聞きたいんダキー坊?またコノノン関係か?」

 

 

アルゴが足元に転がる石に足を取られそうになりながら聞き捨てならない言葉をキリトに返す。

 

 

「おいこらどういうことだキリト?何をアルゴから聞いたんだ?しかもまたってなんだまたって!?何回聞いたんだ!?」

「いや、次の剣技大会(ソードアート・トーナメント)はいつするのかなんだけど」

「スルーするな!」

「…コノハ、それはちょっと寒い…」

「そういうつもりで言ってねぇよ!?なんで今ダジャレ言うんだよ!?」

「夫婦漫才はそんくらいにしとけヨ」

「誰が夫婦だ!!」

「俺とコノハだろ」

「俺もお前も男で結婚事実皆無!!」

「結婚事実なんていくらでも捏造出来るけどナ…現にあの娘も…」

「そこ!!不穏な一言をボソッと言うな!!」

「キー坊待望の剣技大会だけどナ、当分先だと思うゾ。ルールと景品の見直しがまだ終わりきってないし、他のイベントもしたいしナ。あ、キー坊と待望で韻を踏んだ訳じゃないから勘違いするなヨコノノン」

「誰も思ってねぇよ」

「そっかぁ。早く前回のリベンジを果たしたいよ」

「なんか流されそうだからもう一回聞くがキリト、アルゴから何を聞いたんだ?」

「…あ、もうすぐで目的地に着くから皆気を付けてくれ」

「だから流そうとするな!!」

 

 

頂上の開けた場所に辿り着き、キリトが下手な話題逸らしをするのと同時に、頂上の中央付近から地響きと共に3mはありそうな葉が一枚もない巨木が生えてきた。それはメキメキと木独特の音をたてながら形を変え、筋肉隆々な人のような姿になって咆哮すると俺達が逃げられないように木の根が頂 頂上を囲った。

六本あるHPバーの上には《ツリージャイアント》というボスにしては短めの名前が表示された。

俺とキリトは武器を構えて戦闘態勢に入るが一つ気になる事がある。

 

 

「アルゴさんや、なぜ貴女は武器を構えずに隅で持参だと思われるパラソル付きの椅子に座りながら悠々とサンドイッチを食べてらっしゃるんですか?」

「まだ昼ご飯食ってなかったからナ」

「いやいやだからってなんで今昼飯を食うんだよ!?あれ倒してからでいいじゃん!?手伝えよ!?」

「オレっちは同行するとは言ったが手伝うとは一回も言ってないんだナァこれが」

「なん…だと…!?」

「というのは一厘冗談で、手伝いたいのも山々だけど、今回はコノノンとキー坊がいるし、オレっちみたいな徹頭徹尾サポートタイプはいらないどころか逆に邪魔になると思ったんだヨ」

「九割九分九厘は本気で手伝うつもりないのかよ…」

 

 

まぁこの階層のボス位なら俺もキリトも安全マージンは十分取れてるしいいか。

 

 

「パパッと片付けるぞキリト」

「あぁ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《ツリージャイアント》を特にオチもなく苦もなく倒した後、二十二層の依頼者である老人に『雄弁草』を届け、その場で老人が『雄弁草』を飲み込み、「あ〜…」と声が出すと涙をポロポロ流してキリトの手を握った。

 

 

「お若い方々、態々私の為に危険な山を登って頂き本当にありがとう。御礼に我が家の家宝を受け取って貰いたい」

 

 

そう言ってキリトに祈りを捧げる少女の形をした小さな瓶が渡されるとクエストクリアのメッセージが表示された。

 

 

「小屋を一回出てみたがクエストが発注出来ないナ。多分一回しかクリア出来ないクエストだナ」

「てことはオンリーワンのアイテムの可能性があるのか。何貰ったんだ?」

「『エルフの聖水』、一人の全ての状態異常を治すだってさ」

「解毒結晶とかで代替が効くアイテムじゃねぇかよ…」

「ほらコノハ、約束通りこれやるよ」

「…まぁいつか使える日が来るだろうし」

 

 

俺は『エルフの聖水』を受け取り、いつか使える日が来るのだろうかと思いながら多種多様なアイテムが混雑とした自身のストレージの末端にそれを仕舞い込んだ。




一言キャラ設定

アルゴ【ちょっと黒い】
SAOで知らない人はいないと言われる位有名な情報屋にして『月刊アルゴ』の編集者
二つ名は「鼠」「茅場晶彦(?)」「総資産カンスト」「サポ専」「千里眼」と多々ある
『月刊アルゴ』とは各層の攻略本とは違ったファッション誌、情報誌、ゴシップ誌等を混ぜた月刊誌で、SAOに深く浸透している
『月刊アルゴ』ではリズと新人の読切漫画他、ギルド勧誘やバイト募集と言った事も載っている
因みに今『月刊アルゴ』で一番熱い話題は『Kリトの恋人はAスナかKノハか!?』で、読者アンケートによるとAスナ1:Kノハ1だった(なお匿名アンケートな為一人が何百通も送る事は可能)。これを読んだ某Kノハは「おかしいだろ!?」と『月刊アルゴ』を湖に投げたような。

今回の話は「クエスト受注出来るようになった時にはクリア出来ない」「苦労して手に入れた物がなにかしらの下位互換だった」とゲームでは偶によくある事を題材にしてみました。



〜クエスト後〜
アルゴ「ほら、頼まれてたキー坊とコノノンの共闘シーン撮ってきたゾ」
?ズ「ありがとねアルゴ」
アルゴ「まぁお得意さんの依頼だからナ」
リ?「きゃー!!特にこれと言った合図もしてないのに連携が取れてるなんて流石コノ×キリ!!」
アルゴ「そういえばアスナから『もうそろそろアス×キリ本とかも出して欲しいな」だとサ」
?ズ「了か〜い」
アルゴ「それじゃあオレっちはこれで…おっと」
リ?「…?…!?こ、これは…!?」
アルゴ「あ〜、それ偶々撮れた『敵を同時に斬り倒すキー坊とコノノン』だな」
リズ「これを言い値で買うわ」
アルゴ「(釣れた)」
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