変わらない日常って良いですよね。
目を覚ますとそこはいつもの見慣れた僕の部屋だった。
ほっとする。
あの悪夢からは覚めることができたのだ。
「ご飯よー、早く降りてらっしゃい」
下の階から母さんの僕を呼ぶ声が聞こえる。
時計を見ると針は7時を指していた。
とりあえず服を着替えて下に降りる。
そこには見慣れた風景があった。
母さんがいて、父さんがいる。
当たり前の日常の風景だ。
思わず涙が出そうになったがぐっとこらえることができた。
朝ご飯はおにぎりとウインナー、卵焼きにサラダ、それと味噌汁だった。
ものすごく久しぶりに母さんのご飯を食べるような気がする。
「いただきまーす」
そういって僕はおにぎりを手に取り頬張る。
・・・おかしい
おにぎりからは味がしなかった。
正確には味自体はあるのだが、薄い。
あまりにも薄い。
目をつむれば自分がなにを食べているのかが分からないほどに。
慌てて他のおかずにも手を伸ばす。
・・・やはり味はしなかった。
ただ固形物を喉に流し込む。ただそれだけにしか思えなかった。
たまらず僕はトイレに駆け込み、嘔吐してしまった。
「なんなんだ?どうして味がしないんだ?」
混乱を抑えられない。
吐瀉物が少しついた口をゆすごうと洗面所に向かう。
口をゆすぎ顔を上げた時、僕は固まってしまった。
洗面所の鏡に映っていたモノはあの歪んだ顔だった。
「・・・どういうことだ?」
状況が飲み込めず戸惑っていると突然激しい頭痛がしてきた。
あまりの痛さに耐えきれずその場に倒れてしまう。
しばらくして痛みが引いたところで体を起こし周りを見渡す。
そこは僕の部屋だった。
体は汗で濡れていた。
「何だったんだ?また夢を見たのか?」
いやな夢だ。覚めない悪夢を見ているようだった。
「ご飯よ-、早く降りてらっしゃい」
下の階から母さんの僕を呼ぶ声が聞こえる。
時計を見ると針は7時を指していた。
重い体を動かしなんとか着替えて下に降りる。
そこにはさっきと全く同じ光景が広がっていた。
母さんがいて、父さんがいる。
不気味だった。
2人の位置が全く変わっていなかった。
朝ご飯はおにぎりとウインナー、卵焼きにサラダ、それと味噌汁だった。
これもさっきと同じだった。
おにぎりを取り食べてみる。
・・・味はしなかった。
他の料理も同じだった。味がしない。
気が狂いそうだった。
急いで洗面所に駆け込み鏡を見る。
そこにはいつもの僕が写っていた。
少しほっとして胸をなで下ろした。
この現象は一体何なのかと考えながらリビングに戻ろうとしたとき頭痛がした。
今までと同じ、耐え難い痛みを伴う頭痛だ。
意識を失うとまずい。
本能的にそう思った。
しかし痛みにはあらがうことができなかった。
痛みが引きあたりを見渡す。
「・・・僕の部屋だ」
時計を見てみる。
針は7時を指していた。
いやな予感がする。
「ご飯よー、早く降りてらっしゃい」
母さんが下の階から僕を呼んだ。
「(同じだ。)」
着替えを済ませ下に降りる。
そこには全く同じ光景が広がっていた。
母さんがいて、父さんがいる。
我が家のいつもの光景だ。
「(・・・さっきと同じだ。)」
机の上の朝食をみる。
おにぎりとウインナー、卵焼きにサラダ、それと味噌汁だった。
おにぎりを食べてみる。
味はしなかった。
他の料理も同じ。味はなかった。
気分が悪くなる。
洗面所に向かい鏡をみる。
そこには僕が写っていた。
次の瞬間耐え難い頭痛が僕を襲った。
「(やっぱり鏡を見ることが・・・)」
痛みの中でそう確信する。
薄れゆく意識の中であの歪んだ顔の笑い声が聞こえた。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
思いつきで始めたこのお話なんですが、なんとか完結まで持って行くことができました。
お話自体はまだ続けることはできますが、これ以上書くのは駄文になりそうです。
結局春人君どうなってしまったのでしょうか。
はたして現代において自分の顔が写らない場所なんてものは存在するのでしょうか。
それはこのお話の登場人物のみが知ることです。
それではまたいつか。