そこで彼女達はある少女の姿を目にします。果たしてその少女の正体は?
1999年2月27日。
友枝町のスーパーでさくらと知世は町の巫女の女性・観月先生の付き添いで買い物をしています。
「コショウに、卵に、からし、それに醤油・・・。」
「後、砂糖と塩。」
「それに着物の改造の糸が必要ですわ。」
「ほええ。また知世ちゃんお手製の戦闘服。」
「作っている途中で糸が足らなくなってしまいましたの。」
「はいはい、無駄話はそこまでにして買い物を続けるわよ。」
『はーい!』
3人は買い物を再開します。
数時間後、さくらと知世・観月先生は買い物を済ませてスーパーを出ます。
「すいません、先生。買い物に付き合ってもらわれて・・・。」
「いいのよ、気にしないで。」
そんな彼女たちの前に、メガネとセミショートボブに飾ってあるカチューシャが特徴の可愛らしい女の子が現れます。
「さくらちゃん、知世ちゃん、観月先生。」
『奈緒子ちゃん。』「柳沢さん。」
「こんにちわ。お買い物ですか?」
「ええ、明後日の節分の買出しに行ってたのよ。それで柳沢さんは?」
「私はピアノの帰りです。まさかこんなところで会うなんて思いもしませんでした。
あ、そうそう皆、今日のニュース見た。」
「「「ニュース?」」」
「隣町の中学校で座敷童子が出るって云う噂。」
「ほえ!?」
さくらは奈緒子の言葉を聞いて吃驚しました。さくらは幼少の頃にお兄さんのからかいが原因で幽霊恐怖症になってしまったのです。
「幽霊ですって?」
「そう。幼稚園のときに私のおじいちゃんから聞いた話で、昔ある女の子が同級生の女の子・
「苛め?」
「それは不吉な話ね。それで苛められた子はどうなったの?親や先生にでも相談したの?」
「それはないです。その少女は気が強いから、自身で苛めっ子を追い払ったんです。
しかもその子にはまことちゃんって名前の仲良しの子がいたんです。」
「わあよかったじゃない。」
「それがねさくらちゃん、次第にその子・まことちゃんも他の女子に苛められたのよ。そしたら優美ちゃんはまことちゃんを裏切れば自分は助けるって言葉を
「ほえええ!それでその子、命を落として幽霊になっちゃったの!?」
「大丈夫だよ。落ちた場所が2階の教室の窓の近くの屋根の上だったからその子は命は落とさなかった。でも優美ちゃんは家庭科室のガスを爆発させて苛めっ子の主犯と一緒に自殺しちゃったのよ。しかもそのとき、彼女の遺体は下半身がない状態で発見されたそうよ。」
「あらら。」
「それからというもの、座敷童子になった秋元 優美ちゃんはこの学校でいじめや事件が起きたら、災いを起こすようになってしまったのよ。」
「ほえええ!」
さくらちゃんは幽霊話を聞くと、気を失ってしまいました。
「それは本当ですか?」
「本当も本当、大本当。去年の夏休みに空き巣さんが入ってきたでしょう。」
「そういえばそうですわね。」
「その空き巣さんはあの学校の校長先生がその2年前に木工コンクールで優勝したトロフィーを盗もうとして、その幽霊さんが泥棒さんの体を乗っ取ってその人を退出させて警備員さんに送り届けたから、捕まってしまったのよ。」
「随分とお優しい幽霊さんですのね。」
「優しくてもお化けはお化けだよ~~~~!」
さくらは半泣きです。
「あらあら・・・・。」
買い物から帰ってくるなり自室でさくらと知世はケロちゃんに幽霊の話をします。
「隣町の中学校に潜む座敷童子な~~~。」
「座敷童子って大抵は子供にしか見えない小さな子供特に女の子の幽霊だよ。しかも外見は13歳未満で大抵は小学校や幼稚園にしか現れないよ。」
「確かにな。それに座敷童子は普段は山や森林にしか住んどらん上に邪気には滅法弱うて滅多に人前には姿は見せへんで。」
「中学生の座敷童子っておかしいよね。」
「確かにおかしいわ。」
ケロちゃんは腕組みをします。
「よっしゃ、カードキャプターの出動や!」
「ホエエエエ!」
さくらと知世はすぐさま知世の豪邸に行き、バトルコスチュームに着替えました。今度のバトルコスチュームは巫女を思わせるような赤くて膝まで掛かる袴と振袖のついた赤白い着物です。それにご丁寧に草履まで掃いており、頭に鈴をつけています。
「ねえ知世ちゃん、これって?」
「バトルコスチュームも偶には和風系にしようと想いまして作ってみましたの。」
「確かによう見るとアニメで登場する巫女によう似とるで。」
「巫女さんにしちゃ、袴の裾短すぎるよ!」
「細かいことは置いといて、隣町にGOや!」
「ハイ!」
「ハウウウウウ!」
「ところでその幽霊のおる中学校って何処の中学校やったか?」
さくらはずっこけます。
「し、篠崎第2中学だよ・・・。」
「おう。その篠崎第2中学や!」
[だ、だめだこりゃ・・・。]
そんなこんなでさくらたち2人と1匹は隣町の篠崎第2中学校に来ました。
「ここが例の女子中学生の姉ちゃんが自殺した中学校か。確かにすごい魔力を感じるで。」
「ほんとだ。私も感じるよ。でも、この気配はクロウカードとそれと別の気配を感じる。」
「となるとクロウカードの影響でもないこともあるな。
よっしゃ!まずは現場を調査や。」
「まずは例の自殺現場だ。
でもその前に・・・。」
さくらはポケットから
[この学校に存在する人間達を眠らせよ。眠!]
さくらは小声で眠の妖精を召還します。彼女から発する眠りの粉で教員や職人達を眠らせます。
「よし、これで。自由に行動できる。それじゃ先ずは家庭科室だ。」
『オー!』
さくらたちは一般者を退けると校舎に入り込みます。さくらたちの後ろでは見覚えのある男の子が眠っていました。
一方うまく校舎に入れたさくらたちはこそこそと家庭科室に向かいます。
「例の秋元 優美のお姉ちゃんは確か家庭科室で苛めっ子を道連れにして爆破自殺したんやってな。」
「そうだよ。あの人はその時に下半身を失った形の死体で発見されたらしいんだ。」
「せやから学校と職員と生徒を苛めや事件から守るために座敷童子になってもうたんやな。でも待てよ。もしこの学校にクロウカードの力と関係あるんやとしたら、あの噂は関係あらへんと違うか。大体クロウカードが無くなったんは去年の4月やろう。それに昔そのお姉ちゃんがなくなったんは何年くらい前の話や。」
「確か奈緒子ちゃんのお話によりますと、平成元年の10月くらいでしたわ。」
「やろう。てことはそのお姉ちゃんは既に天に昇っとることや。」
「てことはやっぱりクロウカードと関係ないんじゃ・・・。」
「それは家庭科室を調べてみないと判りませんわ。お2人共急ぎましょう。」
さくらたちは家庭科室に行きます。
漸く彼女達は自殺現場の家庭科室の前に着きました。
「この部屋か。」
ケロちゃんは家庭科室の扉を開けようとしますが、鍵が掛かっています。
「ここはテレポートで入るか。」
さくらはポケットから
「我ら3人を部屋に移せ!移!」
3人は移のカードの力によって家庭科室内の出口付近に入ることが出来ました。
「進入成功。」
ケロちゃんはさくらのポケットから移のカードを出します。
「このカードは重い物や生物はあまり動かすことは出来へん上に、1度に遠くに移すことは出来へんかてせめて出口内に入れることができたんやな。」
「さすがカードキャプターさん。」
「ほええええ。」
知世にビデオを回されてさくらは困り顔です。
「何はともあれ、家庭科室に入れたな。さてこの部屋を散策や。」
さくら達は部屋を調べまわります。さくらはあるガスコンロに手を触れます。
「これがあの女の人が自殺する時に使用したガスコンロか。」
その時、不意にさくらの肩に何かが触れます。
「ミ~~~~~!」
「どないしたん?猫にでもなったんか!?」
ケロちゃんと知世ちゃんは駆けつけます。さくらは震えています。
「ケケケケケケ、ケロケロケロケロケロちゃん・・・・!」
「落ち着け!何があったんや!」
「だ、誰かが私の肩を・・・・!」
さくらの背後で座敷童子を思わせる少女が姿を見せます。
「やや、コイツは!」
不意に少女がさくらの体に入り込みます。
「ふいいいい!」
立て続けに・・・。
ケロちゃんたちの前で楽しそうにダンスをします。
「ハハハハ!中華風の舞か!こここここらおもろい!」
「キレイな舞ですわ!」
ケロちゃんと知世ちゃんはさくらの舞に満足します。不意にさくらは我に返ります。
「ケロちゃん、知世ちゃん、感心してないで何とかしてよ~~~~!」
「いや御免御免。さくら、そいつにはちょっとした難点があるんや。」
「難点?」
さくらが首を傾げたと同時に本部屋と繋がっている家庭科準備室の扉と衝突しました。反面少女はドアを擦り抜けました。
「あらら。女の子がドアを擦り抜けてしまいましたわ。」
「それがコイツの難点や。コイツは
「あれもクロウカードだったんだ。」
さくらは抜の影響でドアにぶつけた頭を摩ります。
「物を擦り抜けるんじゃ封印しようがないよ。それにあのカード擦り抜けるだけじゃなくて相手に取り付くことも出来ちゃうよ。取り付かれた上にダンスさせられた私は擦り抜けられなかったけど・・・。」
「そりゃそうや。抜は相手や無機物に取り付いて操ることは出来るけど一緒に擦り抜けることは不可能なのが欠点の1つや。ま、自身の意思がない限りあいつに触れへんことはないさかい封印できへんことはないがな。」
「随分といい加減なカードだな。」
「おまけに
「ヘンなカード!どっちにしても許さない!」
脅かしたり、自分に取り付いて変なダンスをさせられて、痛い目に遭ってカンカンに怒ったさくらは移で家庭科準備室に入り込み、中で杖を振り回して抜を追い回します。
「これじゃさくらちゃんの勇姿は撮れませんわね。」
数分後に抜が家庭科室の窓の向うに現れて手を振っています。
「おった!」
ケロちゃんは携帯電話を取り出して抜の居場所を教えます。
家庭科準備室のさくらはもう派手な格好です。
「ありがとう、ケロちゃん!」
さくらは窓を開けて、ポケットから
「
カードは羽のついたボールのような球に変化してさくらはその上に乗り、抜を探します。そのことに気付いた抜は姿を消します。
「さくらちゃん!」
家庭科室の窓から身を乗り出してビデオを構えている知世と窓から出たケロちゃん。
「抜がおらんようになってもうたで!これじゃもう探しようがない!」
「よし、それじゃ!」
さくらはポケットから前回捕まえた
「幽霊の居場所を我に教えたまえ!秤!」
さくらの背後に巨大な天秤が現れた。右側の天秤が揺れ動きます。同時に抜の姿が確認されます。
「そっちね!」
さくらはジャンプして杖を振り下ろします。
「汝のあるべき姿に戻れ!クロウカード!」
杖にあたった抜はカードに変化します。
そのカードを掴んださくらは
「
杖の羽が大きくなりさくらはその柄に乗ります。
「やったで!さくら!」
「捕獲完了でしたわ!」
さくらは知世とケロちゃんの前でピースをします。その間に下半身のない髪の長いセーラー服の幽霊の少女が大量の骨を持って学校を去ろうとしています。
不意にまだ出してある秤の左側が揺れています。
「ほえ!」
そのことに気付いたさくらはすぐさま家庭科室に入り、出した3枚のカードを回収して抜のカードの自身の名前を書き、知世とケロちゃんは窓を閉めてまた移のカードで部屋の外に出て校舎を出て、翔のカードで知世たちと共に追いかけます。
「あの幽霊さん、骨を持って何処に行くんだろう。」
「さあ?下半身がないところを見ますと、もしかしてあ野方が例の自殺した女子中学生さんらしいですわ。」
「あのお姉ちゃん、ひょっとして下半身の骨を捜しとるんとちゃうやろか。追ってみよう。」
さくら達は少女を追いかけます。その間に校庭に寝ていた少年が起きます。
「あれえええ。」
少女を追いかけているうちにさくら達はある墓地の上空にいます。
「墓場までに来ちゃった。」
さくらは林の中に入って翔を閉じ、杖を鍵に戻します。
「行こう。」
「はい。」
「了解。」
さくらたちは林を出て例の少女を探し出します。少女はなんと地蔵さんの近くの墓地に立っています。
「見つけた。」
さくらの声と同時に少女は不思議そうにゆっくりと振り向きます。そしてさくら達の姿を見ると優しく微笑みます。
「誰かと思ったら、抜と遊んでいたオチビさんじゃない。」
「どうしてそのことを?」
「ていうかなんで進入してたワイらを脅かさんかったん?」
「私この学校で貴方達の会話を聞いていたのよ。抜を取り返しに来た人たちを苛めたら大変じゃない。」
「如何いうこと?」
「あの子はね、私のお友達なのよ。」
「え?」
「私は自殺して幽霊になってこの学校を守っていたの。そんな11ヶ月前にある1枚のカードが舞い降りて、カードを拾った私は声を出してカードを呼んだわ。『
そして私と彼女は仲良くなり、一緒にこの学校を守っていたのよ。」
「そうだったんですの。」
「でもさっき私は思ったのよ。彼女は抜は貴方にとって大事な存在だって?だから、私はこのまま抜を貴方に返す事にしてずっと貴方達の戦いを見守っていたわ。その時、貴方と抜の鬼ごっこの最中で私はあるものを見つけたわ。」
「それって?」
さくら達は墓場に寄ると大量の骨を見つけました。よく見ると下半身の骨です。
「下半身。」
「そう。これは私が自殺した際になくした下半身。今は白骨化してしまったけどね。」
「どうして?貴方・・・。あ、そうだった。自己紹介が遅れました。私隣町の友枝町から抜を捕まえに来ました、木之本さくらです。こちらは友達の大道寺知世ちゃんと・・・。」
「クロウカードの封印の獣のケルベロスや。」
「私は秋元優美。」
「やっぱりそうだったんだ。貴方の下半身がどうして家庭科準備室に。」
「そりゃあの中学校の教頭先生がこっそりと下半身を準備室に隠したからだよ。」
「そっか。ほえ?」
さくら達の後に息をしている小狼が立っています。
「こここ小僧!なんでココにおるんや!ていうか小娘はどないしたん?」
確かに彼の傍らにはいつもついてくる苺鈴の姿は見えません。
「苺鈴ちゃんだったら今は宿題しているんだ。」
「さよけ、そりゃ精々したわ。」
「俺もな。偶には苺鈴に留守番させたら気持ちいいよ。」
「それより・・・。」
「そうだった。幽霊の話を聞いた俺は中学校に潜む幽霊の正体を探るべく学校の校庭に来て
秋元優美さんが自殺したことを知った教頭先生は一足先に駆けつけて、死んでしまった彼女の下半身を見かけてそれを最初はその木の下に埋葬したけど、その10年後の1月にに草むしりをしていた生徒が見かけて、その場にいた教頭先生が回収して他の先生達の目を盗んで家庭科準備室のある箱の中に閉まったんだよ。」
「ほえええ。」
「回収する前に
「ははは、そら良かったな。」
「なんだと!」
「はいはい、喧嘩はそこまで。」
ケロちゃんと小狼は背中を向けます。
「ねえ、さくらちゃん。抜のカードは持っているのよね。」
「うん、ばっちり持ってるよ。ほら名前も書いたし。(抜のカードをみんなに見せる)」
「それじゃ、お願いがあるの。私の残りの白骨を墓の下に混ぜて。」
「ハイ!封印解除!」
さくらは抜のカードを地面に起きます。
「白骨を墓の下に収めたまえ!抜!」
カードに杖の先をつけると地面は白骨を吸い込みました。途端に優美の体が光り、下半身が現れます。
「私の下半身。」
優美は満足そうです。同時に優美の体全体が輝きます。
「ありがとう、さくらちゃん。これで成仏出きるわ。」
「いえ。こちらこそ迷惑をかけてスイマセン。」
「さよなら。」
優美はさくら達に手を振って天に上昇しました。
「今回は偉い大変な事件やったな。」
「本当だよ。早くクロウカードを集めて二度と失くさない様に気をつけなきゃ。」
「ていうか最初から御前んちになかったらよかったんじゃないのか。」
「捕まらんかったからさくらに八つ当たりかいな。」
「煩い。」
小狼とケロちゃんの口論は派手に続きます。
あまり厚くない壁などの物体をすり抜けるカードで、相手に取りつくことも可能ですが、憑依した相手も一緒にすり抜けることが出来ない変梃りんなカードです。
使い方次第で攻撃をすり抜ける防御カードにも使える気がします。勿論脱走する時に便利になるかもしれません。もしかしたら、クロウカードの作り主・クロウ・リードがこれで度々やんちゃな行動をとっていたのかもしれません。