~スラバッカ王国~『城下町』
「とりあえず最後はやっぱりここだな、他にも洞窟やらなんやらエリアは多いんだが全部やってると時間がかかりすぎちまうんだ。
わりぃんだが残りは次は個人的にここに来て見ていってくれ、主から好きに見ていってくれて構わないと聞いているからな。」
私達は海岸や山岳、鉱山などの色んな所を周り、この国に住むスライム達の様子を見てきた。
どのスライムも精一杯生きており、その人生を楽しそうに皆語っている。
特に多かったのが自分達の主であるスィラについての話だ。
分かりきっては居たがこの国のスライム達は自分達の主であるスィラの事を大変愛しており、一番楽しそうに話している。
そしてスィラもこの国のスライム全てを把握しているらしく、彼のスライム愛は本物と言えた。
「ミイホンさん?彼はモンスターマスターとしてはどのくらいの実力だったのかしら?」
紫は今後を考える上で一番重要となる実力について聞く。
すると突如として全員の後ろからその返答が帰ってくる。
「全ての世界から最強のモンスターマスターを決める大会、『星降りの大会』というのがある、私はそれでベスト4になんとか入れる程度だよ。」
そして全員が後ろを振り向くとそこには………
前回見たローブ姿とはうって変わって全身をローブと同じ材質と思われる材料で作られ、同じような装飾の鎧に身を包んだスィラの姿だった。
「お?主じゃん、今日はメタキンの鎧かぁー、ほんと相変わらずとんでもないの持ってるよなぁ。」
「私のスライム愛を舐めないで欲しいものだな、どれだけ時間がかかろうともスライムに関わるものは手にいれる。
これはそれで手にいれたものに過ぎないからな。」
「そうは言うけどよー、これ普通に伝説級の装備だからな?」
ミイホンは主であるスィラとの雑談に花を咲かせる。
だが霊夢達はそれよりも気になることがあったが先に紫がスィラに謝罪する。
「スィラ殿、今回の件は本当にすまなかったわ。」
「別にいい、君たちは君たち、私には私の譲れないものがあるだけの話だ。
八つ裂きは諦めんがな。」
「あんた………全ての世界のモンスターマスターって言ったわよね?」
「あぁ、その通りだ。
毎度毎度ライバルとタイジュの国最強のマスターのどちらかに倒されるから上手く上がれて2位が限界だったがな。」
「つまり………あんたは自分の世界どころか異世界含めた全ての世界でのトップクラスという訳なのね………。」
「そうなるな。」
「少なくとも…………嘘では………無いと思うわよ………ゲホッ!?」
今度は上から今回は置いてきたはずのモヤシの声がする。
「パチュリーじゃない!?どっから来たのよ!?ってかどうやって来たのよ!?」
「そんなの………飛んできたに………決まって………ゲホッケボッ!?
ぜー………ぜー…………」
もはやパチュリーは満身創痍であり、喘息を起こして軽く死にかけている。
「全く………何………相談も………無しに…………置いて………くんのよ………。」
「ご、ごめんなさい?貴女の事だからどうせ今回も留守番だと思ってたのよ…………」
「身から出た錆びね。」
「返す………言葉も………無いわね。
ふぅぅぅぅううう、ここまでルーラで移動するのはきつすぎるのよ…………」
「成る程な、そこの八雲紫っていう処刑対象の警戒でこのスラバッカ王国の空間を弄れなくしたがルーラならば問題なく素通り出来る筈だな。」
「やっぱり八つ裂きは確定なのね…………それで?
そのルーラ?ってのはなんなの?」
「ルーラは長距離移動用の魔法よ、一度訪れた場所なら天井がない限り瞬時に移動することが可能よ。
ついでに世界を隔てていても移動可能だったりするわ。」
「なによそれ………世界の壁を無視して移動してるじゃない………」
「でも貴方達の世界なら割とありふれているんじゃないかしら?」
「………まぁそうだな、旅をするような奴なら割と誰でも覚えとくような普通の呪文だな。」
「そんなのがありふれている世界って……………」
「あんまり気にしてたらキリないわよ?
貴方の名前だけど………これに乗ってたわね。」
「そいつは…………星降りの大会の出場時リストとその勝敗を書いた新聞だな。
なんでそんなとこに?」
「私が知る限りこの世界はモンスターマスターは一切関わってない世界だったと記憶しているが?」
「ええ、確かに一切関わってないわ。
だけどこの世界……幻想郷は忘れ去られた物がたどり着く世界、ついでに言うと条件もそれなりに緩いから無くしてそのまま忘れたとかでも簡単に入ってくるのよ。
恐らくこれはなくしたはいいけど新聞で特に要らないからそのまま放置されてこっちに来たのね。」
「それで?結果はどうなってるのよ?」
「結果としては準優勝ね、決勝でタイジュの国代表のテリーという子に負けたみたいね。」
「それにしても貴方の世界の代表………全員がベスト4とはね、イル、ルカ、そして貴方の三人、相当な強豪なのね。」
すると思い出を振り替えるようにスィラは答える。
「だからこそ私達は強くなれた………とも言えるけどな。
あの時は折角ルカにギリギリで勝てたのにタイジュ最強のマスターに負けた、ライバルに会わせる顔が無かったな。」
「随分と楽しそうに言うわね。」
「楽しいさ………私達はモンスターマスターはモンスターを育て、戦わせることが生き甲斐だからな。
強い相手との戦い程燃えるものはない。
だからこそ先に伝えておこう、私達のスライムを一軍まで倒せるのなら倒してみたまえ!
私達はまだまだ最強の札を欠片も使っていないぞ!」
「ふふ、望むところよ………私としても八つ裂きになりたくないもの。」