~マヨヒガ~
「ぜー………ぜー…………ぜー…………」
紫はまるでナニかを出し切ったかのように急に脱力しており、苦しさから一気に解放されたかのような解放感を得ているような感じだった。
「えっと…………大丈夫ですか?」
スキマから追い出されたルカがかなり疲れを見せて四つん這いになっている紫を見つけて駆け寄る。
「なにやってくれてんのよ…………」
「へ?」
「なにあんなバカデカイの出してるのよ!?
お陰で死ぬかと思ったわよ!?
無理矢理体内とも言える私の空間拡張されたら内臓を内側から無理矢理押し広げられてるようなものよ!?」
急にキレる紫にルカは今目の前にいる人物が先程の空間の主であることに気付く。
「ふぇ!?あー………そのー……ごめんなさい…………」
「やっぱり超巨大モンスターはめちゃくちゃキツいのでござるか?
我々の国は海ごと移動させられたでござるが。」
「場所移すのと空間に入れるのじゃ全く違うのよ…………
移動させるだけなら早い話場所と場所を繋いでるだけだから通すだけで済むけどスキマ空間は密封した私の荷物袋みたいなものなのよ!?
いきなり膨張なんてして破裂させられたら洒落にならないわよ!?
ぜー………ぜー………」
「いや……ほんとなんかごめんなさい………。」
「全くお兄ちゃんは…………ってあれ?貴方は……スィラさんのスラ忍パープルですよね?」
そしてイルはそのパープルの声の特徴がスィラの使役する魔物と一致する事に気が付く
「そうでござるよ。
だいぶ久方ぶりでござるな。」
「やっぱり!!ってことはスィラさんも!」
「イル殿は相変わらずでござるな。
勿論殿もいるでござるよ。」
「ほんとですか!良かった………良かったよぉぉおお。」
「イッテテテ………何かしら関係してるんじゃねぇかなとは思ってたけどいきなりアタリとは俺様も運がいいな。」
「ほんとお前は変なところの運は無駄に良いんだよなぁ………ちょいちょい余計なことしてるけど。」
「うるせいやい!」
後ろからカメハ王子とわるぼうがこちらに来ながら会話している。
「それで!スィラさんは!いまどこですか!?」
「わかった!?わかったでござるから!?イル殿落ち着いてくだされ!?」
イルはパープルの首もとを掴んで前後に振り回して聞く。
パープルはこの状態では首が締まって話すどころではないのでイルに落ち着くように伝える。
「あ……ごめんなさい。」
「いやいや、しばらく会ってない上に行方不明となってしまったでござるから仕方ないでござるよ。
とりあえず今殿ならヘルクラウドの中に居るはずでござるよ。
まぁちょいちょい嫉妬心燃やしたガール殿に拐われてるでござるけど。」
パープルはなんとなく火に油………いや、ガソリンを注いだ。
理由としてはなんとなく面白くなりそうだからだ。
パープルは確かにスィラへの忠誠心はあるにはあるが………それ以前にスィラの引き起こす修羅場が大好物だったりする。
「パープル………あなたって………」
「くっくくくく………まことに愉快愉快。
殿は相変わらず拙者を楽しませてくれる。
くくくくく………………」
仮面で顔こそ見えないが…………全員がその仮面の下にあるであろうゲスい笑みを幻視した。
流石の紫もこの様子のパープルに対して軽く引いている。
「へぇ……………」
「あ、やべ!?」
「俺はもう知らん………」
「ん?どうしたんだ?ワルぼう?カメハ?」
イルはその笑みに何か黒いものを感じさせるようになり、カメハはそれに気付いて震えている。
わるぼうは自分は関係ないとばかりに全身を背けて頭を抱える。
そしてルカはそんな二人に疑問を持つ。
「ちょっと…………どうするのよ………」
「なに簡単な事でござるよ。
紫殿、スキマは使えるでござるか?」
「あと少しで使えるくらいには回復するけど………」
「なら後で港に繋いでおいて欲しいでござる。
殿にはこの間頼んで港側だけ結界を緩めて貰ったでござるから。」
すると紫はパープルの後ろにゆっくりと近付いてくる小さな影に気が付く。
「……………なんとなくやりたいことはわかったけど貴方も生け贄よ?」
「へ?いったいそれはどういう……………ア゛ッ!?」
「パープルさん…………案内…………頼めますよね?」
「アッハイ………でござる。」
「スィラの居るとこの港にスキマ繋いであげるわ。
場所はパープルに案内して貰いなさいな。
はい、ここを通れば行けるわよ。」
「ありがとうございます!この恩はいずれ!」
「紫殿ぉぉおおお!?謀ったでござるな紫殿ぉぉおおお!?」
「余計なことを言う貴方が悪いのよ?」
スラ忍パープルはどこぞのお坊っちゃんのような断末魔を上げてイルによって引きずられていった。
「おーい、イル?どこいくんだよ?」
「お兄ちゃんはちょっとここで待ってて……………」
「ちゃんと戻って来るのか?」
「うん、大丈夫よ。……………ダイジョウブ」
「ならわかった。
まぁこの人にも迷惑かけちゃったみたいだし話を聞くついでにいろいろ手伝っておくわ。」
「ありがとう!お兄ちゃん!」
イルは黒い笑みを浮かべながらスキマへと進むのだった。