~衛星軌道上~『スラブラスター内部』
私は刀を構える。
同時にスライムジェネラル殿もその両手の二振りのバスターソードを構える。
…………隙が少ない………むしろその少ない隙が誘導する為にわざと作られた隙だと思う。
あれ程の御仁が隙の無い構えを出来ないはずもない。
「ふっ、やはり動かぬか。」
「ということはやはり罠でしたか………」
「ふっ、正解だ。
だがワシは己の特性ゆえに自分から先に動くことは出来ぬ。
だからこそ先手は依姫殿に譲るとしよう。」
「特性…………何かハンデを背負っているのですか?」
「ふっ………ハンデか………確かにこの特性をハンデと呼ぶものもおる。
だが…………一流のモンスターマスターによって育成された魔物は如何なる特性であろうともそれを全て強みとする。
主によって種族の限界を超えた力を授けられた我が剣技……………果たして依姫殿に受け止めきれるかな?」
「モンスターマスター………ですか。
まぁまた気になるものがかなり増えましたが……受けて立ちましょう!『祇園様の力』を今ここに!」
私は床に刀を突き刺して自身へと呼び出した祇園様の力を発動させる。
スライムジェネラル殿の周りに無数の刃による檻が発生して動きをまず封じる。
「ふむ、まずは動きを封じるか。
悪くない選択だな。」
スライムジェネラル殿は動じてすらいない。
まるで"慣れている"ようだ。
「『愛宕様の火』!参ります!」
「ほう、腕に火を………体技も使えるという訳か。」
「ハァァァァアア!!」
私はあえて見せている隙のある場所ではなく隙の一切無い正面から戦う。
『祇園様の力』によってスライムジェネラル殿は少しでも動けば祇園様のお怒りに触れてその刃によって体を切り刻まれる。
だが……………
「ふんぬっ!!」
「なっ!?刃の檻を一撃で!?くっ!?ぁぁああ!?」
そう簡単には破壊できない祇園様の力によって産み出された刃の檻はスライムジェネラル殿がその場で回転しながらバスターソードを振るう事によって根こそぎ破壊されてしまい、その風圧で私も怯んでしまう。
スライムジェネラル殿の回転は更に速度を増していき、巨大な竜巻を引き起こした。
その竜巻はやがてスライムジェネラル殿の元を離れて私の方へ向かっていく。
「『石凝姥命』様!!」
私は石凝姥命様の八咫の鏡を用いて竜巻を跳ね返す。
とはいえ………
「甘いわ!『ふうじん斬り』!!」
スライムジェネラル殿は暴風を纏わせた剣で斬りかかってくる。
なんとか避けてはいるが避けても暴風の刃が後から発生して軽く体を刻まれる。
「くぅ!?愛宕様!」
私は腕の炎を刀に纏わせて反撃を行う。
炎による熱風で暴風を多少相殺させる事に成功しており、なんとかつばぜり合いまで持っていけている。
「ほぅ!熱風で逆向きの風を作りこちらの風を多少弱めるか!
だがまだまだじゃ!!」
「ぐぅぅう!?」
スライムジェネラル殿が更に力強く刃を振るう事によって更なる暴風が発生して私も吹き飛ばされる。
「まずはその厄介な炎を消させて貰おうか!
『いてつくはどう』!!」
すると衛星が放った凍てつく空気を持った波動をスライムジェネラル殿も放ってくる。
そして…………
「っ!?愛宕様が!?」
まずい、愛宕様の力を私から追い出された!?
「『しんらばんしょう斬』!!」
スライムジェネラル殿がその2振りのバスターソードの柄同士を合体させて両刃の薙刀へと変化させてその場で回転させる。
するとその薙刀が月を思わせるような輝きを放ち始め、やがてそれが振るわれる。
あれを受けるわけにはいかない!?
「なっ!?」
咄嗟の判断で振るわれる刃の直線上から離れたが正解だった。
振るわれた刃が空間ごと斬り裂いて一時的とは言え空間がズレていた。
「ほう!初見であれを避けるか!
なかなかやるではないか!」
「空間ごと斬り裂いて見せるなど………後で教えてください。」
「がーっはっはっはっは!!素直な奴は嫌いじゃないぞ!この戦いが終われば教えてやろうとも!」
燃えてきた。
あれを教えて貰えれば私はもっと己の近くにある者達を守れる!
そして確信した。
一本間違えば即死するような攻撃を行ってきてはいるが彼らは私達を殺すつもりはない。
とは言え私も少しでも油断しようものなら私とて一撃で殺されてしまう。
「『火雷神』!!」
私は雷雨を作り、何頭もの雷の龍と共に突撃する。
「面白い!面白いぞ依姫殿ォォオオオオ!!!
『てんいむほう斬』!!!」
スライムジェネラル殿がその両刃の薙刀を回転させながら投げ飛ばしてブーメランの如く投げ飛ばす。
その薙刀の描く軌跡はオーロラを発生させて飛んでくる。
「貰った!」
だけど私はなんとか体に少し無茶な動きをすることでそのオーロラの剣をギリギリ回避して私は獲物を失ったスライムジェネラル殿へと攻撃する。
「ふっ、私が剣だけと思うたかぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ!!!」
するとスライムジェネラル殿がその両腕を前に出して闘気の塊を産み出して………
「『獣王げきれつしょう!!』」
とてつもない威力を誇る闘気の竜巻2つが捻れ合いながらこちらに迫ってきた。