~スラバッカ王国~『ヘルクラウド:中庭』
スィラは懐に入れていたスライム型携帯端末を取り出して仲間のスラブラスターから連絡と相談を受けていた。
「あぁ……あぁ………そうか。
とりあえず痛み分けという形にしておいてくれ。
降伏は受けなくていい、どちらも負けた形だ。」
降伏?負け?どういう意味だろう?
「あぁ………とりあえずそういう形で頼む。」
するとスィラは通信を終えて私の方に向き合う。
「その…………何かあったんですか?スィラさん?」
「いや、大丈夫だ。
月に向かわせていたスラブラスターに喧嘩を売られて痛み分けで終わったってだけだ。」
「へっ!?スィラさんのスラブラスターが負けたんですか!?」
「いや、中にいた指揮官のスライムジェネラルがやられたみたいだね。
ただ向こう側もそのタイミングで降伏してきたからスラブラスターも扱いに困ったらしい。」
「…………へ?」
「どうも向こう側は降伏する動きを見せていたみたいなんだが独断で乗り込んできた二人組がうまいことスライムジェネラルに決闘を申し込んでギリギリで勝てたみたいだね。」
あれ?そのスライムジェネラルって………
「そのスライムジェネラルって………竜巻さんですか?」
「うん、正解。」
「竜巻さんって…………全力でネタに極振りした構成でしたよね。」
「そうだな。」
「なんで指揮官なんですか!?」
「ここの住民そんなに強い人いないからこのくらいじゃないと良い戦いにならないからな。
知っているだろう?私が白熱した戦いが好きな事を。
スラブラスターの録画してくれた戦いを見るのが実に楽しみだよ。」
はぁ………相変わらずだなぁこの人………
でもそんな所も好きなんだよなぁ………
「なぁイル…………」
「ふぇ?は、はい!」
「私達も久しぶりにやりあわないか?」
「へっ?」
「この世界の奴らは確かに個々の能力はそんなに高くない。
だがな、どいつもこいつも戦闘が極端に上手いんだよ。
戦い方が、避け方が、能力の使い方が。
だからこそ今私は闘志を今も燃やしていられる。
私達モンスターマスターは魔物を育て上げることを目的とするがその過程で己の育て上げた魔物同士をぶつけ合い、どれだけ強くなったか。見るのも醍醐味の一つと言えるだろう。
私はな…………今全力で戦いたくてウズウズしているのだよ!」
あちゃー、ついに我慢の限界来ちゃったかぁ………
スィラさんの全力の指示があると弱いモンスターでもかなり化けるからなぁ………あんまり指示出しちゃうとちょうど良い戦いにならなかったんだろうなぁ。
「はぁ………いいですよ。
フィールドは?」
「闘技場以外にあるとでも?」
「デスヨネー、でも本当に久しぶりです。
スィラさんが居なくなる前はいつもこんな感じでしたもんね。
まぁだいたいお兄ちゃんがスィラさんと戦ってたけど。」
「確かにイルとは戦った回数が少なかったな。
だからこそ私に見せてくれ!君の成長を!努力を!」
「はぁ………ほんとこうなるとキャラ変わるなぁ………でも、望むところですよ!」
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~霧の湖~
「ぐぁ!?」
巨大な『つなみ』によって自称最強の氷の妖精が吹き飛ばされる。
「チ、チルノちゃん!?」
氷の妖精、チルノの親友である大妖精は吹き飛ばされたチルノが心配になって駆け寄る。
幸いチルノにはダメージはない。
それどころか吸収したようだ傷が回復しているようにも見える。
だがいくら吸収して回復出来るとはいえ限界はある上にその衝撃波までは吸収しきれないのだ。
「うぐぐぐっ!?
あたいはサイキョーなんだ!
こんなデカイ蛇に負けてられないんだ!」
チルノは無謀にも己よりも圧倒的なまでの巨体を誇る蛇に再度突撃する。
そしてその蛇は湖を全て凍らせかねない程の超巨大な氷塊を生み出して叩きつける。
チルノは吸収して回復するがまたしても吹き飛ばされる。
「なぁ、君はなんでそこまで最強になりたいの?」
蛇を使役する少年はチルノへと問いかける。
なぜそこまで頑張れるのかが気になるからだ。
「決まってるよ!勝ちたいから!あの脇の開いた巫女や白黒に負けないくらい強くなって大ちゃんとかを守りたいもん!
あたいはサイキョーなんだ!このくらいでへばってられないんだ!」
「君は………強くなって家族を守れるようになりたいんだね。」
「家族?ううん、友達!むしろ親友!でも大ちゃんはそんなに戦ったりが好きじゃないからあたいが守るんだ!」
「そっか。
ならちょっとだけ一緒に来ない?君を僕達モンスターマスターの力で強くしてあげられるよ。」
「っ!でも大ちゃんが………」
「大丈夫、かなり真剣な育成ではなくこの世界でトップになれるくらいならそんなに時間はかからないだろうからね。」
「っ!あたいは…………ついてく。
だからあたいを強くして!」
「わかった、じゃあチルノちゃん。
君にはこの『リバイアさま』の力をあげるよ。
この世界でモンスターの力を持った妖怪とか凄く面白そうだ!
スィラ!待ってろよ!俺はこの世界の妖怪を育てて挑むぞ!」
少年は楽しそうにしながら霧の中へ消えていったのだった。