~スラバッカ王国~『王城ヘルクラウド』
逃がしたか………
どうやら判断力はあるようだ。
だが許すかどうかは別問題だ。
我らスライム属の怒りを思い知らせねば。
少なくともスラキャンサーから逃げるくらいの実力なら全力を出さずとも問題は無さそうだ。
主力モンスターは王国の護衛に残しネタ育成モンスターによる進行を始めるとしよう。
だが相手は海を隔てた向こう側にいる以上空を飛べるか海を泳げるモンスターじゃないと向こう側には渡れない。
スラリン船、スライバ船に乗せられるモンスターにも限りがある。
メガサイズモンスターは重すぎて何体も乗せられないのだ。
精々2体が限界だ。
だがそうするとスタンダードボディ、スモールボディの小さなモンスターがそこまで乗せられない。
最低でもギガサイズ以上は空を飛べないと無理だろう。
だが…………ギガサイズを超える超ギガサイズならばその大きさゆえに海を渡れる。
だがこれは最終手段だ。
簡単に使ってしまってはつまらない。
スィラは確かに激昂はしているが、相手の実力がどれくらいかを見分けるその目は確かであり、自分より格下と判断した場合、その実力に合わせたネタモンスターで戦うクセがあった。
これはスィラ自信が一方的な戦いと言うものを大きく嫌っているのもあり、先程のスラキャンサーの戦いもそこまで面白くは感じなかった。
常にギリギリの戦いを楽しむ。
それがスィラのバトルスタイルなのだ。
だがネタ育成だからといって舐めていると痛い目を見るだろう。
なぜならスィラの育成したスライムはどれもこれも『悪魔の書』というモンスターを用いた配合を行い能力の個体値を最高の理論値まで引き上げており、レベルも限界まで育て上げ、新生配合によりかなり強力な特性を引き継いでいる。
するとなにかを決めたスィラは背後にて控えていた"9人"の魔物に声をかける。
「よし!決めた。
初手はお前達に任せる。
移動手段にはメタルスターを使え。」
「「「「「「「「「ハッ!」」」」」」」」」
そして9人の魔物はその身を薪に変えて姿を消した。
「よろしかったのですか?貴方の怒りはその程度では済まないと思っていたのですが。」
その後、背後から一匹のスライムが姿を表してスィラへと問いかける。
「無論この程度じゃ済まさない。
だが全力を持って叩き潰してはつまらないではないか。
それに…………二つの世界が激突する戦いだぞ?
こんなのはマルタじゃやれない戦いだ。
簡単に終わらせてなるものか。」
「はぁ………また貴方の戦闘狂ですか。
ですが…………今更ですね。
良いですよ、我々は貴方に付き従い信頼している。
私に至っては貴方がモンスターマスターになったばかりの頃からの付き合いだ。
最後まで付き合いましょう。」
「ありがとう………スラリン。」
そしてスラリンという名のスライムは玉座の間から去る。
その圧倒的に濃い強者の気配を残しながら。
「負けるわけが無いだろう?
俺達を止められるのは………イルとルカだけだ。」
スィラは唯一のライバルである双子を思い浮かべ、覚悟を更に決めた。
「スラブラスターを起動しておくか。」
そしてスィラはその玉座の間から立ち去るのだった。
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~マヨヒガ~
紫達は新しく幻想郷へと組み込んだ土地、スラバッカ王国に対抗するための対策を練るために会議をしようとしていた。
「とりあえず結論から言うわ。
これは地底、天界、地獄、白玉楼、命蓮寺、妖怪の山、紅魔館、永遠亭、全戦力を導入しないと勝てないわ。」
パチュリーは会議が始まって早々それを伝える。
「なっ!?それだけの戦力だと言うのですか!?」
藍は思わず声を荒くする。
「貴女達も見たでしょ?あのカニ擬き『スラキャンサー』の圧倒的な強さを、でも真にモンスターマスターが全力をかけて育てたモンスターはあの程度ではないわ。」
「………やっぱりね。」
「霊夢?」
霊夢は納得が言ったような表情をして答える。
「あのスラキャンサーってモンスター、あそこにいたモンスター達の中だとかなり力が小さいのよ。
上手く隠蔽されていたけどあの城の中からもっと圧倒的なモンスターが少なくとも4体はあのスラキャンサーとは桁が違うわよ?」
「ッ!?…………仕方ないわ、全戦力に連絡を入れましょう。
こうなってしまった以上は会話による交渉は難しそうだし戦うしか無さそうね。」
そして対策を練るためにパチュリーに相手の持つモンスター、スライム系で最も注意するべきモンスターについて説明を受ける。
どれもこれもが想像を絶する程の力を持つモンスターばかりであり、メタル系に至っては鬼しか倒すことが出来ないという結論に至り、紫は早速幻想郷の全戦力に向けて協力をして貰うために手紙をスキマを使っておくっている。
今、幻想郷は未曾有の危機に陥っていたのだった。