~スラバッカ王国~『闘技場』
試合開始の合図と共にスライダーガールのバイメリトが発動する。
星が昇るような光と共にスライダーズにバフをかけていく。
「さて、私と踊って貰いましょうか?」
「ヒーローとしてドSに正義の鉄槌を与えてくれよう!」
「ふふふふふ、いくわよ………」
幽香はいつも霊夢達を相手する時とは打って変わって真剣な表情で自慢の日傘を構える。
いつもの幽香であれば常に『強者のよゆう』を見せており、なかなか底を見せようとはしない。
だが今の幽香にはそのいつもの余裕が見えず、決して隙を見せないように構えている。
対するスライダーヒーローはその右腕の槍を構えてその自慢のマフラーを揺らしながらもいつでもどの方向に動けるように構えていた。
まるで"自分よりも圧倒的に速い相手"に慣れているようにも見える。
「まずは挨拶代わりよ!」
先に動いたのは幽香だった。
幽香はその華奢な見た目からは想像も付かない程の飛んでもない力で地面を蹴り飛ばし、音を置き去りにする程の速さでスライダーヒーローへと接近する。
そして幽香は誰も認識出来ないほどの速さでその傘を横凪に叩きつける。
だがスライダーヒーローはその一瞬の間に動いて右腕となっている槍を傘へと構え、その次の瞬間に槍は白銀の輝きを持つ最強の盾へと変貌を遂げる。
『ピッ!風見 幽香 の痛恨の一撃!!
スライダーヒーロー に 763 の ダメージ!!』
幽香の放った日傘はその盾によってあっさりと防がれる。
審判のスライムボーグが扱うジャッジ機能によってスライダーヒーローがとてつもない痛手を受けたのは確実だ。
しかしスライダーヒーローには未だに余裕の色が見て取れる。
「良い一撃です。
だが!私の方がまだ良いダメージを入れられますよ!
『まねまね』発動!」
するとスライダーヒーローは幽香のと全く同じ動きをしてその槍を彼女へと叩きつける。
「ぐっ!?」
彼女はスライダーヒーローによって壁まで吹き飛ばされて軽くめり込む。
己の全力の一撃をあっさりと耐えきられて全く同じ動きで己以上の一撃を叩き込まれたのだ。
幽香は動揺によってうまく受け身を取れず吹き飛ばされたのだった。
『ピッ!スライダーヒーロー の 『まねまね』!
スライダーヒーロー の 痛恨の一撃!!
風見 幽香 に 999 の ダメージ!』
そう、スライダーヒーローは元から様子見のつもりで一撃をわざと受けてその上でまねまねによる反撃を狙っていたのだ。
これはスィラから試合開始前から言われていた指示であり、そこから直撃させたのは純粋にスライダーヒーローの実力でもあった。
スライダーズ達は日頃から己とは圧倒的に強い存在との戦闘はそれこそ文字通り死ぬ程経験していたのだった。
スライダーヒーローは基本に待ちのスタイルとなっているのだ。
すると壁に叩きつけられていた幽香が一気に飛び出しながらその日傘をスライダーヒーローへと向けてとてつもない出力な魔力砲を放つ。
その強力な一撃は炸裂したこうげきによっての発生した衝撃によって大量の土煙が舞っており、スライダーヒーローは幽香の一撃に気付くのに少し遅れて咄嗟に受け身を取るがもろに直撃してしまう。
『ピッ!風見 幽香 の マスタースパーク!
スライダーヒーロー に 634 の ダメージ!』
幽香はどちらかと言えば魔力による攻撃よりも物理による攻撃の方が威力が高く、魔法は物理よりも威力を上げるとなると『ダブルスパーク』のように多少の準備が必要とのる技を使う必要があり、今回の戦闘のように速さと一撃の強さを求められる戦闘には向いていなかった。
だがその攻撃の範囲はとてつもない範囲となっており、至近距離で使う場合は近接攻撃よりも有効打となりやすくなっていた。
「ぐっ、中々効いたな………まさかたった二発、それもガードや受け身越しでこんなに削ってくるとは想定外だ。
だけど私は自分よりも圧倒的に火力が高い魔物を相手に戦った経験は腐るほどあってね、この程度じゃまだ倒せないぞ!
『リザオラル』!!」
そして天使の輪がスライダーヒーローの頭上に出現する。
幽香は情報を軽く共有こそしていたが、呪文などについてはそこまで聞いていなかったのもあってリザオラルがどのような効果を持つか知らない。
だがこれが致命的になることを幽香はまだ知らなかった。
「受けてみよ!我が正義の矢を!『シャイニングボウ!!』」
スライダーヒーローは右手の槍を天へと掲げるとそこから光の柱を産み出す。
その柱は空中にて止まり小さな太陽となって収束する。
光の柱が消え去ると同時に大量の光の矢が小さな太陽から放たれる。
その矢は幽香へと全て吸い込まれるように動いて避けようとする幽香を追いかけ続ける。
「ええい!鬱陶しいわね!!」
そして幽香はその日傘を用いてとてつもない速さで連撃を放ち、矢を全て叩き落としていく。
だがその次の瞬間スライダーヒーローが光を放ちながら十字を切る動作を行い呪文を放つ。
「『グランドクロス』!!!」
聖なる十字は前方の全てを浄化せんと幽香の元へと向かっていくのだった。