~スラバッカ王国~『近海』
山を軽々と超える巨大な妖精が海を渡る。
あまりにも大きすぎるその巨体は海を歩いて渡れる程だ。
超ギガボディとなったチルノは単体での力もとてつもなく増しており、歩く度に海が凍りついている。
「おぉぉぉぉぉいいい!!スィラ!!勝負しに来たぞ!」
スィラはそんなチルノの肩に乗る一名のバカに対して青筋を浮かべる。
「ルカァ………貴様どうやら死にたいらしいな…………」
「あ、あれ?スィラはなんでそんなに怒って………」
「前にも貴様に話さなかったか?超Gに乗ってこの国に来るのは止めろと。
前回貴様のアホが原因で何が起こったかをもう忘れたらしいなぁ………」
スィラは瞳に殺意を込めてルカを睨み付ける。
ルカはそんなスィラを見て前回やらかした事を思い出す。
「あ、やべ!?」
「そうか忘れてたな?そうだな?良いだろう全力で叩き潰してくれよう!」
天高くから高温で赤く染まる物体が急速に降りてくる。
それはスライム型の攻撃衛星であり、スィラの最強のモンスター、スラリンの相棒の一体。
「スラブラスター…………やばいこれ勝てるかな………」
ルカはひきつった笑みを浮かべてこれから起こるであろう戦いに震える。
するとスィラの肩にスラリンが飛び乗り、スカウトリングから新たにスライムが出現する。
だが新しく出たスライムは死んだように動かず、呼吸をせず、反応もしない。
スィラは続いてなにか呪文を唱え始め、それが終わるとスラリンが凍りついたように眠りにつき、新しく出たスライムが目を覚ます。
目を覚ましたスライムはスラリンと全く同じ声で言葉を発し始める。
「この馬鹿者には何度お灸を据えれば良いのだろうな……」
「そんなもの私が知りたい。
ヤれるな?スラリン?」
「任せてくれ。」
スィラは新しく出したスライムをスラリンと呼ぶ。
ならば今眠りについたスラリンはなんなのか?
その答えはパチュリーが知っていた。
「うそ………ウソウソウソウソ!?なんであいつ『凍れる時間の秘法』なんて使えるのよ!?
あれは確かある魔王が悪用していた秘法中の秘法で今は完全な封印処理がされて新たに覚えられる者は誰一人として居なかったはず!?
それに今は日食なんてっ!?」
この『凍れる時間の秘法』とは肉体の時間を止めてありとあらゆる変化を受け付けなくなるようにする秘法であり、本来であれば皆既日食にしか使えない術でもあった。
ただし生物が使えば思考や生命活動も停止するために本来は封印に用いられるのだが、とある世界の大魔王はこれを悪用して己の肉体を2つに分けて片方の全盛期の力強さと若さを保った肉体を『凍れる時間の秘法』で一切の変化を受け付けない身体として配下に操らせ、己の肉体は知恵と魔力を全て引き継いだ肉体としてそのまま使っていた。
そしてこれはスィラが封印前にある世界の鍵を見つけてそこにあるとあるダンジョンの奥深くでサクッと覚えた術でもある。
スィラは配合する際に本来消える肉体の片方にスキルと能力を全て残して術をかけ、残す肉体側の魂ともう片方の魔物を配合することで配合前の肉体わ残しながら新たな肉体を配合で作り出すことに成功していた。
そしてスィラがどのようにして皆既日食の問題をクリアしたのか、それは実を言うと簡単だったりする。
全員が空を見上げるとそこには小さな太陽の魔物と巨大な月の姿をした魔物がいる。
太陽のような姿をした魔物は全身に刺々しいトゲを生やしており、終始笑顔を浮かべており若干怖い。
さらにその太陽の周囲をぐるぐるとなにか更に小さな太陽がまわっていた。
もう片方は嘆いてるように見える表情を見せる月であり、その周囲には雲が渦巻いている。
これらも両方と魔物の一種であり、太陽の方はシャイニングと呼ばれている太陽の魔物である。
もう片方は嘆きムーンと呼ばれる月の魔物であり、スィラは昼夜を好きに出来るラナルータという呪文を扱うこと可能としていた。
スィラはこれを使って『凍れる時間の秘法』を何度も使ってスラリンの肉体を量産していた。
そして今スィラが取り出したスラリンの肉体に移植されていた特性は『最後のあがき』であり、己の体力を大きく超えるダメージを受けた時、その超えた分のダメージをランダムな割合で全体に与える事が出来る。
基本的に一撃が重い超ギガボディの攻撃で発動した場合は基本的に9999ダメージを覚悟する必要があるだろう。
するとスィラは青筋をさらに増やしながら言う。
「神様にお祈りは? 部屋のスミでガタガタ震えて命ごいをする心の準備はOK?では死ぬが良い!!」
異常な耐久能力を持ったスラブラスターと死ぬことを前提としたスライム、果たしてどうなるのか…………