~スラバッカ王国~『近海』
スラブラスターが海に墜ちていく、蘇生は可能とはいえ耐久自慢のスラブラスターがあんなあっさりと落とされるとは思わなかった。
スラブラスターは属性耐性はあまり高くない、だからこそ体技にはめっぽう弱いのだが超ハードメタルボディを貫通する手段はそこまで多くない。
そしてどうやらあのチルノという妖精は全ての攻撃にヒャド属性が勝手に付与されているらしい。
ならば使う魔物は一択だな。
スィラはスラリンを下げて己の持つ最強の魔物の二体目、全てのスライムの頂点、全てのメタル系の最上位に位置する系統の王でありスライム系を統べる最強の女神。
「来い!『メタルゴッデス』!!」
スィラのスカウトリングが凄まじい極光を発してチルノと同等の大きさの魔物が出現する。
その姿はまるで巨大な剣、もしくは玉座にも見える。
剣の刀身が縦に割れて横へと移動して行き巨大な鋼の翼として固定される。
剣の根本にあった4枚の翼が開き、剣の翼とあわせて6枚の翼が開かれる。
そしてその中央には巨大なメタルスライムの姿がある。
彼女はその瞳を閉じており、全体の神々しさをより強調していた。
メタルスライムの下には剣の柄のような装飾と四つの不死鳥の羽根が吊り下げられている。
女神であり主の剣、鋼鉄の戦女神が幻想の地に舞い降りた。
スラバッカ王国のスライム達は彼女が現れた途端に己の信仰を示すべく祈りを捧げる。
幻想郷の神々に取って信仰とは力であり、己の存在を明確にするための物である。
この地に降臨したメタルゴッデスはその巨体と彼女自信が放つ圧倒的過ぎる強者のオーラは幻想の地に居た者達全てに観測される。
その神々しさは人間すらも信仰に目覚めさせ、聖なる物を弱点とする妖怪には恐怖を植え付ける。
チルノは彼女のその姿を見て萎縮していた。
己が目指していた最強の、たどり着いた強さのなんてちっぽけな事か。
全てを蹂躙する最強のスライムが今動き出そうとしていた。
「う…………うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!?!?!?!?」
チルノはその圧倒的過ぎるプレッシャーに負けないためにがむしゃらに攻撃する。
全てを飲み込む大津波が、大地を凍てつかせ悉くを貫く氷の刃の雨が、山すらも切り裂く氷と海水の剣が、火山すらも凍らせる程の強大な絶対零度が『メタルゴッデス』を飲み込む。
だが彼女の鋼鉄の体には傷一つ付かない。
メタル系の王である彼女にはありとあらゆる属性攻撃が通用しない。
『炎』も『氷』も『雷』も『風』も『大地』も『爆発』も『光』も『闇』も何もかもが通用しない。
状態異常に限っても同じで『毒』も『眠り』も『麻痺』も『混乱』も通用せず、唯一メタル系が共通の弱点としていた精神攻撃、耐性低下の異常もスィラによって育て上げられた彼女は克服している。
メタルゴッデスはお返しとばかりにその翼を一度顔の前に折り曲げてから勢いを付けて開き、鋼鉄の剣刀身は段々と閉じていき、再び巨大な剣へと姿をかえていく。
すると周囲には大量に極光で作られた聖なる剣が成績されており、それが次々とチルノに刺さっている。
メタルゴッデスはその姿を元に戻しら今度は一度その場で回転して呪文を唱える。
全てを飲み込む剛炎の火柱がチルノのいた位置から発生してただでさえ巨大だったチルノを覆い尽くしてしまうのだった。
「ち、チルノちゃぁぁぁぁぁぁぁあああんんん!?!?チルノちゃぁぁぁぁぁぁぁあああんんん!?!?」
大妖精の悲鳴がその場に轟いたのだった。