とてつもなくロクでなしなトレーナーから離れられないトウカイテイオー 作:はすき
「――ふう、結構いいタイムだったんじゃない? さっきの走り」
「確かにいいタイムだったぞ、テイオー。」
先日のスイーツを食べてからそんなに日付は経っていないころ。次のレースに向けた最終調整に向かっていた。ウマ娘とトレーナーの本分を全うする、普通の日常だ。レース直前になると思った以上にどのウマ娘とトレーナーたちも緊張する。だからこそ今まで通りのトレーニングと目標タイムをにらめっこしつつ、本番への対策を詰めていく。
基本的にボクたちの作戦は大体「いつも自由に」だ。むしろあんまり考えても集中できないし、各レースに決めているテーマはレース前にトレーナーが解説してくれる。そのテーマに沿って、自由にやってくると周りに伝えても、みんな唖然としてくる。まあボクたちのところがどうかしている、と言われれば否定は出来ないのだけれど。
「目標タイムまでは良いアプローチできてるし、じゃあ帰って昼にするか。練習前にテイオーが仕込んでくれたやつがちょうど良くなってるだろうし」
「うん、そうだねー。流石に夏ももうすぐ終わりだけど、自分で作ったから楽しみだよ。釜玉にしようかなあ、でもぶっかけも捨てがたいしなあ」
トレーナーが言っているボクが仕込んだものとは、うどん生地である。コシともちもち感を楽しめるし、色々アレンジも出来る。シンプルながらも食べ応えがあるしうってつけだ。トウカイテイオーが作る、『帝王うどん』とでも言うべきだろうか。テイオーステップで仕上げたお手製おうどんだ。一応年末年始にはカイチョーが作る『皇帝そば』と一緒に生徒会とか一部のメンバーにだけに渡しているものなのだ。
「一応天ぷらも揚げてもいいし、色々考えておくかあ。ところでさ、テイオー。『サイレンススズカ』のあのすらっと感も凄くいいよな」
「天ぷらいいなあ……揚げるならボクはかき揚げが食べた…………? ――どうしたのトレーナー、病院、行く?」
トレーナーとのお昼ご飯話がある程度進んでいく中の発言が、ボクに刺さったのであった。今までの話は何だったのか。流石に本当に異常気象とかで、遂に頭に深い後遺症でも患ったのだろうか。かわいそうに、変態なだけでなく遂に頭もおかしくなるだなんて。余りにも180度変わった発言に、ボクもついて行けなくなっていったのだ。
「いや……だって良いだろう? あのすらっとした佇まいに、圧倒的な走り、線が細いけど芯はある。良いよなあ」
「今までおっぱいもケツもーって言ってたじゃん。本当にどうかしてるよ?」
頭にハテナマークが突き刺さる。じゃあここしばらく今まで言った話は何になってくるのか。スーパークリークに母性を求めてたり、中々分からない。今までハンバーグ大好きっこだったのが急にお茶漬けが大好きになったみたいだ。特殊な癖でも湧いてきたのだろうか。もう既にトレーナーが特殊な癖がないとは、言い切れないけど。
「――じゃあさあ、ボクのこ……「無理、あと10年経ってから出直して来い」まだ言い切ってないじゃん!」
じゃあボクのことはどうかと話してみたら、取りつく島もなかった。急にすんっとした表情で答えないで欲しい。なんでこう落差が激しいのか。何となくチャンスがあると思ったら、特に何もなくあっさりと切り伏せられたボクなのだった。
「ウマ娘なんだから、分かるだろ? ああやって自由に走ってるのが良いんだなってのは」
「まあ、分からなくはないけどさ……でもボクはトレーナーのサポートあって自由にやるのが好きかなあ」
確かにサイレンススズカの走りに憧れないか、といえば嘘になる。先頭の景色をただひたすら独占して走り切る。これもまた贅沢だ。各ウマ娘にとっても楽しみがあるだろうが、ボクは今のスタイルが良いと思っている。トレーナーと一緒になると、トレーナーの癖とかが移るのだ。だからトレーナーも同じ好物になったり、ご飯を食べる量が増えてたりする。
「まっ、テイオーに合わせたトレーニングだからな、色々他の奴じゃ出来ないことを、ちゃんと一つのトレーニングに出来るのはお前の長所だよ」
「そっか……じゃあ前にやった腕の力だけで綱引きの綱をグルグル巻いたりするのも?」
「ああ、立派なトレーニングだ」
どんなトレーニングをやっていたか、なんて振り返りながらトレーナーと話す。
「あとはイヤホンつけたまま外周を走って、走りながらクイズとかやってたのも?」
「頭と身体の両立だ。どんな時でも冷静に走れるようにだな」
嘘つけ、多分テレビ番組で絶叫マシンに乗りながらクイズに答える番組を見てたからに違いない。
「――でもトレーナー、流石にちょっとおかしいよ。やっぱり……病院行かない?」
流石に不安になるのだ。後はジャグリングしてたり川で投網を投げたり、なんでもやってきたが、おかしい点はある。それに今は普段の趣味とは違うことを言っていると、何か酷い病気など残していないか不安になる。一流の出来るウマ娘なら、トレーナーだって一人前に養えないといけないからだ。
「別におかしくなんてなんてもないからなあ……でもテイオーだって負けてないもんな。完璧なすらっとさには追い付けないけれども」
――余りにも失礼な物言いに、ついうっかり蹴りを叩き込んでしまった。まあいいだろう、トレーナーだし。
その後数分後にケロッと復活していたトレーナーと一緒にうどんや天ぷらを揚げてお昼にした。
エビ天をどっちが多く食べるか、うどん出汁を関東風と関西風でここでのやりとり以上に激しい争いになったのは、まだ知らなかったのである。
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