Fate/Grand Order × まほうつかいの箱『乙女聖匣 ケース:トライテン -星明かりの迷宮へようこそ-』   作:ひゅーzu

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 この物語は、引き続き『Fate/Grand Order』と、同じくTYPE-MOON作品『まほうつかいの箱』ならびに『スターリット・マーマレード』のコラボイベント風の二次創作です。
 また、FGO第2部本編「非霊長生存圏 ツングースカ・サンクチュアリ」までのシナリオ状況のネタバレを含みます。あらかじめご容赦ください。
 
 


第一節『日曜日の交錯』

 

 

 

 

 

 ───気がつくと、()はここにいた。

 

 暗い暗い、不気味な世界。

 不安で、訳がわからなくて、心細くて。

 

 これはもう(ユメ)なんだと割り切らなきゃ、やっていられないような、そんな場所。

 

 ──────でも。

 どこかにアイツ(・・・)がいるのだという確信があった。

 暗闇の世界でも、アイツがいると思えば心が幾ばくか軽くなった。

 

 だから。

 アイツも同じことを考えてたらいいな、なんて、柄にもなく(ふけ)ってたりした。

 

 これは、あのやかましい携帯電話(・・・・)と再会する前の、ちょっとした小話だ。

 

 

 

 

 第一節『日曜日の交錯(こうさく)』/

 

 

 

 

 「へぇ〜! これが迷宮の入り口ね〜!」

 

 

 そう言って、興味深々で迷宮の入り口を覗くのは、本作戦に同行するアーチャークラスのサーヴァント───清少納言こと、なぎこさんである。

 

 

 「異聞帯(ロストベルト)や特異点でもなく、こうしてレイシフトや虚数潜航(ゼロセイル)を用いずに、直接 白紙化した大地に足をつけるというのは、なんとも新鮮ですね。先輩」

 

 「うん、そうだね。なんだか、不思議な感覚だ」

 

 自分───藤丸 立香を含む迷宮探索メンバーは、ストーム・ボーダーから離脱し、こうして迷宮の入り口を前にしているのだった。

 

 

 「大迷宮だの言う割には、思っていたよりも小せぇんじゃねぇのか?」

 

 「迷宮の本体は、あくまで地下(・・)にある。……もっとも、内部が異界であるのならば、外観の物理的な広さは、なんの情報にもならないがね」

 

 クー・フーリンの疑問に、ホームズが答える。

 彼の指摘通り、入り口は降り階段の形状になっているのが、外からでも見て取れた。

 

 「迷宮の外観は、西暦1000年頃のヨーロッパで用いられていた、ロマネスク建築に近い様式のようですね。以前、本で写真を見たことがあります」

 

 「うげぇ!あたしちゃんのいた時代、西ではこんなオシャレなもん建ってたの!? いいなー、あたしちゃんも生前にヨーロッパ旅行したかったわー。」

 

 宮仕(みやづか)えとは、思えない発言である。

 

 「にしても、こんな場所にぽつりと建っているのは、やっぱり違和感がすごいね…」

 

 「ま、ここで突っ立っててもなんも解決しねぇんだ。とっとと生存者を見つけて、帰還するとしようや」

 

 そう言って、クー・フーリンはひと足先に迷宮の階段を降りる。

 

 「あ!ズルい!一番乗りはあたしちゃんだぞ、リンリンー!」

 

 それを追いかけるように、なぎこさんも階段を降っていく。

 

 

 「……ふむ。今回は割と、集団行動が苦手なパーティかもしれないね」

 

 やれやれ、とため息をついて、ホームズも迷宮に足を踏み入れていく。

 

 

 「では。私たちも行きましょうか、先輩」

 

 マシュの言葉に頷いて、一緒に階段に足を踏み入れ───、

 

 

 

 「─────────え?」

 

 

 視界には、薄暗い洞穴のような、石造りの迷宮が広がっていた。

 

 

 一瞬。

 わけがわからず、思考が停止する。

 

 自分は一体、"いつ階段を降り切った(・・・・・・・・・・)"?

 

 

 「マシュ──────!」

 

 咄嗟に、隣にいたはずのマシュの方を向く。

 

 「はい、先輩、これは───、」

 

 ほっと一安心する。

 彼女は変わらず隣にいるも、自分と同じように困惑している様子だった。

 

 「──────な!!?」

 

 そのまま流れで背後を振り返ると、既に後ろは "行き止まりの壁" になっていたのだ。

 

 

 まさか。もう。

 

 

 「先輩…! 先ほどまで前方にいたはずの、クー・フーリンさんやホームズさん、なぎこさんの姿がありません……!」

 

 なんだって──────?

 

 「この迷宮に足を踏み入れた時点で、脱出はできない……、それは、こういうことだったっていうのか」

 

 思わず額に汗をかく。

 唯一、マシュとはぐれずに済んだのが救いかもしれない。

 

 「これが、アルカトラスの第七迷宮───、」

 

 

 これより待ち受ける "モノ" を恐れて、自分たちは無意識に、固唾を飲んでいた。

 

 

 

 ***

 

 

 

 「シオンさんが(おっしゃ)っていた通り、やはりストーム・ボーダーとの通信は途絶しています…」

 

 そう言って、マシュは霊基外骨格(オルテナウス)に備わった通信機能で連絡を試みるも、予測通りの失敗で気を落とす。

 

 「マシュの責任じゃないよ。まだ迷宮探索は始まったばかりなんだ。気を落とさずに、まずはみんなと合流することから考えよう」

 

 そうして、石造りの迷宮を二人で歩いていく。

 薄暗い通路の壁は、備え付けられた松明(たいまつ)の明かりでほのかに照らし出されていた。

 

 

 「ホームズさんたちは、先にお進みになられたのでしょうか」

 

 「どうだろう…、なぎこさんなら有り得そうな話だけど…」

 

 ホームズやクー・フーリンまで好き勝手に行動するとは思えない。なにか動かざるを得ない事情ができたのか、もしくは迷宮内の別の場所に飛ばされたと考えた方がいいかもしれない。

 

 

 「…と、先輩。道が左右に分岐しています。どちらに向かいましょうか?」

 

 マシュからの問いに、しばし思案していると、

 

 「──────ん?」

 

 迷宮全体を揺らす、"地震のようなもの" が、段々と大きくなっているのを肌で感じ取った。

 

 「マシュ、これって───、」

 

 「先輩! 左側の通路から、熱源を探知しました! こちらに近づいてきます!」

 

 なんだって──────?

 

 マシュからの言葉を聞いて、左側の通路に警戒を向けると、

 

 

 「うわぁああああああ!!! これは死ぬ! さすがに死ぬ! お願いだから、誰か助けてくれぇ──────!!!」

 

 

 そんな嘆きとともに、前方から緑色(・・)の髪をした少女が、こちらに向かって走ってきた───!

 

 「先輩! 彼女の後ろ───!」

 

 マシュの言葉で、少女の後方へと視界を凝らすと、

 

 「なんだ、あれ──────!!?」

 

 見ると、その背後には道をピッタリと埋め尽くすサイズの巨岩(・・)が、彼女を追いかけるように転がってきていたのだ!

 

 「マシュ──────!」

 

 「はい! 霊基外骨格(オルテナウス)、即時起動。出力を80%に固定! あの大岩は私が止めます! 先輩は彼女を───!」

 

 そうして、マシュは緑髪の少女と大岩の間に滑り込み、その盾で岩を止めようと構える。

 

 「君はこっちに──────!」

 

 自分は少女の手を掴んで、もう一方の右側の通路へと避難する。

 

 

 「はぁあああああ──────!!!」

 

 マシュの奮闘で、なんとか大岩は分岐点のポイントでその勢いを静止した。

 

 「さすがマシュ! 身体は問題ない?」

 

 「はい! 内部加圧調整、燃焼機関、兵装、いずれもオールグリーンです。出力は抑えましたので、これくらいなら問題ありません!」

 

 バイザーをあげて、マシュはにこやかに振り返る。

 

 「……いや、まだだ! そいつ、最初は歩いて(・・・)やがったんだよ!」

 

 「え──────?」

 

 緑髪の少女の言葉に、マシュと二人で視線を巨岩へと戻す。

 

 「■■■■■、■■■───!!!」

 

 岩を削るような、奇怪な叫び声のようなものを発しながら、大岩は巨大な人型の姿へとその形を変形した!

 

 「岩石の巨像(ゴーレム)か──────!」

 

 

 「アーマード・マシュ! 迎撃態勢に移行、戦闘を続行します!」

 

 戦闘態勢になったマシュと同じく、ゴーレムも間髪入れずにその拳を構えていた。

 

 「ッ──────!」

 

 繰り出される巨岩の拳は、その重量を感じさせぬ速度で打ち出される。

 一発、二発、三発。

 右へ左へと重心を変えながら、的確にゴーレムはマシュへ目掛けて攻撃を続ける。

 

 「おい、あの人 大丈夫なのか───!?」

 

 困惑の声をあげたのは、自身の隣で息を整えていた緑髪の少女。

 

 その通り。

 彼女の疑問は正しい。

 

 なぜなら彼女にとってマシュは、奇っ怪な武装を身につけてはあれど、自身とあまり歳の変わらぬ少女にしか見えないからだ。

 

 そんな少女が、全長およそ3メートルは超えているであろう岩の魔人に殴り続けられている。

 

 その光景は、一方的な蹂躙(じゅうりん)

 普通に考えて、物理的な戦闘となれば、地べたを這い(つくば)るアリ一匹では、大地を踏みしめるゾウには勝てない。

 

 

 ──────だが。

 それはあくまで、"普通(・・)" のはなし。

 

 「ッ───、はぁぁあ──────!!」

 

 岩の魔人の前に立っているのは、アリでもなければ、ゾウでもない。大地を歩み、海を渡り、空を目指す一人の"人間(・・)"である───!

 

 ここに在るは、人理を守護する聖盾(せいじゅん)の担い手。

 英霊ギャラハッドの能力(ちから)を継ぎ、星見の旅人たちの想いを繋ぐ雪花の壁。

 

 「■■■、■■■■───!?」

 

 意思をもった巨岩は動揺する。

 打ち込んだはずの拳は、その(ことごと)くを聖盾によって受け流されていたからだ。

 

 「そこ、隙あり──────ッ!!」

 

 "アマルガムゴート"による、瞬発的な機能拡大。

 岩拳をいなした聖盾を、水平に構えて突貫する。

 

 「■■■■■■、■──────ッ!!!」

 

 その叫びは、苦痛か慟哭(どうこく)か。

 巨岩の魔人の胸部に、その存在を維持している(コア)と思しき物体が露出する。

 

 「次弾 装填、バンカーボルト───リロード!!」

 

 すかさず少女は、追撃の構えをとる。

 その惚れ()れする戦闘技術に、既に岩の魔人は敗北を悟っていた。

 数多の死線を(くぐ)り抜けてきたその少女の技巧(ぎこう)は、既に土塊(つちくれ)である自分が相対するには、過ぎた傑物(けつぶつ)だとその身で痛感したからだ。

 

 「魔力噴射(バーニア)、突撃します───ッ!!」

 

 撃ち込まれる魔力圧(ブースト)

 約二秒の静寂を超えて、魔人はその中心部から粉々に砕け散っていった。

 

 

 「………ふぅ。状況終了。周囲に他の敵性反応はなし。これより排熱、充電に移行します。ご無事ですか、先輩?」

 

 

 バイザーを完全に外し、マシュはこちらへと駆け寄ってくる。

 

 

 「うん。こっちは大丈夫。マシュの方こそ、体調は問題ない?」

 

 「はい!損傷は軽微、想定内でした! ……と、そうです。そちらの御方もご無事でしたか?」

 

 そう言って、マシュは視線を隣にいた緑髪の少女へと向ける。

 

 「え、ああ。私なら平気だけど…、っていや、なんだこれ。やっぱり夢か?なんだってこんな武装した少女が、岩のバケモノを倒す光景を見せられてるんだ、私はっ!」

 

 そう言って、少女は自分の頭を掻きむしり出した。

 

 「(先輩、先輩。もしかしてこの御方は、救難を要請した……)」

 

 少女に聴こえないくらいの声量で、マシュはそう耳打ちしてきた。

 

 「(うん。そうかもしれない。反応を見るに、一般人そうだけど…)」

 

 

 「あ、あの。もしかして君が、カルデアに救難の信号を送ってくれた人?」

 

 一人で頭を抱える少女に、そう話しかける。

 

 「え…? カルデア?なんだそれ。……って、救難!? ってことはもしかして、二人は私のことを助けに来てくれたってこと!?」

 

 彼女の言葉に、マシュと目を見合わせる。

 この反応から察するに、彼女が生存者の一人と見て間違いなさそうだ。

 

 「はい! 私たちカルデアは、救難の信号を受信して、この迷宮にやってきました。どうかご安心ください。」

 

 「は、はぁ〜。よ、よかったー!やっと家に帰れるんだな…!」

 

 そう言って、少女はへたりと力が抜けたように尻もちをついた。

 

 この反応も無理はない。

 見たところ一般人のようだし、あんな怪物が徘徊(はいかい)している迷宮を一人で彷徨(さまよ)うというのは、さぞ心細かっただろう。

 

 ただ──────、

 

 「(先輩、どうしましょう。地球が白紙化されてしまっていることは、黙っておいた方がいいんでしょうか…?)」

 

 カルデアの任務や目的は、不必要に一般人へと開示することは禁止されている。特異点先や異聞帯ならまだしも、彼女が汎人類史の人間であるのならば、やはり伏せておくべきだろうけど…

 

 「───と、そうだ。名前。自己紹介がまだだったよな」

 

 そう言って、少女は再び立ち上がる。

 

 「さっきはバケモノから助けてくれてサンキューな。……私は 千鍵(ちかぎ)。"桂木(かつらぎ) 千鍵(ちかぎ)" だ。よろしくな」

 

 そう言って、緑髪のツインテールをした少女───桂木 千鍵は、自らの名前を名乗った。

 

 

 

 ***

 

 

 

 「こちらこそよろしくお願いします。私はマシュ・キリエライト。こっちはマイマスター───藤丸 立香です」

 

 「どのくらいの時間の付き合いになるかわからないけど、よろしくね、千鍵さん」

 

 「ああ、男にさん付けで呼ばれるの、硬っ苦しいから "千鍵" でいいよ。こっちも "藤丸" って呼ぶからさ。……ってそれより、マシュさん!さっきの動き、めちゃくちゃスゴかったんだけど、もしかして格闘技とかやってるの?」

 

 マシュのことはさん付けなのか、とツッコミそうになったが、さっきの戦闘を見ていたのなら無理もないので、あえて黙っておこう。

 

 「いえ、格闘技とかではなく…、護身術と言いますかなんと言いますか…」

 

 どこまで話してよいのかわからず、マシュはそう言って言葉を濁していた。

 

 

 『えぇ〜? 気になるぅ〜!普段から運動とかして、スタイル維持している感じ〜? そっか〜!スリーサイズとか、さりげなく教えてもらいたいなァ〜?』

 

 

 はい───? なんだ、今の声?

 

 「え? えっと、上からはちじゅ、」

 

 「コラァァ───ッ!! なにさりげなくセクハラしてんだ、この変態ケータイ電話ッ!…ていうか!お前の道案内 全然頼りにならなかったじゃねぇか、この役立たず───ッ!!」

 

 そう激昂して、千鍵は唐突に現れたナゾの "青いケータイ電話" を、その両手で潰さんばかりに握り締める。

 

 『あっ、暴力! 暴力反対ですよー、(みどり)さーん? ちょ、アッ、そこ弱いトコ! ダメ! アゥ、もうこれ以上はムリよ!!』

 

 目の前で展開される光景に、思わず言葉を失う。

 

 「せ、先輩? 何なのでしょうか? あの珍妙な通信端末のようなモノは…。人の声がします…!」

 

 「えっと、日本でちょっと前まで一般的に普及してた携帯電話…だと、思う。…いや、見た目はそうなんだけど、なんというか、なんなんだ」

 

 外見は2000年代以降に日本で普及している、ボタン式の折りたたみ携帯電話であるガラパゴス携帯───通称 ガラケー(・・・・)に見えるが、こんなお喋りなガラケーは見たことがない。

 誰かと電話が繋がっているのだろうか? いや、にしても明らかに、勝手に動いてるぞアレ。

 

 『え、ちょっとー。ウソでしょ〜?マシュちゃんってば、ケータイさんのこと知らないの?アンタそれでも、平成生まれなのかしら!親の顔が見てみたいザマス!』

 

 「すみません。生まれてからこのかた、ずっとカルデアで育てられたものですから、現代の流行といった知識には疎く…。親代わりの人はいましたが、もうお会いさせることができないのです」

 

 『おっと、あれー。もしかしてケータイさん、すっごい大きな地雷踏んじゃった感じ? なんか、ゴメンね。お詫びといってはなんだけど、デート一回とかする?どしたん、話きこか?』

 

 「詫びてるんなら、お前は、さっさと、黙らんかァァア!!」

 

 『クレイモア───ッ!!?』

 

 よくわからない断末魔とともに、謎の青ケータイは千鍵の手で逆パカ───真っ二つにへし折られる。

 

 

 「はぁ、はぁ。やっと静かになった…。ごめんマシュさん。コイツの言うこと、何一つとして真に受けなくていいからな!」

 

 「は、はい。それに関しては大丈夫なのですが…、今の御方はいったい? それに完全に壊れちゃってますが、問題ないのですか?」

 

 「ああ、大丈夫 大丈夫。コレ別に誰かの私物じゃないから。ただのタチの悪い野良(のら)ケータイだよ」

 

 タチの悪いケータイも、野良のケータイも初見である。

 

 「───って、ちょっと待った。そういえばここに来る前、シオンがさ」

 

 自身の記憶を思い出す。

 確かあの緊急招集の際、送られてきた音声メッセージに対して、シオンはこんなことを言っていた。

 

 "…ええ。しかも、常に飛行を続けているこのストーム・ボーダーに対して、ピンポイントにです。オマケに2000年代以降における日本で、3Gと呼ばれている回線を用いています。あー、頭イタイ。"

 

 「2000年代の日本…、もしかして先輩、救難のメッセージを送ってきたのは、その通信端末からだと仰るのですか!?」

 

 そう言って、マシュはもはや残骸(ざんがい)と化したガラケーを見て驚く。

 自分はマシュの問いに、冷や汗をかきながらも頷く。

 

 「ん? なんだ、そんなに血相(けっそう)かえて。このアホに用事があったのか?」

 

 そう言って、千鍵は遠慮なくそのガラケーを足で小突く。

 

 「ちょ、千鍵さん───!?」

 

 にわかには信じ難いことであるが。

 もしもこのガラケーが、そんなデタラメな技術力を有する一つの "魔術礼装" だったとするのなら、あの意味不明な言葉を喋ることも、勝手に動き出していたことも、認めたくはないが説明はつく。

 

 というか、もしかして。

 自分たちはとんでもないことをしてしまったのでは。

 

 「カルデアと連絡を取るための端末を、破壊してしまった……!」

 

 「??」

 

 いや、ここで千鍵を責めるのは違う。

 いち早くこの物体の価値に気づけなかった、自分たちに非があるのだ。ここはもう気持ちを切り替えて別の連絡手段を探すしか───、

 

 「お前ら、コイツに用事があったんなら、ほっときゃそろそろ出てくるぞ(・・・・・)?」

 

 「「──────はい?」」

 

 千鍵の言葉に、マシュと揃って目を丸くする。

 

 

 『ちょっと〜?千鍵ちゃ〜ん?ネタバレはよくないんじゃないの、ネタバレは〜!皆さーん!ミュートワードは "(みどり)"。緑ですよー!しっかり自己防衛していきましょうね〜っ!』

 

 「「ほ、ホントに出てきた──────!!?」」

 

 気がつくと、千鍵の後方からまたあの声が聴こえてきたのである。

 

 「ってお前、なんだってんだ、その姿は!?」

 

 千鍵の驚く声に、思わず顔を覗かせる。

 

 見ると彼?は、そのブルーカラーのボディはそのままに、端末の姿を長方形の液晶デバイス───いわゆるスマートフォン(・・・・・・・)に様変わりしていたのである。

 

 『はてさて?ナニを驚いていらっしゃるんですか、ミス・グリーン。僕は常に時代の最先端を往くタイプの "パケシ"───フッ、そう、あえて名乗るなら、シン・パケs』

 

 「なに一人だけリニューアルしてやがるんだぁ!このアホケータイ! 中身が変わってねぇなら、なんの意味もねぇんだよ───っ!」

 

 そう言って、千鍵は再び現れたそのケータイに掴みかかる。

 

 『HAHAHA、折れまい!折れまいて!ホワイ!なぜなら!スマホという概念に逆パカ(・・・)などないからデース!ザンネンでした〜!』

 

 「くそっ、上等だァ!だったらいっそ、液晶を踏んづけてブチ破ってやるぞ、コラァ───!」

 

 まずい、このままでは先ほどの繰り返しである。

 どういう原理で二代目(?)が出てきたかは不明だが、とにかく千鍵を止めないと───!

 

 「ステイ、一旦ステイでお願いします!千鍵さん!」

 

 同じことを考えていたのか、マシュが背後から千鍵の両脇に手を回して抑えつける。

 

 「はっ───!? ついいつものクセで! ごめん、藤丸、マシュさん」

 

 そうして、静まった千鍵はケータイから離れる。

 

 

 「あの、改めてはじめまして。なんとお呼びしたらよろしいでしょうか?」

 

 マシュはそう言って、しゃがみこんでケータイ電話に話しかける。

 

 『おやおや、何処かの(みどり)とは違って丁寧な子ですねぇ。私のことは、"スマホさん"。そう呼んでいただいて結構。……時代のニーズに合わせていくのが、人類史なんだろう? 先ほどの無礼はお詫びしよう、お嬢さん』

 

 謎のケータイ───スマホさんは、そうして今までとは打って変わって紳士的な言葉遣いでマシュに謝罪をした。

 

 「いえ、そのことはどうかお気になさらずに。もしよろしければ、スマホさんのこと、少しばかり解析させていただいてもよろしいでしょうか?」

 

 『え?ちょ、おま、や、やめろよ、こんなところで…!恥ずかしいじゃねぇか/// 優しく、優しく触ってくれよナ!』

 

 その言葉を了承と受け取ったマシュは、バイザーを通してスマホさんの内部構造の解析を行なう。

 

 

 「す、すごいです…先輩! スマホさん、解析できません!なんらかの魔術的な障壁で、ブロックされているようです。やっぱり、あのメッセージは、この未知の端末を用いたと判断して間違いないと思われます!」

 

 そう言ってマシュは振り返る。

 

 「コイツ、そんなにすごいヤツなのかぁ?」

 

 千鍵は納得いかなそうに、(いぶか)しげな表情を浮かべる。

 

 しかし、これはとても幸先がいい。

 まだ潜入をはじめて数刻だが、既に救難を要請した生存者のうちの一人と、連絡手段のための通信端末の確保に成功したのだ。

 

 『どうやら、千鍵くんには、この私の価値がわからないようですねぇ。なんと嘆かわしい…!これではひびきくん(・・・・・)も報われな…、アッ!ちょっと待って!なんだ、この妙な感触はァ!アタシ、ナニモノかに、ハッキングされちゃうぅぅう!!』

 

 そう言い残して、スマホさんはピタリとその動きを止め、そして───、

 

 『───ュ…! マシュ! 聴こえるかい? こちらストーム・ボーダー!電算室よりレオナルド・ダ・ヴィンチが連絡を繋いでいる!無事だったら、応答してくれ!』

 

 カルデアの技術顧問───ダ・ヴィンチちゃんの声が聞こえてきたのだった。

 

 「「ダ・ヴィンチちゃん!!」」

 

 『その声は…、藤丸くんもちゃんと一緒だね? よかった。カルデアに送られてきたメッセージと、同種の信号をキャッチしたから、ダメもとで発信したけど、繋がったみたいだ!』

 

 「そっちから発信に成功するなんて、さすがだよダ・ヴィンチちゃん!」

 

 『どうだろう、こっち側で対処した試みはないんだけど…。もしかしたら、霊基外骨格(オルテナウス)がそっちにあるのが大きいのかもしれない。その通信端末の波長を、霊基外骨格(オルテナウス)が "WiFi(ワイファイ)" のような役割を担って繋げてくれているのかもしれない』

 

 ボーダーとの接続機能がある霊基外骨格(オルテナウス)が、結果的に連絡手段に後押しをしてくれているということか。

 

 「なるほど。そのようなことが可能だったのですね。……と、そういえばダ・ヴィンチさん!ゴルドルフ新所長やシオンさんは今どちらに?」

 

 『ああ。二人ならキャプテンと一緒に、司令室で南米異聞帯に関しての作戦会議中だ。こちらも、ただキミたちの帰還を待っている間、なにもしないわけにはいかないからね。今回の主なナビゲーションは、私が担当するよ』

 

 それは非常に頼もしい。

 自分も思わず気が引き締まった。

 

 

 「はじめて聞く女性の声だな…、藤丸たちの知り合いなのか?」

 

 自分たちの会話を聞いて、千鍵は目を丸くする。

 

 『おや。こっちも聞き慣れない声がするね。……とりあえず、そちら側の状況を説明してもらってもいいかな? 藤丸くん』

 

 

 

 ***

 

 

 

 そうして自分たちは、ここまでの状況説明をダ・ヴィンチちゃんに行なった。

 加えて彼女から許可をもらい、自分たちカルデアのことや、今現在の汎人類史の状況についてを、千鍵に説明することとなった。

 

 

 「──────と、いうわけなんだ。」

 

 一通りの説明を聞き終えた千鍵は、難しい顔をして沈黙していた。

 うん、こんなことを説明されて、信じろという方がおかしな話だ。

 

 「……にわかには信じ難いけど。藤丸もマシュさんも、嘘をつくようなヤツには見えないしな。……わかった。信じるよ。というか、ぶっ飛びすぎてて話の半分くらいは、正直 理解できてないかも」

 

 そう言って千鍵は、あははと視線を逸らした。

 

 『いや、それで構わないとも。こちらがどういう目的で行動しているのか、だけ伝わってくれたのならそれでいい』

 

 「お話した通り、私たちはこの通信端末を用いて救難を要請した、貴方たちを助けに来ました。改めての確認になりますが、この端末を用いて信号を送ったのは、貴方ではないのですね?千鍵さん」

 

 マシュのその言葉に、千鍵は頷く。

 

 「申し訳ないけど、私じゃない。……そのケータイ野郎が勝手に送っただけじゃないのか?」

 

 「いや。音声メッセージの声は、女性(・・)の声だったんだ。千鍵とは違う声色だったけど、間違いないよ」

 

 自分のその言葉に、千鍵は目を丸くする。

 

 「───"ひびき" だ。それ、絶対ひびきだよ!」

 

 ひびき──────?

 

 「そういえば、ダ・ヴィンチさんに回線が切り替わる直前、スマホさんも同じ名前を挙げていましたね?」

 

 そう言って、マシュはスマホさんに視線を向ける。

 

 「ひびき─── "日比乃(ひびの)ひびき" は、私の…その、友達っていうか、同じ高校に通うバイト仲間なんだ」

 

 彼女の言う、日比乃ひびきという少女が、カルデアに信号を送った生存者なんだろうか。

 

 「でもよかった、救難の連絡をしたってことは、ひびきも無事ってことなんだよな! ……ていうか、おいクソケータイ!私、お前に "ひびきも無事か" って聞いた時に、"わからない"って言ってたよなッ!」

 

 千鍵は思わず拳を構えるも、胸の前でぐっと堪える。

 

 『いやん、ケータイさん嘘なんてつきませんよ〜? 実際、わからないから、こうして嫌々 (みどり)くんについて行ってるわけですし〜? アンタのことなんて、全然好きじゃ、ないんだからねっ!』

 

 そう言って、ケータイさん───いやスマホさん…もうどっちでもいいか、は千鍵の言葉にヘラヘラと返答した。

 

 『ごめん。スマホくん───だったかい? 同じ端末を通して連絡をしているから、ボーダー(こっち)からじゃ彼の言葉が聞こえないんだ。君たちのため息を聞くに、よほど変わった返答をしたようだけど』

 

 そうか。ダ・ヴィンチちゃん側には、ケータイさんの声は聞こえていないのか。同じ端末を用いている弊害がこんな形で生まれるとは。

 

 『喋る携帯電話というのは、また珍妙な端末だねぇ。もしも持ち帰ることができたら、じっくりと調べあげたいものだよ』

 

 『くっ、いっそ殺せ!私はアンタたちに屈したりなんて、しないんだからっ!やれるもんならやってみなさいよっ!』

 

 どうやらスマホさん側には、ダ・ヴィンチちゃんの声は聞こえている様子である。ホントになんなんだ。

 

 「……どのみち、もう一人の生存者としてひびきさんがいらっしゃる以上、探索は引き続き続行する必要がありますね」

 

 「うん。ホームズたちとも、合流しないといけないからね。ちゃんと全員で帰還するのが、ゴルドルフ新所長が俺たちに言い渡した任務だ」

 

 マシュと目を見合わせ、互いに頷く。

 

  

 『……その前に。桂木くん、だったね? キミの話も少し聞かせてほしい。どういった経緯で、こんな迷宮にやってきたのかな?』

 

 「え、私? ……えっーと、どうやってここに来たのかなんて、正直 私にもわからないんだ」

 

 「と、言うと?」

 

 「今日は日曜日(・・・)で、学校は休みだったからさ。ひびきと二人で喫茶店のアルバイトに出勤してたはず…なんだけど…」

 

 そう言って、千鍵は顎に手をあて考え込む。

 

 「あの喫茶店、いっつも訳の分からないこと起きるけど、今回ばっかりは長すぎるな…、藤丸たちが言ってた地球の白紙がどうのって話と関係あるのか…?」

 

 どうやら彼女側にも、記憶に欠落があるようだ。

 

 「もしかしたらこの迷宮は、なにかしらの魔術で、"入る瞬間の記憶" をなくす作用でもあるのでしょうか…?」

 

 マシュはそう言って、自分たちが迷宮に足を踏み入れた時の出来事を追想している様子だった。

 

 『ふむ、そういうことなら仕方がない。合流を優先しよう。ホームズたちが、もう一人の生存者であるひびきくんを、先に見つけてくれているかもしれないからね!』

 

 ダ・ヴィンチちゃんに鼓舞(こぶ)され、再び気合いを入れ直す。

 そう。この迷宮の探索は、まだ始まったばかりなのだ。

 

 

 

 ***

 

 

 

 マシュと千鍵と、三人で迷宮の複雑な通路を歩く。

 その道中には不気味な(にわとり)(うさぎ)(イノシシ)の姿をした魔獣やゴーレムなどが跋扈(ばっこ)しており、何度か戦闘を余儀(よぎ)なくされたのだった。

 極力、マシュには戦闘を控えてもらうプランだったというのに、結果として彼女に頼りきりになってしまったことが、ただ悔やまれる。自分が、もう少し戦えるマスターだったらよかったのだけれど…

 

 

 「……そういえば、千鍵さんたちは、どのくらいの時間ここにいらっしゃったのですか?」

 

 真っ直ぐな(ほの)暗い通路を一列に歩きながら、マシュの問いに千鍵は振り返る。

 

 「うーん、わからん。このクソケータイの道案内を頼りにずっと彷徨ってたけど、全然 外に出られなかったし。なんか腹も減らないから、正直もう夢の中(・・・)だと割り切ってたんだよなぁ…」

 

 そう言って、千鍵はため息をついた。

 

 「まったく誰にも会えないし、得体の知れないバケモノは出るしで、もう死ぬかと思ったの連続だったよ」

 

 「……確かに。あんなのを一人で対処するなんて、相当 大変だっただろうね。この迷宮の広さも、これといってまだわからないし」

 

 『そのことで、私から追加の情報があるよ。シオンからの提供でね、その迷宮は全部で "四階層" に分かれていると推測されているそうだ』

 

 「四階層───?」

 

 『うん。この迷宮の聖典は、その四階層目の最奥にあるとされているらしい。……ちなみに、今キミたちがいるのは、縦軸の座標から察するに "第一階層" かな。三日(・・)かけてまだ一つ目の階層ということは、一筋縄じゃないみたいだけどね』

 

 ──────ちょっと待った。今、なんて?

 

 「ダ・ヴィンチさん、三日ってなんのことですか?」

 

 『? 藤丸くんたちが、"ストーム・ボーダーを離脱してから通信が繋がるまで" に経過した、白紙化した地球上での経過時間のことだよ?』

 

 そんな、まさか。

 

 「な!? あの時点で既に三日も経過していたのか!?」

 

 とてもじゃないが、そんな時間を探索したとは思えない。

 

 『おっと、そんなところに齟齬(そご)があったとはね。やはり内部は異界だったか。……けれど問題ない。それはあくまで、キミたちを観測できていなかった、"今までの時間" の話だ。今はこうして、迷宮の中と外を繋ぎ観測することができている。ここから先の時間の流れは、同一のものになるはずだ。まだ異星の神の動きもないし、安心していいよ』

 

 ダ・ヴィンチちゃんの言葉にほっとする。

 観測されないかぎりは、存在の証明ができない。(ゆえ)に時間の流れもまた、観測されるまで不確定なものとなる───今までも経験したことではあったが、今回は状況が状況だ。ほんの一刻が世界の命運を決定づける恐れがある。

 早い段階で通信端末を見つけられたのは、本当に幸運だったのかもしれない。

 

 「ふーん。やっぱり話を聞くかぎり、まだ夢みたいな感じがするな。ある日 突然 世界が他の星の神さまに侵略されましたーとか、どんなSF(エスエフ)映画だよ、って感じだし…」

 

 「あはは、まあ、普通はそうだよね…」

 

 千鍵の反応に、つられて自分も頭を搔く。

 自分には、まだわからない。このすべての出来事が、一つの夢で終わるのなら、それは幸福なことなのだろうか───。

 

 「まぁ、でも。冷静に考えたら、私の働いてた喫茶店も、変なことばっかり起きてたしなぁ。そういうこともあるかぁ」

 

 「千鍵さんの働いてる喫茶店には、どのようなことが起きたりしたのですか?」

 

 マシュの質問に、千鍵は視線を逸らしながらも思い出している様子だった。

 

 「うーん、ありもしない宝を探すために、喫茶店の地下倉庫にあった洞窟を探検したり…、ブラウザゲームを全クリしなきゃ出られない赤いケータイに閉じ込められたり…、突如 飛来した隕石や巨大な泥のバケモノを魔法少女的なパワーでぶっ飛ばしたり…、とか…」

 

 なんですか、その特異点みたいな喫茶店は。

 

 

 「───と、愉快なお話の続きはまた後で! 先輩、通路の先に強力な熱源を探知しました!」

 

 「魔力量は、どのくらい?」

 

 「すみません。この迷宮全体に、不安定な密度の大源(マナ)が溢れている影響で、熱源以外の探知は使えないんです…!」

 

 なるほど。

 通りでこの距離に近づくまで気づかなかったわけだ。

 

 「おい、なんなんだよ、アイツ───?」

 

 通路の先は、大広間(・・・)となっていた。

 おそらく、ここがこの迷宮の第一階層の最奥。

 

 薄く水が張り巡らされたこの領域。

 その中央にて鎮座(ちんざ)するのは、蒼く透き通るような体躯をもつ不気味な()

 

 すなわち、幻想種(げんそうしゅ)

 白紙化された地球では失われ、神秘(・・)遺すこの迷宮の内部においては、今もって跋扈(ばっこ)し続ける、魔獣に他ならない。

 

 「あれは、"水の馬(ケルピー)" でしょうか?」

 

 マシュが名を口にした幻想種は、かつてブリテン島北部に生息していたとされる魔獣。

 少女の肉を喰らうとされるその馬の本質は "水の魔" そのものであり、こうして大広間を訪れた自分たちを、まるで舌なめずりをするかのように、既に見定めている!

 

 「来るぞ、マシュ──────!」

 

 予備動作のない突貫(とっかん)

 まるでこちらが、"迎撃態勢にはいること" がわかっていたかのような動きだった。

 

 「ちょ、やば──────!?」

 

 千鍵に目掛けて攻撃を仕掛ける水の馬(ケルピー)に、透かさずマシュが割って入る。

 

 「貴方の相手は、私です──────ッ!」

 

 大きく盾を振り払い、再び魔獣との距離を取る。

 目測で8メートル、といったところだろう。

 

 されど両者ともに、瞬きの間に接近できる間合いのままである。

 

 「ブルルルァ──────ッ!」

 

 水の馬(ケルピー)は、着地点を変えながら、何度もマシュに目掛けて突貫を繰り返す。

 

 「ッ──────、!!」

 

 マシュはその突貫攻撃を、器用に(はじ)き返すも、それでは決定打にはならない。

 

 「ならば───!」

 

 

 再びの突貫。

 音速の域に到達しかねんその突進攻撃を、

 

 「そこ、捉えました───ッ!」

 

 マシュはかち合わせるようにその盾を水平に突き出す。

 

 「ブルルァ──────、」

 

 「な──────ッ!?」

 

 しかし、その攻撃は魔獣の表皮を滑るように(・・・・・)外れていく。

 

 「水の膜(・・・)で、向こうも攻撃を受け流しているのか───!」

 

 『その魔獣はおそらく、この階層における支配者(・・・)の立ち位置なのかもしれない!』

 

 ケータイ越しにダ・ヴィンチからの通信がはいる。

 

 『こっちはあくまで、キミたちの音声データしか拾えないけどね…! もしも本当に、その魔獣が水の馬(ケルピー)だとするのならば、その水の膜を破れるだけの火属性の飛礫(つぶて)や魔弾、もしくは同規模の出力を発揮できる火力攻撃が必要だ!』

 

 「了解しました、ダ・ヴィンチさん!」

 

 そう言って今度は逆に、マシュの方から魔獣へと突貫する。

 

 「アマルガムゴート、発動───!出力を、瞬発的に90%まで引き上げます!」

 

 彼女の勢いを見て、水の馬(ケルピー)は即座に危険を判断、その火力を底上げした突貫を、自身の濡れた(たてがみ)を揺らしながら鮮やかに回避しようと試みる。

 そしてその行為は、突貫した少女にとっては致命的(・・・)である。

 少女の技量であれば、この攻撃を外してから再び迎撃に移るのは容易いだろう。一秒もあれば、躱し切った水の魔獣に追撃を加えられる。

 

 ──────だが。

 

 その一秒(・・)が、少女にとっては "命取り" だ。

 魔獣の技量は、その一秒 動けぬ少女の首を()ね飛ばすことが可能だ。この少女自身も、この突貫を外すことは自身の死に繋がると理解している。

 故に獣はほくそ笑む。少女の技量は素晴らしい。だが生憎(あいにく)と、一枚上手だったのは、自分の方だったと。

 

 

 ────────────だが!

 

 

 「させるか───! 礼装起動(プラグ・セット)・幻想強化!」

 

 

 「ッ──────!!?」

 

 非礼を詫びよう。水の獣。

 しかしもとよりこちらは、一対一(・・・)の勝負をしているわけではない!

 

 「はぁぁぁああ────────ッ!!!」

 

 アマルガムゴートにより、出力を90%にまで上昇させたマシュの突貫は、魔獣の生まれつき持つ野生の勘───第六感によって先読み、回避されることは必定であった。

 しかし、そこに。

 自身が放った、"魔術礼装" による瞬間的な火力の強化が乗せられる。

 

 それは単なる筋力(・・)の強化だけではない。

 

 幻想の強化とは即ち、"サーヴァントそのもの" の強化。

 筋力、魔力、敏捷(びんしょう)耐久(たいきゅう)、幸運、宝具。

 それら あらゆる基礎能力(パラメータ)を底上げしてこその幻想(ファンタズム)───!

 

 少女本人に全力は出せずとも、その出力は、規定値の "120%" を優に超えよう───!

 

 

 水の獣は、一切の視線を逸らすことなく、真っ直ぐに自身へと突貫する少女の顔つきを見て、その瞳にこう疑問を抱いた。

 

 "一切の迷いなく、その男をただ信じたのか" と。

 

 

 少女の一撃は、魔獣の "水の膜" を破って突き刺さる。

 魔獣は貫かれたその身から鮮やかな蒼色の血飛沫(しぶき)をあげて、そのまま立った状態で絶命していた。

 

 

 

 「す、すごい……!」

 

 そう言って、千鍵は小さく拍手をしていた。

 

 

 「…敵性個体の沈黙を確認。そちらもご無事でしょうか、先輩!千鍵さん!」

 

 バイザーを外して、マシュはこちらへと振り返る。

 

 「ああ、問題ないよ! ありがとうマシュ!」

 

 手を振って、マシュに無事を知らせる。

 

 「いえ、先輩も魔術礼装による補助、ありがとうございました!おかげで問題なく魔獣を倒せ…、!?」

 

 「ブルルルァァァァア──────ッ!!!」

 

 マシュの言葉を(さえぎ)るように、絶命したはずの魔獣が暴れ出す。

 

 「マシュ──────!?」

 

 『まずい、"最後の足掻き" か。マシュ!急いでそこから離れるんだ───!』

 

 水の馬(ケルピー)は、その身体を大きく揺らし、まるで爆発したかのように、その姿を "水のスライム" のようなものへと形態変化(・・・・)させた。

 

 「く───ッ! 先、輩…!」

 

 武装ごと身体を包み込まれ、マシュは身動きを取ることができなくなっていた。

 

 「くそ───!マシュを助けないと!」

 

 そうして、千鍵と一緒にマシュへと駆け寄ろうとした時、

 

 「え──────?」

 

 この大広間へと繋がっていた別の通路から、見覚えのある人影が姿を現したのだ。

 

 

 清潔感と物静かさの双方を感じさせる白い肌と、落ち着いた顔立ちに短くまとめあげられたオールバックのヘアスタイル。

 インバネスを着込み、片手にパイプを持った長身痩躯(そうく)の男性───"シャーロック・ホームズ" が、涼しげな顔でやってきたのである。

 

 

 

 ***

 

 

 

 「─────────。」

 

 

 早くも第一階層にて、ホームズとの合流に成功できたのは大きな成果だ。

 

 「ホームズ!よかった、無事だったんだね!」

 

 ホームズは、特に目立った外傷もなさそうだった。彼にとってこの迷宮の魔獣は、大きな障害ではなかったのかもしれない。

 

 

 「と、そうだ。ホームズ!マシュが大変なんだ! 一緒に助けてほし…、」

 

 

 彼は、変わらぬ足取りのまま、まっすぐに歩いてくる。

 その表情は、寒々しい(・・・・)ほどに、涼やかなままだった。

 

 

 「まさか──────、」

 

 片手を僅かに広げ、千鍵と歩み寄るホームズの間に立つ。

 

 「おい、藤丸、知り合いなんだろ? どうした?」

 

 「千鍵、いったんこの大広間から逃げ───!?」

 

 逃げるんだ、と言おうとして、瞬きの間に近寄っていたホームズの膝蹴りが、自身の腹部にはいった。

 

 「っ、かは──────ッ!!?」

 

 思わずよろめく。

 意識が飛んでいないのは、幸いか。

 

 

 「先輩───ッ!! ホームズさん、何を!?」

 

 マシュはなんとか水のスライムを振り払おうと試みるも、あえなく無駄に終わる。

 

 「──────。」

 

 ホームズは涼やかな表情のまま、腹部を抑えて腰を丸める藤丸立香(じぶん)へと、再び歩み寄る。

 

 「う"───ッ!! ぐは──────ッ!!」

 

 ホームズが得手(えて)とする、東洋武術とボクシングを組み合わせた打撃術───バリツ(・・・)による蹴りや殴打が、問答無用で自分に襲いかかる。

 

 何発かは自身の腕で防御できたが、そもそも普通の人間とサーヴァントとでは、致命的に力の強さが違う。

 今の攻撃で、肋骨が一本折れてる程度で済んだのなら幸運な方だろう。

 

 「おい───、なにしてんだよ、お前…!お前 藤丸たちの仲間なんじゃないのかよ!? なんでそんな、なんて事のないような顔をして、そんなことできるんだよ…!」

 

 「ダメ、だ…! 千鍵…! 逃げ、ろ…!!」

 

 強く意識を保とうとして、身体の方が先に倒れてしまう。

 

 ホームズは、そんな藤丸立香(じぶん)に追撃しようとはせず、今度はそのまま "千鍵の方へと" 標的を変更した。

 

 「っ──────!」

 

 

 「─────────。」

 

 変わらぬ足取りで進むホームズに対して、

 

 「ホームズ……ッ! やめ、ろ……ッ!」

 

 地べたに這いつくばったまま、彼の右脚を掴み、その行動を止める。

 

 『もうやめるんだ藤丸くん…! 音声の情報だけでわかる!明らかにホームズは今正気じゃない(・・・・・・)!! 無闇に引き止めたら、キミが危ないぞ…!』

 

 ダ・ヴィンチからの制止の声が届く。

 ああ、耳鳴りはしていたが、聴覚はまだ正常に残っているらしい。

 

 ──────けれど。

 

 「今ッ! ここでホームズを止めないと…!彼はこの先、ずっと自分のこと(・・・・・)を信じられなくなるだろ───ッ!!」

 

 今ここで。

 彼に、千鍵のことを手にかけさせてしまったら。

 たとえそれが、何者かに操られている状態であったとしても、許すわけにはいかない。

 だって他ならぬ彼自身が、自分を許せなくなる。

 

 無辜(むこ)の民を手にかけるという悪逆(・・)は、彼の───"名探偵 シャーロック・ホームズ" の名誉に(キズ)をつける行為に他ならない!

 

 

 ホームズは、自身の右脚を掴む藤丸立香(じぶん)の頭を、踏み砕くために、もう片方の左の脚をあげて───、

 

 「いい加減に、目を覚ませッ! シャーロック・ホームズ!! ……貴方は、"正義の人" だろうッ!!」

 

 

 藤丸立香(じぶん)のその言葉で、ピタリと、こめかみの部分で左脚は制止する。

 

 そのほんの僅かな(すき)に───、

 

 

 「いい加減にしろって言ってんのが、聴こえないのか───! このヒョロ野郎ォ────ッ!!」

 

 

 千鍵による、パチンッ、という鮮やかな音を響かせた平手打ち(・・・・)が、ホームズの頬へと見事にはいった。

 

 

 

 ***

 

 

 

 それは、清々しいほどに鮮烈な一撃。

 

 目の前で踏み砕かれんとする、小さなヒトの灯火(ともしび)を、"自分はちゃんと見ている" と言わんばかりの星明かり(・・・・)だった。

 

 事実。

 その時の少女の手は、光り輝いていた(・・・・・・・)

 その瞬間を、ここにいる全員が目撃していた。

 

 無論。

 そんなモノは彼女の意図したことではない。

 だが星明かりというのは、(いにしえ)より "そういうもの"。

 

 この世のどの()の光も。

 何万光年先のあなた(だれか)に届かせるつもりなど、はじめから想定していないのだから。

 

 だが結果として。

 その一撃は、彼───シャーロック・ホームズを呪縛(・・)から解き放つに足るだけの力を示してみせた。

 

 その解放の刹那(せつな)

 ()には、その呪縛に込められた "メッセージ" を読み取ることは容易だった。

 

 

 『■■■■を、■■。』

 

 

 笑えるね。本末転倒とはこのことだ。

 なぜなら、その使命は既に達成されている(・・・・・・・)

 

 いや。達成されたからこそ、か。

 

 どちらにせよ、この迷宮を占める "二つの意思" は、全くもって馬が合わないワケだ。

 

 

 かくして少女は覚醒した。

 この状況。君ならどうする、トライテン(・・・・・)

 

 

 

 ***

 

 

 

 少女の平手打ちが、大広間にこだまする。

 

 「私───、は──────?」

 

 数秒の沈黙の(のち)、目を丸くしたホームズはそう言葉を発した。

 

 「ホームズ───!!」

 

 「ようやく目を覚ましたかよ。…って、それなら早くマシュさんを、助けてやってくれ!」

 

 「む…? ミス・マシュが──────?」

 

 ホームズはしばし周囲の状況を観察した後、水の魔に囚われているマシュを見つけて、考えるより先に行動に出てくれた。

 

 「フ──────ッ!」

 

 鮮やかなバリツによる蹴りで、スライム状の魔獣はバラバラに弾け散り、レンズ状のレーザーを用いてダメ押しとばかりに焼き切った。

 

 

 「…あ、ありがとうございました、ホームズさん」

 

 マシュは息を整えながらも、丁寧にホームズへと礼を述べる。

 

 「いや。どうやら礼を言うべきなのは、私の方のようだ。……マスター・藤丸、立てるかね?」

 

 ホームズに肩をかしてもらい、なんとか立ち上がる。

 

 「……キミをここまで痛めつけたのは、私なのだね? 本当にすまない。謝って許されることではないが、謝罪しよう」

 

 「そのことなら気にしないでいいよ。…ちゃんともとに戻ってよかった」

 

 「……お前、なんだったんだよ、さっきまでのは」

 

 そういって千鍵は訝しげな目でホームズを見る。

 

 「どうにも、私も記憶が曖昧だ。夢遊(むゆう)状態に近い感覚を受けていた。……もっとも、身体の支配権すらまともになかったのだが」

 

 そうしてホームズは、千鍵を改めて見つめ、

 

 「失礼。お名前を伺ってもいいかな、レディ」

 

 そう名前を聞いていた。

 

 「ん? ああ、そういえばそうだな。……私は桂木 千鍵だ。とりあえず、よろしく。えっーと、」

 

 「千鍵さんは、私と先輩が発見した、この迷宮の生存者の一人です。……千鍵さん、こちら私たちカルデアの経営顧問を担当なさっている名探偵───シャーロック・ホームズさんです!」

 

 マシュのその言葉を聞いて、なるほどと頷くホームズと、まんまるく目を広げて驚いた顔をする千鍵。

 

 「ホ、ホームズ!? ホームズってやっぱり、その(・・)ホームズなのか!? 」

 

 「はい、そのホームズさんです!」

 

 千鍵は、マシュの言葉が信じられないとばかりにあんぐりと口をひらく。

 

 「いや、確かに藤丸がそう呼んでたから、まさかなぁ…とは思ってたけど、ホントに本人なのかよ…!? す、すみません!さっきは思いっきりビンタしちゃって! つい頭に血が昇っちゃって…、あはは」

 

 「いや、構わないとも。文字通り "目が覚める" ほどの清々しい平手打ちだった。……念のため、確認しておきたいんだがレディ。私の右頬に、赤い手形(てがた)は付いていないかね?」

 

 「付いてません! もう全ッ然、付いてないです!」

 

 いや、付いてますよ。桂木さん?

 

 「はぁ、にしても、過去の偉人や英雄と契約を結んでるーっていうのは説明されてたけど、シャーロック・ホームズってのは実在してたのか…。どっちかというと、そっちに驚いてるよ…」

 

 そう言って、千鍵は眉間に指を当て、頭痛を耐えている様子だった。

 

 「私の実在性に関しては、あえて黙っておこう。ミス・桂木、キミがシャーロキアン(・・・・・・・)ならば、尚更だがね?」

 

 「え? いや、全然そんなことないけど。」

 

 それを聞いて、少し残念そうに目を伏せるホームズ氏。

 

 

 「とりあえず、先輩の怪我の具合を診るためにも、どこか安全な場所に向かいましょう!」

 

 「だったらいっそ、もう下の階に降りちまうのはどうだ?」

 

 そう言って、千鍵はあの水の馬(ケルピー)がいた場所の先にあった、"降り階段" を指さしていた。

 

 『うん。この階層は、支配者を失ったことで、より魔獣たちが自由に暴れ回る危険性があるからね。その先に進んだ方が得策かもしれない。 』

 

 ダ・ヴィンチちゃんから通信がはいる。

 

 「じゃあ、あの階段の先が───、」

 

 

 『そう。その先が、このアルカトラスの第七迷宮における、第二階層(・・・・)だ』

 

 

 

 /『日曜日の交錯』-了-

 

 

 

 




 
 
 
 まずはここまでお読みくださり、誠にありがとうございました。長々とした構成でしたが、楽しんでいただけましたら、幸いです。
 
 ここから先は、本シナリオの小話や補足説明を、今後のネタバレを含まない範囲でお話していきたいと思います。
 
 
 ・アルカトラスの第七迷宮
 
 まだ深い言及はできませんが、本シナリオにおける舞台らしき大迷宮。聖典を守護するために、とある上級死徒によって造設された魔窟……とされています。
 お気づきの方はいるかもしれませんが、本シナリオにおける迷宮内部の描写は、Fate関連小説『Fate/Labyrinth』での描写に近いものを採用しています。またこちらの作品では、迷宮からの帰還者が登場いたしますが、亜種聖杯戦争が存在する等『Fate/Apocrypha』に近い世界線であるということから、こっちのFGO世界線には、"未だに帰還者はいない" ということになっておりますので、悪しからず。ごめんね、ノーマとグレイちゃん!
 
 
 ・桂木(かつらぎ) 千鍵(ちかぎ)
 
 緑。ツインテ。ツンデレ。そして、緑。掃除はできるが、料理は暗黒物質(ダークマター)。そんな『まほうつかいの箱』における、アーネンエルベの看板娘が一人───千鍵ちゃんこと、チカちゃんです。
 迷宮に紛れ込んだ生存者の一人として登場した彼女ですが、普段から摩訶不思議(まかふしぎ)な出来事に巻き込まれているせいか、比較的 順応がはやい。というか諦めている。
 そんな彼女は『スターリット・マーマレード』における主人公でもありますので、これから先もドンドン活躍してもらいます。
 
 
 ・スマホさん(ケータイさん)
 
 時代のニーズに合わせ、最新の姿にバージョンアップした謎の青きケータイ。その機能は、"よく喋る"。"すごいよく喋る"。"鬱陶(うっとう)しいくらいに喋る"。の3ステップ式。そんな、ギャラクシィなのかエックスペリァなのかアイフォーンなのかわからない未知の端末こそが、そう彼───シン・パケシである。(は?)
 彼もまた、『まほうつかいの箱』においては重要なポジションを担っているキャラクターの一人ですので、本作品においても、たくさん喋ってもらいます。千鍵 含め詳しい話は、また追追(おいおい)ね。
 "ところでケータイちんって、スマートフォン アンチじゃなかったっけ?"という、とある少女の純粋無垢(じゅんすいむく)な疑問が投げかけられるのは、今はまだ語るべき時ではない。()
 
 ・星5 ルーラー シャーロック・ホームズ
 
 みんなお馴染み、世界で唯一の顧問探偵。
 今回のお話では、"迷宮の謎と救難要請の謎" を解くための頭脳 要員として活躍してもらいます。今回の舞台が魔術世界の厄ネタの一つということもあり、頭脳 要員にはロード・エルメロイ二世に出張ってもらおう、という案もありましたが、それでは『Fate/Labyrinth』の完全な二番煎じになってしまうので、今回は彼に来てもらうことになりました。
 今回の話はあくまで『まほうつかいの箱』とのコラボシナリオをイメージしていますので、カルデアメンバーと千鍵たちの絡みをメインに展開していく物語となっていきます。彼にも引き続き活躍してもらうのだ。
 
 そんな感じで、まだ物語は序盤ですので今回はこのあたりで。
 多くの謎が残るこの救難指令(サルベージ・オーダー)も、少しずつ真相が解明されていきますので、どうかお楽しみに。
 
 改めまして、最後までお読みいただき誠にありがとうございました。次回の更新をお待ちいただけますと幸いです。
 
 
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