月光ハヤテは影を踏む   作:黒兎可

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唐突にネタを思いついてしまったんだ、申し訳ない・・・
こっちもメゾチャン同様息抜き更新ってことでお願いします


転生主人公を端から見守る系転生主人公

 

 

 

 

 

 忍者とニンジャとNINJA(ニンジャァ)、侍とサムライとSAMURAI(サムラァイ)には天と地ほどの差がある。武士道とブシドーとBUSHIDOU(ブゥシドォ)とに差があるのと当然のようにそれは一緒で、つまりはどれくらい誇張、デフォルメされたものになっているかということだ。

 例えば一説によれば、日本人は大半がNINJAの末裔で(誤解)NINJUTSU(ニンジュゥツゥ)を使用でき(誤解)、ONMYOUJI(オォンミョウジィィ)はその中でも最強(誤解)、SAMURAIは爆撃機を遠距離からKATANA(カタァナ)で斬る(たぶん誤解)。

 

 とはいっても、いざ自分がそんな無理がまかり通る世界に居るとなると、また事情は変わってくる。

 

「大丈夫だぞー? ハヤテ。もうすぐ火の国だからなー!」

「そうよ! 噂通りなら、ここなら貴方だって治療できるお医者様がいるはず!」

「…………ゴホッ、ゴホッ」

 

 あっ、という訳でどうも。私、月光ハヤテと申します。

 生れは鉄の国、仁と義と和を持って忠を誓う由緒正しい侍の国の出であるらしい。もっともその寒冷すぎる気候が原因だったのか、僕は酷く病弱に生れてしまった。今だって特に何をしていないのに咳が止まらない。何かしら身体の奥のところに病なり問題なりがあるのだろうけれど、その正体を国の内で突き止めることができなかった我が両親。

 ならばどうするかとなったときに、あっさり国外で治療を受けるという選択肢を手に取った二人は相当にまっとうな「親」なのだろう。まあ生まれついてより寝つきが悪く、隈取とはいかないにしても目の下にくっきりと不健康の証が浮かぶくらいには生来、身体が弱いのだ。だといっても、当然のように自らの母国を捨てることが出来るというのは凄まじいことだろう。

 

 とはいえ未だ五歳にもならない時分。月光ハヤテは巨大な門の前で、色々とやりとりをしている親の背中を見ていた。

 

「火の国……、木ノ葉隠れとか、もう呼ばれてるのかな?」

 

 そんなことを考えて周囲を見渡しても、特にその答えになるような要素は無い。ため息をついて胸を抑え、台車の上で再び呼吸を落ち着ける作業に戻った。

 

 あっ、察しの通りというべきでしょうか私、転生者です。

 前世でも特に特別な出自も何もなく、気が付いたら目に悪い色をした場所に転がっていました。そしたらどうも、別な人が原作「NARUTO」でいう大筒木一族らしき何者かと話しているではありませんか。会話を盗み聞けば、どうやら手違いで死なせてしまったからもう一度、時空間忍術を使ってどうのこうの…………みたいな、よくあるお約束な会話。

 だが、ここから先がその該当転生者の私情全開だった。

 

KISHIkAGE様(最高神)の意向とは言え最終回以降にああなっちまったアンコ、もうちょっとどうにかならなかったもんかねぇ』

『わかりみが深いでござるぞwwww』

 

 あっ、ちなみに古典的なオタク喋り風の方が大筒木一族らしき何者か……、いや、まぁ大筒木一族らしい風体というだけで体格とかはそのまんま、しゃべり方のイメージ通りちょっとぽっちゃりしてたり、汗をかいていたりといったのはあるのだけれど。

 そのオタク大筒木一族とそんな会話で意気投合したらしい彼……、彼女? 魂の姿ということなのか、その見た目で年齢性別顔立ちどれもわからないのだけれども、どうやら「みたらしアンコ」をサポートできるような立場に転生させてもらえるらしい。

 

『デュフフフフフwwww 是非ともあのデンジャラスなアンコ殿をメロメロに可愛がってもらいたいですぞwwwww さながら昼はギャンギャン泣かされても、夜はアンアン啼かすかのようにwwww』

『いや、せいぜいポッチャリを解消するくらいだと思うんだが……、仮に「そういう」関係になったとしたら、アンタは何も思わないのかってばよ?』

『いや拙者、アンコ殿推しだけど大筒木一族だから下等生物相手にそういう衝動とか感情はちょっと…………』

 

 割と滅茶苦茶なことを言うオタク大筒木一族だった。

 

 そしてあれよあれよという間に転生チートらしい何かをつけて転生させられていたその彼/彼女だが……。その後にはたと、倒れている私に気付いたらしいオタク大筒木一族。

 

『デュフフフフフフフフフ………………、ちょっと余計な魂も引っ張ってきてしまったようですぞ? あっソーレ』

『ちょっ!? 雑すぎない!』

『いや、まさか拙者普通に手違いでこういうこと起こすとか思ってなかったし……』

 

 そんな適当極まりないやりとりと同時に、僕の視界はその場からどんどん遠のき、気が付けば「おぎゃあ」と相成っていた。

 成長するにつれ、独特の機械やら鎧やらが跋扈する自分の周囲の町とか、忍者、大戦、「木ノ葉の三忍」とか色々な話が聞こえくるようになる。生まれつき病弱だったこともありあまり外には出なかったものの、亡き祖父が国ではそこそこ名前の通った侍だったらしく、客人も多かったのでそういう情報を知るのには事欠かなかった。

 

「ナルト世界だってばよ……」

 

 思わず主人公口調が移った一言を吐いてしまい両親に不思議がられたのは少し黒歴史だ。

  

 それはさておき、現在に戻るけどその後。話自体は事前に通っていた、戦時だというのにかさほど待たされず国の中に招かれると、医療忍者と思しき人たちが数人集まり僕を検査した。ただその表情がすぐれず、両親とヒソヒソ話。気が付けば麻酔からの集中治療室コンボを喰らっていた。

 意識がぼんやりと戻った僕を前に、木ノ葉の忍びらしいよくある例のタイツとチョッキっぽい恰好の上から白衣を着用した女性忍者が、沈痛な面持ちの両親に語る。

 

「この子はチャクラ経絡系、通称『八門』と呼ばれるものになりますが。開門・休門・生門・傷門・杜門・景門・驚門・死門、これらの全てからうっすら生命エネルギーが漏れ出ているような状態でした。本来開くべきですらないものな上に『全て』開門しているというこの状況、精神エネルギーも疲弊する以上、チャクラ総量がどんどん落ちていく――――普通ならいつ死んでもおかしくはない状態でした」

 

 そんな! と悲痛そうな声を上げる両親に、どこかで見覚えのある様な美人の先生は、寝ぼけた頭の私を撫でて微笑んだ。

 

「…………ご安心を。力業ですが、無理やり閉じました。でもそれとて一時的な対処。唯一方法があるとすれば……、専門機関で正しくチャクラの操作方法を覚えること。それにより経絡から微妙に排出されかかる生命エネルギーを、強引にでも体内に留め『門を閉め直す』こと。つまり私から提示できるのは――――」

 

 そんな運びで、僕は忍者アカデミーに入学することが決まった。なんでも先生曰くツテがあるらしく、「なぁに、構いやしませんよ!」とドンと胸を叩いていた。

 

 さて、それはともかく。月光ハヤテといえば原作でも(一応)名有りキャラで、多少は目立つシーンもいくつかある。

 顔色は悪いが成長すればそこそこイケメン……、たぶんイケメンで、特別上忍なんてものにもなっていたりした。ちゃっかりといえばちゃっかりだけど恋人だっていたりする。

 

 もっとも、その最期は割と適当に処理された…………、というか噛ませにされていた。「木ノ葉三日月の舞」なんてちょっとシャレオツな技を披露した直後に平然と斬り殺され、アニメだとその後ゾンビ化した末に恋人の手で殺される運命にある。

 

「そういう所が特別でも何でもないモブ忍者って扱いなんだよな……、ゴホッゴホッ」

 

 特に理由もなく転生した身としては、とりあえずここまで色々と無茶を重ねて育ててくれた両親の恩に報いたい。

 この時は、僕の目標はそれだけだったのだけど…………。

 

 

 

「押忍! 俺ってば、うずまきイソベ! よろしくだってばな!」

「…………」

 

 

 

 赤毛にバンダナ、ツンツン頭に侍みたいなチョンマゲをした少年。明らかに見覚えのない彼とアカデミー入学の時に知り合って、「嗚呼この男の子か……」と例の魂の転生先と確信した。

 

 身も蓋もない言い方をしてしまうと転生オリ主くんだろうイソベくん(磯辺焼きが元ネタ?)。年齢的には僕より三つほど上。よく親戚らしい赤毛のお姉さん……、もしかしなくても原作で見覚えのある赤毛の美人さんな「うずまきクシナ」だろう彼女に叱られている。アカデミー入学後、彼は先輩として色々と気にかけてくれていた。

 まぁ原作キャラを外から見たとして、月光ハヤテがどう見えるのかと言えば。原作でもあっさり殺されてしまうのに、幼少期からすごく今にも死んでしまいそうな勢いで体調が悪そうに学校に通っている。年々良くなっていってるから噂にこそなってはいないけど、その様子にはあまりに不憫なものでも感じてくれたんだろう。クラスメイトのイルカ(十中八九のちのイルカ先生)共々、半分修行、半分遊びで色々とやっていた。

 

「ゲホッ、ゲホッ……、ちょ、ちょっと待って…………」

「ハヤテ、お前体力本当にないなぁ……。そんなんで任務どうするんだ?」

「我ながら良く足切りされずに、入学できたと思うよ……ゲホッ」

「実際ソレさえなければ、問題なかったんだろ? ならヒクツになんなって!」

 

 口は子供らしくデリカシーがないけど、けっこう真剣に僕の心配をしてくれるイルカはやはり両親のことで苦労するよりも前から人格者の素質があると思う。そして受け答えしようとしても、鬼ごっこクラスの忍術遊びで息切れと咳が止まらない僕の身体はまだまだチャクラコントロール修行中もあって病弱だった。

 と、クシナお姉さんに何か買い物をすっぽかしたとかで怒られていたイソベ(途中ミナトらしきお兄さんにやんわり止められていたけど)が、僕の方に来て声をかけた。

 

「いっそハヤテはアレだってな? 影分身とか覚えて積極的に使った方が良いと思う! 影分身なら、身体の不調とかあんまり関係ないだろうし」

「なる、ほど……?」

「って言っても俺、そもそもの分身の術苦手なんだってばな!」

「実はオレも……」

「いや習ってないよね、僕らはそこまで」

「「「ハハハハハハハハハハハ!」」」「ゲホゲホッ」「大丈夫かッ!?」「本当デリケートだってばな!」

 

 実際の所は知らないけど、原作でも影分身を応用した技を使っていたので、きっとイソベが言ったのと同じような結論に達したのだろう。確かに影分身なら身体の不調は色々ごまかしが効きそうだし、本体が動かないでもなんとかできるので病状が悪化することもない。

 と、そんな話をしていると、ロングヘアに勝気な雰囲気の女の子が「ドロン」と現れた。背中に三本巨大な串みたいなのを背負った、ミニスカート風和服な恰好。下には鎖帷子っぽいものを着用していて…………?

 

「何やってんのさアンタ。まーたクシナさんの言いつけ破ってゲンコツ喰らってるのー?」

「うげ、アンコォ……」

 

 嫌そうな顔をして一歩後ずさるイソベ相手に覗き込んで、得意げな彼女こそ「みたらしアンコ」。うずまきイソベが転生した理由である彼女だろう。当時はまだぺったんこだけどヘソ出し姿が似合うくらいには既に幼児体型じゃなくなっていて、やっぱり発育は良いらしい。

 と、そんな僕と隣のイルカ(年齢相応にマセてるのかポーっと見惚れてた)に、彼女は「あら後輩?」と笑った。

 

「みたらしアンコ。一応コイツのクラスメイトで、コイツより優秀だから! 何か困ったことが有ったら言ってねー?」

「優秀って言ったって毎回上位争いしてるってばな! 授業では壱位と弐位で!」

 

 えっスゲー! と驚くイルカと咳込む僕。ちょっと得意げにしつつも僕を心配するあたり、まだ原作であったような猟奇性というか攻撃性は育まれていないとみえる。

 

「ところで何の用だってばな?」

「用って言うか、この間出来たばっかのお茶屋さんがようやくお客入り減ってきたから、一緒にどうかなーって」

「ああ、あそこかこの間言ってたやつ。串団子美味しいとか言ってた」

「そそ! ほら、アンタが今日の授業の分身の術で『参位』だった残念会ってカンジ?」

「あ! あれは初めてのことで、まだ勝手がわかんなかっただけだってばな! すぐ挽回するってば!」

「あれあれー? そんなに気にしてるのかなー? じゃあ後に着いた方がオゴリってことで! 競争よ!」ドロン。

「お前普通に弐〇皿とか食べるからオゴリとか洒落になんねーよ! っていうか分身か今目の前にいたやつ! ……そう距離は離れてねぇはずだけど、あー!

 悪いお前ら、また今度だってばな!」

 

 急いで彼女を追いその団子屋に向かう彼等。と、クシナさんが「いつも迷惑かけてゴメンってばね」と謝ってくる。正直、僕はあんまり友達がいる方じゃないので絡んでくれる分には助かっている。その旨を伝えると、ちょっとびっくりした表情になった。

 

「君、だいぶ落ち着いてる子ねぇ……。ま、焦らず頑張りな!」

 

 ニコニコ笑顔で私とイルカの頭を撫でるクシナさん。ちなみにイルカは彼女相手にもぽーっと見惚れて照れた様子なので、割と移り気なのかもしれない。

 

 

 

 そんな日々が過ぎていく中。授業では、これは原作通りなのだろうか「分身の術」に関してだけ適性を持っているのか、出される課題は応用含めてどんどん吸収していった僕。他の教科の成績がまちまちなのに対してチャクラコントロールと分身だけはせっかくなので力をいれていた甲斐もあってか、段々と楽しくなってきていた。

 そんなある日、公園でいじめられてる女の子を発見する。女の子同士わいのわいのと集まって、家に帰りたいらしい彼女の行く手を暴力とか暴言とかで徹底して妨害していた。

 

「これくらいは良いんだっけ。えっと……」

 

 彼女たちに隠れて印を結び、術を発動。そして煙球もどきを投げる()。げほげほと咽る彼女たちだが、皆一応、アカデミー通いなんだから何か対策すればよいものを……。冷静になればすぐ煙の範囲外に出ると思うんだけど、しばらくその場で咽ていた。

 まぁやりやすいのでそのまま放置して起き、第二、第三の術を発する。

 

「あ! 逃げたわ! ユウガンのくせにナマイキー!」「けちょんけちょんにしてやるわー!」

 

 機敏な動きで煙から逃れて外に逃げる女の子……、の幻影というか分身プラス変化というか。煙が晴れる前に腕を引いて隠れてた僕とその子は、女の子たちが分身を追いかけ遠ざかるのを見届けた。

 

「まぁ、こんなものかな? 大丈夫?」

「っぁ……、ぁりがとぅ……」

 

 声が尻すぼみな女の子。ショートカットだけど前髪が目にかかるくらいに長い。じゃあ頑張ってねーと適当に言いながら咳き込みつつその場を離れようとすると、すっと袖をつかまれる。

 

「どうしたの?」

「そ、の…………、また、遭遇するかも、しれないから」

「しれないから……、送って欲しいってこと?」

 

 我が意を得たりとばかりに僕の言葉に、喜色を浮かべて何度も首肯する女の子。こういう仕草は年相応に可愛いけど、こういうナヨナヨした性格ゆえにいじめられるんだろうか。

 ちなみにクラスでの僕は「空気」に近い。たまにイルカが接してくれるお陰で浮いてはいないけど、よく「分身だけヤロー」「一生ゴホゴホしてやがれ」「死因は咳」とか陰口をたたかれている。まあ実害が出るまでは子供のやることだから気にしていないけど、特にそれで距離を埋めようと言うことも無いので、まぁそんな感じだった。

 僕が他里の子供だということ、チャクラコントロールの事情が勘案されなければ足切り対象間違いなしだったことなどが理由だとは思うんだけど……。 

 

 そのあたり、この子はクラスも違うのもあってか、あまり気にしないらしい。ただ年齢よりは幼い感じで、僕の手を握って楽しそうに振っていた。

 

「君、名前は?」

 

 なんとなく聞いてみると、女の子は僕の方を見て――――同時に少し風が吹き、その前髪が晴れた。

 恐ろしく見覚えのある、ちょっと陰のある美少女顔がそこにあった。

 

「ゆ、ゆ……、夕顔……」

 

 夕顔、きっと卯月夕顔…………。一瞬言葉を失ってしまったけど、別に惚れたとかそういう訳じゃない。もしかしたら今日のイベントがフラグになって後々原作通りな恋人関係になったりするのかもしれないけれど、そうであるのなら。

 

 ……こんな素のメンタルよわよわそうな彼女に、二度も僕の死に様を見せる訳にはいかない。そんな使命感に、もう少しだけ真面目に色々と取り組もうと思った。

 

 

 

 

 

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