戦争が終わったときに両親が死んだと連絡が入り、僕はその顔を見に行った。
アカデミーを卒業するかどうかという時だったかに知らされた。それが僕の重荷になるのではと病院の先生たちは心配したけれど、それでも顔を見に行くことにした。それが最低限、この世界に生まれた僕を育てて、命からがらここまで運んでくれたあの二人に対する礼儀だと思ったからだ。
結論から言うと、顔がなかった。
どうやら敵の忍者に、そういうタイプの術を使う者が居たらしい。父親の顔はなく、母親の顔面は崩れていた。遺体安置所に持って帰ってこれたのがむしろ不思議なくらいで、とはいっても両親はどちらかといえば後方、前線に居た訳ではなかったらしかった。もともと破損した武器の修復で貢献というのを条件に里入りしたこともあって、僕の治療費というか通院費を稼ぐために頑張ってくれていたらしい。そんな矢先、スパイが入り込んだ。その標的にされたのがあの二人だったそうだ。
最初、その顔にかけられた布をめくろうとしたのだけれど、瞬間移動のように現れたミナトさんに止められる。そしてそっと、母親の方だけを少しずらされた。
不思議と、涙は出なかった。
ただ両親の、その深く刻まれた手のしわだったり疵だったり火傷跡だったりタコだったり、微妙に汚れたそれらを触って。でもそこに熱が灯っていないのを知って、いかに戦争というものが身近にあったのかと言うことを僕は本当の意味で思い知った。夕顔に会わなくて良かった。今の僕の顔を見たら、それだけで落ち込んでることを察させてしまいそうだった。あれから何度か出会って(というより、いじめっ子から逃げるのを手伝って)るけれど、その度に毎回、前髪で隠れたその両目が泣きそうになっているのだ。そこまで親密ではないにしても、相手を曇らせたくはない。
「――――アラ、アナタ。ずいぶん浮かない顔してるじゃない」
ミナトさんと別れた後、そんな僕に声をかけてきたのは「
どうやら、両親が亡くなったという話をその場で一緒に軽く聞いてたイソベ(こと転生者主人公)が、みたらしアンコに相談していたみたいだ。そしてアンコ経由で内弟子である彼女、その師匠たる彼に話が回ったらしい。
確か第三次忍界大戦前後には既に出奔していたのではなかったかと思ったけれども、厳密には時系列が言われていなかったとは思うので不思議なことではないのだろう。
とはいえそもそも原作初期きっての危険人物、受け答えは少し慎重にならないといけない。
「…………顔色は元からっていうのと、あと不審者ですね。通報しますよ?」
「アラ? 警戒心が強いじゃない。悪いことじゃないわよ、忍者として修業を重ねていくのなら」
「それでは――――」
「でもまぁ落ち着きなさい、少し話をさせてくれたって構わないじゃないの。もともとミナトの奴が忙しくなるから、約束していたことを代わりにやってくれって言われてるんだし」
「ミナトさん?」
アカデミーで過ごしているということは、必然あのイソベ兄ちゃんとの関りも深くなっていくということ。結果的にクシナさんやミナトさんとも正式に面識が出来たということなんだけど、それが周り周って大蛇丸との縁を繋ぐことになったらしい。
「私は大蛇丸。アンコやミナト、あの子たちの先生……の世代って言って良いかしらねぇ。たまにアカデミーに顔出ししてる自来也や、アナタの主治医の綱手とトモダチよ?」
セリフの内容はともかく、自己紹介のしゃべり方が完全に不審者のそれなのはどうなのだろうか。とはいえ咳き込む僕に、少し心配したような表情になるあたりこの時はまだ将来的なマッド忍術研究者になるまでスれていないということか。
あ、ちなみにだけどやっぱりというか、僕が里に来た頃に診察してくれたあの女忍者は普通に千手綱手姫様だった。原作でいうとちょうど婚約者とかを亡くして傷心だったころだと思うのだけど、それでも僕を診てくれたのは治療に血が流れないからだろうか。
「ゲホッゲホッ……」
「聞いていた通りねぇ……。その身体でよく試験を突破できたものね。関心しちゃうわ。
別に貶している訳じゃないの、それを踏まえた上でもなお合格したと言うことは、そこに光る何かがあったかもしれないと思ってねぇ。でも…………、見た限り普通ねぇ。出身国以外は」
「まあ、侍じゃなく刀鍛冶でしたから。とはいえ僕も、忍として生きていくわけですけど」
「そう気負わなくても良いじゃない……。でもそうね。まず約束を果たすところからしましょうか」
「影分身の術を教えてくれる、でしたよね」
もともとミナトさんから「分身の術が得意なのかー。じゃあ君が卒業したら、僕が君の知らない分身の術を一つ教えてあげるよ?」と言っていたのを思い出す。
大蛇丸はくすくすと(不気味に)笑いながら、僕の目を見ていた。
「そうよ? でもどうせだし、アナタの才能が悪くなければもっと色々教えてあげても良いわよ? アンコも『イソベと違って才能豊富だし』って言ってたもの」
「それは、どうもです…………。って、才能って意味ではイソベ兄ちゃんの方があるんじゃないでしょうか? コントロールは苦手って言っても、あれってたぶんチャクラ総量が多すぎるせいとかだと思うし」
「アラ、良く見てるじゃない。そうね、確かにあの赤毛の子も悪くはないのよ、そういうタイプとしては『長門』よりも前向きだし。ただ前向き過ぎてねぇ……、ああいう直情タイプは自来也や綱手に投げとけば良いのよ。どうせ猿飛先生みたいにクソみたいな生暖かい理想論を騙り出すようになるわ」
「その前にスケベ一辺倒になりそうな気が……」
「その時はまぁ……、骨くらいは拾ってあげましょう」
仙術チャクラの研究のタシくらいにはなるかしらねぇ、と冗談なんだか本気なんだかわからない一言。
アカデミーに時折顔を出す自来也様は、自分の教え子の血縁ということもありイソベ兄ちゃんをたまに連れ出して遊びにいくことがあった。もっとも戦争終結前の話、自来也様、長門さん、イソベ兄ちゃんの三人ともが顔をボッコボコにされていたりして「何事か」と思っていたのだけど、それぞれがそれぞれに知り合いの女性(綱手先生とアンコは確定として、小南さん?)に、女湯をダイレクトエントリーして覗いたと殴られて粛清されていたということらしかったけど。
あの時、長門さんがもうこりごりだと言っていたのに対して「じゃがのぅ……、良かったじゃろ?」と言った自来也様に「はい」と食い気味に即答していたことを思い出す。アレはなんというか、そのうち自来也様二号みたいな性格になっていってしまうのでは……。
その後、大蛇丸に連れられてラボ(※木ノ葉の里にあるもので、まともな研究所風)に入ると、白髪の少年が資料の整理をしていた。顔立ちはちょっと大蛇丸に似ているけれど……? と、軽く声をかけるとこちらに頭を下げて、奥に引っ込んでいった。
「あの、ひょっとしてお子さん……?」
「って訳でもないのだけれどもねぇ。アタシもまだまだ修行中だから。
さて、じゃあまずあなたが分身の術で何を出来るか、というのを教えてごらんなさい」
言われたので、とりあえず分身の術を行う。半実体型の分身が僕と同じポーズをとる。
そしてそのまま印を組み替えると、大蛇丸は目を見張った。
「アナタそれ…………、性質変化させてるじゃないの。しかも『五代性質変化』すべてを。まだ学校で習っていないでしょう?」
「そうなんですけど、どうにも『分身』自体に限っては、なんか出来そうって思ったら出来ちゃったというか……」
これがあのヲタク系大筒木一族がつけてくれたチートなのかは知らないけれど(割と適当にこっちに送られたし)、どうにも僕は「分身の術」に限ってのみ、物事の理解や応用に関して異常な才能を持つらしい。今現在も、分身の術そのものを構成するチャクラを性質変化させることが出来ている。
「いくら分身とはチャクラのパスみたいなものが通っているからとは言っても、限度ってものがあるわ。常時自分の身体のチャクラと分身のチャクラを相互にやり取りでもしてるってことよね。チャクラ総量があんまりない割によくやるわねぇ……」
他にもオーソドックスに分身を変化させたり、さらに二体の分身それぞれを使って「僕が」「忍術を使用しているような」風に見せるトラップを出したりと。関心するような大蛇丸だったけど、やっぱりというか彼の好みには合わなかったらしい。
その後、忍組手をしたり体力を軽く測ったりした上での大蛇丸の結論。
「分身の術以外はカスみたいね。下忍にもなってない以上は仕方ないとはいえ」
「ゲホッゲホッ」
「ほら、このガムでも噛みなさい。歯にいいやつ。これで少しは息苦しいのが収まるでしょう」
綱手が逆流性食道炎とかも併発してるって言っていたものねぇ、とこちらを気遣うのか、ポケットからガムを取り出してきた。それを食べるかどうか躊躇していると、普段のような含みもなく「噛みなさい」と無理やり口の中に放り込まれた。特に体がマヒするようなこともなく、意識がもうろうとすることも無かったので、本当に大蛇丸的には引っ掛かるものがなかったんだろう。
特に何か変なこともなく、印と効果、原理を教えてくれる大蛇丸は本当に普通に先生していて、しかもこちらの判らないところも言うまでもなく察して丁寧に話してくれる。なるほどこの面倒見、アンコさんが懐くのも無理はないか……。正直原作での今後の動きを知らなければ、僕ですらちょっと憧れてしまうくらいに、出来る先生と言う感じだった。
「未、巳、寅、で……、十字でしたっけ?」
「そうよ。それを組むことで分身に組み込むチャクラの量の制限を外すことが出来るわぁ……。一歩間違えると禁術指定になるから、分身の量は調整なさいね」
「はい。――――影分身の術」
と、ごっそり体力が持っていかれるような錯覚――――気が付くと目の前に現れた僕も、ぜいぜいと肩で息をしていた。
「本当に厄介なものねぇ……。精神エネルギーは身体エネルギーに依存してるところがあるから、身体エネルギーをがりがり削っていくアナタのそれは、致命傷になりかねないわね。
一応、貴方の身体に綱手が組み込んだ制御術式、私がいくらか手を加えたものなんだけど。もはや障害って言っても過言じゃないレベルのものよ」
「そ、そんなにですか……」
「本当なら忍なんて止めてどこかでずっと生涯療養するレベルじゃないかしらねぇ…………。まあそれだとお金もないでしょうし、スポンサーとかもいないでしょうから忍働きも仕方ないんでしょうけれど」
本当、なんでこんな普通に心配してくれるような凄い忍者である大蛇丸があんな変態さんに……、たぶんこの頃から変態さんには違いないんだろうけど。でもこの完璧すぎる外面はもはや外面じゃなく、大蛇丸本人の律義な部分なのかもしれない。それが証拠に「そろそろ夕食にしようかしらねぇ……。食事の調子はどんなものかしら?」と聞いてきて、油ものとか控えたり具材を細かく切って調理する様は、妙に甲斐甲斐しいというか凄い気遣われてるようで居心地が悪かった。なんならこのままビール取り出して優勝でもしそうな勢いだ。
とはいえ、背に腹は代えられない。鳩尾の当たりを抑えて背筋を伸ばし腰を深くソファにかけ、深呼吸を繰り返す。
「――――大蛇丸様、ただいま戻りました!」
「おっ邪魔しまーッス! て、部屋暗いってばな、照明照明っと!」
「い、イソベくん……‼ も、もうちょっと遠慮した感じにしないとっ」
そんな、原作を知ってるとちょっと妙な気分にさせられる研究室に、三人の男女が入ってきた。既に下忍となったアンコさん、分身の術に本番で失敗して不合格になったイソベ兄ちゃん、あとは……?
「あれ、何でハヤテ?」
「イソベ兄ちゃんこそ。ってあれ? シズネさん。どうして」
「あっハヤテくん。ご無沙汰してます」
ぺこり、と頭を下げるのは、綱手先生の付き人のようなことをしているお弟子さんの加藤シズネさんだ。聞けばどうやら、彼女もイソベ兄ちゃんたちと同じ世代でアカデミーに通ってるらしい。
と、奥の方から大蛇丸様がデフォルメされた蛇の描かれたちょっと可愛くて悔しい感じのエプロン姿で、鍋を片手に出て来た。イソベ兄ちゃんが「うげっ」って顔をして、シズネさんがイソベ兄ちゃんの背中に隠れる……(なお一番年長者)。
「あらお帰りなさい。アンコ、どうしたの? 今日帰ってくるってのは聞いていたけれど、三人一緒にっていうのは珍しいじゃない」
「あっ大蛇丸様! いえ、これには深い訳が――――」
「あとその背負ってる三本串はいい加減やめなさい。見た目のインパクトを相手に与えるのには悪くないかもしれないけれど、こと戦闘においては何ら戦術的優越性はないのよぉ? 鑑賞用みたらしアンコにでもなりたいなら、モデルにでも立候補なさい」
「……は、はーい……」
「…………逆に戦術的に何か意味があるなら、持っていて良いってことだってばな? そうッスよね大蛇丸様」
ん? とにやりと微笑む大蛇丸に、やっぱり一歩後ずさるイソベ兄ちゃん。
「えぇ、えぇ。それが術なり何なりで必要になるというのなら、むしろジャンジャン持つと良いわ。お気に入りだからって理由だけで持つのはどうかって話よ。
アナタ、そういうところはちゃんとしてるのねぇ、うずまきイソベ」
「フルネーム呼び止めてくださいッス、なんか怖いってばな」
「お前! 大蛇丸様に怖いとか言うんじゃない! 意外と大蛇丸様って傷つきやすいんだぞ! この間も里の子供をあやしてくれと頼まれてやったのに、お母さんから手渡された瞬間に大泣きされて―――――」
「アンコ、アナタあとで腹筋千回よ」
「えっ何でです!?」
「アンコ、意外と天然なんだね……」
「抜けてるだけだってばな、微妙に」
「ゲホッゲホッ」
これは、尊敬の念が行き過ぎていて天然さんが入っているのか……。シズネさんは「ご無沙汰です」とこちらも大蛇丸様に普通に頭を下げた。ただイソベ兄ちゃんを前に出したままなので、ひょっとすると単に人見知りとかなのかもしれない。
その後、特に何か問題がある訳でもなく「せっかくだから食べていきなさい」と、短時間で作ったにしては非情に丁寧な作りのスープをご馳走になって、帰宅する運びに。帰り際に、大蛇丸が僕に言った。
「アンタ、やろうと思えばすぐアカデミー卒業試験も合格できると思うけれど、もうちょっと間を取ってゆっくり学びなさい。そのチャクラコントロールが完璧になり、落ち着いてから試験するのをオススメするわ。そうねぇ……、せっかくだし、影分身がもう一体安定するまで我慢なさい? 忍びとして早死にしたくないのなら」
「……あ、ありがとうございます」
本当、どうしてこんなまともな先生が(以下略)。
※ ※ ※
そして数日後、四代目火影が正式発表された。波風ミナト、つまり予定調和的に原作通りミナトさんだった。
「クシナ姉ちゃん、おめでとうだってばな!」
「おぉ、ワシからもおめでとうと言っておこうかのぉ」
アカデミーに顔を出していた自来也様に連れられたイソベ兄ちゃん、に「せっかくだからラーメンおごるしついて来いってばな!」と半ば強引に引き連れられて、彼女たちの自宅まで案内された。場所は……、これってば原作ナルトくんの自宅そのままなのでは? ただクシナさんのものと思われる私物ばっかり散らばっていて、照れたように適当にまとめて片づけたことにしていた。
「あ、ありがとうだってばね。ちょっと準備とか色々してないんだけど……」
「おってことは今晩はミナトさんと一緒にディナーっすか? ディナーっすね!」
「うむぅ……、そのまましっぽりしていくコースじゃのぉ。つまりは『夜の飛雷針のじゅt――」
「子供たちの前で何てこといってくれてるんだってばね!」
「ぎゃふんッ!」
自来也様をひっぱたくクシナさんに「え、エロ師匠ォー!」と声をあげて叫ぶイソベ兄ちゃん。いや、なんで普通に師匠とかガマ仙人とかじゃなくエロ師匠なのか……。原作でもナルトがエロ仙人って呼んでたしそれを汲んでるのかとも思ったけれど、ちらりとイソベ兄ちゃんのポケットから見えたグラビア写真からして、どうも「そっちの」意味での師匠みたいな意味合いが強そうだった。
そしてそんな関係を知ってるのか、ギロリとギャグ漫画みたいな怒り顔でイソベ兄ちゃんを睨んでいそうなクシナさん。
「ゲホッ……、ま、まぁ落ち着いて……」
「まったく、これだから男共は……。やっぱりミナトは王子様よねー、ホント! 私、男みる目はあるってばね!」
「ミナトさんイケメンだから、普通にしててもモテモテだったしむしろあっちの見る目があるってばな。クシナ姉ちゃん苦労してるから、人一倍愛情強いし」
「へ? あ、ありがとうだってばね……」
いきなり素直に褒めて来るものだから、素で照れてしまったらしいクシナさんだった。
「ってことで、じゃーん! これお祝いのお守りだってばな!」
「…………安産祈願って、まだ気が早いよイソベ」
「へ? あ、あー……、ま、間違えたってばな。本当は安全祈願の予定だったってば」
渡されたプレゼント。ちなみに自来也様のプレゼントは普通に包丁セットとかだったので、このあたりは流石に出来た大人の忍びなんだろう。
と、なんだかふと微妙な気配を感じて「分身の術」を周囲に放ち「視界を共有する」。屋根の上に作った分身で建物の周囲を見渡すと、小さいウサギさんのお面を被ってる女の子が、僕らを窓の外からちらっと隠れながら覗いていた。お面はお祭りとかで売ってそうなカワイイやつ。……あと、個人的には見覚えしかない女の子だった。
断りを入れてから席を立ち、自来也様を跨いで(まだ伸びてる……)扉を開けて声をかける。
「どうしたの? 夕顔」
「ぅぁ……! は、ハヤテくんっ」
僕が出て来たのを見て逃げようとしたので、屋根から降ろした分身を足止めするように手前に置く。別に物理的な干渉力を持つわけではないけど、この子の性格からして急に僕が現れればびっくりして動けなくなるだろうとは思っていた。
そして案の定だったので、腰を抜かした彼女のお面を外す。うん、やっぱり美少女顔だ…………。原作よりも前なので口紅をぬっていないから、なおのこと幼く見える。
卯月夕顔。ご存じ、たぶん僕こと月光ハヤテを主人公として考えたらヒロインだろう女の子。原作では将来恋人同士になっているのだけど、現時点においてもそのフラグみたいなのはひしひしと感じていた。
人見知り、いじめられっ子、助けたその後も何度も頼られて、年齢的に幼馴染。もっと言うといじめっ子から逃げるのを手伝ったり、たまに一緒に忍術を練習したり。あと、気が付くと今日みたいにいつの間にか僕を追ってたり…………。これでもかというくらいな距離感で(むしろちょっと怖い?)、時々アンコさんとかに揶揄われる。というか、僕が「もっと可愛い顔が見たい」的なことを言ったら、あっさり前髪を切ってしまったところからして、もう手遅れかもしれない。
「あ、前髪切ったんだね。似合ってる、似合ってる」
「へ? う、うん……、あ、あ、ありがとう……」
そして照れたように頬を赤くして、でもにっこりと笑ってくるこの子は本当に庇護欲を強くかきたてる女の子だった。
と同時に大蛇丸……、まだ大蛇丸様でいいか。大蛇丸様に言われたあの言葉が脳裏を過る。忍びとして長生きしたいのなら、まずはチャクラコントロールが落ち着くまではゆっくりと学校生活をしろということ…………。
「どうしたの? ハヤテくん、顔、怖いよ?」
「あー、大丈夫大丈夫……、ゴホッゲホッ」
「あっ大丈夫じゃないね。えっとね……? お水お水……」
その後、甲斐甲斐しく世話をされてる僕を見て、意識の戻った自来也様とイソベ兄ちゃんがヒソヒソ話をしていた。
「(ハヤテは良いのォ……。あんなベタベタな幼馴染美少女彼女がいて。もう完全にホレとるし。溺愛されておるな)」
「(エロ師匠だって綱手様、今フリーなんだからファイト一発! すれば良いんじゃねぇってばな?)」
「(イーソーベー。長門がまだ生きてたら泣いておるぞ? 傷心に付け込む、そういうズルい方法で女を我が物としてもな、それは真に相手を慮った行動かどうかという話なのじゃ)」
「(まぁ綱手様も、エロ師匠がそーゆーヘタレだから、けっこう好きなんだと思うってばな。たぶん世の中の男性の中じゃ二番目か三番目に好きな男とかだと思う)」
「(それ言われて微妙な気分になるぞお前……。それに大体、イソベお前もどっちが本命じゃ? シズネとアンコ。特にアンコに至ってはおっぱい揉――――)」
「(あー、あー! 聞こえないってばな! べ、別に、どっちもそんな相手じゃないってばな! っていうかそれでも放っておくとあの二人もなんか婚期逃しそうな気がしてるってばな……)」
「(それ二人の前で言うんじゃないぞォ? 儂はシズネが第二の綱手になる姿を見とぅない)」
「(どうせい下らない話をしてるってばね。……夕顔ちゃんって言ってたかしら、ファイト!)」
※ちょっと夕顔の描写? 増やしました汗