リコリスマイスター 刹那   作:水が死んでる

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ライザの小説も書きたいんですけど、とりあえずこちらを完結させてからにしようと思います。

同時進行で毎日投稿は死んじゃいそう...いや、できる?


12 デート

『北押上前』と書かれた駅前。

千束はスマホを触りながら二人の到着を待っていた。

 

白パンツに黒シャツ。

その上から赤のコートを着ている千束は、時代の流行ではなく、自身に似合うコーディネートをわかっているかのようだ。

 

時刻は十一時五十五分。

ちょうど集合五分前に、刹那が集合場所に合流した。

 

「お、やっと来たか」

 

「? 時間にはまだ余裕があるはずだが」

 

「まぁ言葉の綾ってやつだよ。どれどれ...」

 

スマホをポケットにしまい込んだ千束は、刹那の服装をチェックし始めた。

刹那の服は、先日真島に会いに行った時のものと同じものだ。

 

「...せっちゃんてさ、これ以外に私服持ってないの?」

 

「トレーニングウェアならあるが」

 

「あっそ。..いや、着替えなくていいからね」

 

下着事件のこともあり、まだたきなよりましかと思っていた千束は、問題児がもう一人増えたことに肩を落とす。

と、そこにたきなも合流した。

 

「お待たせしました」

 

「おお、お~う。...新鮮だな」

 

考えてみれば、たきなの私服を見るのはこれが初めてだ。

下は黒のジャージ。上はグレーのTシャツ。背中に背負っているのはリコリスのカバン...。

 

「問題ないですか」

 

「ああ、問題ない」

 

「いや大ありだおい」

 

たきなの問いに刹那が真顔で肯定するのを、千束が遮る。

問題しかない。

たきなの背中に全てが詰まっている。

 

「銃持ってきたな、貴様」

 

「ダメでしたか」

 

「抜くんじゃねえぞ」

 

リコリスが銃を携帯しても許されているのは、リコリスの制服を着ているからだ。

それ以外の、例えばまさに千束の目の前にいるたきなの服装の状態で銃を抜こうものなら即座に通報され逮捕だ。

 

と、たきなの視線が千束の顔から下に移る。

 

「千束、その衣装は自分で?」

 

「衣装じゃねえ」

 

「刹那も自分で用意したんですか?」

 

「ああ。制服以外にも持っておいた方がいいと、知人に言われてな」

 

「お前ら...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一枚も持ってないの? スカート」

 

「制服だけですね。普通そうでしょう」

 

三人が向かっているのは、とあるデパート。

以前にたきなと刹那が迷子の捜索をしたことのあるデパートだ。

 

そんな場所へ向かっている途中で、千束がたきなに問いかける。

今スカートなのは刹那だけなのだが、スカート自体はさすがに千束も持っている。

ただ今日は違うだけだ。

 

ただ、たきなはそもそもスカートを持っていないらしい。

 

たきな曰く、機能性の問題らしい。

ひらひらしているものが引っかかる可能性や、素肌をさらしているが故のケガ。

それらを考慮すると、スカートを購入する必要性を感じないのだとか。

 

それを聞いていた刹那が頷いていると、千束がその頭にチョップを入れた。

 

「ちょいちょい。納得しない」

 

「...しかし、たきなの言うことに間違いは」

 

「まぁリコリスはそうだけどさ」

 

千束は眉を八の字にして言う。

 

「ねえ、買おうよたきな。絶対に似合う」

 

「よくわかりませんし、千束が選んでくれたら...」

 

そのたきなの一言が、千束の心に火をつけた。

 

「え、いいの!? おおやった~! せっちゃんのも私が選ぶからね! テンション上がる~!」

 

「...」

 

「なぜ私も...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千束のテンションがぶち上っているのと同時刻。

クルミは風呂場でパソコンを開いていた。

 

「武器相場に変化なし、か...」

 

たきながリコリコに異動になった原因の事件。

約千丁の銃が行方知れずという件について、クルミは調べていた。

 

千丁が仮に売りに出されていたとして、何かしら値段の変異は見られるはず。

とはいえ、パソコンの画面は大して変わりのないことを示しており、それもまた、クルミには予想内のことだった。

 

さすがにこれぐらいのことはラジアータでもできる。

 

そう思っているクルミの顔には落胆の色は見えない。

 

と、そこで風呂場の扉を開ける女性が一人。

ミズキだ。

 

「てめえ、何してんだ」

 

「見てわからんか。風呂だ」

 

「あほか~! 営業中だぞ!」

 

クルミは強制的に風呂場から出された。

 

手早く着替えたクルミは、扇風機の前で声を出す。

年齢不詳と本人が言っているのに加え、昔からネットに存在していたウォールナット。

だが、こんな姿を見ていると、ウォールナットという存在は継承されているのではないか、とミズキは疑っていた。

 

「相場に変化ないから何なのよ」

 

「闇市場にまかれてないってことだよ」

 

この筋では負えないというと、クルミは扇風機の風に負けたのか後ろに転ぶ。

見た目通りに体重も軽ければ筋力もないのだろう。

 

「千丁も銃をガメてどうすんだ?」

 

腕は二本しかない、というミズキに、クルミが不敵な笑みを返す。

 

「五百人兵隊がいるんじゃないか?」

 

「軍隊か! そんなおDAが見つけないはずないでしょ」

 

そんな風に二人が話していると、ミカの声が響く。

お呼びだ。

 

「あんたも着替えて手伝いなさい。三人は夕方まで帰ってこないんだから」

 

「あいよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どっちがいい? せっちゃんもどっちがいいと思う?」

 

服売り場にて。

千束はスカートを二種類持ち、たきなの腰にあわせてうんうんと唸っている。

それを見て、たきなと刹那は顔を見合わせて、同時にため息を吐きだした。

長くなりそうだ、と。

 

「おお~いいねぇ!」

 

千束が選んだ服を持たされ、次々と試着室に入れられる二人。

どんな任務でも平気な顔をしている刹那でも、さすがに疲労の色が見えていた。

 

「ん~、ちょっと別のものとってくるから、待ってて!」

 

千束はそれだけ言うと、周囲の客に気を付けながら速足でどこかへと歩いて行った。

たきなが横を見ると、腰に手をあてて休んでいる刹那の姿が。

 

たきなからしてみれば、こんな姿の刹那は新鮮だった。

服、というよりかは、反応だろうか。

 

「お疲れのようですね」

 

「...慣れないことはするものではないな」

 

そういう刹那は、顔だけでなく声にも疲れが乗っているようにも思う。

ここまで刹那を疲れさせる人物、千束。

たきなは別の方向に、千束を見直していた。

 

「おっまたせ~!」

 

そうして、最終的に千束によってえらばれた服を着させられ、褒められたたきなは。

 

「めっちゃいい!」

 

「...どうも」

 

少し照れていた。

 

刹那の服はここでは見つからず、別の店で探すことに。

 

「この店はどっちかというとかわいい系だからね。せっちゃんはかっこいいだから、向かいの店の方がいいかも」

 

そうしてついたのは、カジュアルスーツのような店。

かっちりしているような印象を受けるが、仕事服でない、おしゃれなスーツ、といった感じだろうか。

 

「ん~、せっちゃんは赤が入ったこれの方がいいかな」

 

「いえ、青の方がいいと思います」

 

真剣に悩む千束と、なんだか乗ってきたたきな。

それを横目に、刹那は少し憂鬱になっていた。

 

「また試着をするのか...」

 

そうして最終的に選ばれたのは、若干青みがかったジャケットと、白のパンツ。

中には赤と青がクロスで線が入ったシャツ。

 

「よーし、これでおっけー!」

 

「すまない、ありがとう」

 

「いいって、気にしないで~。私も選べてめっちゃ楽しかったし」

 

楽し気に会話をしている二人を見て、たきなはふと思い出した。

そういえば、ここには何をしに来たのか、と。

 

「千束、そろそろ本来の目的を...」

 

「え?」

 

完全に忘れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうだった、下着だった」

 

そうして入り込んだのは、『PEACH』という下着屋。

今どきのかわいい下着を取り扱う店だ。

 

「私はこのあたりで時間をつぶしている。終われば連絡を」

 

「わかりました」

 

「ええっ!?」

 

だが、店に入る前に、刹那は別行動を始めた。

千束が引き留める前に、たきながそれを了承する。

すると、刹那は千束が止める間もなく、近くのコーヒー屋へと入っていった。

 

それを見た二人は、そういえば、と思う。

 

「せっちゃんてさ、センセの淹れるコーヒー好きだよね」

 

「あまり見られませんが、上機嫌な時は少し微笑んでいますよね」

 

何それ私見たことない、と千束が言いながら、二人は下着屋へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別行動を開始した刹那は、もしかしたら自分も付き合わされるのでは、と思って逃げたのではなく、単純にコーヒーに気を取られ別行動を開始していた。

 

ミカの淹れるコーヒーにはまった彼女は、ここで豆を購入し、ミカに淹れてもらおうと画策していたのだ。

 

「...」

 

金額的にはどれも余裕がある。

というか、普段使わないが故に、少し使えとミカに苦言を呈されたこともある。

 

気になった豆を数種類購入し、喫茶リコリコへ郵送を頼んでいると、スマホに通知が入る。

 

「...任務か」

 

そこには一通のメールが届いており、内容はラジアータにより、地下鉄が襲撃されることが予測されるため、それの対処にあたるために合流しろ、というものだった。

 

郵送の手続きを手早く終わらせると、刹那は二人に『急用ができた』とだけメッセージを入れ、スマホの電源を落とす。

 

先ほどのメールに添付されていた地図を頭に浮かべた刹那は、集合場所へと急行した。

 

 




さかな~キャンセル。
刹那は残念ながら呼び出されてしまいました。
えへ。 
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