リコリスマイスター 刹那   作:水が死んでる

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できるだけ毎日投稿したいなぁと思うけれど、考えたらスプラ3が出ますね


03 青服のリコリス

「殴らなくたっていいでしょうよ!」

 

電話をしている千束の声が聞こえる。

初対面のはずなのに、どうしてそこまで他人のことで怒れるのか、たきなにはわからなかった。

 

そんなたきなの座っている前に、ミカがコーヒーを置く。

 

「想像と違ったか?」

 

「いえ...そんなことは」

 

目の前に置かれたコーヒーを手元に寄せ、映る自分の顔を見る。

 

...頬に湿布を貼った、自分の顔が映っていた。

 

「うっせぇアホ!」

 

おそらく最後までは聞こえてなさそうな切り方で、千束は受話器を乱暴に叩きつけた。

そしてたきなの方を向くと、左手を上にあげて、元気よく言った。

 

「よーし、仕事に行こう、たきな!」

 

「はい!」

 

仕事。そう聞いたたきなは椅子から立ち上がり直立する。

が、千束は上にあげていた手をそのままたきなの方に突き出し。

 

「あ、先生のコーヒー飲んでからでいいよ、すっごく美味しいから。私着替えてくるね。ごゆっくり~」

 

「...」

 

着替えてくるのであれば、と、座り直し、コーヒーを手に持った瞬間、千束が戻ってきたので、たきなはまた立ち上がった。

 

「あぁ~たきな!」

 

「はい!」

 

また立ち上がったたきなを見て、千束はにこにこしながら、心底楽しそうに言うのだった。

 

「リコリコへようこそ~! うひひひっ!」

 

「...」

 

千束はそれだけいうと、今度こそ着替えに行ったようで、また顔をだすことはなかった。

騒がしい人だ、と、口に出さずとも思ったたきなだった。

 

「どうぞ」

 

「あ、はい」

 

ミカにすすめられ、コーヒーを飲み始めるたきな。

そんな様子を、ミカは優しく微笑みながら見ていた。

 

と、そこでたきなは思い出す。

 

「あの...」

 

「?」

 

「『青服』のリコリスが、私と同じタイミングでここに配属になった、と聞いたのですが」

 

「あぁ...まだ来てないんだ」

 

「なるほど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして、二人が仕事に出ていったあと、入れ替わるように、一人の少女が扉を開けた。

 

「...」

 

「あ、青服」

 

「むぅ...」

 

扉を開けて入ってきた少女を見て、ミズキは思ったことをそのままに、ミカは少し難しそうな顔をして、出迎えた。

 

そこに立っていたのは、数少ない常連客の一人、刹那だった。

ただ普段と違うのは、私服ではなく、よく見ているリコリスの制服を着ている、というところだ。

 

「その様子だと、こちらのことは伝わっているようだな。私の名前は刹那。今日から世話になる」

 

それだけ言い放つと、刹那はいつも来店した際に座る席に座り、ポケットから小さい緑色の丸い何かを取り出すと、机の上においた。

 

そんな少女を見て、ミカは複雑な思いで、先日楠木から受け取ったデータを思い出していた。

 

刹那と名乗った少女。

彼女についての情報は、楠木から受け取ったデータしかないのだ。

ただ、大抵のデータはそこらのリコリスと変わらない。

目を引く情報は、一つか二つ。

 

『どんな任務でも単独』

『アラン機関による支援を受けている』

 

「......」

 

この情報を目にしたとき、ミカは頭を抱えたものだ。

 

一つ目、どんな任務でも単独、なんていうのはつまるところ、誰の援護も受けられない、ということだ。

千束でさえ、誰かとのコンビを組むこともあるし、元々DA本部のリコリスとコンビを組んでいたこともある。

 

それに加え、アラン機関。

世間的には謎の支援機関で、スポーツ・文学・芸能・科学など、あらゆる分野の天才を探し出し、無償の支援をする団体。

 

支援を受けるものは、金色のフクロウのペンダントを授けられているが...。

 

「...」

 

「?」

 

確かに、刹那の首にはペンダントがかけられている。

 

これはまた厄介事が入り込んできた、とミカは現実逃避をしたくなってきたのだった。

 

「ひとまず、自己紹介をしよう。ここの管理者のミカだ」

 

「中原ミズキ。元DAで、所属は情報部よ」

 

「...刹那だ」

 

二人がまぁまぁ友好的に言うのだが、それに相反するかのような刹那の無愛想さに、二人は顔を見合わせる。

 

少々引いている二人には気づかず、刹那は手に持っていたスーツケースの取手をしまい込み、いつも来店時に座っている席に座る。

 

「すまないが、水をくれないか。少し喉が乾いてしまってな」

 

「...ふ。コーヒーはいかがかな?」

 

「なら、それをもらおう」

 

下手くそな笑みを浮かべてそういった刹那を見て、ミカはこれからのことを思い浮かべ、悪いことにはならないだろうと確信し、コーヒーを淹れる準備を始めた。

 

それら一連の流れを見ていたミズキは、刹那が人付き合いの下手なだけの少女なのだと理解した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

刹那の座るカウンターにコーヒーを出したあと、ミカは裏で一人考える。

刹那が来る前は、単独任務しかこなさないという前情報を持っていたため、千束とたきなの二人で組ませて、刹那にはそのバックアップにあたってもらおうかと考えていたのだ。

だが、実際に来たのが、常連客だったのと加えて、先程の下手くそな気の遣い方を見て、ミカは考えを改めていた。

 

(あの二人と行動を共にさせてみるのもいいかもしれない)

 

ただ、その前に確認は取らなければだろうか。

 

「刹那。一つ聞くが、一人で任務を行うことについて、こだわりはあるのか?」

 

「いや、自然とそうなっただけだ。私が言うのも何だが、動きについてこれないのだろう。実際に面と向かってそう言われた」

 

「...そうか」

 

決まりだ。

刹那は、あの二人と行動させる。

そう決めたミカは、早速刹那に一つ頼み事をした。

 




そういえば、連載版リコリス・リコイルが始まりましたね

アニメをただ連載でやるっていうだけなのでしょうか
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