アニメ十三話分終わらせるのに約四十五話かかるのか
それ以上になりそ~^^
さて、たきな視点が多いのは気にしないでください。
どちらかと言えばたきな推しなんです。
リコリコの更衣室の鏡を見て、まず目に入るのは、自身の頬に張られた湿布。
あの時、たきなは間違いなく正しいことをしたつもりだった。
『司令部! 司令部!』
通信はなぜか取れず、同じくセカンドリコリスであるエリカが敵に捕らえられている。
このまま司令部の指示通りに待機を貫けば、確実にエリカは死ぬ。
『なんで?』
『知るか!』
目を閉じれば、あの時の光景が鮮明に思い出される。
あの時たきなは、司令部の命令を待って、ファーストリコリスのフキと、セカンドリコリスのヒバナと共に、射線を切る場所で待機していた。
どうしたものか、と考えている所に、恐らく取り引き相手である男が、エリカの後頭部に銃を突き付けているのが、見えずともわかった。
『そっから出てこい! こいつぶっ殺すぞ!』
このまま手を拱くままでは、目の前で仲間が一人死ぬ。
リコリス一人の命を引き換えに、何が得られる?
たきなは正面から左に視線を移す。
そこにはフキとヒバナがいるが、命令通りに待機することを選んだようだ。
あの二人は使えない。そう思ったたきなは、視界を右へと移す。
機銃だ。下を見れば、弾も装填されている。
そこからの行動は速かった。
『たきな!』
すぐさま機銃を構え、トリガーを引く。
エリカの姿は一瞬見えるだけだったが、問題ない。
男たちは立っていて、エリカは座っている。当たる心配はない。
そうして、たきなは人質として捕らえられたエリカを救出したのだ。
ただ、その報酬は左頬へのパンチと、支部である喫茶リコリコへの異動命令だったのだが。
「ん...」
湿布を取り、鏡でよく見る。
腫れは既に引いており、もう湿布を貼る必要はなくなっていた。
と、そこに千束の声が聞こえる。
開店準備をするとの事だ。
「はい! 今行きます」
そこからため息を一つ。
たきなはいつも通り、カントリースタイルのツインテールに髪を結び、更衣室を出て行った。
今日も一日が始まる。
リコリコのとある和室の押入れの中。
その中で、ウォールナットこと、クルミはキーボードを叩いていた。
収集している情報は、先日千束からもらった写真の人物。
それから、アラン・アダムズの事について。
幸いにも、この店にはアランチルドレンが二人もいる。
片方からのアプローチがダメでも、もう片方が居る。
そう考えて口角を上げていると、突然襖が開いた。
暗い部屋に急に明かりが差し込んだので、反射的に目を閉じ、慣れたところでそちらの方を見てみると、そこにはミズキが居た。
「あ~あ、こんなにしちゃって」
そういいながらミズキが、クルミが持ち込んだ機械類を見る。
座布団を入れるだけだったはずの押入れが、二段目がすでにクルミの住居と化している。
勿論クルミだけでは入れることは不可能なので、そこは刹那の協力あってのものだ。
「なんだい?」
「例の写真。ほーら、あんたにも送っといたから」
「ああ、これね」
ミズキがクルミに見せたのは、元の画像よりも解像度が高い写真。先日千束からもらった写真だった。
何やらミズキが自慢のように「DAに解析させた」などと言っているが、くるみからしてみればまだまだ甘い。
ミズキから送られてきた写真を表示させて、解析プログラムをかけて、あとはエンターキーを押してしまえば。
「なっ、なぬ~!」
ミズキの持っている画像よりも数段上の解析結果が出た。
それも鮮明な。
「つまりDAもこの画質しか持っていないってことか。ミズキ、これは出し抜けるかもしれないぞ」
これは思わぬ収穫だ。
ラジアータのあのポンコツ具合から、その組織に所属している人間にも高い能力はないだろうと踏んでいたクルミだが、まさかここまで低いとは。
この写真の解像度は今の所、リコリコだけが所持している。
うまいこと使えば、たきなの復帰にも使えるかもしれない。
そう思ってミズキを見ると、歯を食いしばってわなわなしていた。
「どうした? ミズキ」
「なんでもねぇよ!」
そしてそのまま勢いよく襖を閉めるミズキ。
「何怒ってんだ?」
折角DAに対してアドバンテージを得たというのに、とクルミはぼやきながら画面に目を戻すと、アラームが鳴る。
「お、時間だ」
この後は、ボードゲーム大会の時間だ。
くるみは先程開けられたのとは逆方向の襖をあけ、軽快に外に出る。
その腕には赤い箱が抱えられており、今日の夜はこのボードゲームで無双するつもりだった。
「っしし」
くるみは悪い笑顔を浮かべていた。
「ということで~、閉店ボドゲ会スタート!」
「おぉ~!」
喫茶リコリコの扉にかかっているプレートを準備中に変えた千束は、入口付近でそう勢いよく拳をあげた。
それに乗っかる常連客とくるみ。
ミズキとミカの姿はなく、たきなはレジ合わせ中だ。
刹那は備品の整理中。
ごくまれに皿にひびが入っていたりするのだ。
「締め切り明日って言ってたっすよね?」
「今日の私には関係ないし~」
「よしましょう、仕事の話は」
「実は私も勤務中で」
「刑事さん、ワルだねぇ」
「早く始めましょうよ」
待ちきれないとばかりに、わいわいと盛り上がる常連客達。
そんな中で、クルミが順番をじゃんけんで決めようと小さい拳を前に出した。
クルミの隣でそれを見ていた千束は、レジ締めをしているたきなに声をかけた。
「ねえ、たきなも一緒にやろうよ。レジ締めなら私も手伝うし、せっちゃんもいるでしょ?」
「もう終わりました。レジ誤差ゼロ。ズレなしです」
「こちらも終わった。備品に問題はない」
「はやっ」
いつも仕事が早い二人を見て驚きの声を上げる千束。
そんな中で、常連客の一人である伊藤と阿部がボドゲ大会へと誘う。
「ってことはもう暇でしょ?」
「たきなちゃんほらおいでよ。こっちこっち」
だがしかし、たきなは興味が無いようで、冷たく断る。
「いえ、結構です」
大人たちは口々に「残念」だと言い、続いて刹那にも声をかけた。
「刹那ちゃんはどう? たまには参加してみない?」
「悪いが、私も遠慮しておこう」
「...ありゃりゃ」
そうして、二人とも裏へと歩いて行った姿を見て、千束は残念そうな声を出した。
たきなが更衣室の扉に手をかけると同時に、ミカが声をかける。
「混ざってきたらどうだ?」
だが、たきなには、それをする理由が見つけられなかった。
たきなには今、何よりも優先するべきことがある。
DAへの復帰を目指してこうして日々生活しているのだ。
ボードゲーム大会への参加? したところでどうなる。
「そうすれば、DAに戻れますか?」
そうたきなが返せば、ミカは眉尻を下げて悲しそうな顔をするばかり。
どうしてそんな顔をするのだろう。
あなたも、元々はDAにいたのではないか。
そう言いたい口を抑えて、たきなは更衣室の中へと入っていった。
その場に残っている刹那にも、ミカは一応問いかけてみる。
「刹那は、どうだ?」
「...愛想の悪い私が居ても、楽しくはならないだろう。それだけだ」
確かに、ミカは刹那の笑っているところをあまり見たことが無い。
よく見るのは、ミカが淹れたコーヒーを飲んでいるときぐらいだ。
それも、笑っている、というよりかは、薄く微笑んでいる、というか。
「...そうか。そのうち、私たちだけでボードゲームをするときは、参加してくれるか?」
「...たきなもいるのであれば、私も参加しよう」
ミカの問いかけに、刹那は一瞬更衣室の方を見て、そう言った。
とりあえずは、刹那は前向きに検討してくれているようだ。
そのやり取りを陰で聞いていた千束はニコニコであった。
そして、ミカの質問はそれ以上ないと察した刹那は、更衣室の中へと入っていった。
と、その扉が閉まる前に、千束が手でストップをかける。
「ね~たきな」
「なんです?」
「一緒にゲームやろうよ、ね?」
たきなが参加しさえすれば、刹那も参加する。
先程の話を聞いていた千束は、まずはたきなを誘う。
「もう帰るので」
「あ、じゃあ明日は?」
「明日は定休日ですよ。...着替えるので」
それだけ言うと、たきなは扉を閉めてしまった。
これには千束も思わずがっくり。
たきなとは打ち解け始めたと思ったのだが、まだまだのようだ。
とほほ、と言った感じで肩を下げているその目の前に更衣室の中で、刹那はたきなに声をかけた。
「いいのか?」
「何がです?」
刹那は、上下下着姿で、たきなの方をまっすぐ見て問いかける。
「ボードゲーム大会に参加しろ、というわけではないが、今のたきなのやり方では、敵を作るぞ」
「それでも、DAに復帰できるのであれば構いません」
刹那がそう言うも、たきなの意思は固いようで、今のやり方を変えないようだ。
それを悟った刹那は、「そうか」と一言だけ言うと、着替えを再開する。
そんな刹那を見て、たきなも質問を投げかける。
「逆に、刹那は戻りたくないんですか?」
「...ここでも、出来る事はある。ここでしか出来ないことも」
「...?」
ここでしか出来ない事とは一体何のことなのか、とたきなが口を開こうとした瞬間、更衣室の前で話ているミカと千束が、気になることを話していることに気が付いた。
「健康診断と体力測定は済ませたのか?」
「へ? あ、いや、まだ。あんな山奥まで行くのダルいし」
どうやら、話の流れから察するに、ライセンスの更新のようだ。
いまだに千束が言っていないことに、たきなはどこか納得していた。
(まぁ、千束さんだから)
何でもない話だと聞き流していると、衝撃の一言がたきなの耳に入り込んできた。
「先生の頼みなら聞いてくれるでしょ? 楠木さん」
楠木さん。司令の事だろうか。
先程のライセンス更新の話、そして、楠木司令が出てくると言う事。
まさか。
そう思い、たきなは勢いよく更衣室の扉を開け放った。
「司令と会うんですか?」
下着姿のままで。
しかも、まだ刹那もスカートを着用しただけで、上は下着姿のままだ。
「うおっ、バカ、服!」
千束は慌てて扉を閉め、ミカの方を睨む。
ミカは上空に視線をそらしているが、見たかどうかは本人のみぞ知る、と言ったところだろう。
と、そこで再び扉を開けるたきな。
「私も連れて行ってください」
「うぉ速っ」
既に服を着ているが、数秒もかかっていないのではないだろうか。
リコリス内での制服着用選手権なら中々良い順位を狙えそうだ。
そして、たきなはよほど楠木に会いたいのか、頭を下げる。
「お願いします」
どうしよう、と千束がミカを見ると、好きにするといい、と顔で返される。
千束からしてみれば、できればまだリコリコにいてほしい。
けれど、たきなの嫌なことはしたくない。
少し迷っていると、更衣室の奥から刹那が出てきた。
「連れて行くといい」
「...わかったよ、たきな」
千束がそういうと、たきなは勢いよく頭を上げて千束に礼を言い、今日はこれで、とそのまま帰ってしまった。
とそこで、ミカが刹那に言う。
「そういえばだが、刹那もその際は本部に来てほしいそうだ」
「私もか?」
「ああ。ライセンスの更新は不要だが、メンテナンス、だそうだ」
「了解した」
千束は、ミカの口にした『メンテナンス』という単語に対して、首をかしげるのだった。
DA本部へと向かう途中。電車の窓から外を見れば、天気はあいにくの雨。
外へと向けていた視線を正面へと戻せば、何やらたきなが熱心にメモを取っていた。
「楠木さんになんていうの?」
「今考えてます」
どうやら、メモには楠木に投げかける言葉を整理してまとめているようだ。
千束はどこか確信じみた予感があった。
たきなには少し辛いことになるかもしれない。
少しでもこの雰囲気を変えようと、千束はポケットからイチゴ味の飴を取り出した。
「たきな、アメいる?」
「結構です」
「...ウヘヘヘ」
食い気味に拒否されてしまった。
しょうがない、と左隣を見て、飴を掲げる。
「せっちゃんは?」
「いや、私も遠慮しておこう」
「ですよね~」
刹那が飴を食べている姿を想像できないや、と千束は包装をといて飴を取り出す。
と、たきなから注意が入った。
「これから健康診断ですよ」
「い、一個だけだし」
「糖分の摂取は、血糖、中性脂肪、肝機能、ほかの数値に影響を与えます」
そうたきなに注意されるも、千束の飴を持った手は口元へと向かっていく。
一個ぐらい変わらない、そう思って口に放り込もうとするが、たきながメモから顔を上げて、鋭い視線を千束に向けてきた。
「はあ...はぁ~い」
本当に食べるのか、というような目で見られた千束は、仕方なしに包装に飴を戻し、頬杖をついて外を見た。
退屈だ、と思う。
(私がDAに行くとめんどくさいことが必ず起きるんだよなぁ...今回はせっちゃんに楠木さんの目を集めてもらいたいけど、難しそうだなぁ)
しばらくそのまま、無言を空間が支配していると、電車が止まった。
ここからは車だ。
外に出ると、DA職員が傘をさして待機していた。
「お待ちしておりました。錦木千束様。井ノ上たきな様。刹那・F・セイエイ様」
「え、せっちゃんのフルネームってそんな名前なの? 外人さんみたい!」
「私も初めて聞きました」
「...気にするな」
『この先国有地につき立ち入り禁止』。
そう書かれた看板の前に、車が一時停止する。
この間に、設置されているカメラが本人かどうかを識別する。
そのカメラに向かって、舌を出す少女が一人。
「べ~」
「はしたないですよ」
千束だった。
車から降りた三人は、飛行機の手荷物検査のごとく、背負っているリコリスのカバンをベルトコンベヤーにおいて、本人たちは顔をスキャンさせ、本人であることをここで改めて証明する。
そうして初めて、DA本部に入ることができる。
『リコリス:錦木千束』、『リコリス:井ノ上たきな』とそれぞれ表示される中。
「...」
刹那は、『リコリス:刹那』と表示されていた。
カバンを検査する場所は一か所のため、そこから一番近い千束が、まとめて三人分のカバンを持ってそれぞれに渡した。
「ほい」
「どうも」
「すまない」
そのまままっすぐ進むと、そこにはDAの受付がある。
「ライセンスの更新にきました~」
「私は楠木司令に話が」
「メンテナンスだ」
それぞれが要件を話す中、職員は正確に聞き分け、一人ずつ案内をしていく。
「錦木さんは体力測定ですので、隣の医療棟へ。井ノ上さんは、司令は現在会議中です。お戻りになるのは二時間後ですが」
「わかりました。ではそれまで...」
そうたきなが言うと同時に、後ろから声が聞こえてくる。
「あれ、ほら。味方殺しの」
「DAから追い出されたんでしょ?」
「組んだ子みんな病院送りにするんだって」
わかりやすい奴らだ、と刹那は思う。
陰口をわざわざ、本人に聞こえるように話している。
だが、ここでたきなが感情に任せて噛みつけば、火に油を注ぐ結果になるだろう。
たきなは何があってもDAには戻ってこれない。
刹那がたきなの方を向けば、拳を握って震わせている姿が見えた。
(まだ理性の方が強いか)
「なんだあいつら」
千束は後ろを振り向き、陰口を言っている少女たち三人の声を覚えた。
「...お待ちになりますか?」
「あ...はい」
あの時したことは、たきなの中では間違いではない、最適解の行動だった。
ただそれでも、本部で働いてきた仲間である者たちからの言葉は、思いのほかたきなの心へと刺さっていた。
「あの、私、訓練場に行ってますから」
「あっ、ちょ、ちょっとたきな!」
「私が追いかけよう」
たきなは言うだけ言うと、そのまま二人の方を振り向かずに走っていった。
千束は追いかけたくても追いかけられない。それを察した刹那は、すぐさまたきなの後ろ姿を追いかけて走る。
そんな三人を少し離れたところで見つめるオレンジ髪の少女。
エリカだ。
視線に気付いた千束が振り返ると、慌ててエリカは横道へと走っていく。
そうして走っていくエリカの背中をみて、たきなのイメージ改善の道のりは遠いかもしれない、と千束は肩を落とした。
ライザ3が出るまでの時間をブルリフタイでごまかす。
ライザ3は五万円しました。