それより原作買う機会がないのでもにょっております。
今日こそとは思いますがさて。
勢いだけでやってると後々辛くなってくるというのを感じ始めました。
もっと突き抜けて頭空っぽでやるほうがいいのかもしれませんがこれがなかなか。
キキョウの力を借りようとして失敗し取り押さえられた私は、困惑しつつも厳しい目を向けてくるオカルト研究部員に囲まれながら、神妙な顔で正座しています。
「……突然神器――セイクリッドギアを使ったのには驚いたけど、どうやら失敗したみたいね」
ため息をつきながらのリアス先輩の言葉に、何も言えずにただ頷きます。
そもそもセイクリッドギアって何?とか思いましたが口を挟める雰囲気ではありません。
「まあ、今回は慣れない環境で神器が暴走した、ということでお咎めなしとしましょう。貴方達もいいわね?」
周りの部員を見回して判断の是非を問う先輩。そういう対応はありがたくはあるのですが、部長の権限がかなり強いのであれば無理強いにも近い形になってしまうのではないでしょうか。いえ、私がどうこう言える立場ではないのは確かですが。
結局リアス先輩以外の部員もその判断を受け入れて、私は晴れて正座から自由の身になりました。あらうふ系の姫島先輩と爽やかイケメンな木場くんは全く気にしていない素振りですが、塔城さんは無表情なので微妙にわかりません。もしもここで何か抱えられてたら面倒くさいな、とか思います。主にパンツ観察の際に必要以上の警戒されたら覗くのも一苦労になりますし。
とか何とかぼんやり思っていれば、さて、と前置きを置いたリアス先輩が、
「昨日の話をしましょう。あの時、貴女は今使おうとしていた神器で悪魔になって堕天使と戦っていた――というのがこちらの認識なのだけれど、あっているかしら?」
「すみません何から何までわかりません」
私の応えに眉をひそめる先輩。どうにも私が何らかの関係者と勘違いしているようなので、そのあたりの質問から入ります。
「とりあえず、天使とか悪魔とか神器とかさっぱりです。ゲームとかアニメか何かの話ではないんですか?あと、昨日死んでいた兵藤くんが何でぴんぴんしてるのか、とかも気になります」
「……わかりました。まずはそちらの質問に順番に答えましょう」
そこからリアス先輩の説明が長々と入りました。
この世には天使と悪魔と天使が悪堕ちした堕天使というのがいて、三すくみで争っているのだとか。昨日の飛んだり跳ねたり赤い槍投げてきたりしたのが堕天使で、それと戦っていたキキョウの姿が悪魔というのと特徴が一致していたので、私のことも悪魔だと思ったのだそうです。
さらに神器というのは人間が持ってる不思議な力――という程度にしか理解できませんでしたが、そういう何かだそうです。で、私のマウスがそれで、使えば悪魔――キキョウに変身できるとかそんな感じなのではないかと先輩が話してくれました。
――とりあえず、後二人分の変身ストックがあると言う事は今は黙っておきます。正直、言えば面倒ごとの気配しかないので。
あと兵藤くんが生きてたのはリアス先輩が助けたかららしいのですが、その方法が、
「私が悪魔だから、私の眷属――下僕の悪魔に転生させることで助けたの」
なんともぶっちゃけられて困惑します。先輩が悪魔ってだけでまず反応に困るのですが、兵藤くんがそれのお仲間にされていたということでさらに額を押さえたくなりました。しかも気が強そうで女王様な感じの衣装とか似合いそうな人の下僕とか――いや、兵藤くんなら喜びそうですが。
まあ、確かに兵藤くんが生きていたことは喜ばしいのですが、いろんな意味で人間やめてたと知らされるとちょっと遠ざかりたくなります。
しかしそんなことは先輩も予想していたらしく、私の今後というか、関係者にどういう立場として扱われるかを親切にも教えてくれました。
「少なくとも昨日の堕天使にとっての貴女は、悪魔に変身する神器を使い彼らの妨害をしてさらには私達悪魔と懇意の関係――だと、思われているでしょうね」
なにその人生クライマックス。全くもって勘弁して欲しいのですが――言われた状況の解説に非常に納得できてしまうのが悲しくなります。
そして、そのためにリアス先輩はその切れ長の瞳で私をまっすぐと見つめて、
「貴女はまた堕天使に狙われるはずよ。だから、貴女に私達と手を結ぶことを提案するわ」
「……私にも、悪魔になれってことですか?」
「私の眷属がまた増えるのなら喜ばしいのだけれど、無理強いをするつもりはないわ。昨日の彼の場合は、あくまで彼の命を助ける必要があったからの処置よ」
私は悩みます。本当のところこういう厄介ごとは全力スルーするのが私のスタンスなのですが、昨日私の身を守ってくれたキキョウの反応が未だに無いことが痛いです。もし今襲われたとすればすぐにでも昨日の兵藤くんのように串刺しでしょう。仮にサクラとヒマワリに任せようと思っても、二人の防御性能ではあっさり落とされてもおかしくないので、いつ復活するかもわからないキキョウに頼れないのであればこの提案は受けるべきなのですが――
「ええと……」
と口に出したはいいものの、その次に何と続けようかと迷います。ほんの数瞬のことなのに、妙に時間を長く感じた私の口が勝手に何かを言葉にしようとした時――不意に、部室の空気が一瞬にして張り詰めました。
蛇に睨まれた蛙の如く、指一本さえ動かせないような重苦しさが私を襲います。それは目の前のリアス先輩だけでなく、他の三人のオカルト研究部員からも感じられるものでした。
「――部長」
「ええ、朱乃と子猫は一緒に来てちょうだい。祐斗はここで待機よ。……鷺沼さん、私達は少し出かけてくるから、先ほどの返事はまた今度でも構わないわ。考えておいて」
手短に指示を飛ばしたリアス先輩は、そのまま姫島先輩がなにやらぐるぐると赤い光で出した魔法陣の上に立って、姫島先輩、塔城さんと一緒に消えました。実に投げっぱなしな感じで私はイケメン王子と二人、薄暗いオカルト研究部室に取り残されます。
どうしたものかと思い、とりあえず事情を少し聞いてみることにしました。
「……あの、皆さんはどちらへ?」
「どうやら堕天使――昨日貴女も見たという存在が兵藤くんを襲っているみたいだから、助けに行ったんだよ」
「っ……!」
思わず立ちあがろうとしますが、長いこと正座だったので見苦しく頭から床に突っ込みます。そして遅い来る鈍痛、痺れ。
「あええええ……」
「だ、大丈夫かい?どこか傷が出来たなら絆創膏があるけれど」
「お……お構いなく」
情けない声を聞かれたことに恥ずかしさを覚えつつ、なんとかひょこひょこと立ち上がりました。そのまま高そうなアンティークソファーにうつ伏せでぼふりと着地。あ、と思い出して、首だけを若干おろおろしている木場くんに訪ねます。
「すみません、事後承諾ですが座らせてもらいますね」
「それはいいんだけど……」
思ったよりも感情の表れるイケメンの顔が面白くて見ていたのですが、どうにも気まずそうな顔。もしやと思い手を伸ばして確認してみれば……オー、スカートモーレツ!
「あー、失礼しました……こんな小汚いもの見せてすみません」
「え!?いやその、こちらこそ……?」
さすがに安売りするつもりはないのでちゃんとスカートを直して、改めてきちんと座りなおします。苦笑する木場くんには悪いことしたな、と思いました。
さてとりあえずは兵藤くんのことです。また昨日みたいな危ない目にあっているんでしょう。ですが、先輩達が助けに行ったというのであれば、まだ何とかなるのでしょう。まさか適わない相手に突っかかっていったわけでもないでしょうし。
それなら、とここは出直すことにします。
「ええと……私、帰ってもいいんでしょうか?」
「部長もそういうつもりで返事を延ばしたと思うから、問題ないかな。もう暗いから外まで送っていくよ」
「あ、これはどうもご丁寧に……」
そんなわけで、私は帰路についたのでした。
それにしても……結局朝に少し受け答えをしただけのサクラとヒマワリとキキョウは、大丈夫でしょうか。この先もこのままだったらと思うと、正直不安です。