ハイスクール D-ECO   作:豚派

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うーんむにゃむにゃ、もう呑めないよう。
この一週間は大体そんな感じでした。ボス、タスケテ!


部室、案内します!

 さて、色々ありましたが朝方にリアス先輩の許可を得てオカルト研究部を使わせてもらって、サクラとヒマワリとキキョウにそこで待機していてもらいました。アホの子系のヒマワリが若干心配ですが、サクラとキキョウが落ち着いているのでうまく抑えてくれるでしょう。そんな風に楽観視しながらも、休み時間とか授業サボってとかちょくちょく様子を見に行きましたが。いやはやうちの娘達は揃いも揃って可愛いです。

 

 なんてやっていれば合間合間の授業の時間は飛ぶように過ぎていきます。元々勉強とか得意とはいえないレベルなので授業はそれなりに身を入れて受けていたのですが、今日は気もそぞろなために先生の話も適当に聞き流しています。もちろん意図してやっているわけではないのですが、集中できないものは集中できないのです。

 

というわけで、既に放課後です。後は娘達を迎えに行けばいいだけ――なんとなくこれが保育園に子供を迎えに行くお母さんの心境なのかとか思ってしまいます。

 

 ちなみに朝に部室を使う許可を貰った時に、放課後は兵藤くんも一緒に連れてくるようにとリアス先輩に言われています。なんでも、昨日助けた時のことを話すのだとか。

 

「さあ行きますよ兵藤くん!いざ天使達の待つ悪魔の園へ!」

「わかったから引っ張るなって!あと昨日とテンション違いすぎてめんどくせぇぞお前!?」

 

 連れ立って出て行く途中、松田くんと元浜くんは「お前らもしかして付き合っ……てるわけないか」なんてスルーしてたり、周りの生徒達も「そんな変態二人がついに……なんて、まあありえないわね」とか「あの二人のカップリング……なんか面白みがなくてつまらないわ」とか「むしろあの二人がつるんで妙な事始めるとかこっちに被害がなければいいんだけど……」とか好き放題言ってくれてます。まあ、私は気にしませんが。

 

 それにしても、兵藤くんは付き合うとかそういう単語が出てくるたびに若干顔が曇ったりしてます。それはやっぱり、一昨日私が遭遇した時のことを思い出してるんでしょうか。

 

 あの時は夢中だったのでその後も考えが及んでいませんでしたが、よく考えてみれば兵藤くんは彼女に殺されかけたということになります。常日頃彼女欲しいおっぱい揉みたいと抜かしていた兵藤くんからすれば、念願だったおっぱい彼女的存在からいきなり危害を加えられた――トラウマになってもおかしくないでしょう。

 

 そう考えて初めてしまうと、どうにも兵藤くんにどういった言葉をかければいいのか悩んでしまいます。まずはこれから行くオカルト研究部室についてでしょうか。それとも、今朝方どうしてリアス先輩と一緒だったのかとか聞くべきでしょうか。そういえば今朝のことといえば、私の連れてきた三人のことも話さないといけないとは思います――思ったよりも、話題はありましたね。

 

 さて何を話しましょうかと頭を巡らせていると、逆に兵藤くんのほうから口を開きました。

 

「なあ、その……お前も夕麻ちゃんのこと……覚えてないのか?」

「夕麻ちゃん――ええと、彼女さんがそんな名前でしたっけ?」

「お、覚えてるのか!?」

「赤い槍振り回して大暴れしてた黒い翼の変な人とか忘れられませんよ」

「そうか……」

 

 なんて勝手に一人で思考の海に沈んでいく兵藤くん。その顔は笑っているようでも悲しみに満ちているようでもあり、とにかく複雑です。覚えてないだの覚えているだのがよくわかりませんが、あんな不思議系の人種なので、何か記憶を消すとかやったのかもしれません。ロアイベ最終回はガチです。

 

 という具合に再び沈黙した兵藤くんを連れてやってきましたオカルト研究部室。とりあえずノックをすれば、木場くんが出てきました。

 

「やあ鷺沼さん、待っていたよ」

「どうも。うちの娘達はどうですか?」

「皆いい子だから早速馴染んでるよ」

 

 爽やかなシャイニングズマイルをよこす木場くんの表情からは、嘘をついているような後ろ暗さを感じないので、事もなくやっていれたようでほっとします。一方、私の後ろでなにやら考え事をしていた兵藤くんは、木場くんが扉から顔を出したとたんにいつものイケメン死ねオーラを出し始めました。なにやら悩んでいたみたいですが、少なくとも今はそれを隠すことが出来ているみたいで安心です。

 

 さて、そんなわけで部室の中を覗き込めば、うちの三人娘がそれぞれオカルト研究部員と交流している様がすぐに見て取れました。

 

 まず一番近くでこちらを見て目を輝かせているのがキキョウです。すぐ近くにいたことから、おそらくは木場くんと話をするなりしていたのでしょう。昨日剣を突きつけられたことからも木場くんは剣使い的なポジションなようですし、細剣も使う前衛のキキョウとも話が合うのは当然かもしれません。

 

 その次に見えるのはソファーで座るヒマワリでした。こちらには気付かず、楽しそうに足をぶらぶらとさせながら羊羹をぱくついています。その隣には羊羹の提供者でしょう、塔城さんも羊羹を食べていますが、こちらに気付けば目礼をしてくれました。お構いなしで美味しそうにもぐもぐやってるヒマワリが塔城さんに懐いていると思えば嬉しい限りなのですが、ちょっとは気付いてほしいものです。

 

 そして最後にサクラですが――声はすれども姿は見えず。どうも部室の奥、カーテンで仕切られた区域にいるようです。そしてそのあたりからはサクラと姫島先輩の声、それからシャワーの流れる音。そういえば昨日来た時はカーテンが開いていたので、その先にあるシャワー設備が見えていたことを思い出します。何でこんなところにあるんだろうとか思っていましたが、使う人はいたみたいです。

 

「リアスさん、これをどうぞ」

「あらサクラちゃんありがとう」

 

 ――リアスさんが浴びていたなら姫島先輩がお世話をして、それを喋るついでにサクラが適当に見ているのかと思ったのですが。

 

 一体いつの間にうちの子は懐柔されて使用人みたいなことをしているのでしょうか。さすがにそれは一言物申そうと思えば、カーテンの端を少しだけあけて、その隙間からサクラが出てきました。

 

「おかえりなさいマスター」

「ただいま……それでサクラは何でリアス先輩の使用人みたいなことしてたの?」

 

 ちょっと険のある言い方を隠さず、そのままサクラに問いただします。これでもし強制されたとかなら、さっきの話は全部無しで三行半をつけたところなのですが、サクラははい、と前置きをして、

 

「マスターのお世話ができたらいいなと前々から思っていたので、朱乃さんに学ばせてもらっていました」

「なんていい子。さすがうちの娘っ!」

 

 思わず抱きしめてしまいます。突然のことにサクラは少しびっくりしたようですが、そのままはにかんでかいぐりを享受するモードに入りました。なので私も自重せず摩擦熱生産に専念です。

 

「ええと……それで鷺沼さん、いいかしら?」

 

 ふと気付けば、微妙な顔しているリアス先輩以下オカルト研究部組と、羨ましそうな顔のヒマワリとキキョウ、そして何がなんだかさっぱりわからないという顔の兵藤くんが皆揃ってこちらを見ています。

 

 しかしその程度の視線往来でパンツ連呼する私の鋼の心臓には響きません。

 

「フフフ先輩羨ましいでしょうですが代わってあげません。あとヒマワリとキキョウもこっちにきなさい、一緒に相手しますから」

 

 わあい、ともろ手を挙げて飛び込んでくるヒマワリと少し頬を染めてもじもじしながらとことこ近寄ってくるキキョウ。せっかくなので三人抱えて抱きしめます。わーきゃーとはしゃぐうちの三人娘の声はまさに天使の歌声。

 

「ああもう……それじゃあ今はイッセーの方を先に片付けましょうか」

 

 という具合で私をスルーしてのオカルト研究部員で兵藤くんを囲んでの説明会が始まるようです。

 

 私も内容は気になるので、ある程度耳をそばだてつつフォローできるならフォローをしようと、ヒマワリと頬を合わせてすりすりとこすり始めます。とたんにきゃーと嬉しそうな悲鳴を上げるヒマワリ。

 

「……鷺沼さん、少し静かにしてもらえるかしら」

「あ、はい」

 

 リアス先輩のスルースキルもまだまだなようですが、怒らせると面倒なのでここは従っておきます。リアス先輩がまたため息を吐いたので、心の片隅で謝ることにしておきました。

 

 さて、兵藤くんは悪魔だの天使だのの話でどういう反応を示すでしょうか。ちょっと楽しみにしつつ、私は兵藤くんの隣で待機することにしましょう。

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