「音哉さん………」
「………ちょっ、阿求さん?何してるん…?」
「私と…一緒に────」
「──はっ!?
夢オチかよーーーーー!!!!!」
後に語る。
人生で見た夢の中で、襲われた(性的に)のはあれが最初で最後だったと……
ふと時計を見る──4時45分。
普段音哉は朝食を作るために、5時半頃に起きることが多い。
あと45分………中途半端な時間を二度寝して過ごすか、そのまま起きてしまうかになる。
私(ぱふろろ)は、前者だ。
「起きるか~~ぁあぁ……」
変な声がでた、恥ずかしい。
流石に何もしないのは音哉でも苦手だ。このままでは暇に飽きてしまう。
(阿求にお土産でも持っていこうかな?)
自分がもう阿求の事を好きになっているのを、音哉本人は知らない(超鈍感)。
「なにがいいかな……」
一通り考えてみる。
幻想郷であまり流通していないもの……
(あれ、昨日母さんが買ってきたケーキが無い……?)
「仕方ないな……。──あ、そういえば」
そう言って引き出しから取り出したのは、チーズケーキの材料。
普段食事を作っているだけあって、音哉は料理が上手い。
チーズケーキは作り方さえ見れば作れはするのだが、案の定、宇佐見一家にそのような輩はいない。従って音哉しか作らないのだ。
(あ、そうだ。奏達の為にも作っていくか)
それから時間が経ち、音哉は二つのものを完成させた。
チーズケーキとジャムパン。
音哉は作れるメニューも豊富ではあるが、恐ろしく手際が良い。
朝急ぐため、身につけた技術だ。
そしてなぜ、パンが作れたか?
それは……
「いやー昨日から置いといて正解だったな」
なぜかパン生地を作っていたからだ
(※そう、『あくまで偶然』)
因みに、そのケーキは蓮子がメリーのところに持っていった。
奏用にケーキとパンを少しおいておき、手紙を添えておく。
「さて、行くか!」
阿求side
「今日も来るのかな……」
作業が進まなかった。
昨日私の所に訪れた宇佐見音哉のことが気になっていたからだ。
「──手伝う…か。阿七の時以来かな……」
幻想郷縁起を書き続けていく中で、誰かと共に書いた事は一度しかなかった。
「やっぱり…忘れてしまうなんてね…」
私はその人のことを、殆ど忘れてしまっている。
共に書いた事しか憶えていない。
ただそれも、日記を見て知った。
どんな人だったか、それが男の人だったかどうかも。
手伝ってくれるのはかなり嬉しい。
今の私は、書くことはできても『描く』のが苦手だからだ
「………~~~~////」
そして私はその、今回手伝ってくれると言ってくれている宇佐見音哉に"一目惚れ"してしまったらしい。
こうなっているあたり、後の私から見ても思春期の少女だったのだろう。
(あー楽しみ!!早く来ないかな~!?)
彼が親切心で私に声を掛けてくれたのかもしれない。
私をどう思っているかも解らない。
でも、できる事なら彼と私の短い人生を共に過ごしたい。そう思っている。
「阿求さーん」
「は…はい!?どうしたの穂波(ほなみ)……!?」
「─なんでそんな驚くんですか…」
「い、いやナンデモナイデスヨ!?」
「………はあ……ま、いいです。それより、彼来てますよ?」
「へ!?も、もう?」
一体自分は何を言っているんだろうか。さっきまで「早く」とか言っていたくせに
「今、客間に居ますから。───がんばれ阿求ちゃん(ボソッ)」
「!?──~~~////」
女中ではあるが、小さい頃から遊び相手をしてくれていた菖芽。
主人と女中の関係であるからこそ、こっそりと軽口で会話できるのかもしれない。
阿求にとって彼女は姉なのだ。
そして、手鏡を見る。
顔が赤い、熱い。
(あー駄目だ!こんな顔見せられない!…しんこきゅー……)すーはー…
(何着ようかな…これ?あー違う!もっと可愛いのは!?)
(あれ?これって……)
(………………)
(よしっ)
阿求side end
(あれ?阿求が来ない………)
音哉は客間で茶を飲んでいた。
稗田家のお付の人に案内されてから20分は経っている。
コンコン…
(あ、来たかな)
「……………」
───入ってこない
しかし、そこには居る……気がする。
「……………ごめん」
ガラッ
「何して………っ!?」
「ひゃうっ!?」
…………
(誰だっ!!??)
目の前で座り込んでいたのは、真っ白なワンピースに身を包んだ女の子。
よく見てみると、髪に髪飾りがある。
「………え、阿求?」
───阿求だった。
「……いや、どうしたの?その格好」
「へ!?え、ぇぇ……っと…これ?これ、えっと………」
急に落ち着きが無くなる阿求。
(補足→音哉は阿求の好意に気付いていない。)
実は両想いなのにどちらも片想いだと思っている。
これほど面倒臭いことはない。
「ちょっと来て……」
「あの……秘密にしてくれますか?」
頭の中で阿求が上目遣いしているのを想像して欲しい。
カワイイに決まっている。
こんなこと言われたら聞くしかない。自分が好きになってしまった人が『秘密』と言った。つまり、自分と阿求だけが知っている事。
「これ、『外の世界に行った』時に買ったモノで……」
「───は?」
「……うう…」
目の前にいる阿求が来ている服は、なんでも阿求自身が外の世界に出た時に買ってきたものらしい。
「えーと、さ……いつ?」
取り敢えず聞いてみる。何となく大事な気がした。
「二年前……幻想郷が壊れかけたときに……」
阿求に是非麦わら帽子を