──阿求があっち(現世)のことを多少なりとも知っている。
阿求いわく、異変中こっそり紫に頼んで行ってきたらしい。
この服はその時、『女の子の本能』とかいう衝動でこの服を含め数着買ってきたらしい。
「なんで異変中に…ていうかそんな簡単に博麗結界って通してもらえるんだ……」
原作設定を知っている音哉にとって、自分が元々持っていた知識に誤差が生じてくると、一瞬何を言ってるか解らなくなる。
「いえ、簡単ではないですよ!?実際衣服などは香霖堂に流れてきている物が大半なのに、反対の流れで人間が行く事は負担があったりなかったり…!」
「『流れている』って……(なんか流行がだな…)とりあえずさ、落ち着こう?ほら、お土産もあるからさ。」
「!──本当!?」パァァァ
「本当だよ。ほら」
そう言って、持ってきた菓子を見せる。
「美味しい~~♡」
「そりゃ良かったよ。それよりもさ、現世…俺らの方にはどうやってきたの?」
「ほぇ?」
口の中にクッキーが入ったまま、音哉の質問に答えようとする阿求。
「はい、飲み込んで~」
「んっ……はぁ~~」
茶を啜る阿求はかなり満足げな表情を見せる。
そしてその度に音哉は"カワイイ…"と心の中で呟いている。
(そんなに好きなら早くくっついちまえよ……by作者)
「今は紫さんに頼めば外には行けますから。あ、そうだ。霊夢さんや魔理沙さんもよく行っている筈ですよ?」
─────?
───霊夢と魔理沙?
(……え、なに。あの二人こっちに来てたの?よく二次創作でそういうのあるけどさ。ていうかあれ以外の服持ってたっけ?)
「あ、この前は妹紅も行ってましたね。」
「───妹紅?藤原妹紅?」
「?はい」
(え~~~………)
音屋が知る、《原作と違ったところ》に外の世界に簡単に行ける(悪意がない場合)が1つ追加された。
──あ
「もしかしてだけどさ…阿求、外(の世界)行きたいの?」
「へっぇ!?」
……今どういう発声したんだ?
ともかく、図星のようだ。
「あ〜…う~ん……」
(ほら、ネタは挙がってるんだ。吐いちゃいなさい)
───お困りのようね
「…いや、別に困っていないのかしら?」
「あ、どうも紫さん」
部屋に唐突に現れた紫。
……そもそもどこで聞いていたのだろうか。
しかもここは人里。そんな普通に入って来たら色々大変なんじゃ…
「変な心配しているようだけど、私はこの屋敷に何回も来ているから大丈夫よ。」
「え、何回もって……」
「コホン…。──えーっと、幻想郷縁起は私……『私達』が一通り書いたあと、一度紫さんに見てもらうんですよ。」
「変な表記がないようにね。この娘、絵が微妙に描けないから私が綺麗に描かれないのよ」
「別に掘り返さなくても!!……いいですよ……音哉さんに描いてもらいますから………」
拗ねた。カワイイ。
なるほど、つまり元々幻想郷縁起は二人で完成させるようなものなのか。
……と、解釈する。
「………でも"私達"ってことは以前(阿求の先祖達)から紫さんが関わっていたことになる?」
「そ、この子の先祖である稗田阿礼の頃から私も幻想郷縁起に関わってきたのよ。」
そう言って阿求の頭を撫でる紫。
「阿礼?」
「あ、はい。稗田家初代当主の名前です。私は一応九代目です。」
「因みに、名前に入っている"数"で判るわよ。」
成程、阿"⑨"だから九代目か
(なんか失礼な書き方されたような…)
メタい想像はやめてください阿求さん。
「………ん?じゃあ阿礼から数えて阿求は十代目じゃないの?」
「幻想郷縁起自体はややこしかったから阿一から数えてるのよ。」
「──っと、話が逸れてしまったわね。」
口に扇子をあて話を戻す紫。
確か阿求の外の世界に行くだか行かないだかの話だった気がする。
「それなんだけどね。阿求、今貴女幾つだったかしら?」
「今ですか?十三ですけど…」
「うーん……まぁ、いいかしらね。」
………何が?
「では次の質問。幻想郷縁起は後どれくらい?」
「そうですね…音哉さんが画を手伝ってくれるらしいので、私の分はあと2年強…といったところですか」
そんなにかかるのかあれ。稗田が短い人生の大半を使って書くとはいえ、そこまで長いとは……
(──稗田の呪い……短命だったかな?)
暗い気持ちになりかけている時、紫が続ける。
「今回は早いわね。なら大丈夫かしら…」
「何が?」
「阿求……貴女はあちらの世界の学校に行きなさい。」
……………………
「「はぁ!!?」」
なんか衝撃的な事を言われた気がする。
阿求がこっちの学校に来る?年的には中学なのか!?
ちょっと待って、それって──
「音哉くんと奏ちゃんがいる中学に転校する予定よ。今貴女は音哉君達より年下だから、いわば"後輩"になるわね。」
予想が当たったァ!!
「因みに、阿求が貴方の家に一緒に暮らす事はお母様から許可済みよ〜♪」
「なぜ動じもせず許可したんだ母さん!!」
何故だ…
確かにウチの両親は妖怪とか信じる類の人間だけど!
まさかすぐ言うとは思ってなかったぞ!!
「……で、どうするの?──まぁ、決定事項だから行ってもらうけど」
「話を進めないで〜〜!!」
少し時間が空いた後、阿求が口を開いた。
「──私は一応、寺子屋に通っていました。慧音先生もいますから。………なので、慧音先生と小鈴には相談させてください。」
「あらそう?分かったわ。…でも、仮に行くとなればそれなりに手間が掛かることを頭に入れておいて。」
「分かりました。」
───────────────
紫が帰ったあと、音哉と阿求は幻想郷縁起を書き始めた。
「なるほど、この空いたところにその項の人物……妖怪達を描けばいいんだね。」
「はい。さっき描いてもらった霊夢さんの画も、今までのを遥かに凌ぐものでしたからね……あんな感じでお願いします。」
そう言って少し表情が暗くなる阿求
「どうしたの?」
「(敗北感が、とは言えない。)」
「?」
「と、とにかくおねがいします」
三十分後
「こんなもんでどう?」
「早っ!?」
音哉が見せたのは幻想郷縁起ではなく、他の紙に描いた下書き。
しかしそれでも、一人一人がかなり綺麗に描かれていた。
「どうやったらその数をこの短時間で描けるんですか……」
「え?これでも結構サラッと書いたんだけど…」
「 」ズーン
「あ、あれ?阿求!?」
「下書きはこんなもんかな?……ねえ阿求、これ別に筆で描かなくてもいいでしょ?」
「?……ええ、いいですよ。でも色をつけても紙の性質上、変色すると思いますけど…」
「色をつけるわけじゃないよ。ただ筆だと描きにくくてさ」
その画力でそれを言いますか…… byあっきゅん
「で、何を使うんですか?」
「これだよ」
そう言って取り出したのは、ごく普通に見える万年筆。
「万年筆…ですか?」
「そう、でもペン先が普通のより柔らかくて書きやすいんだよ。」
紙に魔理沙を描く。
「本当だ…自然に描くことができるんですね……(ていうかそれ以上に描くのが早い…)」
「そう、柔らかいから万年筆とは思えない不思議な感覚で書けるんだよ。父さんがどこからか買ってきたらしくてさ、俺にくれたんだよね。書いてみる?」
「良いんですか?」
音哉は首を縦に振る。
サラサラ……
「──本当だ、凄く書きやすい……」
適当に文を書いてみた。
使ってみて分かる事だが、ペン先が柔らかいことによる恩恵か、柔らかい字体、軽い書き心地。
柔らかいのだが……何とも言えない。不思議としか言い様がない。
(これ、鴉天狗や霖之助さんが絶対欲しがりますね……)
「……これなら大丈夫そうですね」
「うん、良かった。」
因みにこの後、阿求が描いていなかった部分の人物を音哉が二時間程で描いてしまい、再びorzになっていた
しかも今までの中で一番綺麗に描けていたという。
音(……こっち(幻想郷)だとマンガ風は斬新だったかな?)