妹紅の口調って結構普通だった気がする
「人里に行ってみたい!」
奏がそんなことを言い出した
別に音哉は人里にしかいない訳だから何も問題は無いが、別に普段から行けるのではないか?
(あ、そういえば奏って……)
そう、奏がこんなことを言い出したのは幻想郷に来てからというもの、紅魔館以外に行ったことがないからだ
(咲夜さんが行くことってないのかな?食材とかどうしてるんだろ)
実は奏も数回咲夜に人里に誘われてはいたが、魔術の練習で行けなかっただけである
「ねぇ音哉、人里ってことは上白沢慧音とか居たの?」
「ん?普通にいるよ。ただ、幻想郷に行くのがいつも休日だから寺子屋の授業は見たことが無いけど…」
(──そういえば幻想郷とこっちの日付は同じなんだっけか)
いくら結界で隔てられた世界とはいえ、現世から来た者達が対応しやすいように日付は合わせてある。
ただ違うのは、幻想郷ではそもそも土日が休みという概念がない。
人里にある店は基本的にその店で休日を決めている。──企業ではないからだ。
実際、以前幻想入りしたという女性がやっているベーカリーも、二週間に一回位しか休みがない。
しかし寺子屋では、現世での学校の日程を使っている。その為に夏休みも冬休みもある。
「……今度参加してみる?」
「なんで幻想郷行ってまで勉強しなけりゃあかんのだ?」
「別にいつもしてないじゃん………」
「じゃあ………」
行こうか、と言おうとしたが、奏の言葉に遮られた
「忘れっものー♪ちょっと待っててー」
「あ、奏。一応ガスの元栓見てきて、止めてないかもしんないからさ」
「はいはーい」
奏が忘れ物を取りに戻っている間、残った音哉は(奏の)ハー○ンダッツを食べていた。
※後日バレました
「────それで?音哉は阿求ちゃんのことが好きなんだ?」ニヤニヤ
「ニヤニヤしないでくんないかな奏?」
現在、スキマの中。音哉は阿求の事でからかわれている。
「それにしても、音哉に彼女か〜……もうそんな歳なのね……」
「おい待て、お前俺と同じ年だろうが……」
基本的に奏は人をからかうのが好きだ。といっても、からかうのは奏だけではなく彼等の姉もなのだが
「会ってみたいな〜阿求ちゃん」
「会えるでしょ。稗田家の歴史が長いから、家も結構大きいしね。そう言えば妖魔本?だったかな、とかもあるし」
「妖魔本?」
奏は紅魔館で魔法に関する書物を読んでいる為、似たような雰囲気の本には興味がある。
しかし妖魔本は妖怪が書いたもの。読めないことが多い。
(今度小鈴のところにも行こうかな…)
「ちょっと気になるかも。という訳で、ちゃんと案内してね」
「………なにこれ?」
奏に聞いてみる。
改めて準備ができたのでスキマに入った……のは良かったのだが、奏の荷物がデカい。とにかくデカい。
登山家の持ち物かってくらい。
「え?人里の原作メンバー用」
なんだそりゃ
奏がいうには、『どうせ今まで使ってなかったんだから、今お金使ってやったよ』らしい
それはどうなんだ……
(実はあんまりお金掛かってないんだけどね。後でたからせてもらうよ、音哉)
心の中でそう思っていたが、そこは双子、音哉は既に予想出来ていた。
最初の頃は酔ってしまっていたが、現在はそんなことは無い。
むしろふざける余裕ができているくらいだ
「………これってさ、短くできないのかな…」
音哉と言う"これ"とは、スキマの移動距離のことだ
実はこのスキマ、抜け出すために十分弱歩かなければならない
そしてこの前、『風景に飽きた!』と奏が言ったら、次から奏が色々と目印やら飾りやらをつけていったのだ
「あ、今ちょうど中間地点だね」
中間地点──看板がある
「何これ、『円周率二十桁言わないと進めない』?──おい奏、何してくれてんだよ」
「ふっふーん、どう?解かないと進めないよ?」
「?まあいいや、進む──わっ!?」
音哉の身体が宙に浮いている
色々もがいてみるが、降りることは出来ない
「ちょっと!何これ!?」
「問題を解かないと進めない結界。パチュリーに教わった結界を使ったんだよ〜」
「はぁ?──ん?……ぎゃっ!」
そして、音哉が地面に落ちた
「まだ未完成なんだよ。」
「せめて完成させろよ!!」
「───で?これ解けば良いんだね?」
「うん(まあ看板の裏に答えがあるんだけど)はい!がんばっ──『3.1415926535 8979323846…』待って!なんで答えられるの!?」
「だって面倒臭いし……」
「……なぜ円周率なんか覚えているんだ……」
「これって────答えだ」
「あは☆バレた?」
「後で蓮姉に………」
「ごめんなさい!!それだけはやめて!」ドゲザー
結構な時間を歩いた気がする。(主に奏が原因)
出口が見えた。二人はスキマを出てマヨヒガに無事到着。
奏が橙を呼ぶ。────返事はない
「あれ、居ないのかな?」
一通り探し回ってみる。──やはりいない
基本的この時間は橙がここにいる。二人が来ることを知っているからだ
「まいっか。書き置きだけしていこう」
「ねえ奏……それ持っていかなきゃ駄目なの?」
「?もちろん」
あ…そうですか。誰がどう見ても邪魔なんですけど
マヨヒガから出発しようとしたとき、ふと奏は近くにいる人物に気が付いた
バチュリーに霊力と魔力変換の使い方は教わっている。この間、やっと『色』として可視出来るようになってから、普段から多用している
(あーこれ、藍さんのだ)
「どうした?」
「藍さんがいた。ちょっと挨拶してくるね」
──────────────
「藍さーん」
「ん?奏じゃないか。今日は一人か?」
「音哉もいるよ。今日は二人で人里に行ってみようってことになったんだ。勿論ガイドは音哉ね」
「なんだ、まだ行っていなかったのか。──ああそうだ、もし良かったら音哉に"あれ"買ってきてと伝えてくれないか」
「"あれ"?──うん、りょーかい。後は?」
「特に無い。楽しんで来るといい。昔から外来人はかなり歓迎されるからな」
「はーい」
「ねえ音哉、藍さんから"あれ"買ってきてくれって…何かわかる?」
「"あれ?"──あーはいはい、分かった」
伝わったようだ、良かった。
しかし"あれ"とは、何なのだろうか。
「ヒント、狐といえば?」
………納得。自分で買いに来ればいいのに……
──────────────
────人里
「悪いな妹紅、手伝ってもらって」
寺子屋
人里の子供達が通いにくる、言わば学校。
とは言っても、現世と違い義務化はされていない為、通っていない子供もいるが
そして、そんな寺子屋で教師をしている上白沢慧音は、生徒達の宿題を藤原妹紅と二人で整理していた
「別にいいよ。私も好きでやってるんだし、子供達を見るのも楽しいしね」
「そうか…………」
「慧音?どうしたの?」
「いや……妹紅お前、そんな話し方だったか?と思ってね」
「昔からこうだったけど?」
「………まあいいか」
実はこの発言、物凄いメタ発言なのだ
「──ん?」
「どうした?」
妹紅が見つめる先には、二人の人影。格好からして人里の人間ではないだろう
「お、あれ音哉じゃないか?」
「そう?相変わらず眼が良いのね。
──もう一人は……誰だろう?阿求では無さそうだけど……」
「外での恋人とかじゃないのか?」
「慧音……それは無いわよ。音哉と阿求はお互いにベタ惚れしてるのに……」
「……だって、腕繋いで歩いているんだぞ?」
「なにぃ!?おい音哉ぁ〜〜!?」
バンッ!!
妹紅は寺子屋を飛び出した。
(おいおい、稗田を裏切るとか……)
「「「許さねーぞオラァ!!!」」」
(おー叫んでる叫んでる)
「────あ、そういえば口調戻っていたな。やっぱり気のせいでは無かったか」
高まった時に口調変わるのが好きです