カワイイ
「あら、知っているのね。──そうよ、私が八雲紫」
夢から覚めたら目の前に妖怪賢者がいた話
「幻想郷って……音哉がハマってるゲームの?」
「なんで蓮姉が知ってるのさ」
「…………あ、え~~っと…。」
───なるほど。
俺の部屋から東方シリーズ持っていってたのは蓮姉だったのか
今無いのは風神録か…
「蓮姉、後でO☆HA☆NA☆SHIね」
「ごめん!!それだけはやめて!」
「……あのー、いいかしら?」
「ああすいません、どうぞ」
一つ咳をしてから、ソファに座り話し始める
「───私が来た幻想郷は、"ゲーム"じゃないわ。"本物"よ。」
「………なんで私たちのところに?」
待っていたとばかりに蓮子の質問に答える姿勢をみせる紫。口元を扇子で隠してはいるが、その下は笑っているのかもしれない。
「───貴女なら"解る"んじゃないのかしら?」
「………………」
蓮子はもう、察していた。
自分達の持つ特異的な能力。他の人とは根本的に違う能力
「…………それで私達を連れていこうと?」
「違うわよ。……まあ、招待するという点は合っているかしらね。それに、貴女達大学生以外よ」
……………………は?
え、俺たちだけ?
「妖怪とか神とかいう存在はね、人からの想像の産物なのよ。つまり、人から信じられていなければ形を成せないの。」
「それがなぜ理由に………?」
「私は今まで貴方達の事をずっと見てきたのよ?気付いていたかしら?」
全員が考え込んでしまう。───考えても思い当たる節が無いが…
「はあ……貴方達が小さい頃、ウチの式の式が一緒に遊んでいたのに。人間の味わう時は早いわねぇ……」
────ん?
今凄く重要な事言わなかったか?
「ま、記憶に無いのならばそれでもいいでしょう。」
「いやいや良くないわよ!?」
「式の式……俺達の小さい頃…………」
目を閉じ記憶を探る。
音哉は記憶力が人一倍良いため、昔からあった事は大抵覚えている。
(駄目だ………記憶が抜けてる…)
「………思い出せない」
「別に無理して思い出さなくてもいいのよ。どうせ藍が記憶消去かなんかの術をかけたのでしょうから。」
藍?
「それって紫さんの……?」
少し驚いた顔をしていた紫だったが、すぐ無表情に戻る。
「驚いたわね。──まあでも、私達の事を知っているという点では、分かっても当然……かしらね。」
ということは、"式の式"は『橙』のことか
本当に記憶にない………
「驚いたわよ、あのゲーム……"東方"だったかしら?なぜか私達の事がほぼ正確に描かれているのだから。登場人物に至っては一人も間違っていなかった。──あれを作った人間は別の世界で、別の世界の私達と知り合ってでもいたのかしらねぇ?」
…………触れないでおこう。
「今日、一人居ない子がいるでしょう?」
奏の事か?
ああそういえば……忘れてた
「……忘れてたのね、その顔。その子、連れていらっしゃい。明日まとめて説明するわ」
奏を明日連れてくるという事を音哉に伝えた。
その後、紫は来た時のスキマに入っていった。
『明日の放課後、楽しみにしていなさい♪』
という言葉を残して───
夜
「───で、それを信じろと?」
家で今日あった事を奏に話した
本人も東方が好きなので最初は簡単にのってくれたが・・・・
「私達が不思議な力を持ってるからと言ってそう簡単に誘うかなぁ?」
奏のいう《不思議な力》というのは、まあ普通の人から見たらオカルトな話には違いない。
音哉は《記憶処理能力》
奏は《念力》
蓮子は《星と月を見て色々解る》
蓮子のは色々と言っても場所と時間くらいだ。それでも十分凄いが…
音哉は自分の力を「慣れじゃない?」で済ませてしまう。
とはいえ、頭の中にイメージ(形)として記憶している音哉の処理能力は人間の能力を超えている。
数年前までは『サヴァン症候群』ではないかとも言われていたが、今はそんなことはない。身体には何も異常がなく、今までを生きているからだ。
それに加えて、蓮子とメリーは視覚共有などというオカルトじみた能力が使える。
一方、奏の能力はズバ抜けて非科学的だ。
《念力》
手を使わずにモノが動かせる。
まさに超能力。羨ましい、妬ましい。パルパル
「で、どうする。行く?」
「明日八雲紫に会ってみないと判らない。いや、行きたいんだけどさ……お母さん達はどうするの?」
───そうだ。俺達が幻想郷に行けば父さん達はどうなる?
「ね?今は決めきれないでしょ?」
「そう……だね。」
「ゆっくり考えよう。私だって行きたいんだから、明日話を聞いてお父さん達に話したって遅くないはず」
短いな…………