「ちょっ……ちょ待っ────!!!
ザッッッ!!!
───────ナ"ーー………
「うわあぁぁあああ!!?」ガバッ
いつもと違う夢で目が覚める。
「なんだ今の……猫…?いつもよりリアルな夢だったな……
何処からともなく現れた猫に顔を引き裂かれた。
(頭に付いていた、アレって……)
「──紫さんのいう『昔の記憶』か…」
「…………あれは…───なのか?」
俺も覚えてはいないけど…蓮姉達も、なんで覚えていないんだ…?
コンコン
誰かが部屋のドアをノックする。
現在午前二時。──この時間に起きることができるのは一人しかいない。
「なんだよもー……」
「──あれ?蓮姉じゃない……」
蓮子……と言いたかったが、違ったようだ。
「──奏、ちょっといい?」
「ん〜?」
フラフラしている奏を、取り敢えず自分の隣に座らせる。
「奏、昔…それこそ俺達が小さかった頃に、俺が猫に引っ掻かれたの覚えてる?」
あの夢が俺の記憶の一部ならば、忘れているだけかもしれない。いつも一緒の奏なら、何かわかるかも……
「ん〜………ねこぉ?あったっけそんなの?」
「……ですよね〜」
「でも、なんで今?さっき叫んでたのと関係があるの?」
(……………)
今この際だ、明日のことを話してしまおう。
「あ『あのさ』な、なに?」
同時に、奏も話し始めた。
「私は…行ってもいいと思う……」
奏が音哉の肩に頭をあずける
「お父さん達には、なんとか許可をもらいたい……八雲紫にも、ある程度帰ってこれるようにしてもらおう?──私は、幻想郷に行ってみたい。」
最後の方は声が震えていた。──不安なのだろう。どちらかの世界の生活を手放さなければならないから…
「大丈夫だと思う?」
「───音哉は一緒に居てくれるでしょ?今言った猫のことだって、夕べ言ってた『忘れているかもしれない記憶』なんだと思うし……」
奏は、ずっと俺と居てくれるらしい。俺達の抜けた記憶を見つけるために。
こいつだって一応女の子だ。俺も守っていかないと……
「まったく…奏は強いな……」
隣にいる奏は、いつの間にか小さな寝息をたてて眠っていた。
「俺達なら……大丈夫」
眠ってしまった奏を、いわばお姫様だっこで奏の部屋のベッドまで運び、布団を掛けた。
翌日
──学校──
「ふーん……交換留学ね〜」
アキには俺達のことをそう説明しておいた
「戻って来れるんだろ?」
「ま、まあな」
言いたい!幻想郷行くって言いたい!
「──なあ、借りたいものが有るんだけど…いいか?」
「ん?良いよ。何がいい?」
「東方全作、俺が持ってるもの以外♪」
……おおう、結構多いな
「──ま、いいけどさ」
「さんきゅー!さすが音哉やで~。」
「…後で持ってくよ。いいよな奏?」
「…………zzz」←奏
お前は寝過ぎだ(ツン
「ふにゃぅ……良いよ〜…」
「だってさ」
放課後
──大学──
「やっほー!来たよ二人とも〜」
「あ、奏だ〜。久しぶりね。」
「あれ、メリ姉起きてたの?」
「昨日から寝続けていたらしいんだけど、朝しっかり起きれたのよね……」
そう言いながら、飲み物を用意しているメリー。
実は音哉以外の二人は内心穏やかではない。
((音哉が昔の呼び方を…!?))
「──あ、そうだ。さっき八雲って人が来てね。一緒にお茶してたのよ。」
「!?(ガタッ)」
(……いや、出てこれるのは能力的に当たり前か)
「ど、どうしたの?」
「ん、大丈夫。でいじょうぶ……」
((どう見ても大丈夫じゃないんだけど……))
急に立ち上がった事に驚いていたメリーだったが、落ち着いていると聞き安心したご様子。また話し始めた
「音哉達も話したんでしょ?幻想郷について」
──やはり、紫は幻想入りする事を伝えに来たのか。
「そうなんだけど……ねぇ、メリ姉……」
「──行ってきたら?」
「え?」
「私はもう充分貴方達を可愛がったし、やり残していることなんて無いからね。」
応えが意外過ぎる。この人が一番反対すると思っていたのに、まさかの肯定。
──しかし、音哉達にとっては良いこと(?)なのか。
「よかっ…た、のかな」
ヴヴヴヴッ!!
「「うわぁ!」」
「吃驚した〜誰から?」
「アキからだ」
To音哉
いつ来る?
「あー忘れてた………メリーさん、蓮姉と待っててください。ちょっと用事が」
「私より、あの人に言う方が良くない?」
メリーが見ている方向を見ると、そこにはあの『スキマ』が
「あれって…」
「紫さん、いいですよね?」
「いってらっしゃい。私はその娘と話してるから」
ティーカップを持ちながら、器用に隙間に腰掛ける紫。
「もう、そんな所いないで出てきたらいいじゃないですか?」
「いーいーのーよ〜。ほら、音哉君、早く行きなさい。お友達なんでしょう?」
「……一時間後には来ます」
「ふう、行ったわね~。──それにしても貴女、意地悪なのね?伝えないなんて。」
「ふふ、だって直ぐに教えたら面白くないじゃないですか。──何時の間にか寝ている奏もですけど、蓮子と"私"にとっていつまでも可愛い妹達なんですよ、色々と。」
頭を撫でられた奏の寝顔は、少し微笑んでいる気がした。
(妹……メリ姉の……〜〜〜///)
起きている。
嬉しかったようだ。
「──貴女への意地悪にその二人攫っていこうかしら?」
「やられたら貴女が通った境界を見つけて、世間に公開しますよ♪」
「え、ええ……」
妖怪の賢者でもある八雲紫が珍しく恐怖した『人間』の笑顔は、目が全く笑っていなかった。
大学から家に戻った。
どうでもいいことだが、宇佐見家と大学は近い位置にある。
その為、急がずして帰宅できるのだ。
そして例のモノを持ち、紅葉の家へ。しかしそこには……
「なにこれ、何があったんだよ?」
引越し?
「あ、おーい音哉!こっちだ!」
「何これ?引越しすんの?」
「まあな、もm………進学先が従兄妹の家に近いからそっちに」
何かを言いかけてたが、この際どうでもいい。
「ほら、持ってきた…よっと!」
肩にかけていたバッグをおろす
「お、さんきゅ!何時まで借りてていい」
「ん?そうだなぁ……」
良く考えたら、あっち(幻想郷)って電気とか無いんだよな。
「いいよ。貰っても」
「は!?良いのか!?」
首だけで頷く
だって出来ないんじゃあねぇ
「ありがと!」
「おう、じゃあな。時間がないから、また逢おうぜ」
「?お、おう…」
あ〜こいつとも会えなくなるのか
寂しくなるな…
「あ、ヤベ。時間が……」
大学に戻ろう。
───大学───
「音哉来た~?」
「まだよー。……ていうか蓮子、上に何か着てくれない?なんて格好してるのよ。」
「だってシャワー浴びてきたし…暑いし~」
「あら貴女、意外とスタイル良いのね」
上から、メリー、蓮子、紫
ちなみに、今の蓮子は上下とも下着のみ。
「まったくも~……音哉が来たらどうするのよ……」
「ん?平気平気」
(何が平気なんだろう………弟だから、とかいったら……)
「弟だし、いつも見られてるから」
「……………」凸ピン!!
「いったぁ!?」
ガチャ
「来ましたよー…」
「あ……」
「あら」
「あ、音哉!助けて!!」
「──蓮姉、上着なよ……」
(あれ、ホントに平気だった!?)←メリー
「はあ……ほら、奏起きて」
「〜〜〜……ぅぇ?音哉?」
「そ、音哉だから。起きてー」
「……やっと揃ったわね。」
紫の顔が真剣になる。
こちらに来てから一番かもしれない。
「──まず、この娘から話があります。」
(え、メリ姉?)
メリーは真剣な面持ちで全員の前に立つ。
「──えー、蓮子達には言ってなかったけど……こっちには帰ってこれます。」
「「「 」」」
「「「は!?」」」
「うん。だから、こっちにはすぐ帰って来れるのよ。」
「いや!そうじゃないでしょ!?」
「補足すると、紫さんから聞きました。」
「なんで教えてくれなかったんだよ!?」
「音哉達の反応が面白くて♪」
満面の笑顔でそう言うと、奏の所に歩いていく。
「ふにふに〜」ツンツン
「ふにゅ〜〜」トロン…
(なにこれ癒される……)←紫
「ああもう…なんであんなに不安になってたんだ……」
「ごめんね〜〜」ニヤニヤ
「……奏、一ヶ月メリ姉に会うの止めようか。」
「!?ごめんなさい!本当に!音哉ぁ〜〜!!……」
(──もう帰っていいかしら……)
妖怪の賢者は、疲れていた。