少なくとも双子の秘密が少し明らかに
「………あれ?」
見慣れない天井。
(そうだ、ここ……幻想郷なんだ)
起き上がり、背伸びをする。
奏は起きてからほぼ自動的にストレッチをするのだが、今日はいつもより意識がはっきりしている。
カーテンなんてものはない。眩しい日光と鳥の声で自然に身体が目覚めたのだ。
音哉は…起きているらしい。
流石我が片割れ。早起きだ
「──ん、おはよう、よく眠れたか?」
「うん。…あー藍さん?今日って私達のいう土曜日だよね?」
「そうだよ。それと朝食が出来ているから食べておた方がいい。」
「おおっ!藍さんありがと~」
「ふぉぉぉぉ………」
今、猛烈に感動している。
目の前にある食事は、まさに純和風。『日本における理想の朝食ランキング』に入りそうなものだ。
ぱくっ
(うんまっ!!)
うまい、旨すぎる!
でも、どこかで食べたことのある味……
「ふふっ、その顔は気づいたらしいな。──それ、音哉が作ったんだよ。」
成程、私の舌に合うわけだ。
「私もさっき食べた時に驚いたんだよ。音哉が食材使っていいか聞かれた後、すぐ作ってきたからね。──おまけにかなり旨い。」
うわーさすが音哉…執事レベルだ…
私も何か手伝っ……た方がいいよね……
「…あれ、そう言えば音哉は?」
「ん?ああ、元々二人を連れて行こうと思っていた場所だ。そうだな、あと食事を片付けてからすぐ出ようか。」
藍さんのお気に入りとか、凄い所に決まってる!
……と、思っていた時期が私にもありました。
「マヨヒガ…?」
「おお、初めてでしっかり発音出来たのは君を含めて二人目だ。…ちなみにもう一人は音哉だ。ここに私の式と一緒にいる」
…藍さんて、紫さんの式じゃないの?
式の式?ん、あれ?
それって"橙"のことかな?うん、そうだろうな…
「おーい……大丈夫か?」
「うん……あ、藍さんの式ならなんで一緒にいないの?」
設定通りなら知っているけど、こっちだとどうなっているか分からないしね。
「本当は一緒に暮らしたいんだけど…まだ子供だからな…八雲姓も付けられないんだ。」
ああ、おなじだった……
なんだっけ、作者(ぱふろろ)が色一家って呼んでたんだよな…
「あれ?いない…どこ行ったんだ?おーいちぇーん?」
マヨヒガの中を一通り見渡す。
「音哉を探してるのか?」
「そうなんだ…けど、居ないっぽいな」
「もうすぐ来るだろう。少し待っていようか」
少しして………
あ、こっちに来てる
「あれ、おはよう奏。早かったね」
「おっは。もしかして、その猫って橙ちゃん?」
音哉の抱いている猫は尻尾が二本ある
しかもあのイヤリング(?)は……
「あーやっぱり橙ちゃんだ!」
「うわっ!なんだ吃驚したじゃないか。君は知っているだろう!?──あれ?橙、式が剥がれたのか?」
「あ、やっぱりそうだったんだ。…いや~さっき顔洗ってたら、横にいた橙ちゃんが足すべらせて…」
「にゃー…」
「はぁ…仕方ないな……今回は猫になっていたのか」
「猫に…って、橙ちゃんは化け猫じゃないの?」
「確かに敷が剥がれても人型のままでいることも可能だが、今回はたまたまこうなったんだろう……」
ちょっと面倒くさそうな様子で、橙に式を貼り直した藍。
その瞬間、橙が自分たちの知る雰囲気が変わる。
「藍さま―!!」
「ちぇぇぇん!!」
激しいキャラ崩壊を見ました(by音哉)
その後……
「……と、いうわけだから。宜しくね藍」
「はぁ…」
「何かあったんですか?」
「ん、まあ…取り敢えず、帰ろうか。橙も行くよー」
キング・クリムゾン!!
──よし、着いた
「何も突っ込まないよ?」
「その方が助かるわ」
八雲家に全員集まった。
紫さんはもう少しかかるらしい。
……そういえば、橙がいない。
「つんつん」ニヤニヤ
いた。
「はい奏、橙ちゃんをつつかない。俺もやりたいの我慢してるんだから。」
現実で見ると一層橙は可愛い。式が付いていることで人型…女の子の姿になってはいるが、本質は猫又。動物的な愛くるしさがある。
マヨヒガに来て分かったことだが、やはり橙はここに独りで暮らしているらしい。
藍いわく八雲の正式な屋敷はこちららしいが、紫がこちらに橙を置いたらしい。
「音哉、奏。」
突然、藍は二人の名を呼ぶ。
その眼には涙があった。手が震えている。
「幻想郷に来てくれて……ありがとう──」
その言葉の意味は、二人には理解できなかった。
夕刻───
「ごめんなさい、遅くなってしまったわね。」
「いえ。それよりも紫様、先に夕飯を食べてしまいませんか?」
「そうね。───それよりも藍、何故目が赤いのかしら?」
「はぇ!?いや!なんでもないです!」
「それなら良いけれど」
食事中………
「貴方達、今日は何をしていたの?」
何をと言われても、実はあまり大掛かりなことはしていない。
マヨヒガを中心に色々な所を案内してもらっていた。………橙に
一箇所一箇所が現世とは違い美しいため、夕方まで見てまわってしまったのだ。
「その顔を見る限り、相当楽しんだらしいわね。」
「──紫様、そろそろ…」
「…分かったわ」
食事の片付けは橙がやるらしい。手伝おうかとも言ったのだが、修行ですから、と断られてしまった。
「さて、貴方達をここに集めたのには理由があるの。」
「ここに来る前、貴方達に"忘れた幼少の記憶"の事を話したわよね?」
「──少し失礼するわね。」
紫が音哉の身体に触れる。
───音哉は声にならない悲鳴を上げる。
「ーーーーーーー!!!!????」
「ごめんなさい!!もう少し耐えて!」
音哉は今まで味わったことの無い痛みで意識が飛びかける。
「はぁ……はあ……」
「──奏、これを見てくれるかしら?」
呼ばれた奏が音哉の背後にまわる。
「!?」
そこには、右肩から斜めに引き裂かれたような大きな傷跡があった。
「っ………!!」
──これは…小さい時の?
紫が言っていた幼少の記憶!?
「や……め…」
頭の中に映像が大量に流れ込んでくる。
───そして、視界がブラックアウトした。
───猫?
目の前に猫がいる。
毛の色は判らない。しかし猫だと分かる。
『ナ"ァァ…………』
徐々に近づいてくる"それ"は人型になった。
『ちぇ……橙ちゃん!?』
(これって……音哉が見た夢!?じゃあ夢の中の猫ってまさか!?)
ガバッ!!!
「───思い……出した」
私達は小さい頃、紫さん達とあっている……!
そこには藍と橙もいて───
「奏………」
横を見ると、音哉も目覚めていた。
「音哉!!」
「思い出せたみたいね………」
隣室から紫が入ってくる。
「お姉さん達を含めて貴方達は私達と会ったことがある。──そう、貴方達が家族で旅行した時にね。」
なんで?
なんで忘れていた?
あの時は楽しいことを沢山していた。
あれ?
"音哉の傷はなんだ"?
こんなもの、今まで無かったはず。
「!?まさか!」
上着を脱ぐ。音哉が居るとかは考えている暇は奏には無い。
「音哉!私の背中どうなってる!?」
さっきからあるこの痛みは……
「あるよ……傷が」
「やっぱり………」
なんでこうなっているのか、二人は何となく判っている。
────昔"何か"に襲われた。
"何か"は、さっき夢の中にいた。
「橙」
紫がその名を呼ぶと、隣の部屋から橙が顔を出す。
「──さっき橙にも"その時"のことを教えた…当時の原因は橙が水に落ちた事で式がとれ、パニックになっていたからだと思われるわ」
橙は下を向いている。
「私達はその後、あの姉二人の記憶を消しつつ貴方達を一旦幻想郷に連れてきたのよ。……そして永遠亭で傷を塞いでもらった。」
……まさか三人に会っているだけでなく、永遠亭にまで来たことがあるとは…
──しかし何故今それを……?
「私もいつ伝えようかずっと考えていたの。流石に伝えないといけないと…ね。───覚悟は…いいかしら?」
沈黙…………
何を言われるか判らない。
良い予感は全くしない。
「これは永遠亭の医者からの診断結果よ。」
渡された紙には、こう綴ってあった。
『UO&K 診断結果又は施術内容について
一、両者共肺損傷。手術により回復
二 、両者共心臓損傷。手術によりある程度回復。
補足
・患者二人の霊力が人より多いことによる、回復促進。これによりUKは自己回復が可能
・"UO、心臓の自己回復はこれ以上不可能と判断。治療薬により副作用は出るが命を繋ぐ事には成功"』
最後の文章には、線が引いてある。
そして紙の裏には、小さな文字で"Lim,10232"と書かれている。
「──紫さん、これは?」
「貴方達の当時の状態よ……」
紫はか細い声で応えた。
「なんで……こんな事に…」
(──いや、覚えている。橙が俺達を敵と認識したんだ……そして爪で……)
更に紫は付け加える。
「……裏の数字、それは何を表していると思う?」
「さ、さあ?」
紫の眼には、涙
「貴方……音哉君の寿命よ…」
思考が、停止した。
寿命?
命の期限?
「当時で10232……貴方達の姉から考えて当時3歳だったのかしら…あと、約9000。──残り24年と少しかしらね……」
───え?
俺の寿命はあと24年?
ふと紫を見ると、肩が震えている。
「ごめんなさい……ごめんなさい……あの時、私が止めていれば……」
やっと、思考が追い付いた。
本来人間に恐怖を植え付けるのが妖怪だ。しかし予期しない殺生は好まないのかもしれない。
特に紫達、紫は妖怪と人間の共存の為に幻想郷を造った。藍や橙は人間のことを寧ろ好きな部類と言えるだろう。
音哉と奏は、落ち着いていた。
「紫さん。橙ちゃん……顔を上げて…?」
もう紫の眼は腫れかけていた。
「私達はこの記憶を忘れていた。でも思い出した内容は、私達が一度死にかけたもの。それを助けてもらったんだよ?」
「俺達はこれを思い出せてよかった……何時もの悪夢は記憶の欠片が見せる不安なんだろうし、もし知らないまま残りを生きていたらもっと苦しんでいたはずだからね。」
「でも…普通の人間の半ぶ…「紫さん」」
「残りが短いなら、その分全力で楽しめばいいん(だよ)ですよ。」
───そうだ、落ち込んだって変わらないんだ。
「──ていうかなんで奏がその台詞言うのさ?」
「言いそうな気がしたから」キッパリ
急に良く分からない言い合いが始まるが、お互いにその事は分かっている。
「………どしたの橙ちゃん?」
後ろに橙がいた
「奏様は…"奏"は……私達を許してくれる、の……?」
"奏"
昔橙は奏をそう呼んでいたのだろう。妖怪ということもあり、こう見えて自分達より歳は上だ。
「何言ってるのさ橙ちゃん。確かにやられたけど、それは妖怪としての本能だから仕方ない事なんだよ。私達は寧ろ助けられた側だよ?許すも何もないよ。」
音哉は、橙ちゃんの小さい身体を抱きしめる。
「そう、久しぶりに会った俺達を殺したいなんて思わなかったでしょ?」
「でも…!でも………」
「だから……嫌なことなんて思い出さないで。ね?」
奏も橙を優しく抱きしめる。
「~~~~~!!!」
「そう、泣いたって良いんだよ……俺達は大丈夫だから」
それは、橙が泣きつかれて眠りに落ちるまで続いた。
「ほら紫様!何してるんですか!!」
「だって!どう顔向けしたらいいか……!」
「……あれ、ほんとにこの幻想郷の管理人なのか?」
「でも、藍さんもずっと気にかけているあたりを見ると、やっぱり紫さんが大好きなんだろうね。」
音哉達は現世に帰る。
とはいえ、一週間ごとに来るのだから特に大層な事ではないのだが………
「絶っっ対に!事故には気をつけなさいよ!!」
((親戚のおばちゃんかよ……))
(あ、でもこんな綺麗な人なら良い気がする……)
────現世
「──ぷあっ!ベッドイーーン!!」
帰ってすぐ風呂に入り、その後布団にダイブ。
風呂上がりの布団は気持ちが良い
数分の沈黙──
「───思い出せて…本当によかった……」
「そうだね~…まあ、音哉の寿命にはびっくりしたけど?」
「一回死んでるんだ、ボーナスタイムを楽しめなくちゃね」
「──やっぱり音哉だね。そんなとこ大好き!キスしてやろうか!?」
「せんでいい」凸ピン
「にゃうっ……」
書き初めて一番長い!!