時間もいつもより早めに投稿しております。
そして今回も長めかつ独自解釈マシマシです。
では、続きをどうぞ。
ルフィに迫る音符の戦士。
それは先程のものよりも速い。
「なら、今よりもっと速く」
その為の方法が脳裏に過る。
膝に手を当てて、パンプアップの要領で足首から血流が上がる。
身体から蒸気のようなものが出て、肌も赤くなっている。
「〝ギア
自然と、口から出た。
ルフィの次に取る行動も身体が勝手に動いていた。
「〝ゴムゴムの〟……」
左手を前へ突き出し、右手を肩の高さまで持ってくる。
まるで狙いを澄ましているようで――――
「〝
瞬間、1人の音符の戦士が弾き飛ばされる。
まさに一瞬の出来事だ。
ルフィの拳が放たれたかと思った瞬間、吹き飛んでいたのだから。
しかし、これは開戦の合図に過ぎない。
ルフィは地面を蹴り、迫る音符の戦士に突貫していく。
その際、両腕を真後ろへ伸ばす。
「〝ゴムゴムの
引き戻した両腕が1人の音符の戦士を吹き飛ばす。
その吹き飛ばされた音符の戦士は他の者も巻き込んでいく。
「〝ゴムゴムの〟…………」
それでも音符の戦士はルフィへ攻めてくる。
ならば返り討ちにすると、“既に”拳を打ち出していた。
「〝
その拳は一発ではない。
まさしく乱打。
何度も何度も繰り返し、ルフィは拳を叩き込む。
その速度も先程までと同様、音符の戦士には何が起きたのか理解出来ない程の速度であった。
だからだろうか、トットムジカの迎撃にも変化が起きる。
先程までとは比べ物にならない、ルフィよりも遥かに大きな音符の戦士を呼び出した。
ルフィが見上げて、初めて顔が見える程の大きさ。
「こいつは――――」
生半可な攻撃は通用しないと直感で判断した。
巨体の音符の戦士の手にある巨大な槍。
それで突き刺そうとしてくる。
「よっ!!」
巨体とはいえ速度はない。
力の代わりに速さが足りなくなった。
突き刺そうとしてくる槍を紙一重で回避する。
跳んで槍を空振りさせた後に、その上に乗っかる。
「〝ギア
音符の戦士へと駆けながら右の親指を思いっきり噛むと、息を吹き込む。
「〝骨風船〟!!」
息を吹き込んだのは自らの骨。
ルフィの右腕が大きくなる。
まるで巨人の腕。
「〝ゴムゴムの〟」
巨大な音符の戦士の肩まで走ってきた。
巨大化した右腕を持ち上げると、前へと突き出す。
「〝
その巨大な拳を音符の戦士の顔面へと叩き込む。
勢いに押され、巨大な音符の戦士の身体がトットムジカへと吹き飛ぶ。
トットムジカを守るように不可視の壁にぶつかる結果に終わる。
「随分と硬いんだな!! けど!! それも壊す!!」
ルフィは右腕を大きくさせたまま、トットムジカへとダッシュする。
トットムジカの正面まで来ると跳び上がり、膨れ上がった右腕が萎む。
いや、萎むのではなくて胴体を通じて吹き込まれた空気が左足へと移動したのだ。
「〝ゴムゴムの〟!!」
その左足を天高く上げる。
直前、トットムジカが黄色い音符をルフィの頭上へと出現させる。
そこから落雷が発生した。
轟音と光が真下のルフィに直撃する――――のだが、彼には“全く通用しない。”
彼は悪魔の実の力で全身がゴム人間となっている。
落雷であれば焼き切れるといった理屈は抜きにして、絶縁体であるゴムには電気や雷が通らない。
これはトットムジカにとって悪手である。
いくら自我があるとは言うが、戦いにおける〝駆け引き〟が出来ていない。
ましてや、戦闘経験の少ないウタから作られた存在ともなれば話も分かる。
だから、必然的に悪手を引いてしまうのは仕方無かった。
ルフィは、トットムジカの悪手を自らのチャンスへと変える。
振り上げた左足を、力の限り振り下ろす。
「〝
トットムジカの作り出した不可視の壁を粉砕し、雷を纏う巨大な踵落としを繰り出す。
ドォォォォォッ!!
凄まじい轟音をさせ、トットムジカの巨大な体が吹き飛ばされる。
それと、同じタイミングで――――シューーーーッ!! と、ルフィの口から空気が抜けていく。
宙を回転しながら偶然にもウタのところに流れ着く。
「この技使うと、こんな事になるのか」
「ル、ルフィ!?」
ウタの元まで来たルフィの身体は縮んでいた。
子どもに戻ったと言う意味合いではない。
まだルフィの着用している服に変化はない。
これは、先程の一時的な巨大化の反動といった所か。
「けど、これでトットムジカも――――」
「まだ、終わってないみたいだな」
見ればトットムジカに変化が起きていた。
赤い顔が青白くなり帽子に竜の顔のような意匠が追加される。
さらに特筆すべきは鍵盤の足が追加された事か。
「ここからが本番だ」
言っている間にルフィの身体が大きくなる。
反動が収まったと言う事だ。
「今のままで、勝てる?」
「分かんねェ。だけど、“ぶっ飛ばす!!”」
姿の禍々しさが増したところで臆するルフィではない。
気を引き締めるかのように、トットムジカへ歩み出す。
「なら、私も出来るだけルフィをサポートする」
ルフィだけには戦わせない。
彼よりも年上で、海賊としての歴も長い自分が何もしないでどうする?
「じっと出来ない♪
止まれない♪
夜明けが遅くてじれったい♪」
ウタがそのフレーズを口ずさんだ瞬間、ルフィが音符に包まれて光る。
またも彼の容姿に変化が訪れる。
先程よりも身長は伸び、腹の真ん中に大きなX字の傷。
赤い長袖のベスト、青い半ズボンに腰には黄色の腰巻を着けている。
「ふ、う」
「大丈夫か? ウタ?」
「ちょっと能力の使い過ぎで疲れちゃったみたい」
ウタは大きく息を吐きながらその場に座り込む。
それはそうだ。
ウタワールドの維持はそれだけで体力を消費する。
何とかウタワールドの解除に踏み切ろうとするも、トットムジカが許さない。
現実世界のウタの意識を無理矢理に覚醒させた状態だからだ。
ただ、長く保てない事はウタ本人が自覚している。
どんなに意識を覚醒させ、無理矢理に意識を保たせようともウタの体力が途切れればトットムジカは現実世界に居られはしない。
それを分かっているからウタを殺せはしないし、せっかく見つけ出したウタウタの能力者に大きな無茶はさせられまい。
今は出来るだけ、自分の存在を維持できるのかという実験や邪魔者となるシャンクス達の排除を優先させたいが為に現実世界で存在の維持に努めている。
「ルフィ、聞いて。私が疲れているって事は、それだけトットムジカが現実世界に居られる時間が減っているという事よ。
私が疲れ切ってさえしまえば"私達の勝ちになるの"」
下手な理屈を捏ねたが、結局はウタの体力が限界に来てしまえばこの悪夢を終わらせる事ができる。
それが出来るのは現状シャンクス達とルフィのみ。
「お前は、それで死んだりしねェよな?」
「うん。約束する」
「なら、話は早いな。あいつをぶっ飛ばせば良いんだ」
ウタが危険な事をしない、そんな目に合わないというのならば構わない。
ルフィの視線がトットムジカへと絞られる。
「あと何回サポートできるのか分からない。だから、頑張って」
「おう!! 任せろ!!」
ウタの応援を受け、ルフィは飛び出した。
その速度は先程までとは比較にならない。
雰囲気と同様、彼の身体能力が桁違いに跳ね上がった。
それが瞬時に分かる事が起こる。
「『武装』」
自然と彼の口から出てきて、力が右腕に収束する感覚があった。
ルフィの右拳が黒く染まる。
その状態はいつだったか、ベックマンが使っていたものと酷似しているようにも見えた。
「〝ゴムゴムの
最初にルフィが見せたものと似た技だ。
それを遠くに居るトットムジカへ当てようとする――――が、それを阻む影が降ってくる。
言わずもがな音符の戦士だ。
トットムジカを守るようにルフィの拳の前に立ち塞がる。
「退けェッ!!」
彼の怒号と同時、拳が叩き込まれて吹き飛ばされる。
ルフィはそれを確認すると、スタートダッシュを切る。
まさしく放たれた矢のごとく、一直線にトットムジカへ接近していく。
もう、ルフィにとってはトットムジカとの距離はあってないようなものだ。
しかし、トットムジカも黙っている訳が無い。
ルフィの接近に際し、多数の音符の戦士を送り込んでくる。
迎撃方法がパターン化している。
ウタの予想通り、トットムジカは自我があっても思考パターンが短絡的過ぎる。
故にルフィ1人しか居ない状況なのに苦戦を強いられる。
ウタを取り込む事で思考が出来たとしても基準が彼女となっている。
トットムジカの戦闘経験がウタと同じなのだとしたら言いたくはないが、ウタは戦闘経験が皆無なのでワンパターン化は頷けてしまう。
そこにこそ、トットムジカを撃破する可能性が秘められている。
「〝ギア
ルフィは静かに宣言する。
さっきとは違って予備動作は無い。
身体から蒸気が発せられ、肌色が赤くなる。
それだけではない。
彼の両の拳が黒くなる。
「〝ゴムゴムの
黒く染まった拳が音符の戦士を瞬く間に吹き飛ばす。
その際、トットムジカの本体も動いていた。
拳を作って、ルフィめがけて振り抜く。
それに対してルフィは臆する事無く、トットムジカの拳へ駆けていく。
右腕を後ろへ伸ばし、その拳は黒く染まっている。
「〝ゴムゴムの〟!!」
当たる寸前、伸ばした腕を引き戻す。
その際に炎が巻き起こる。
彼の拳に炎が纏わり付き――――
「〝
炎を纏った拳を叩き込む。
ズドォォォォォンッ!!
轟音を鳴らしながらトットムジカの拳を跳ね返す。
自分よりも何倍もの巨体の拳をルフィは撥ね退けてみせた。
これには見ていたウタも驚きを隠せない。
「うおおおおおおぁぁぁぁぁーーーーっ!!」
ルフィの雄叫びが轟く。
彼は止まる事を知らないかのように全力で疾駆する。
先程の焼き回しで、右の親指に息を吹き込む。
「〝ギア
大きくなった拳を振り上げ、これまでの攻撃と同様に黒く染まる。
トットムジカへと接近を果たすと同時、巨大な槍を目の前で作り出すと投擲してくる。
「〝ゴムゴムの
ゴォォォォォンッ!!
巨大な槍に拳がぶつかる。
ルフィの拳が槍に勝ったのか、その切っ先から槍は砕け散った。
勢いを殺されたものの、そんなものは関係無いと言わんばかりに次の行動に移っていた。
「〝ゴムゴムの〟!!」
左の指を噛むと、右と同様に大きく膨らむ。
その左手も黒く染め上げて、右拳を引いた際に代わりに繰り出す。
不可視の壁があり、それに阻まれる。
だが、すかさず右、次は左、右――――交互に拳を不可視の壁へ叩き込んでいく。
「〝
巨大となった左右の拳を何度も何度も打ち付ける。
その速度は増していき、最終的には目には追えなくなっていた。
「うおおおおおおッ!!」
最後に勢いを付けて拳を振り抜く。
瞬間、パリィィィィィッ!! と、ガラスの割れる音に続いて不可視の壁が粉々に砕け散った。
けれど、まだだ。
壁を壊しただけで届いていない。
何か行動を起こされる前にトットムジカは動く。
遂に彼の強さに警戒心を更に強める――――だが、
「ありったけの夢をかき集め♪
捜し物を探しに行くのさ♪」
それよりも速くウタが
その歌声でルフィの服装が変化する。
赤い長袖ベストはそのままに、オレンジ色の半ズボン、紫色の腰巻を着用し、黒いコートを羽織っている。
「〝ゴムゴムの〟!!」
右拳は未だに巨大化させ、黒く染まっている。
黒いコートをなびかせ、後ろへ伸ばす。
跳躍し、伸ばした腕を戻す。
対するトットムジカは目を赤く光らせる。
赤い閃光が放たれる。
跳躍し、攻撃モーションに入ったルフィを狙い撃ちしたのだ。
ここまで隠していたとっておきなのだろう。
あえて接近させる事で、ほぼゼロ距離の光線は避けられないと踏んだのだ。
確かにそれは有効な手段だったが――――それでも、彼の拳の方が速かった。
「〝
巨大化した拳が炎を纏って打ち抜かれる。
振り抜かれた瞬間には赤い光線と衝突――――その次の瞬間には赤い光線を真っ向から打ち破っていた。
そのまま勢いを殺す事無く、彼の拳はトットムジカの腹を貫く。
直撃した瞬間、トットムジカの巨体が地面に転がされていた。
「すごい」
きっと、トットムジカには何が起きたのか分かるまい。
横から見ていたウタが分からないのだから。
分かるのは、それだけルフィの一撃が重かった――――それだけだ。
さっきのような反動で縮む事はないのか、ルフィはその場でトットムジカを油断無く見据えていた。
ウタも彼に倣ってトットムジカの方を注視する…………変化は即座にあった。
まずはウタワールドに変化が起こる。
空と地面が夜空のような色へ変化する。
確かに地面はあるのだが、まるで自分が宙に浮いてるかのような錯覚に陥る。
無論、トットムジカにも変化が起こる。
巨大な鍵盤の腕が4本に増え、黒い翼が生えた。
被っているハットも豪華に意匠され、数珠にある髑髏の数も増した。
コケ脅しだと言いたかったが、トットムジカから放たれる目に見える禍々しいオーラからそんな事は無いと現実を突き付けられる。
「んっ!? ぐっ!?」
ルフィは両の腕を前へと交差させる。
何かに気付いたようで、それは防御を取る姿勢のようだ。
事実、ルフィの行動は防御態勢を取っていたのだ。
ドンッ!! ドンッ!!
彼の両腕に空気の塊のようなものが叩き込まれる。
それが2発、彼に狙いを付けて叩き込んできた訳だ。
いや、2発で終わらない。
立て続けに先程と同じ音がルフィの交差する両腕から聞こえる。
先程のルフィの拳の連打を真似するかのように、不可視の空気の塊を連打される。
「ん、にゃろ!?」
それはルフィを徐々に後退させる程の威力を持っていた。
これまでとは段違いの力に驚かされる…………けれども、そちらを見ていれば良い訳では無い。
「ルフィ!! 来るよ!!」
「ッ!?」
トットムジカの増えた4本の腕が容赦なく牙を剥く。
まずは頭上から腕を振り下ろす。
押される勢いを利用して後ろへ跳んで回避する。
次に左右から両手を合わせるモーションで捕まえようとする。
それを着地後に真上に跳んで回避する。
最後は真正面から真っ向勝負とばかりにトットムジカの拳が迫る。
真っ向勝負には真っ向勝負と、指に空気を吹き込んで迎撃しようとする。
「後ろ!!」
ウタの叫びに反応が遅れる。
彼の行動を計算していたかのように音符の戦士がルフィの背後を取っていた。
1人や2人ではない。
複数体の音符の戦士をこの為に隠して進行させていた。
「『武装色』〝ゴムゴムの風船〟」
それに対してルフィが取ったのは身体を膨らませる事だ。
腹の一部を黒く染めて。
まずは眼前のトットムジカの拳を受ける。
「うッ!?」
ゴムの身体に物理攻撃が効くのは不思議であったが、今は後ろの音符の戦士の方が大事だ。
殴られた反動で背後に居る音符の戦士の方へ吹き飛ばされる。
膨らんだ身体で音符の戦士を受け止める。
ゴムの身体には刃物は通用するのだが、先程から無意識にしている行動が防いでくれているのが分かる。
どうやっているのかなど後回しだ。
音符の戦士を受け止めると、身体を無理矢理に反転させる。
狙いはトットムジカの拳だ。
「〝ゴムゴムのお
音符の戦士を背後のトットムジカの拳めがけてシュートする。
叩き付けられた音符の戦士はそれで消滅する。
トットムジカの拳も勢いを止める。
ルフィも無事に着地し、トットムジカとの距離を取る。
姿が変われば戦闘力も大きく向上する。
もう、先程のように簡単には近付かせても貰えまい。
ここが正念場だ。
黒いコートを脱ぎ捨て、草履を脱ぐ。
そして、“文字通りに”ギアを上げる。
「〝ギア
今度は右腕を黒くさせ、その腕を噛んで息を思いっきり吹き込む。
筋肉を膨張させ、ルフィの身体全体に空気が行き渡る。
「〝筋肉風船〟!!」
今度は骨ではなく、筋肉の風船だ。
「『
四肢が赤黒く染まっており、両腕や胴体に筋肉の風船を集中させ、いかつい出で立ちをしている。
小柄なルフィとは対照的に、腕の太さも胴体の大きさも倍以上に増えている。
ただ身体の膨張に対して足のサイズに変化は無いから立っているのが難しいようだ。
ゴインゴイン と、身体を弾ませている。
動く事もままならないのでは無いかと疑ってしまう。
しかし、ルフィ本人は到って真面目なのだろう。
直後、跳ねていたルフィがまさしく一気に跳んだのだ。
弾力が上昇したようで、弾む勢いを利用したのだ。
そのまさしくロケットもかくやという速度で跳んでいく。
トットムジカもルフィを接近させまいと力を行使する。
具現化させた音符がルフィを撃墜しようと落下し、巨大な槍を生み出して貫こうとし、音符の戦士が襲い掛かる。
「うおおおおおおおおーーーーっ!!」
雄叫びを轟かせ、ルフィは一直線に向かっていく。
まずはルフィを撃墜しようとする音符に目を付ける。
「〝ゴムゴムの〟!!」
太くなった右腕で右拳を引っ込めて圧縮する。
腕全体を巨大なバネに見立てているようで、右拳はまるで右腕の弾丸のようにも見える。
「〝
圧縮していた右拳という弾丸を真正面にまで来た具現化した音符に叩き付ける。
ズドオオオオオオオオオッ!!
迫る音符は凄まじい轟音と共に粉砕される。
続けて巨大な槍に目を向ける。
「〝ゴムゴムの
今度は腕を引っ込めない。
そのまま、拳を突き出した。
巨大な槍に皮膚を傷付けられる事無く、拳一つで上空へと殴り上げた。
だが、さっきとは異なって巨大な槍は砕けていない。
この間にも音符の戦士が白兵戦を挑もうと急接近している。
「追え!!
ルフィの指示にまるで自らの右腕が従っているかのように動き出す。
伸ばした右腕が急角度で軌道変更を繰り返す。
その行先は――――巨大な槍の側面だ。
「〝ゴムゴムの
同様の技で巨大な槍を横から思いっきり殴り付ける。
すると槍は急旋回する。
それは迫っていた音符の戦士も巻き込んでグルリと一回転した。
音符の戦士はそのまま上空へと巻き上げられていく。
巨大な槍もそれによって消滅する。
肝心のルフィはと言えば、その間にトットムジカの上を取っていた。
増えた4本の腕がルフィを捕えようと伸ばされるが、あの姿でとんでもない機動力を見せる彼を捕えるのは至難の業だ。
信じられない話だが、大気を蹴る事で空中での移動を可能にしている。
おかげでトットムジカの腕から逃れて真上を陣取る事が可能になった。
「〝ゴムゴムのォ〟!!」
ルフィは右腕に更に空気を送り込む。
目に見えて巨大化していく腕。
それを先程と同様、右拳を右腕の内へと圧縮させていく。
トットムジカも危険と判断したようだ。
これ以上は自由にさせないという意思表示だろう。
「さっきより強いのが来るよ!!」
ウタが叫ぶと同時に赤い光線を放つ。
先程よりも太い。
ここまで光線を放たなかったのは放つ為の「インターバル」と「溜め」が必要だったからだ。
「〝
対するルフィは巨大化させた腕を真下に居るトットムジカに対して解き放つ。
赤い光線と激突――――確かに威力は凄まじい。
「けど!! 敗けねェッ!!」
ルフィは"今の"自分の強さを疑わなかった。
その彼の拳に呼応し、右の拳が赤い閃光を押し返す。
赤い閃光との激突はその時点で勝敗は決した。
赤い閃光を打ち破り、拳がトットムジカへと向かっていく。
だが、その前に4本の腕によって阻まれる。
逆に言えば腕を全て使わせなければ今のルフィの拳はトットムジカに届いていた可能性は大いに高い。
「〝ゴムゴムのォ〟!!」
ルフィは左腕も巨大化させていた。
その拳には何やら赤いオーラのようなものも纏っている。
「〝
右腕を引っ込め、代わりに左の拳を叩き込む。
トットムジカを守ろうとする4つの左手めがけて。
自殺行為とも思える行動であったが、遥かに超える威力を持っていた。
端的に結果だけ伝えよう。
4つの腕もろとも、トットムジカの不可視の壁へと叩き込んだのだ。
壁を粉々に破壊しつつ、トットムジカを地面へと押し倒した。
このまま一気に追撃を試みようとしたが、それは許さないとばかりに倒れる間際にトットムジカの足がルフィを蹴り付けた。
「うわぁっ!?」
完全に想定外の攻撃であった。
ダメージこそ無いが、その蹴りの勢いでウタのところまでボールのように飛んで行った。
バインバインと音を弾ませる。
「ルフィ、大丈夫?」
「ああ。もう少しのところで邪魔された」
一筋縄ではいかない。
それを改めて認識させられる。
「向こうも余裕がないんだよ」
「それ、どういう事なんだ?」
「ルフィとシャンクス達がトットムジカの行動を抑えてるから、力を無理矢理に引き出してるけど、その分だけ限界が近いの」
姿形を変えるのは分かりやすいパワーアップという意味合いもある。
だが、何のリスクも無い訳では無い。
何度も繰り返すが、身体のベースは能力者でもあるウタなのだ。
今はトットムジカの能力で無理矢理に動かされているだけに過ぎないが、平たく言えば彼女の体力が尽きれば存在は維持できなくなる。
分かりやすいパワーアップにウタの体力は何処まで保てるのか?
実は自らの首を絞めているのだ。
敵を蹴散らす為の選択ではあるようだが、結果的にトットムジカ自身がこの場に居られる制限時間を自ら減らしている。
もう一息である事でもある。
「けど、問題もある。トットムジカの動きが分からなくなってきているの。多分、私に考えを見抜かれないようにしてるんだと思うの」
トットムジカも一種の生命体だと考えれば確かに納得のできる展開ではある。
ウタがトットムジカの行動を何度か予測できたのも、能力によって繋がっていたからだ。
それは逆も然りではあるが、どういう原理なのかトットムジカの行動が見抜けなくなっている。
「よく分かんねェけど、あいつをぶっ飛ばすには問題無いんだな?」
「うん。あと、あいつは具現化や音符の戦士の呼び出し、特に光線は何度も連続して使えない。次を使うにも、威力を上げるのも時間が掛かるの」
「なら、今がチャンスだな」
ルフィはチャンスが回ってきている事を改めて実感する。
この好機をものにする為に姿をまた変える。
「〝ギア
四肢の肌の赤み掛かった黒はそのままに、先程までとは真逆に細身の身体へと変化させる。
膨らませた筋肉は肘から先と膝から先に集中させているようだ。
「おれもさっきので力を大分使っちまった。ここで決める!!」
先程までの凄まじい猛攻にルフィにもリスクが無い訳では無い。
むしろ、ウタワールドの補助ありとは言えども身体を大きく変化させている。
元の彼の身体の状態を考えると、これ以上の無茶は負担を大きくさせるだけだ。
「〝ゴムゴムの〟!!」
右腕をバネのように収縮させながら、狙いをトットムジカへと定め…………
「〝
目にも止まらぬ速さとはこの事を言うのかもしれない。
ルフィが拳を突き出した次の瞬間には距離のあるトットムジカの顔面に直撃していた。
速いだけではない、威力も申し分ないようでトットムジカは怯む。
その隙に足をバネにして、離れた距離を一気に詰めようと前へ跳ぶ。
ルフィの接近を良しとしないトットムジカは4本の腕を使い、ルフィを迎撃しようとする。
インターバルも終えたのか、大小様々な音符の戦士をけしかけてくる。
向こうもここが正念場と知ってか、勝負を仕掛けてくる。
「〝ゴムゴムの
両腕を収縮させ、次の瞬間には四方八方に腕を突き出す。
拳を連打させる。
トットムジカの4本の腕を、音符の戦士を、問答無用で殴り飛ばす。
その速度たるや、何者にも見えまい。
気付いた時には殴り飛ばされているのだから。
「うおおおおおおおおおおおおぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
咆哮と共にルフィを遮る全てを殴り飛ばした。
4本の腕も、もう使い物にならない程に切断されたように消し飛ばしたのだ。
遂にトットムジカの真正面へ踊り出る。
「〝ゴムゴムのォ〟!!」
右腕を自身の後ろへ伸ばし、迂回させて巨大化させてトットムジカへと伸ばす。
「〝
五指は握らず、蛇の顎を開くように繰り出す。
それをトットムジカへ叩き込む――――その算段であったのだ。
寸前にトットムジカが大きく広げた翼を自身の目の前へと持ってきたのだ。
渾身の一打は突然出現した翼によって阻まれる。
「〝ゴムゴムのォッ〟!!」
まだだ。
まだ彼の闘志は消えていない。
伸ばした腕を引き戻し、狙いを定め…………
「〝
右拳を伸ばす。
赤いオーラのようなものを纏いながら彼の拳が真正面から翼を殴り付ける。
衝撃にトットムジカを後退りさせる事はできた。
だが、それでやつは倒れない。
ただ、ルフィの拳が一度で終わらない。
伸ばした腕がありとあらゆる角度で曲がり、翼を四方八方から滅多打ちにする。
「その翼が、邪魔だあああああああああああっ!!」
宣言と同時、九撃目を真下から拳をぶち込む。
トットムジカの翼がルフィの拳に耐えきれず、千切れるように消し飛ばされる。
千切れた翼を掴み取り、伸ばした腕を戻す事でトットムジカへ急接近する。
もうトットムジカまでの道に邪魔するものはない。
「新時代はこの未来だ♪
世界中全部 変えてしまえば♪ 変えてしまえば♪」
ウタも最後のギアを上げていこうと、歌い出す。
それに呼応するようにルフィもトットムジカへ向かっていく。
「果てしない音楽がもっと届くように♪」
笑顔を振り撒きながら歌うウタ。
こんな状況の中だというのに楽しそうで、けれど現実は見ていて、でも希望に満ちている。
決して綺羅びやかな会場ではないが、ここは既に彼女のステージだ。
観客はルフィとトットムジカだけなのが寂しいかな――――内心で肩を落とす。
ただ、それもポーズで表情は微笑みを浮かべていた。
「夢は見ないわ♪」
きっとトットムジカが存在の糧とする感情とは正反対のものが流れ込んでいよう。
ウタの中に流れ込むトットムジカの感情が物語っていたから。
やつにとってこれまで知らなかった未知なる感情が中で渦巻く。
「
ウタの歌は止まらない。
同様に急接近するルフィも止まらない。
歌に想いを、魂を込める。
教えてくれたから、伝えてくれたから。
「“ボクら”信じて♪」
それを、言葉に、歌に、魂に乗せて放つ。
今、そしてこれからウタがするべき“たった1つのシンプルな事を。”
「いっけェッ!! ルフィィィィィィーーーーッ!!」
ウタに出来るのは“ここまで”だ。
ウタワールドによる他者への強化はこれで打ち止め。
彼女自身の体力が限界に来ているからだ。
つまり、それはトットムジカの方も限界が来ていると言える。
あとは、これから先に頼もしく"成長していくだろう"彼に託す。
今度は自分を犠牲にしての事ではない。
シャンクス達やルフィとこの先も"一緒に歩んでいく為に。"
「任せろ!!」
ウタの想いを受け、ルフィは笑みを浮かべながら跳んでいく。
彼女の、その期待に応えよう。
ドンドットット♪
ドンドットット♪
直後、何かの音がした。
突如として聞こえた音の発生源は――――
「上がれ!! 心臓の音!!」
今のはルフィの心音なのだと告げた。
心臓が果たしてそのような奇妙な音を起てるか?
そんな事は御構い無しと、心臓に任せるがままに独特なリズムを奏でさせる。
「おれのやりたかった事が全部できる!!」
そう直感する。
そして、こう口にする。
「〝ギア
ルフィの身体に変化が起きたのは直後であった。
彼の肌、腰巻き以外の着用していた服を含めて全体が白くなり、目の虹彩は赤く染まる。
また、髪は炎のように逆立ち眉の形状も変化する。
身体から蒸気を発しているが、その蒸気をさながら羽衣のように羽織っている。
「〝ゴムゴムのロケット〟!!」
すかさず、ルフィはトットムジカへ跳んでいく勢いを利用して体当たりを行う。
既にバリアは破られている。
ただの体当たりではあるが、先程からとんでもない攻撃力を見せているルフィの体当たりだ。
トットムジカをそのまま吹き飛ばすだけの威力があった。
「ルフィ、次が来る」
何かは分からないがウタはトットムジカの新たな行動を察知した。
彼女が見破った直後だ。
トットムジカは何体か音符の戦士をけしかけてきた。
もうルフィには通用しない手ではあるが、少しでも時間を稼げれば良いという魂胆であろう。
「ししし!! それで止まるか!!」
ルフィは笑いながら構わずに突っ込んでいく。
「〝ゴムゴムの
予備動作も何も無かった。
気付けばルフィの身体は巨大化していたのだから。
音符の戦士が小人に見える程の巨体。
それはトットムジカの大きさにも引けを取らない。
その大きさに物を言わせ、両手で音符の戦士を包むように捕えた。
「おりゃあっ!!」
そのまま、音符の戦士をボールにして投げ返した。
凄まじい勢いで投擲された音符の戦士はぶつかる直前で消えた。
元はトットムジカの生み出した存在なのだから、消す事もそんなに難しい事ではない。
「よし!! 捕まえた!!」
音符の戦士にトットムジカが気を取られている隙にルフィは身体の大きさを元に戻してトットムジカの足を掴んでいた。
「うおおおおおおおおおおおおおおーーーーっ!!!!」
どんな腕力をしているのだろうか?
トットムジカの足を掴むと、そのまま振り回し始めたのだ。
まさかこの巨体を小柄なルフィがジャイアントスイングできるとは夢にも思うまい。
「おりゃあああああああああああーーーーっ!!!!」
トットムジカ程の巨体を容易く投げ飛ばした。
地面に成す術無く叩き付けられ、大きなダメージを負う。
ルフィの追撃を本能的に恐れ、彼を迎撃すべく立ち上がる。
今さっきまで彼の居た場所を確認するも――そこには誰も居なかった。
「これで全部終わりにしてやる!!!!」
既にルフィは上空へと飛んでいた。
見上げれば、彼は右腕を巨大化させていた。
それはトットムジカを大きく上回る程の大きさなのは一目瞭然であった。
反撃しなければ――――トットムジカはそう判断した。
当然ながら未だに感情や思考を共有できるウタに筒抜けになった。
その迎撃を起こそうとしている事を知ったウタはルフィへ伝えようとして――――止めた。
あれが現状で到達点におけるルフィの全力であろう事を悟ったからだ。
元々、ルフィにも限界が来ていたところにあんな無茶を重ねている。
どのみち彼も体力の限界が訪れよう。
これで決めなければいけないと彼自身も宣言する。
それはウタも同じである。
けれど、倒れる前にこれだけは見届けたい、否見届ける。
「〝ゴムゴムのォッ〟!!!!」
ルフィは巨大化させた腕を大きく振りかぶる。
それを受けたトットムジカは目を赤く光らせる。
これまでとは比較にならない程の赤い光線がルフィへ向かっていく。
トットムジカもまた、彼の全力が来ると悟って全力での迎撃を選択したのだろう。
迫る赤い光線。
されど、ルフィはそれを真正面から打ち破らんと拳を振り下ろす。
「〝
瞬間、赤い光線と白い拳が激突した。
ぶつかり合うのも一瞬なら、勝敗が決するのも一瞬だった。
赤い光線を白い拳が難なく押し切り、殴り破る。
「本当、とんでもないんだから」
その様子を見れる立場にあるウタは苦笑しながらそう呟く。
同時、あの時の話を思い出す。
「そういえば、あの時……」
思い出すのはシャンクス達の目の前でナイフで目の下に傷を付けた日の事だ。
あの時に彼の発言が"未来で"実現するのだと、彼自身が今この場で証明しようとしているのだと。
今はウタワールドで得た前借りのようなもの。
だが、ルフィはこれだけ強くなる未来を既に"見据えている"。
その為にこれから血の滲む努力をしていくのだろう。
この先の彼がどれだけ強くなるのか、今から楽しみになってくるではないか。
「そっか――――アンタの言う通りだ」
ウタは何かに気付くと同時に状況は変化した。
その直後に彼の"将来これだけ強くなる拳"がトットムジカへ辿り着く。
「うおおおおおおおおおーーーーっ!!!!」
ルフィは雄叫びを撒き散らし、拳を全力で振り抜く。
ズドオオオオオオオオオオオンッ!!!!
トットムジカは拳に圧し潰され、凄まじい轟音と共に光となって消滅した。
合わせてウタの意識もブラックアウトする。
彼女の気絶は強制的に発動していたウタワールドも解除される事を意味している。
薄れゆく意識の中、彼女は服の内側の指輪を掴みながら先程の気付きを心の中で呟いた。
ルフィの拳は
如何でしたでしょうか?
今回はサブタイの通りでしたね。
これにてVSトットムジカは終了となります。
やつが消滅するには色々と条件はあるのですが、そこは次回にきちんと付け足し描写します。
以下、補足です。
段階を踏んで強くなっていくトットムジカではありましたが、前回と同様にその強さは映画本編程もありません。
それぞれルフィ単体で何とか出来てしまう強さでしたから。
ルフィの方がそれぞれの段階よりも大きく実力で上を取っている状態にあります。
ギア4発動以降は苦戦するシーンは無かったですから。
もっと上手く立ち回っていればルフィは手も足も出なかったでしょう。
ウタとの感情の共有が弱体化へと繋がったと言えます。
そして、ルフィの方。
彼も段階的に強くなっていきました。
前回に言っていたように彼が見た夢を基準にしています。
直感的にどういう段階を踏めば良いのか判断し、姿を徐々に変えていきました。
それにはウタが歌ったのも要因ではあります。
それを含めても、ルフィの直感は凄いという事で。
ウタのルフィへの信頼が強くなっています。
映画本編では想像よりも彼を信頼している描写は少なかったですから、本編との相違点にはなりますね。
ウタが歌う事でルフィを強くしていく。
曲の順番はフィーリングでございます。
『新時代』の歌詞だけ最後に変えました。
彼女の中で前回のルフィの言葉が強く印象に残っている示唆でもあります。
戦闘描写が見辛ければアドバイスして頂ければ修正していきます。
いくつかの効果音、最後の切り札を放つ際に編集を施してみました。
他にも編集した文字があるのですが、スマホで見れてPCでは見れないものもあったので、その理由が分かる人が居ましたら教えて下さい。
今回はこの辺りでしょうか。
さて、次回ですが少し間が空きます。
恐らくは前回空いた時よりも長いです。
前回と今回の作成に想像以上に時間を掛かってしまいましたので。
頑張って書きますので感想で作者を励まして下さい(がめつい)
では、また次回に。