その悪魔の実には意思がある   作:ゼガちゃん

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お待たせしました。

最近亀更新気味で申し訳無いです。

続きをどうぞ。


〝宝〟の定義

ルフィ達はブードルを追い掛けるようにバギー達の居る町の中心へと向かう。

場所に関してはナミが知っていたので、迷う事無く辿り着けた。

 

そこではブードルがバギーを挑発し、命を捨ててでも戦う意志を見せていた。

そんな志しを聞いたルフィは行動を起こしていた。

ブードルをあろうことかコンクリートの壁に押し込む。

その勢いでブードルは気絶し、大の字で寝転ぶ。

 

「な、何をしてんのよ!?」

 

「邪魔!!」

 

「上策だな。放っといたら、死ぬつもりだっただろうしな」

 

ナミがルフィの行動を問い質すと、言葉短く返した。

彼の行動に賛同したのはゾロだった。

このままではブードルの命は無かったのかもしれないのだから。

乱暴な手段だが、ルフィの行動を擁護する。

無論ながら、それでもナミは乱暴な解決策に「無茶すな!!」と叫ぶ。

 

「おい!! 赤っ鼻ァッ!! バギーってのは、どいつだァァァッ!!」

 

腹の底から声を張り上げる。

辺りに反響するルフィの叫び。

 

水色の髪にピエロの化粧をした赤い大きな鼻を持つ男へ言葉を叩き付ける。

帽子を被り、周りと比べても随分と派手な衣装を着ているので目に付いたのだ。

 

「ハデに舐めた野郎だな!! このおれ様が泣く子も黙る〝道化〟のバギー様だ!!」

 

「お前がバギーか!!」

 

何と、その男こそが〝道化〟の異名で知られる(ナミ談)バギーであった。

それを知るとルフィの視線は彼へロックオンされる。

指の関節を鳴らし、拳を作る。

 

「お前を、ぶっ飛ばしに来てやったぞ!!

 デカっ鼻ァァァァァーーーーッ!!」

 

先程よりも大きな声量でルフィが宣言する。

瞬間、ブチィッ!! と何かが切れた音がする。

発生源は無論ながら指名されたバギーで――――

 

「誰がデカっ鼻だァァァァァッ!!

 ハデに舐めてる貴様等を町と一緒に吹き飛ばしてやる!!

 バギー玉、発射だァァァァァッ!!」

 

彼にとっては琴線に触れたのは言うまでもない。

バギーの指示で、予め用意されていた大砲から弾丸が放たれる。

 

「う、嘘でしょ!?」

 

「おい、ルフィ!! 逃げるぞ!!」

 

狼狽えるナミとゾロ。

それはそうだ。

砲撃なんかされたらひとたまりもないのだから。

 

「そんなもの、おれに効くか!!」

 

対して落ち着いているのはルフィだった。

あろうことか弾丸に突っ込む形で駆け出した。

何をしようと言うのか、全員の注目が集まる。

 

「〝ゴムゴムの風船〟!!」

 

ルフィが大きく息を吸い込む。

 

 

 

 

 

次の瞬間、ルフィの身体がまるで風船のように大きく膨らんだ。

 

 

 

 

 

まさかの事態に全員の反応は共通して「驚愕」の漢字二文字となる。

膨張した腹に弾丸が当たる。

しかし、爆発する事はなく衝撃を吸収されていた。

 

「お返しだ!!」

 

そして、腹に力を入れてトランポリンで人が跳び上がる要領で弾丸を弾き返した。

まさかの事態に一番驚いたのはバギー達だった。

 

バギー玉の威力は折り紙付き。

町一帯を吹き飛ばす力を有しており――――それが数秒もせずにバギー達の元へ送り返されて爆発を引き起こした。

 

「よっしゃ、減ったな」

 

「先に言っとけよな」

 

ルフィは良い笑顔で言う。

これまで行動を共にしてきたゾロも呆れ気味だ。

この状況は知らされていなかったと見える。

 

跳ね返された砲弾はバギー達の居た家屋を粉微塵にした。

木材は焦げ、瓦も壁のコンクリートもバラバラになっている。

 

今でも信じられない。

砲弾を弾き返すだなんて非常識も良いところだ。

 

「何なのよ、今のは?」

 

「〝ゴムゴムの風船〟だ」

 

「そういう意味じゃないわよ!!」

 

ルフィの起こした事象に当然ながらナミは困惑して質問する。

しかしながら、当人の返答は求めているものと異なっていた。

 

何とも人間離れした能力だ。

そう、まるで――――

 

「もしかして〝悪魔の実〟の能力者!?」

 

「ああ。俺は昔〝ゴムゴムの実〟を食った。ゴム人間だ」

 

「ゴム…………人間っ!?」

 

ナミが〝悪魔の実〟の存在を訊ねると、ルフィは「ああ」と軽い調子で告げる。

それを聞いたナミの反応は「驚き」に分別される。

 

これまで〝悪魔の実〟の能力者である事に驚く面々は居た。

しかしながら、ナミの驚き様はそういったものとは種類が違った。

 

その事実にルフィは気付かない。

瓦礫と化した民家からバギー達が出てきたからだ。

 

「随分とハデな野郎だな」

 

「あいつも船長と同じように〝悪魔の実〟を食べたと言ってましたね」

 

バギーともう1人が這い出てきた。

見れば、仲間だろう面々を自分達の前に置いて盾代わりにしている。

左側だけ長い髪型と長いマフラーの男も同様だ。

 

「酷い……」

 

自分の仲間に対するこの仕打ち。

ナミは思わず声を漏らす。

 

「なるほどなるほど。どうやら只者じゃねェって事だけは分かった」

 

瓦礫を蹴り飛ばしながらバギーはルフィへと近付いていく。

先程のやり取りからルフィが普通ではない事を悟ったらしい。

それは隣の男も同じらしい。

 

しかし、自分達が敗北する事などは微塵も考えていない。

そんな事を頭に置いて戦う者も居るまい。

 

「そいつらお前の仲間だよな?」

 

「ん? ああ。ハデなおれに相応しい部下だ」

 

ルフィは「仲間」と問う。

バギーは「部下」と返す。

 

両者共に見ている者は同じなれど、考え方は異なっている。

そう、それは海賊としての考え方が両者で噛み合っていない事を示唆している。

 

「何だァ? おれがこいつらを盾にした事を怒ってるのかァ?」

 

「ああ」

 

バギーは挑発した口調で問い返してきた。

対するルフィは落ち着いた声音で以て肯定する。

 

「おれ達は海賊だ。っで、おれはこのバギー海賊団の船長をやってる。

 つまり、一番偉いのはおれ。

 その為に部下が体を張るのは当然だろう?」

 

「知るか、そんなの。

 海賊だからって仲間を大事にしちゃいけないルールなんてねェだろうが」

 

バギーの高説に耳を傾けるも、ルフィは一蹴する。

そして、彼へ言葉を叩き付ける。

 

バギーの行いに少なくともルフィは同調出来なかった。

海賊としては間違っていないのかもしれない。

 

海賊団の理念は十人十色だ。

ルフィの憧れた海賊団の理念を押し付けるのは間違っている。

 

「随分と甘い考えだな。

 〝偉大なる航路(グランドライン)〟の海図を盗むようなコソ泥には分からないだろうが――――」

 

「おれは、海賊だ」

 

バギーが言い切るよりも先回りしてルフィが告げる。

瞬間、バギーは「何?」とルフィを見てくる。

彼の中で海賊らしからぬ発言をしたルフィへの疑問を抱いたのだろう。

 

しかしながら、バギーはそれ以上は何も言わない。

彼も異名を持つ海賊だ。

様々な海賊と出会い、戦ってきた筈だ。

それ故、ルフィがどう思おうと関係無いと考えていよう。

それよりも〝偉大なる航路(グランドライン)〟の海図を手に入れた理由はそこへ辿り着く為。

ならば、そこへ行く目的は?

 

「てめェらなんぞが〝偉大なる航路(グランドライン)〟へ入って何をするつもりだ?

 観光旅行にでも行きたいってか?」

 

 

 

 

 

「〝海賊王〟になる」

 

 

 

 

 

バギーからの質問にルフィはノータイムで答える。

一瞬の間が生まれる。

ルフィが言い出した内容をバギーがきちんと受け止める。

 

「ふざけんな!! ハデアホがァッ!!!!

 てめェが〝海賊王〟だと!?

 おれは〝神〟にでもなれるってか!?」

 

ルフィの宣言に対してのバギーの反応は些かオーバーなものだった。

随分と飛躍した例え、しかもバギー自身もまるで〝海賊王〟の高みへ届くかのような物言いだ。

 

「世界の宝を手にするのはこのおれだ!!

 夢見てんじゃねェ!!」

 

バギーは腕を振るった。

怒りに任せて“何か”を投擲してきた。

 

ルフィは反射的に腕を真横へ振るった。

何かを弾いた感触はある。

 

「ルフィ!!」

 

ゾロがルフィへ呼び掛ける。

まだ敵の攻撃は終わっていないと、そう教えるように。

 

彼の言葉に反応し、ルフィは弾き返した方へ、右上へ視線を向ける。

視界にナイフが見えた。

 

ゴム人間となり、打撃や銃弾には耐性が付いた。

ただ、刃物は別だ。

そのナイフがルフィへと狙いを定め、“こちらへ急降下してきたのだ。”

 

「っ!?」

 

ゾロの掛け声があったからこそ反応出来た。

咄嗟に後ろへ跳んで寸前でナイフを回避する。

 

カランと音をさせてナイフは地面に転がる。

これにはカラクリがある。

 

ルフィも、そしてゾロとナミも最初にバギーが放ったものが分かった。

〝手〟だ。

 

比喩表現でも何でもない。

バギーの手首から先だけが空中に浮いていた。

明らかな〝異常〟。

しかし、ゾロもナミもルフィの〝異常〟を目の当たりにしたからこそ不思議に思いこそ、有り得ないとは否定しない。

 

その手はバギーの元へと戻る。

バレた以上は追撃は無駄と悟っての事だ。

 

「良く反応したな」

 

バギーが〝悪魔の実〟の能力者である事はナミを通じて知っていた。

身体の一部を飛ばす能力か?

大体当たりだ。

 

「おれは〝バラバラの実〟を食べたバラバラ人間だ」

 

ゴム人間と言い、聞いただけでは何の事かと疑いたくなる。

〝悪魔の実〟を知っており、かつバギーの能力を目の当たりにしたからこそ納得できる。

 

「全身を自由自在にバラバラに分離させ、飛ばす事が出来る」

 

実演とばかりに腰から上と下を分離させ、またくっつける。

ご丁寧に説明してくれる。

 

これも作戦の内――――違う。

彼の承認欲求で見せびらかしただけだ。

 

「ふーん、そうか」

 

しかし、そんなものにルフィは興味を示さない。

指の関節をポキポキと鳴らし、戦闘態勢を見せ付ける。

戦意は万全――――それは間違い無い。

 

「このおれとやろうってか?」

 

「ああ」

 

バギーもルフィの戦意は受け取っていた。

だから、彼の狙いも分かっていた。

その目的はバギーにとって許容出来ないもの。

となると、衝突するのも必然であった。

 

「そういう事なら、邪魔はさせない」

 

もう1人の男が一輪車に乗り、剣を携えてルフィへ接近していた。

既に斬り掛かるつもりでいたが――――

 

「剣の相手ならおれがする」

 

そこへゾロが割り込んでくる。

男の方もゾロが〝海賊狩り〟の異名を持つ賞金稼ぎと気付く。

両手に2本、口に1本だけ加えているのが特徴的だったからだ。

 

「〝海賊狩り〟まで居るとはな。船長は…………お前か」

 

「そうだ」

 

ここまでゾロは出張っては来なかった。

ましてや〝海賊王〟になる事を宣言したのは目の前の麦わら帽子の男だ。

 

「随分と強い仲間が居るものだ…………が、ここでお前らは終わりだ。

 海賊になるには甘い考えを持つお前らには、な」

 

「大丈夫だ。おれ達はお前なんかには負けないから」

 

おれ達――――ルフィは自分の、そしてゾロの勝利を疑わない。

こんなところで終われないという自負があったからだ。

 

「お前、能書きが長いからさっさと掛かってこいよ」

 

「ふん。ハデに舐めた奴だ。

 それに“麦わら帽子を被ってるのも苛つかせる。”

 あの忌々しい赤髪の男を思い出させるんだからな」

 

ルフィの態度にかと思いきや、意外や意外だ。

まさか麦わら帽子を見て苛つくとは。

しかも、その内容も聞き逃がせなかった。

 

「赤髪? それって、シャンクスの事か?」

 

「奴の事を知ってるみたいだな」

 

赤髪の名を言ってみたところ、どうやらバギーの想像と同一人物が思い浮かんだらしい。

 

「シャンクスの事を知ってるのか? 今何処にいる?」

 

「んん? あいつに用があるのか?

 知ってるといえば知ってるし、知らないといえば知らんな」

 

「お前は何を言ってんだ? バカか?」

 

「ハデに舐めた事を言う奴だな!! このスットコドッコイ!!」

 

ルフィからの問い掛けに珍妙な言い回しをしたバギーの方に問題があるとは思う。

しかし、ルフィに馬鹿にされたバギーは頭に血が上って気付かない。

 

「ねえ。今の内に私はバギー達のお宝を盗んでくるわ」

 

そこへナミが声を掛けてくる。

彼女の狙いは最初から「宝」なのだから言うまでも無い。

 

「上手く盗んで、バギーを倒す事が出来たら――――その時は仲間になるのを考えても良いわ」

 

「本当か!?」

 

「ええ。でも、まずはお試し期間。手を組むって形にさせて貰うけれど」

 

「ああ、おれの仲間になるって事だな」

 

「話、聞いてた?」

 

ルフィにとっては同じ意味らしい。

確かに人によっては受け取り方で変わるもの。

それでもナミの態度から分かりそうなものなのだが――――彼の思考はどのようなものになっているのか?

 

「まあ、良いわ。そっちの健闘を祈ってる」

 

「おう!!」

 

これ以上はナミの方が頭痛を起こして苦しむと判断。

結果、会話を投げ出してルフィにこの場を押し付け――――もとい、任せる事に。

 

これでルフィはバギーとのマッチアップが確定した。

一足早く、横ではゾロと一輪車に乗った男が文字通りに刃を交えていた。

 

ルフィはバギーの方へと歩を進める。

バギーもまたルフィの接近を目の当たりにし、戦闘態勢へと切り替える。

 

「向かってくるってんなら容赦はしねェ」

 

両指にナイフを何本か挟む。

確かにゴム人間という初見殺しには驚かされた。

 

砲弾は跳ね返される。

ゴムの特性で出来る事、起こり得る事は考えておくべきだ。

 

これは他ならないバギー自身が能力者である事が推察に至る理由の拍車を掛ける。

伊達に異名を持つ海賊ではない。

ルフィとでは海賊としての年季が違い過ぎる。

 

「さっきのは見逃さなかったぜェ。

 ゴム人間に砲弾は効かないだろうが、ナイフは避けたのをな。

 弱点は刃物だろ?」

 

バギーは推論を投げ付ける事で駆け引きをしようとした。

当たりだと思っているが、確証を得たいが為に問い掛けた。

向こうへ動揺を誘う腹積もりもある。

逆に反応を示さないのであれば、それだけの場数を踏んで来た相手だと念頭に置いて戦闘を組み立てるつもりだった。

 

「うん」

 

だが――――あろうことかルフィの反応は至ってシンプル。

しかも、即座に肯定で以て返して来た。

いやはや、さすがにもっと駆け引きでもあるかと思った。

 

恐らくは何も考えていない。

条件反射に、しかも素直に答えた。

純粋過ぎる――――こんな奴が海賊を名乗っている事に頭痛がする。

 

「ここでお前の海賊人生を終わらせてやるよ!!」

 

身体を捻りながら下半身のみを文字通りに切り離す。

 

「〝バラバラせんべい〟!!」

 

下半身のみが回転しながらルフィへと一直線に向かっていく。

ただの突撃ではゴム人間の彼にはノーダメージだ。

だからこそ、靴の先端に刃物を仕込んである。

当たれば切り刻まれる事は目に見える。

 

「よっ!!」

 

しかし、そんな見え見えの攻撃など避けるには容易い。

当たる寸前、ルフィは障害物を乗り越えるように軽く跳んでやり過ごす。

 

「大したもんだが、それも想定内よ」

 

バギーの攻撃は全て計算されたもの。

回避されるのも策の内。

自身の能力で切り離した両手首を事前に上空へ仕込んでいた。

 

「空中なら避けられねェだろ?」

 

両指にナイフを挟んでいる。

全部で4本ある。

それを器用に全てルフィへ投擲する。

 

「避けれるさ」

 

しかし、ルフィは横へ腕を伸ばす。

そこにあった木を掴み、腕を縮めてそちらへ身体を引き寄せる。

ナイフは全て地面に当たるだけで終わる。

 

「〝ゴムゴムの(ピストル)〟!!」

 

すかさず、ルフィは拳を振り抜きながら右腕を伸ばす。

本来なら不意討ちも合わせてクリーンヒットしていただろう。

しかしながら、自身の身体が伸縮する様を見せてしまっていた。

それ故、バギーも注視していた事もあって身体を横へズラすだけで簡単に回避される。

 

「面白い能力だが――――伸び切った腕は隙だらけだな!!」

 

何も刃物はナイフだけではない。

隠し持っていた剣を抜いて、隙だらけのルフィの腕を斬ろうとして――――

 

「〝ゴムゴムのロケット〟!!」

 

伸び切った腕はその先の木へと到達しており、その木を掴んで先程と同様にルフィ自身を引き寄せた。

彼が言うようにまさしくロケットのような体当たり。

地を蹴った反動も利用してバギーめがけて跳んでいく。

 

「〝バラバラ緊急脱出〟!!」

 

ルフィが飛来し、当たる直前にバギーは胴体を分離させる。

渾身の体当たりはスカされる。

そのままバギーを通り越し、その先の先程に廃屋となった民家へ突っ込んでいく。

 

本来なら怪我をしそうなものだが、ゴム人間の彼にはノーダメージだ。

廃材と化した木材を払い除けながらルフィは民家から脱出する。

 

「クソォ、バラバラしやがって」

 

「〝悪魔の実〟の能力者との戦いは、いつだってハデなものになるのさ!!」

 

麦わら帽子を被り直しながらルフィはバギーの能力に対して愚痴を零す。

バギーの方が海賊としての歴は長い。

〝悪魔の実〟の能力者ならばルフィもウタといった面々の事は知っている。

なので驚く事はそこまで無い。

問題なのは戦闘という側面においてはバギーの方が経験値が高い事だ。

〝悪魔の実〟の能力者との戦いもこれが初めてとは思えない。

 

「ほれほれ、息付く暇はあるのかなァ〜?」

 

バギーがまるでアドバイスでも送るかのように告げる。

先程と同様、ナイフを指に挟んだ右手のみを発射していた。

 

バギーに言われたのもあり、当たる直前に受け止める。

何とかナイフを止める事が出来た――――そう安堵するのも束の間だった。

 

 

 

 

 

手首の状態から更に手のみを切り離される。

 

 

 

 

 

二段構えだった。

受け止めさせ、油断を誘ったところへの攻撃が待っていた。

バラバラの実の特性を活かした攻撃方法である。

 

これにルフィは神懸り的な反射神経を見せた。

狙っていたのが頭部だった事もあり、頭を横へズラす事で頬に掠り傷を付けるだけに留まった。

 

ナイフを避けた反動で背中から地面に倒れる。

受け止めていた手を放し、麦わら帽子も落ちる。

 

「今のを避けるのか、反射神経がおかしくないか?」

 

さしものバギーもルフィの並外れた身体能力に文句を付ける。

苦言を呈するバギーには目もくれず、ルフィは手元の麦わら帽子を見ている。

 

「お前…………」

 

ルフィの表情が〝怒り〟を表している事は分かった。

何が彼の琴線に触れたのかは不明だ。

海賊同士の戦いなのだから何が起きても不思議などない。

 

「よくも、この帽子を傷付けたな!!」

 

帽子の鍔に多少ながら切られた箇所がある。

麦わら帽子なのだから、こういった事での損傷は分かっていた筈だ。

 

「そんな古臭い麦わら帽子がなんだってんだ?」

 

「こいつはおれの宝だ!!

 この宝を傷付けるやつを、おれは許さねェッ!!!!」

 

瞬間、ルフィの怒号が辺りに響く

 

ルフィを見てきた面々からすれば、今の彼の姿に驚くだろう。

普段は飄々としていて、何事にも動じなさそうな彼がこんなにも取り乱している姿を。

 

ゾロはカバジとの戦いに集中していて見れていない。

宝を取りに行く途中だったナミが目撃していた。

出会ったばかりの彼女にしてもルフィがこんなにも取り乱す姿は意外だったに違いない。

 

 

 

 

 

だからこそ、背後から飛んでくる手首への反応が遅れた。

 

 

 

 

そんな古臭い麦わら帽子が何と言うのか?

しかし、“そんなものが大事だというのなら――――”

 

「なら、ちゃんと持ってなきゃ駄目だろ」

 

歪んだ笑みを浮かべ、バギーは小馬鹿にするように告げる。

彼はまだ切り離した手を“戻してはいない。”

バラバラの能力は発動した状態は継続している。

分離された即座に操作を行う。

 

投げていたナイフを拾い直し、ルフィめがけて突撃してくる。

手が偶然にも崩れた家屋から這い出たという事もあって、音でルフィも背後に何かがある事には気が付けた。

これをまともに喰らう事は出来ない。

足場の悪い状況下ながら、横っ跳びで何とか一撃を回避する。

 

しかし、だ。

バギーの狙いは端からルフィ自身ではない。

何に狙いを定めたのか――――既にバギーは告げていた。

 

ルフィの手元にある麦わら帽子めがけ、切り離されたバギーの手がぶつかる。

その手にはナイフが握られており、容易く麦わら帽子の頭頂部を貫き穴を開けた。

 

「こんなくたびれた帽子の何が宝だ」

 

切り放した手を戻し、バギーはルフィの発言を馬鹿にする。

あまつさえ、彼の発言に対して「馬鹿馬鹿しい」と高笑いをぶつける。

 

「…………ッ!!!!」

 

バギーの高笑いも、麦わら帽子への侮辱も、確かに腹が立つだろう。

歯を食い縛り、怒りのボルテージが上がる。

無論、これだけではルフィは何もそこまで怒りを覚えなかった。

 

人によって〝宝〟の定義は変わってくる。

バギーにとっては「金銀財宝」がそうで、ルフィには「麦わら帽子」が当てはまる。

人それぞれなものであるのだ。

だから、麦わら帽子を〝宝〟だというバギーの起こす嘲笑も分からなくはない。

 

ルフィの琴線に触れているのは"そこじゃない。"

あの帽子はルフィにとって――――

 

「シャンクスとの誓いの帽子だ!!」

 

今はまだ漠然と〝再会〟を誓ったものでしかないかもしれない。

それ以上の価値は無いのかもしれない。

でもルフィはシャンクスのような〝立派な海賊〟になる事への誓いを立てた。

〝立派な海賊〟というのもルフィにはまだ分からない。

 

あの頃に憧れたシャンクスの、ベックマンの、ルウの、ヤソップの、モンスターの、ボンクの、ライムジューの、ホンゴウの、スネイクの、ガブの――――そしてウタの背中を追い掛けた。

 

最初は模倣かもしれない。

けれど、そこからルフィの目指すべき〝立派な海賊〟の像が見付かると信じている。

 

バギーはそのルフィの〝誓い〟を踏みにじった。

それがどうしても許せない。

 

ルフィは殆ど条件反射でバギーへ突撃する。

 

「何? って事はこれはシャンクスの帽子かよ。道理で見覚えがあるわけだぜ」

 

麦わら帽子を無造作に地面へと叩き付け、あまつさえ唾まで吐きかける。

 

「おれとあいつは昔同じ海賊船に居た。海賊見習い時代の同志ってわけだ」

 

「ッ!!!!」

 

バギーの一言は更にルフィの怒りをヒートアップさせた。

更に加速し、腕を横へ構える。

 

「シャンクスは偉大な男だ」

 

ルフィの憧れたシャンクスと、目の前で麦わら帽子を無残にしたバギーが同志だと?

そんな事が有り得るものか。

 

腕を構えて殴りに来るルフィへのバギーの回答は回避であった。

パンチが来るのは目に見えている。

狙いは顔面である事は目視で確認できる。

 

「〝バラバラ緊急脱出〟」

 

回避は容易いと、首を瞬時に切り放す。

ルフィの拳は空を切る。

そこへカウンターでナイフを突き刺してやろうと画策して…………

 

 

 

 

 

 

ドオオオオンッ!!!!

 

 

 

 

 

音がした。

同時、バギーに激痛が発生する。

何事なのかと、一瞬で状況は把握できた。

殴り掛かるかと思われたルフィの攻撃は直前、バギーへの金的への蹴りに変更された。

 

「シャンクスがお前と同志だと!?」

 

男の急所をクリティカルに蹴り付け、バギーも思わず能力を解除して首を繋げる。

仰向けに倒れたバギーへルフィは怒りを込めた蹴りが炸裂し――――

 

「一緒に、すんな!!!!」

 

同時に怒りを込めた言葉も叩き付けた。




如何でしたでしょうか?

原作との大きな相違点として目を引くのは1つ。
・バギーが仲間を盾にした事にルフィが少なからず怒りを覚えたという点

これに尽きるでしょう。
原作ではそんな素振りは見せませんでした。
ですが次のクロとの戦いでは見せていませんでした。
クロとの戦いでは自分の仲間を道具扱いし、あまつさえ仲間は助けを乞いているのに無差別に殺そうとした事が理由でしょうが。

ですが、バギーへ苦言を呈したのは理由があります。
それは原作でルフィはバギー達の宴の様子を見ていたからです。
その際に「やっぱ海賊はこうだよな」といった旨の発言をしており、少なくともバギー達はルフィがガープから教えられた「海賊」の像に当てはまる部分もあったのではないかと。
その後の「海賊」の怖さを教えたのもバギーでしたし、彼の中の「海賊」としての部分を見たからなのかなと……どうなのかな?

こちらのルフィはそういった部分を見ていないので苦言を呈しています。

あとはゾロが無傷の状態でカバジと戦っているので圧勝しそう。
ゾロの方は書かないので、ゾロファンの方はごめんなさい。

あとはナミが何かに気付いていますが、まだ何も言いませんね。
いつ言うのかな?

あとは原作をなぞった展開に少しアレンジを加えさえて頂きました。
しばらくは原作に近い展開も多くなるので、ドンドンやっていけたらと思います。

中途半端な終わり方ですみません。
また次回も間隔が空くと思います。

なるはやで書こうと思いますので、しばしお待ち下さい。
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