珍しい時間での投稿。
今回はお待たせした割には短いです。
サクッとさせ過ぎました。
麦わら帽子を傷物にしたバギーを蹴り付けるも、まだルフィの怒りは収まらない。
バギーにしてもこれで怒りを向けられる事は不条理に思っているだろう。
ルフィは信じなかったが、バギーとシャンクスが同じ海賊船の仲間だったというのは本当だ。
その時の出来事でバギー自身はシャンクスへ悪印象しか抱いていない。
シャンクスが本心からバギーへ友好的な印象を持っていようとも、決してこちらから歩み寄るつもりは一切無い。
ルフィがシャンクスへ憧れを抱いていても一切興味がない。
どちらもバギーには知ったことではないからだ。
どれだけバギー自身がシャンクスを嫌っているのか、この際はっきりとルフィへ教えてやる。
北極と南極のどちらが寒いか等と言う見る人から見ればくだらない言い争いもあった位だ。
恐らく、決定的になったのは“不可抗力ながら能力者になってしまった事だ。”
〝悪魔の実〟は高く売れるというので、偽物を用意して本物と入れ替えて船員の前で食べるという見世物をした。
隠していた本物を手に取ってどうするかと思案していた時にシャンクスに声を掛けられて咄嗟に口の中へ。
その後に誤って食してしまい、能力者となってしまった。
更には運の悪い事に海へ落ちて浮かんでこないバギーを心配したシャンクスに助けられたという。
「へぇ、シャンクスが助けてくれたのか」
「話を聞いてたか!! このスカポンタンが!!」
バギーの思惑とは裏腹に、ルフィは「シャンクスが助けた」の部分だけを聞き取ったらしい。
どうにも調子を狂わされる。
彼の事を気に入らない気持ちがあったが――――何と無く分かって来た。
似てるのだ。
麦わら帽子を被っているところとかではなく、彼等の行動そのものが。
だからバギーはルフィの事を気に入らない。
「まあ、良い。どうせ、こいつを倒――――」
瞬間、バギーの視界に大きな風呂敷を持った女性が入り込んだ。
その女性とはナミで、その風呂敷には溢れんばかりの金銀財宝がある。
そんな財宝がこの街には無い事を既にバギーは把握していた。
何せ街を探索したのだから。
ならば、その財宝を何処から持ってきたのか――――疑問を抱くだけ無駄だ。
「それはおれ様のだろうがァッ!!」
バギーの海賊船に貯めておいた財宝という事になる。
怒りを露わにし、バギーはナミへ襲い掛かる。
バラバラの能力で身体を分解し、ナミへと接近する。
咄嗟の事と、頭部や手首、腕、腹部といったように細かく身体を分けていた。
どれを攻撃すれば止まるのか、ルフィは反応が遅れてしまう。
「あんにゃろ!!」
ルフィを無視し、ナミへ襲撃を仕掛けるバギーに腹立たせる。
逃がすものかと追いかけようとした矢先に“バギーの足だけが歩いていた。”
「足は飛べねえのか!!」
ルフィもゴム人間となり、身体が伸び縮みするようになった。
打撃が効かなかったりと利点はある。
しかし、無限に腕を伸ばし続けられる訳では無い。
それに打撃は効かずとも、刃物で傷付くのは普通の人間と変わらない。
能力者にもそういった制約が課される。
一見、非の打ち所が無い能力にも「弱点」の文字は存在している。
今回の件で言うのならば、バギーの足は分解しても空を飛べない事にある。
「捕まえた!!」
ならば、これを利用しない手はない。
靴を脱がせ、バギーの足をくすぐる。
遠くで笑い声が聞こえる。
感覚は共有されている事が分かる。
ならばと、バギーの足を持ち上げると爪先をコンクリートへ思いっきり叩き付ける。
「ふぉっでゅぅっ!?」
ルフィからは見えないが不気味な悲鳴を上げながらバギーは涙目で痛みに耐えていた。
一瞬、飛行速度も落ちる。
「あのクソゴムめ!!」
「いい加減しつこい!!」
意識が一瞬だがルフィへ逸れる。
その隙に逃げ切れないと判断したナミ。
逃げればバギーは追ってくる。
ならば、追われる前に叩き潰せば良い。
金銀財宝を詰め込んだ風呂敷をバギーの頭部めがけて振り回す。
重量、硬さもかなりある金属の塊を叩き付けられる事が如何にダメージを負う事なのかは良く分かっていよう。
「なら、返して貰うかな」
風呂敷を振り回したタイミングでバギーは分離させた手を持ってくる。
振り回された風呂敷を掴み、有言実行とばかりに宝物を奪い返そうとする。
対するナミも宝から手を放すつもりはない。
「私が奪ったんだから私のもの!!」という理論らしい。
しかし、盗まれた側のバギーからしたらたまったものではない。
ナミ的にも海賊の宝は「盗んだもの」として考えている。
盗品なのだから盗む事への罪悪感は薄い。
反対にバギーからすれば敵と戦い、苦労して手に入れたものもある。
無論、一般市民から奪い取ったものもある。
彼からすれば汚い手を使って入手した宝でも、等しく労力を消費して手に入れた努力の結晶みたいなものだ。
褒められたものではないというのはどちらも似たようなものだ。
どちらにしても、自分達の行いが善とは言えない事は両者は理解しているのも同じである。
「お前の相手は、まだおれだろ!!」
割り込んできたルフィの蹴りがバギーの横っ面にクリティカルヒットする。
勢いに逆らう事が出来ず、バギーは蹴り飛ばされてコンクリートの地面に何度もバウンドする。
「この野郎!! よくもやってくれたな!!」
蹴りを放ったルフィへ怒りを露わにする。
ただ、身体をバラけさせたままではまともに戦えやしない。
「集まれ!! おれのパーツ!!」
分解した身体のパーツを引き寄せる。
まずは元に戻り、体制を立て直す。
バラバラの能力で分解されていた身体がバギーへと集まっていき――――
「あっ、あれ!?」
間抜けな声を出してしまう。
どうにも目線が低い。
ルフィの身長よりも低い事は有り得ない筈だ。
だというのに、何故彼を“見上げる事になっている?”
「探しものは、これかしら?」
ニヤニヤと笑いながらナミがバギーへ問う。
彼女は何かを足蹴にしていた。
腕や脚といった人の身体の一部。
それらを縄で一纏めにしている。
身体の一部が分かれている摩訶不思議な現象。
しかし、バギー自身には身に覚えがあった。
それは自身の能力でバラバラにしたもので――――
「おれの身体!!」
「悪いわね」
べっ、と舌を出して言葉とは裏腹に悪びれる様子は皆無だ。
「ハハハッ!! さすが泥棒!! あとは任せろ!!」
ナミのナイスアシストに笑いながらルフィはゴムの反動を利用して両の腕を後ろへ伸ばす。
狙いは頭身があまりにも小さくなり、身動きが取れないバギーへ向けて。
「吹っ飛べバギー!! 〝ゴムゴムの〟!!」
伸ばした両腕を引き戻し、バギーの顔面へ掌底を叩き込む。
「〝バズーカ〟!!!!」
打ち込まれるまま、バギーの身体は容易く空中を舞う。
空の彼方へ飛んでいき、あっという間に姿が見えなくなった。
「よぉしッ!! 勝ったァッ!!」
両腕を振り上げ、勝利を全身で喜ぶ。
その後、地面に落としていた麦わら帽子を拾う。
ただし、先程にバギーが突き刺して頭頂部に穴が空いてしまった麦わら帽子を見やる。
彼が何を思っているのかまでは分からない。
だが、バギーへ怒りを露わにする程の大切なものである事は窺えた。
「あの、さ。その帽子――――」
「ああ、まだ被れるから平気さ」
「…………その穴、直してあげようか?」
笑顔を作り、ルフィは何ともないとアピールするかのように麦わら帽子を被る。
すると、バギーの宝を入れた風呂敷を背負い直しながらナミが提案をする。
「本当か!? ありがとう!!」
その提案にすぐに乗っかるルフィ。
そんなやり取りをしている間に――――
「こっちも終わったぜ」
ゾロがゆったりとルフィ達の方へ来た。
頭に巻いていた手拭いを外し、また腕に巻き直す。
この街でやるべき事は終わった。
そう思った矢先、恐らくはこの町の住人だろう面々が続々とやって来た。
そして、町長のブードルが倒れているところを目撃して驚きを見せていた。
無論の事ながらこちらを警戒し、海賊か否かを訊ねる。
バギー達のように有名という訳では無い。
見た目も海賊とは言い難い。
ならば、海賊だという事を明かさなければ良い――――
「海賊だ」
「何を馬鹿正直に言うか!!」
ルフィが真っ正直に答えてしまったせいで、向こうの面々が怒りを露わにする。
結局のところ、こちらは逃げ出す羽目になる。
途中でシュシュが割って入り、町民の行く手を阻んでくれた。
それが無ければ逃げ切れるか怪しかったかもしれない。
「しししっ!! 良い町だな!!」
「え? 何で?」
追われる事となった状態になりながら、ルフィは楽しそうに告げた。
当然、ナミはその事に疑問を抱く。
「だってよ、町長のおっさんの為に皆怒ってるんだからさ。良い町だ」
「あんたねぇ……」
ルフィの言いたい事は何と無く分かった。
ナミは呆れているが、彼の発言を面白く思っていた。
「あんた、本当に海賊?」
「おう!! なんたって海賊王を目指してるんだからな!!」
ナミからの問い掛けにルフィは大真面目に答える。
彼女からしたらルフィの答えの方が大きくズレている。
その事にどう言うべきなのか考えるも、このズレこそが目の前の少年の本質そのものだと認識する。
本質を見抜く洞察力――――否、野生の勘を彼は備えている。
「そこのところは、昔から変わらないのね」
「あん? どういう事だ?」
「気にしないで」
「そうか。分かった」
ナミの言葉を素直に受け取るルフィ。
横でゾロは疑問を抱くが、どういう事かは分からない。
追手が来なかった事で、何とか港へ到着する。
バギー達が使っていた小舟とルフィ達が使っていた小舟の2隻を繋げて次の島へ向かって出航する。
「おい!! お前等!!」
出航したルフィ達へ港の方から大声で呼ばれる。
呼んだのはブードルだ。
息が上がっており、ここまで全速力で追ってきたのが窺える。
何を言い出すのか?
疑問を抱いていると、敬礼のポーズを取る。
「すまん!! 恩に着る!!」
特大の感謝を込めて叫ぶのだった。
ルフィはそれを嬉しそうに眺める。
「良いよ、気にすんな。楽に行こう!!」
そう笑顔で返す。
やがて島は見えなくなり、次の島を目指してルフィ達は突き進む。
後にこの島に巨大なペットフード店が出来る。
その付近に噴水を作り、麦わら帽子とボロボロになったペットフードをくわえている犬の像が建てられるのだが――――それは少しだけ未来の話だ。
如何でしたでしょうか?
サクッとバギー戦は終了。
あまりグダグダやっててもつまらないだけですしね。
原作との相違点は殆どありません。
ナミの台詞。
ルフィとバギーが戦っている横でゾロが戦っていた位です。
所々原作との台詞が異なるのはご容赦下さい。
次もこんな感じでサクサク行こうかなと考えてます。
また時間が掛かるかもしれませんが。
では、また次回に。