その悪魔の実には意思がある   作:ゼガちゃん

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お待たせしました。

かなり飛ばしてルフィVSクリークになります。

続きです。


一本の槍

その後、ミホークが去る混乱に乗じてゾロ達は先にナミの下へ向かう。

ルフィはクリークとの直接対決、バラティエで起こした事の解決の為に残る選択をする。

バラティエを巡るクリーク海賊団との戦いの火蓋が切って落とされた。

 

戦闘の最中、ギンにオーナーであるゼフを人質に取られ、サンジが危機に陥る。

その際に彼がバラティエに拘る理由が明かされ、ルフィが船を沈めてクリーク達の目的を消し去ろうとして双方から叱咤される一幕もあった。

 

しかし、結果的にギンは人質を取るのを止めてサンジと一対一で戦う事に。

サンジが手負いだった事を加味してもギンは強く、ヒレの上に組み伏せられて一方的に殴られる――――筈だった。

 

「おれには、この人を、痛め付ける事は、出来ません!!」

 

サンジに助けられた恩を忘れられずにいるギンは手を止める。

彼は胸の内を吐露するも、クリークには届かない。

彼は着用していた鎧の肩当て部位、その中央の砲身を向けてくる。

 

クリークの部下達は何をしようとしているのか、把握して徐にガスマスクを着用する。

猛毒ガス弾M・H・5――――それがあの砲身から放たれるとか。

 

クリークの部下は全員が常備しているが、ギンの行動に腹を立てたからか彼にはガスマスクを捨てるよう命じる。

船長の言葉を受け、躊躇いなくガスマスクを海へ放棄する。

 

周囲の行動からそれを受けてはならないと判断したルフィは近くにいたクリークの部下2人からガスマスクを奪い取る。

それをサンジとギンへ放り投げるも、自分の分がない事に気付く。

 

海へ潜る選択肢は能力者であるルフィには取れない。

どうしようか思案していた際、脇にガスマスクが置いてあった。

おかげで難を逃れるに至ったが――――

 

「おい、ギン!!」

 

サンジが隣で声を荒げる。

ルフィが2人へ投げたガスマスクの内1つをサンジに、もう片方をルフィへ投げたのは“誰あろうギンであった。”

 

「恩義の為にこんな事をするだなんて、バカな野郎だ!!」

 

「クリークゥゥゥゥゥッ!!!!」

 

クリークの発言にルフィは怒りを爆発させる。

仲間の意志を踏み躙り、あまつさえ見捨てる発言。

 

「意地で生きろ!! 絶対だ!!」

 

「おい!! 止めろ!! 死ぬぞ!!」

 

「死なねェよ」

 

被っている麦わら帽子をルフィはサンジへ投げる。

サンジの制止の声にルフィは即座にそう返す。

 

クリークとの間に折れたマストが橋のように倒れていた。

ルフィは一直線にクリークへと突撃していく。

 

無論、クリークもその位置に座していたのは向こうからの行動を制限する為だ。

ましてや、ルフィが悪魔の実の能力者という事を目の当たりにしてから尚の事だ。

 

リーチのある攻撃、しかし海に落ちればゲームオーバーなのはルフィ側。

武力、兵力、圧倒的に優位な立ち位置に居る事を利用しない手はない。

 

「バカ正直に突っ込んでくるとはな」

 

ルフィの直情的な行動を鼻で笑いながらクリークは身の丈程のある円形の盾を向けてくる。

盾からいくつか小さめの蓋が開き、そこから銛がいくつも放たれる。

 

能力者であるルフィが海へ逃げる事は無理。

仮に逃げたとして、クリークからの追撃は間違い無く起こる。

どのみち水中で身動きの取りづらい状況では良い的でしかない。

 

ただ、それはクリークのところまで一本道しかない現状でも同じ事。

直撃を免れない状態ではあるが――――あろうことかルフィは避ける素振りすらせずに“突撃してきた。”

 

全てを回避するのは不可能だ。

だから、当たる事は前提で突撃する。

肩や腕、腿に突き刺さる。

それでも、失速せずにグングンと迫っていく。

 

「だが、良い的なのには変わらない」

 

クリークは再び銛を放とうとする。

ただルフィも何度も当たる程にバカではない。

突っ走る最中、でんぐり返しをしながら足を伸ばし、マストの先端部分を踏み付ける。

 

バッシャァァァァァッ!!

 

水飛沫が巻き起こされ、クリークの視界を封じる。

目眩ましなのだろう。

事実、クリークはルフィを一瞬でも見失う。

 

真正面に居る事は分かっていても、標的が見えないのであれば命中率は著しく下がる。

ルフィが水飛沫の向こうから跳んできたのは直後。

腕を真後ろに伸ばし、勢い良く跳んでくる。

 

「〝ゴムゴムの――――〟」

 

銛を放つ事を放棄し、次なる一手を繰り出す事に。

クリークが次に取り出したのは剣山が付けられたマントだ。

 

「これでもオレを殴れるか!!」

 

剣山マントでクリーク全体を覆う。

直撃は相手の拳を壊せる。

そうでなくとも痛みで威力は抑えられる。

鈍ったところを容赦なく叩いて――――――

 

「〝銃弾(ブレッド)ォッ!!〟」

 

 

 

 

 

ドゴォッ!!

 

 

 

 

 

側頭部に強烈な痛みと衝撃が起こる。

体格や鎧の重量もある自身が吹き飛ばされる等とは夢にも思わなかった。

その夢のような出来事が今まさに引き起こされた。

 

無様にも今立っている足場の上をクリークは転がる。

剣山マントを衝撃で海へ落としてしまう。

立ち上がる最中、クリークはルフィの右拳を見た。

血が流れ、新しいものも見える。

 

「剣山マントの上からぶん殴った!?」

「見てるこっちが痛てェよ!!」

「正気かよ!?」

 

周囲の声が耳に入ってきて、状況を理解する。

ルフィの行動はネジが何本も外れたものであった。

それを証明するのが周りの声だ。

 

「クソッタレが!!」

 

クリークは怒号と共に立ち上がる。

両方の肩当てを外すとそれぞれを合わせる。

持ち手が出てきて、それが槍程のリーチの長さで振るわれる。

先端には刃が備えられており、知ってか知らずかルフィの弱点を突く形となる。

 

クリークの船員達曰く、あれは〝大戦槍〟との事だ。

 

「さっきまでとは違う事を教えてやるよ!!」

 

直後、クリークは身の丈程もある大戦槍を振るう。

突進してくるクリークへ自身に刺さっている槍を投げ返す。

 

「邪魔だ!!」

 

叫び、大戦槍を振るうクリーク。

すると、槍は爆炎に包まれて海へ墜落する。

 

「いィっ!?」

 

ただの槍ではなく、爆薬を詰め込んだ武器だ。

こんなものを喰らっては一溜りもない。

 

クリークが大振りで大戦槍を叩き付けてくるのを寸でのところで回避する。

足場となっていた部分に大戦槍が叩き付けられると同時に爆発が起こる。

直撃こそ免れたものの、爆風が発生して巻き込まれたルフィは上空へと放り出される。

 

「うおッ!! 危なッ!!」

 

近場にあった足場へ手を伸ばす。

手すりがあったので、そこを掴んで身体を引き寄せる事で海への落下は回避できた。

 

機動力という点では間違いなくルフィへ軍配が上がる。

しかし、手数の多さはクリークの方が勝る。

そこへ加えて、ミホークの置き土産のおかげで足場らしい足場は殆ど無い。

 

「何処か、良いところはないか?」

 

ルフィは辺りを見渡す。

クリークに勝利する為の条件を持った足場が必要不可欠だ。

 

「どうした? もうお終いか?」

 

「そんな訳、ねェだろ!!」

 

クリークの挑発にルフィは乗る。

身体を伸縮出来るとは言え、ルフィの戦闘方法は白兵戦だ。

接近する事は最重要でもあり、クリークに勝つ為にも“それは必須の条件。”

 

不幸中の幸いが2つある。

1つはクリークの飛び道具が続かない事。

これはあくまでルフィ視点からの判断であり、クリークは狡猾な部分があるのでもしかするとあえて隠している可能性があるので油断大敵。

 

ただ、もう1つの理由からその可能性は低いとも見て取れる。

大戦槍を使い始めてからクリークは基本的に近接戦闘をメインに据えている。

ルフィがあからさまに苦戦を強いられ始めたのも大戦槍を使用してから。

つまり、向こうの決定打も白兵戦によるところが大きい筈だ。

 

あと必要なのは広さ。

足場が小さいものが多く、そこに戦いにくさを抱いて―――

 

「ッ!! 〝ゴムゴムの〜〜〜!! ロケットォォォォォッ!!〟」

 

何かに気付いたルフィがクリークめがけて自らをロケットにして跳ぶ。

彼の足場に寄り掛かっているマストを掴んで突撃する。

舐められたものだ――――と、クリークは内心で呟く。

 

確かに素早さで言えばルフィに分がある。

ただ、純粋な力で、ましてやクリークの纏う鎧を突破できるものか。

 

「考えが甘いんだよォッ!!」

 

足下に大戦槍を叩き付ける。

爆発が起こされ、同時に木の破片が跳んでいく。

 

「〝ゴムゴムのォォォォォッ!!〟」

 

身体に破片が当たる事など気にも止めない。

目の前の敵を倒す事だけにルフィの意識は集中している。

両腕を動かしながらクリークの鎧に直撃させる。

それは一度に留まらない。

二度、三度――――尚も彼の拳が止まる事は無い。

 

「〝銃乱打(ガトリング)!!!!〟」

 

跳んでいく速度にプラスして、ルフィの拳が何度もクリークの胸部を打ち付ける。

 

「ハッ!! 何をするのかと思えば、無駄な事を」

 

一方の反撃を出来る状態にあるが、あえて好きなように打ち放題にさせている。

特異な能力こそ持つのは分かった。

しかし、所詮は人の拳で突破できる程の強度ではない。

 

「〝ゴムゴムのォッ!!〟」

 

「諦めが悪いなァッ!!」

 

しかし、鬱陶しい事に変わりない。

大戦槍を振り上げ、ルフィへ叩き込む。

 

一方のルフィは腕を真後ろへ伸ばし、ゴムの特性を活かして勢いをつけて戻っていく。

 

「〝弾丸(ブレッド)ォォォォォッ〟!!!!」

 

大戦槍の刃とルフィの拳が激突する。

 

ドォォォッ!!

 

それぞれの激突の結果、爆発が起こるのは必然であった。

爆発を受けたルフィは前へ跳んでいる勢いが重なり、海ではなくてクリークの背後へ回る形で倒れる。

 

ルフィの拳は正確には大戦槍の刃の腹の部分に当たる。

彼の手が無惨に斬られているという結果に繋がらなかったのは不幸中の幸いであった。

 

「良く無事でいたな」

 

今ので吹き飛ばすつもりだったからか、クリークはルフィのしぶとさに感心する。

しかし、今彼は立ち上がろうとしている。

隙だらけだ。

トドメを刺そうと大戦槍を持ち直すと…………刃先がボロボロと零れ落ちる。

 

「これはっ!?」

 

今ので壊されたというのか?

ルフィはと言えば、立ち上がって駆け出していた。

 

「〝ゴムゴムのォッ!!〟」

 

「チィッ!!」

 

棒付き爆弾と化したが、大戦槍の火薬の威力は顕在。

ルフィの眼前で爆発が起こる。

 

爆炎が巻き起こり、ルフィを吹き飛ばし――――

 

「〝ゴムゴムのォォォォォッ!!〟」

 

叫びと共に爆炎の中からルフィが現れる。

両腕を後ろへ伸ばし、そのままクリークの懐へ飛び込んでいた。

 

「〝バズーカァッ!!〟」

 

押し出すように胸元へ渾身の一打を叩き込む。

 

「むゥッ!?」

 

今の一撃は予想以上に重かったようだ。

鎧越しにクリークに衝撃を与えてきた。

いや、それだけに終わらない。

 

ピシィッ!!

 

クリークの鎧の胸元の部分にヒビが入る。

何度も何度も、同じ場所を狙っていたのは一点に集中して壊す為。

 

それだけではない。

今の攻撃はある程度の広さ、もしくは敵の突進を前提にして威力を高める。

今回、クリークから動く事は難しい。

となると、技の威力を最大限に活かす為の土台が必要となってくる。

 

これは本当に偶然だろう。

クリークの立っていた足場は皮肉にも、ルフィへのアドバンテージを与えられるフィールドでもあったのだ。

元々、海へ落とせば勝ちの戦い。

足場の選択をしていなかったクリーク自らの落ち度でもある。

 

「クソがァッ!!」

 

しかし、ルフィが鎧にヒビを入れるだけの力を持っていたのは認めざるを得ない。

大戦槍を振り回し、攻撃の余韻で隙だらけのルフィへ一撃を叩き込もうと振り下ろす。

 

当たる寸前、ルフィはバク転をしながら直撃を避ける事に成功する。

だが、爆風までは防げずに背中を焼かれながら吹き飛ばされる。

 

「こんなんで、やられるかよォッ!!」

 

こんな事では倒されないと体勢を立て直してクリークと向き合う。

しかし、クリークは既に近くにあったマストのてっぺんに立ってルフィを見下ろしていた。

 

「んにゃろォッ!!」

 

ルフィは一目散にクリークへと駆け寄っていく。

マストを駆け上がりながら腕を真後ろへ伸ばす。

 

「単細胞め」

 

ルフィの行動が読みやすく、クリークはほくそ笑みながら大戦槍を叩き付ける。

猪突猛進なルフィは回避など見せずに真正面から爆弾を喰らって爆煙が巻き起こる。

 

マストへ上がったのもこのカウンターの一撃を繰り出す為。

無闇矢鱈に突っ込んできた男をこれで捻じ伏せ――――

 

「〝ゴムゴムのォォォォォッ〟!!」

 

叫び、爆煙からルフィが飛び出してくる。

空いている左腕で大戦槍を受け止めていた。

左腕を大きく振るって大戦槍を振り払う。

その勢いに負けて大戦槍を落としてしまう。

 

その間に伸ばした腕を引き戻し、ヒビの入っている箇所へ拳を叩き込む。

 

今回、先程までとは違う。

ただ伸ばすのでは無くて、腕を捻じらせながら伸ばしていた。

腕が回転をしつつ、引き戻されていき――――

 

「〝回転弾(ライフル)〟!!!!」

 

踏み込み、捻りを加えた重い一撃を叩き込む。

マストに誘導していた事がここで仇となる。

 

空中へ放り出され、更には鎧に入ったヒビが広がって少し剥がれ落ちていく。

これ程の力を引き出したのは褒めてやる――――だが、

 

「くたばれェェェェェッ!!」

 

隠し持っていた爆弾を放り投げていた。

爆破が即座に起こり、一部がマストの先端をへし折る。

直撃によるダブルパンチで海へ落下するのは必然だ。

 

「〝ゴムゴムのォォォォォッ〟!!!!」

 

クリークの真上から声がする。

そこには両腕を上空へ向け、攻撃的な意志を見せるルフィの姿があった。

 

下は海だ。

能力者には天敵の地形。

爆破から逃れたなら、まずは助かる為に一旦足場のある場所に逃げる筈だ。

 

なのに、どうして?

どうして、どうして――――彼は立ち向かうのを止めない?

 

「〝バズーカァァァァァッ〟!!!!!!」

 

引き戻された両腕がヒビ割れた鎧へ直撃する。

瞬間、クリークの誇る鎧は粉微塵に砕かれた。

 

「ゴォッ!?」

 

鎧を砕く程の威力。

さしものクリークも口から血を滲ませ、決着――――かと思われた。

 

「まだだァッ!!」

 

隠していた網目の大きい鉄網でルフィを捕獲する。

まだこんなものを隠し持っていた。

 

海へと引きずり込まれればルフィの敗北は確定的。

しかし、彼はそんな事にも負けやしない。

 

網の隙間から手足を引っ張り出す。

そのまま足を交差させながら伸ばしていく。

ぐるぐると伸びていき、クリークの顔を両足で掴む。

 

「今度こそ終わりだ!!」

 

そのまま身を捻り、主導権を奪う。

部下に攻撃をさせようとするも、バラティエの面々に邪魔される。

 

「〝ゴムゴムのォォォォォッ〟!!!!」

 

捻った両足を元に戻していく。

その際に生じる回転の勢いが凄まじく、クリークはされるがままだ。

 

そして、足を大きく動かしてクリークの脳天を近くの足場へと叩き付ける。

 

 

 

 

 

 

「〝大槌ィィィィィッ〟!!!!!!」

 

 

 

 

 

叩き付けられたクリークは白目を剥き、血を吐きながらその場に倒れ伏す。

 

周囲からの歓声が、困惑の声が挙がる。

 

そのいずれの反応も1つの証明だ。

無数の武器を前にしても、たった一本の決して折れない槍があれば勝利出来る事を――――。




如何でしたでしょうか?

今回、あまり大きな変化は無いと思います。

次回もかなり飛ばしてバラティエを出ていると思います。
あんな感動シーンを文字で表すのは無理そうだったので。

はてさて、原作をなぞった展開も続きましたが、そろそろ原作には無い展開を作っていけるかな?
大まかな展開は原作寄りになるとは思いますが。

ではでは、また次回に。
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