その悪魔の実には意思がある   作:ゼガちゃん

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連日の投稿になります。

今回は少し短めではありますが続きをどうぞ。


小さなようで大きな変化

悪魔の実――ゴムゴムの実――をルフィが食べた事をしこたま怒られたその日の夜、ルフィは夢を見ていた。

顔は見えないが、青年に近い年頃の男の少年が海賊として海へ飛び出していた。

 

今のルフィのように身体が伸び縮みしている。

その身体を駆使し、様々な敵と戦っていく。

 

文字通りに腕を伸ばしてリーチを引き伸ばす、引き伸ばした腕を戻す反動を利用したり、ゴムの性質を利用した戦い方。

 

それ以外にも身体から蒸気を発し、凄まじい戦闘力を発揮する。

また、骨に空気を送り込んで巨大化させる。

 

他には筋肉へ空気を送り込み、“何かしらの別の力と組み合わせて”姿を大きく変えていた。

 

戦う場面だけではない。

何か挫折があったのか、膝を突いて項垂れる場面も幾重もあった。

これはきっとシャンクスの良く言っていた「過酷」というものだろう。

 

これが何なのかは分からない。

 

けれど、この後に流れる場面は良く分かった。

何人かが集まり、どんちゃん騒ぎをしている。

それはシャンクス達が酒場でしているどんちゃん騒ぎと似ていた。

 

分かるのは楽しそうである事だ。

中にはかなりの大人数のものもある。

 

確かに楽しそうな面を見せられる。

けれど、それよりも思った事がある。

 

これらをひっくるめて全ては〝自由〟だ――――と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあ、シャンクス。航海に連れてってくれよ~。おれ〝冒険〟がしたいんだよ」

 

「ダメだ」

 

いつもの酒場。

ルフィはシャンクスに同様にお願いをしている。

けれど、返事は変わらない。

 

「ルフィは諦めが悪いよ」

 

「ぶ〜」

 

何度も何度もお願いに来るルフィ。

往生際が悪いとも言える。

 

「それにしても意外だな」

 

「何がだ?」

 

「一生カナヅチと聞いて落ち込んでると思ってた」

 

「ああ、それか。なっちまったもんはしょうがねェよ。それに海に落ちなければ関係ねぇし」

 

「元々泳げなかったから関係ないもんね?」

 

「そうさ!!」

 

ウタがからかうように言うが、ルフィは「ししし」と笑う。

いつも以上に明るく振る舞う――――否、実際に何も気にした様子はない。

それならそれで良いとこれ以上は言わない。

 

「何度も言ってるが――――」

 

「おれみたいに血の気が多いのはダメなんだろ?」

 

シャンクスが言い切るよりも前にルフィは話へ割り込む。

彼が断る理由を正しく理解している。

いつもなら、ルフィは突っ掛かるか不機嫌になるだけだ。

 

いつもより落ち着いている?

違う、笑っていた。

まるで、今回は何か秘策でもあるかのように見受けられる。

 

「なあ、おれ。この島へ行ってみたい!!」

 

そう言ってルフィは1枚のチラシを見せる。

とある島でお祭りが催されるようだ。

今日の夕方から開催されており、フーシャ村からでも半日掛からずに行ける距離だとも言える。

 

「おれ、この祭りに行きてぇ!!」

 

「あのな。どうしてその島へ連れて行くと思ってるんだ?」

 

「だって、“祭りに行くだけなら戦う事も無いだろ?”」

 

ルフィの口から飛び出した内容は随分と突拍子もない。

けれど、あながち間違ってはいない。

 

「この島への航海に危険がないと限らない。それにどれだけ時間がかかると――――」

 

「ベックマンやヤソップが大丈夫だって教えてくれたぞ」

 

またもルフィが言葉を遮る。

副船長のベックマンと、〝赤髪海賊団〟狙撃手のヤソップが一枚噛んでいた事を知る。

 

「ごめんね船長さん。ルフィにお祭りがある話をしたら行ってみたいって言われちゃって」

 

チラシの発見者はどうやらマキノのようだ。

ベックマンとヤソップはその場に居合わせたので、近い事と道中やその島の治安の良さを知っていた。

更にはチラシを配る島も治安の良いところに限定しているので、略奪が生き甲斐の海賊達に知られる危険性はかなり低い。

シャンクス達も海賊ではあるが、以前の航海にて彼等の人となりは知られているので要らぬ心配なのも伝えられた。

それらを教えてくれた訳なのだ。

 

「お前、本当にルフィか?」

 

「おれはおれだぞ? シャンクスは何を言ってんだ?」

 

「いやいや、そういう意味じゃなくてな」

 

「ルフィがそういう発想をするのが意外だったんじゃないの?」

 

シャンクスが言い淀んでいると、ウタが言語化してくれた。

いくら色々と話を聞いたとはいえど、そんなトンチみたいな方法で提案してきたのが意外でもあったから。

 

「ししし!! 何となく思い付いたんだ!!」

 

本能による行動だと白状する。

それでまさか言いくるめられる内容まで昇華するとは。

 

「こう言えば良いってのはベックマンが教えてくれたんだ」

 

どうやらベックマンはさらにもう一枚噛んでいたようだ。

ベックマンも居心地悪そうにしている。

ルフィ本人は気付いているか分からないが、ある意味で理論武装をしているのだ。

 

シャンクスが断っていた理由の殆どが「危険を伴う可能性を持つ航海」であったから。

だが今回、既にシャンクス達も知っている島であり、普段とは異なって安全性は保証されてしまっている。

 

「くそっ!! おれの負けだ。連れてってやるよ」

 

「本当か? やったーーーっ!!」

 

「え~~~っ!!」

 

シャンクスはギブアップを宣言する。

ルフィはもちろんながら喜ぶ。

反対にウタは不満そうな声を上げる。

 

それでも船長であるシャンクスの決定に逆らうつもりはないようで、それ以上は何も言わない。

 

 

 

かくして、ルフィはシャンクスの航海へ同行する理由を得た。

〝運命〟は新たな方向へ回り始める。

その〝運命〟の示す指針の待つものは〝過酷〟か、はたまた〝自由〟か――――?

 

ほんの小さな、されど大きな変化が起きていた事にまだ誰も気付かない。




如何でしたでしょうか?

原作との主な相違点としては一目瞭然ではありますが。
・ルフィが何者かの冒険譚の夢を見る。
・シャンクスに航海に連れて行ってもらう。

となります。

シャンクスがルフィを航海へ連れて行かない理由は「血の気が多いから」と明言していました。
もしかすると「幼い子どもだから」とも考えているのかもしれませんが。

そこへルフィがなるべく近場かつ安全が保障されている島の祭りが行われるチラシを発見。
彼らしからぬ理論的な発言(?)をしたので航海へ連れて行って貰う約束を取り付けます。
ちょっとやっつけ感はあるかもしれないのですが、ルフィのしつこさに根負けしたという事で。

ルフィの同行にベックマンとヤソップが絡んでいます。
ベックマンはアニメを観た勢いで、ヤソップは子を持つ父という事で協力させました。
何だかんだ2人は子どもに甘そうだなという理由もあったり。

さて、祭りを行う島は何処なのか。
読者の皆様が想定するだろうなにジアへ行くのは、もう少しだけ先のお話ですとだけ。

では今回はこの辺りで。
次回も出来るだけ早めに投稿できるよう頑張ります。

あと幼少期編が作者の想定よりも話数を使う事になるかもしれませんね……
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