読者の皆さんには感謝しかありません。
ありがとうございます。
その嬉しさのあまり連日投稿ができてしまいました。
本当は明日のつもりだったんですが、勢いとは凄いものです。
では続きをどうぞ。
初のルフィを連れての航海。
それは近場だった事もあり、何事もなくフーシャ村への帰還を果たす事になった。
出会った少女の名前を聞きそびれた事と、教えるのを忘れていた事を後悔するだけだ。
しかし、ルフィを連れ立っての航海を基本的にはシャンクスも毎回は快諾しない。
それはそうだ。
彼が子どもなのもあるし、何より今回は近場だったから運が良かっただけの事だ。
なので、ルフィに「ケチ!!」と言われるのも慣れたもの。
その度にウタが「もう、困らせるんじゃないの」とルフィへ一言告げるのも日課となってた。
ただ、その後に「何処でも良いから、乗せてあげたら?」と言うようにもなっていた。
これまではそのような事は言わなかったウタに疑問を抱くようになったのは自然の事。
全てはあの一度の航海以降に起きた出来事でもあった。
娘に何の心情の変化があったのか問い質してみた。
「な、何にもないわよ」
明らかに動揺しており、更には頬を赤くして返答する。
これで何も無かった訳がないと気付くのは簡単だった。
故に同行していたベックマンに事の真相を問い質す。
「祭りで仲良くなった女の子が居ましてね。その子と一緒にルフィからプレゼントを貰ったのが嬉しかったんじゃないですか?」
彼からの返答はそうであった。
ならば今度はルフィへ問い質すと、良い笑顔でこう返した。
「要らない景品を当てたからあげただけだ。あと〝冒険〟をしたんだ」
彼の反応もまたシャンクスの知りたかった内容ではあった。
けれど、それだけでは腑に落ちない点もあったのは確か。
目に見える変化はウタが首からペンダント代わりに下げている桃色の指輪の玩具だ。
首から下げられるように紐を渡してやると、大事そうにペンダントにしたのだが――よもや、まさかの行動をルフィが取ったのではないかと勘繰る。
しかし、ルフィは残念ながらお子様なのでそれはないと判断を降す。
なので、また振り出しに戻ってしまう。
こんな事ならベックマンに押し付けるんじゃ無かったと後悔する。
しかも、そのベックマンも最近は「何処か近いところなら連れてってやったらどうだい?」と言い出す始末だ。
はてさてどうしたものかと考えていた。
ただ考えていても良い考えは浮かばなかった。
なので酒を飲もうといつものバーへ寄ったのだ。
「いらっしゃい船長さん」
「やあ。いつものを貰えるかい?」
このお店は意外と色んな種類のお酒を置いてある。
少し離れた
シャンクスもこのお酒は飲みなれているので、このお店で飲めるとは思わなかった。
どんな銘酒を飲んだとしても、肌に馴染んだこの味は忘れられず、一番の味だという自負があった。
「ごめんなさい。今
「そうだったのかい」
自分達の船にもストックは殆ど無い。
故にシャンクスはどうしたものかと思案する。
「おーい、シャンクス!! また航海に連れてってくれよ」
考えている間にいつの間にか隣へ座っていたルフィから声が掛かる。
あのな、ルフィ――――そう切り出して彼の願いを断ろうとして躊躇った。
もしも、あの2人にそうまで言わせる「何か」がルフィにあったのだとしたら――――
「よし、良いだろう。連れてってやる」
「本当か!? やったー!!」
両腕を大きく上げて喜ぶルフィ。
その姿を見てシャンクスは「けれど、条件がある」と言った。
「もし、危険があったら引き返すぞ」
これはルフィの安全を考慮しての事でもある。
そうでなければ、彼を連れていく事は避けたい。
本当ならウタとベックマンの言葉が無ければ絶対に断っていた。
「おう!!」
ルフィは笑顔で言うのであった。
敵船との戦闘が起こった場合には問答無用で帰る事を告げているのだが、理解しているのか不安も残る。
かくして、シャンクスはルフィを約束通りに航海へ連れ出してやった。
今回の目的は
フーシャ村を拠点にしているので、
〝
その
話を戻そう。
ならば
それに物理的な意味でも大きい大陸である
よって、出来るだけ様々な物資が集まる島を目指している。
そこまでして飲みなれた酒を飲みたいという気持ちの方が勝った。
航海の途中、ウタの歌を聴いている内に眠くなり、眠ってしまったルフィが目を覚ました時には既に到着していた。
どのようにして来たのか、本当に覚えていない。
少なくとも眠っている間に危険は何も起こらなかったようで、引き返さずに済んだ事を知って先に安堵の気持ちの方が勝った。
けれど、前回とも異なる島への到着はそれだけでルフィの好奇心を引き出すのに十分だった。
港への到着と同時にルフィはダッシュで船を降りる。
「うおおおおおおおおっ!!」
知らない島へ来る事にルフィの〝冒険〟への意欲は更に高まる。
「全く、そんなに慌てるなよルフィ」
「だってよ、興奮するなってのが無理な話だ」
ルフィは目を輝かせる。
前回と同様、いやもしかするとそれ以上の興奮なのかもしれない。
「それじゃあ、お頭。おれ達は近くの酒場を当たってみます」
「ああ、ウタの事も頼む」
今回、ウタの事はベックマンに任せてある。
ルフィはシャンクスと行動する事に。
最初はウタもそれには反対したが、シャンクスに何度も頭を下げられた事で折れたようだ。
「よし、おれ達も行くとするか」
「おう!!」
という訳で、目的の為に歩き始める。
「う~ん、何処にも無いってのは珍しいな」
街の酒場を訊ねまくる。
既に訊ねた店は十件を回り始めている。
なのに空振りが続いてばかりというのは非常に珍しい展開だ。
「すまん、ルフィ。トイレに行ってくるから少し待っててくれ」
「おう」
店を出たところでそう告げ、シャンクスは店内へ戻る。
その間、ルフィは外で待つ事になる。
しかし、街の端にまで来てしまっている。
こちらにも店はあるのだが、あるのはこの酒屋と隣の服屋。
それに両方の店の外装は古く、その両方の店がこの先に進めないように壁となっている。
左右には既に閉店しただろう店がシャッターを閉めて錆びれた状態で放置されている。
この外装と雰囲気故か、人はこちらまで来ない。
「つまんねえな」
「つまらん」
そう独り言を呟くと、隣から全く同意見のものが飛び出した。
隣には長い黒髪の女性が居る。
身長もルフィより高く、自分より年上である事が分かる。
身近な人物で言うならマキノ位の身長はあるだろうか?
更には美人だ。
「誰じゃ?」
「おれはルフィ」
「ふん。わらわの名は男には教えんぞ、知ろうとするなどおこがましい行為じゃ」
「オコガマシイ? 何だか難しい言葉を使うんだな」
「学のない者と話すのは疲れる。ましてや男ともなれば、の」
この女性はルフィとまともに話をするつもりがあるのか疑問を抱く。
正直、彼女が何を言っているのかサッパリなルフィは逆にこの女性に俄然興味が出てきた。
「男ともなれば話す事は無い。何処かへ行くが良い」
「おれもここで待ってるよう言われてるからな。勝手には行けねえ」
「ふん。ならば、その者が来るまで動かないでいて貰おうか」
この美人さんはそう切り出したかと思えば、手でハートマークを作ってルフィへ向ける。
「メロメロ
「うおっ!?」
その手からハート型の光線が放たれてルフィに当たる――――が、何も起こらない。
これにはルフィも、女性も首を傾げる。
「何故石化しない? まさか、わらわの魅力が効かないっ!?」
女性はあまりの現状に驚いている。
当のルフィはと言えば、女性の行動に「すげェ!!」と目を輝かせていた。
「なあ!! 今のって何だ? ビームなのか!?」
「に、似たようなものだ」
「すげェ!! なあなあ!! それってどうやるんだ?」
ルフィのあまりの勢いにたじろいでしまう。
それだけルフィにとっても意外過ぎるものだったのだろう。
女性もまたルフィの事を意外そうに見ていた。
どういった意味が込められているのかは不明ではあるが。
「ふん!! 男に教えてやる義理は無いわ!!」
「え~。でも、そうならそれは仕方ねえな」
女性が教えないというとルフィはがっかりした様子を見せるも、納得をしたようではあった。
「変なやつじゃの」
「そうか? ところでよ、ここで何をしてるんだ? そっちも誰かを待ってるのか?」
「ああ、その通りじゃ」
ルフィの問いかけに、彼の顔を見ずにぶっきらぼうながら答える。
返事をきちんとしてくれるだけマシなのかもしれない。
「店に居るのが退屈になったから外に出たんだな」
「知ったような口を聞くでない」
「ふーん。ところで男がどうのこうの言ってるけど、もしかして男は嫌いなのか?」
「…………男は嫌いじゃ」
ルフィの矢継ぎ早の問い掛けに女性はペースを乱されていると理解しつつ、彼の疑問に答える。
正直な答えを伝えられたルフィは「どうしてだ?」と口にしようとして、止まった。
『誰にも過去を知られとうない!!』
『例え国中を欺こうとも、わらわ達は一切の隙も見せぬ!!』
『もう、誰からも支配されとうない!!』
瞬間、オレンジ髪の少女の時と同じように知らない光景が脳裏に描かれた。
涙を流しながらの独白、これをしたのは目の前の女性と似ていた。
どうしてなのか、正確な理由は分からない。
けれど、もしそれを望むなのだとしたら――――
「そうか、嫌いなら仕方ねえな」
聞かないと言う選択肢を取る。
「仕方無いで済ませるのか?」
「だってよ。おれもまずい飯は嫌いだしさ」
「そんなものと同列で語るでない」
女性としては比較対象からして最悪だったようだ。
彼女にとって「男が嫌い」はそれだけ大きな意味を持つのだろう。
それは彼女の根っこの部分。
ルフィにはどうする事も出来やしない。
「でもよ、もしかしたら変わるかもしれねぇだろ?」
「変わる? よもや、好きになるかもしれないという意味ではあるまいな?」
「おっ、良く分かったな」
女性はルフィの言いたい事を先回りした。
その事に感心している。
「まあ、好きまでいかなくても嫌いまでにはならないかもしれねぇだろ?」
「嫌いまでにはならない、か――――分からんでもない気がする」
ルフィの一言を女性は噛み締めながら同意する。
これもまた、彼女にとって一考の余地のあるものだったのだろう。
「男で、それも子どもでありながら良い事を言う。そなたなかなかやるではないか」
「そうか?」
「普通なら話し掛けるのも嫌気が差すが――――そうならなかった理由が分かった」
ルフィと……より正確には男性と会話する自体が珍しいとの事だ。
女性の言っている事もぼんやりとしか理解できていない。
けれど何となく、先程まであった棘が多少は和らいだ気がした。
「深くは聞かぬその度量のおかげじゃ。もし聞けば、その首を刎ねるところじゃった」
「うーん、聞かなかったのは何となくだ」
本能に従ったという意味ではルフィの発言は何も間違っていない。
「そなた、子どもの男でありながら面白いのう」
「そうか?」
「ああ。男への見方は変わらんかもしれん――――だが、そなたのような男も居るのだと分かっただけで一考はしよう。教えてくれた事、褒めてやろう」
女性の言っている事は残念ながらルフィには最後の言葉以外は難しすぎた。
故に最後だけ切り取って「ありがとう」と明るく返した。
「おーい、ルフィ〜。目当ての酒が丁度入荷したんだ。ちょっと来てくれ〜」
「何だ、あったのか」
ルフィを呼ぶシャンクスの声。
どうやらタイミング良く目当ての酒が入荷したらしい。
「シャンクスが呼んでるから、おれ行くよ。また会おうな!!」
「ああ。達者でな」
ルフィは店内へと駆けていく。
それとすれ違うように女性の連れだろう面々も店内から出てきた。
「姉様、お待たせしました」
「何か成されていたのですか?」
「ソニア、マリー」
女性を姉と呼んで慕う女性が2人。
これまたどちらも世の女性も羨むプロポーションの持ち主である。
それぞれソニア、マリーと名を呼ばれる。
「少しな、面白いやつと話をした」
「世界の広さに感心したようじゃニョ」
とても特徴的な語尾を付けた小柄な老婆が店から出てくる。
「そんな訳が無い――――と言いたい所だが、この世の男はどうしようもないやつらばかりだと思っていたが…………なかなかどうして、骨の有りそうな男が居る事を知った。まだ子どもだったがな」
「ひょっ!?」
女性の反応に老婆は得体の知れないものを見たかのように驚いていた。
それだけの事態だ。
「我儘の塊が、あれだけ男を嫌っとったのが、どうした事か!?」
「ふん。わらわの眼鏡に適う男が恩人以外にも居っただけの事よ」
行くぞ――――女性はこの場にはもう用は無いとばかりに彼女を慕うソニアとマリーを連れて行く。
「次期皇帝の自覚を持って貰おうというつもりで少し遠出をしただけのつもりじゃったが、思わぬ収穫があったようじゃニャ」
数分目を離していた間に彼女の心境にどのような心変わりがあったのか、驚くばかりだ。
「何か、とてつもない大きな〝運命〟でも動き出したか――――この分なら近い内に皇帝ともなるあやつをハンコックと呼び捨てる事は出来ぬ事になりそうじゃニョ」
そう呟きつつ、老婆はハンコックと呼んだ女性の跡を追い掛けるのだった。
如何でしたでしょうか?
シャンクスがルフィを連れていく理由は何ともあれでしたが許して下さい。
前回の指輪は早速ネックレスの形でウタが身に着けております。
ナミの方も同じかもしれませんね。
西の海の酒の一件は白ひげと話し合いに行った時に「故郷の酒は美味い」と発言していたので、どうしても飲みたくなれば我慢できずに買いに行くかなと思いました。
この頃は遠出はできないのでグランドライン前半の島のイメージです。
そして、ハンコックの登場です。
正直、彼女なら子どもでもルフィと会話をする気にならないと思ってしまうのですが、彼の独特な雰囲気に調子を狂わされたという事で。
何だかんだ、ルフィに自分の能力が通用しなかった事には驚いています。
基本、彼女の容姿で能力が通用しない相手は居ないでしょうから。
子どもの頃でもルフィには「冒険>女性」でしょうから。
彼女の能力のビームのようなものにも興奮しそうだなと思いました。
ルフィとの会話は短かったですが、彼との会話で何かしらの変化はあったとは思います。
彼女自身、気付いていないとは思いますが。
さて、今回はこの辺りで。
次回も早めにお届け出来ると思います。
その後に少しの間を空けてから音楽の島編の更新に入ろうと考えています。
では、また次回に。