喫茶リコリコにオーナーがいたら。   作:ゆずれもん 

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更新遅くなりました。
今回と次回、オリジナル回になります。
感想、いつでもお待ちしております。


ep.4

店の戸締りを終えて家に帰ると、中から人の気配がした。

 

(あー、今日はこっちか)

 

「よっ、ただいま千束」

 

「あ!大河おかえり~!!!」

 

 

リコリコ看板娘のお出迎えがお家で待っていた。

1人は嫌いじゃないが、たまにはこういう賑やかな夜も悪くないだろう。

 

 

 

──────────────────

 

 

「私、救世主にもう一度会ってお礼が言いたい!

 DAを抜けて救世主を探したい!」

 

千束がそう言い始めた時のことを今でも覚えている。

 

この頃にはもう不殺のスタイルを貫いていた彼女は、DA及び上層部も扱いに困る存在であった。

下手に目をつけられて処分などになるくらいなら、と俺が

 

「ならどこか静かなところでのんびり喫茶店でもやるか」

 

と言い始めたのがリコリコの始まりだ。

 

そこからはとんとん拍子で、

流石に俺とまだ子どもだった千束の2人だけではきつすぎると

2人してミカさんを勧誘して、

知り合いから畳む予定だった喫茶店を譲り受けて、改装して開店。

そのあとすぐにどこかでここの存在を聞きつけミズキが来て、

今のスタイルが出来上がったのだ。

 

そして千束がDAを出た時にとりあえずの居住地としたのがここ、俺の家である。

 

この時は千束がリリベルから襲撃されるなんて想定してなかったのだが、

人の家で平気でドンパチしようとするもんだから何度修理したことか...

 

慌ててセーフハウスを3つ程用意したけど、千束は未だにセーフハウス0号なんて呼んでたまにここに泊まりに来ている。

 

人の家をセーフハウスになんてするんじゃねぇ!

 

 

──────────────────

 

 

「もうすぐご飯できるから休んでてね~!」

 

すっかり女子力のある女の子になった千束にちょっと感慨深くなる。

うちに来た頃は仕事以外ではやんちゃなクソガキだったのに...

 

親代わりのミカさんと兄代わりの俺、男2人でよくこんなにもいい子に育ったなぁ...

 

それどころかたまに眩しすぎてこっちがダメージを食らいそうになる。

 

 

大河~!できたよ~!と呼ぶ声が聞こえて書類を作る手を止めてダイニングへ向かう。

 

「お、オムライスだ!いいじゃんいいじゃん~!」

 

「でしょ!千束さんの自信作だよ~?」

 

自慢げに言う千束にいただきますと伝えて一口目を頬張る。

 

「ん~うまい!」

 

大好物の味が口の中に広がり口角が上がりまくる。

 

「相変わらずおいしそうに食べるね~、作り甲斐があるってもんよ」

 

千束があきれたように笑いながらそれでいて満足そうに言う。

 

 

俺は嫌いなものこそ少ないものの、ガキ舌だから好物がオムライスやらハンバーグやら子供っぽい。

お菓子やデザートも大好きで昔からなにかしら常備していたせいか、その辺は千束にも影響しちゃってる気がする...

 

 

「こんなうまい飯作れてきれいに成長して、その心臓でなければきっといいお嫁さんになったんだろうな...」

 

「え、ちょ、いきなり何恥ずかしいなぁ~!」

 

しみじみとなってしまった俺に対し、照れてそっぽを向きながら言う千束。

 

「てかそもそも戸籍無いから私、普通の結婚はどのみちできないよ。」

 

「それもそっか、いっそのことたきなとでも結婚したらいいんじゃないか?」

 

「ほうほう、それも悪くないねぇ~」

 

軽口をたたきながら食事を進める。

その後はいつもの俺らのルーティーンで、風呂に入って食後のお供を用意して千束おすすめの映画を観る。

大体1日1本みて終わったら寝る準備をして布団に入りながら観た映画について語る。

 

そしてそのまま就寝...なんてことはなくて───

 

 

「...ねぇ大河、たきなのことどう思う?」

 

「どうって?」

 

「あれでよかったなぁー?って。

ほら、いつかは私もいなくなっちゃうわけだし、無責任だったかなぁみたいな?」

 

「まぁ千束がしたかったんならそれで良かったんじゃねぇの?

ほら、いつも言ってるだろ『やりたいこと最優先』って。

後のことはその時考えればいいんだよ。

たきながファーストになってリコリコ続けられるかもしれないし、

俺が楠さんに土下座してたきなのこと戻して上げれるかもしれないし、

もしかしたら千束の新しい心臓が見つかるかもしれないしね。

その時になってみないとわからんよ。」

 

「そっかー。ふふっ、良いこと言うじゃん」

 

「まぁ君より10年以上長く生きてますからね」

 

「えー、なにそれ。口の中はお子様のくせに!」

 

「未だに注射の怖いお子ちゃまな千束には言われたくありませーんっ」

 

「ちょ、それ絶対にたきなには言わないでよ!!」

 

 

そしてまた喧嘩のうちに入らないような兄弟げんかが始まる。

 

千束が家に来るときの大半はなにか相談したいときか不安な時だ。

 

俺に血のつながりはないけれど、もう少しこの年の離れた妹の相手をしてあげよう。

 

 

軽口をたたき合っているうちに聞こえてきた千束の寝息を聞いて、布団をかけなおしてあげる。

 

 

「おやすみ、千束」

 

 

幸せそうに眠る千束にそう呟いて俺も瞼を閉じていった。




次回はたきなちゃん回の予定ですが、その中でちょっと主人公の方も明かしていこうと思います。
先の流れを全く決めずに書いていってるので、更新が遅くなったり、どこかで矛盾が起きてしまう可能性もありますが、それでも許容できる方はぜひ次回以降も楽しんでいただけると幸いです!
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